ハイボールの由来や意味を調査!ウイスキー+炭酸水の名前の秘話とは?
いまやアルコールの定番メニューの地位を確立したハイボール。アルコール度数の高いウイスキーが飲みやすい!と男女問わず、世代を問わず好評ですが、名前の由来や意味を知っている人は少ないのでは。今回は、ハイボールの名前の意味や由来、ハイボール秘話を紹介します。
目次
ハイボールが人気!
乾杯はハイボール
「食事との相性が良い」「カクテルなど甘いお酒は苦手だけど、炭酸の爽快な味わいのハイボールなら好き」と感じる方も多いようで、「とりあえずビール」に代わって「まずハイボール!」と乾杯のお酒としてハイボールを注文する光景もよく見かけるようになりました。
ハイボールの種類も豊富
「ウイスキー×炭酸水」以外にも、「ウイスキー×コーラ」「ウイスキー×ジンジャーエール」「ウイスキー×カルピス」など色々な清涼飲料水でウイスキーを割ったハイボールを提供する店舗が増えています。
ハイボールは実は健康的?
実は、ハイボールが健康的な飲料水であることも人気の理由の1つ。ハイボールに使われているウイスキーは糖質が少なく低カロリー。さらにビールに含まれる「プリン体」が含まれていないので、プリン体を気にするビール好きから絶大な支持を得ているようです。
ハイボールは自宅で簡単に作れる
ハイボールは簡単に作ることができる飲料水。自宅で簡単に材料が揃い気軽に作って楽しむことができることもハイボール人気の理由です。「美味しいつくり方」を紹介するWebサイトや個人のブログも登場しています。動画サイトなどを合わせると10万件以上がヒットするほど。
ハイボールの意味
日本でのハイボールの意味
ハイボールの意味を知っていますか?日本でハイボールというと、「ウイスキーを炭酸水で割った飲料水」というイメージを持っている人が多いですが、実は正しいハイボールの意味は違うのです!
ハイボールの広い意味
実は、ハイボールは「カクテルの一種」という意味。もっと広い意味では「リキュールやスピリッツなどのアルコールをソーダなどの炭酸水、もしくはアルコールを含まないジュースなどの飲料水で割ったカクテルの一種」です。
リキュールの意味
ちなみに、「リキュール」とは果実酒や薬草酒のことを指します。具体的には梅酒、クレーム・ド・カシスやカンパリなどの飲料水です。
スピリッツの意味
さらに「スピリッツ」とは蒸留酒のこと。製造の過程で蒸留を伴うものです。ウイスキーはこれにあたります。他にはブランデー、ジン、ラム、テキーラや焼酎などがあります。
ハイボールの本当の意味は?
つまり、日本でハイボールは「ウイスキー×炭酸水」という意味で定着していますが、リキュールや蒸留酒をノンアルコール飲料水で割れば、なんでも「ハイボール」なのです!
チューハイ、サワーはハイボールと同じ意味?
ハイボールに似た飲料水に「チューハイ」と「サワー」があります。チューハイとサワーにはどのような意味があるのでしょうか。ハイボールとの違いについて紹介します。
チューハイの意味
チューハイは、「焼酎のハイボール」を略した呼び名です。もともとは焼酎を炭酸水で割った飲料水のことで、1950年代に東京の居酒屋で考案されたといわれている日本独特のドリンクです。
お店によってはプレーンチューハイと名前で提供しています。最近では焼酎だけでなく、ウォッカやジンなどの他のスピリッツを使ったものもチューハイと呼んでいる場合があります。
レモンやカルピスを入れて「レモンチューハイ」「カルピスチューハイ」にしたり、炭酸水で割るのではなくウーロン茶や緑茶などの清涼飲料水で割った「ウーロンハイ」や「緑茶ハイ」も登場してきています。
サワーの意味
サワーとは、スピリッツをベースにして酸味のある果汁などを加えて作るカクテルを炭酸水で割った飲料水といわれています。お店によってはチューハイとサワーを同じ意味で扱っています。法律上の規則があるわけではないですが厳密に言うと、チューハイは「無色で香りのないスピリッツをベースにしたもの」で、サワーは「スピリッツをベースに酸味のある果汁をつかったもの」という違いがあります。
呼び方は違うけど同じ意味!
日本で呼ばれている「ハイボール」「チューハイ」「サワー」は呼び方が違うだけでハイボールの広い意味から考えると、全てハイボールということになります!
海外のハイボール事情
ウイスキー&ソーダ
海外では、「ハイボール」と注文しても、ウイスキーの炭酸割りはでてきません。日本でいうハイボールが飲みたい時は、「ウイスキー&ソーダ」または、「スコッチ&ソーダ」のように銘柄を指定して注文しなければなりません。
ストレートやロックが主流
海外では、日本のようにウイスキーを炭酸水で割って飲む文化があまりないそう。ストレートやロックで飲むのがポピュラーのようです。例えば、ウイスキーの製造が盛んなスコットランドでは、ロックが主流。もし炭酸水で割って飲む場合は、ウイスキーと炭酸水を別々に提供してもらい、自分で好みの濃さに調節して飲むのだとか。
ハイボールの名前の由来はゴルフボール?
ハイボールは英語で「high(高い)boll(ボール)」と書きます。なぜ、このように呼ばれるようになったのでしょうか。名前の由来には諸説ありますが、その中でも代表的な3つの説を紹介します。
名前の由来①:スコットランドのゴルフ場説
イギリスのゴルフ場にあるクラブハウスでの話。当時珍しかったウイスキーの炭酸割りを飲んでいた英国紳士がマスターに「この美味しいカクテルの名前は何だい?」と尋ねたところ、ちょうどそこに高く上がったゴルフボールが飛んできました。それを見たマスターが思わず「ハイボール!(高い球)」と叫んだので、そのお酒の名前が「ハイボール」になったという説です。
ハイボールの名前の由来は信号機由来説が有力?!
名前の由来②:アメリカ鉄道の信号機由来説
19世紀、開拓時代のアメリカ南部鉄道の話。当時の信号は「ボール信号機」というものが使われていました。ボール信号機とは、長い棒の先にボールをワイヤーでつるしたもの。このボールが下に降りていたら「とまれ」、上がっているときは「すすめ」という意味で、列車を進行させる時はワイヤーを巻き上げてボールを上に上げていたので、その状態を「ハイ・ボール」と呼んでいました。
ある時、セントルイス駅にウイスキーの炭酸割りが大好きな信号係がいました。彼は、列車に出発の合図を送るたびに「ハイボール!」と叫んでいたとか。そこで、彼が飲んでいた飲み物も「ハイボール」と呼ばれるようになったという説。実は、この信号機説には他に2つのバリエーションがあるんです!
ボール信号機由来説:バリエーション①
ボール信号機をウイスキーを飲みながら見ていた駅員が、ボールが上がったのを見て「ハイボール!」と言いながら、残っていたウイスキーに炭酸水をぶち込んで一気に飲み干し、仕事に備えたのでそのドリンクをハイボールと呼ぶようになったという説。アメリカのバーテンダー養成学校ではこの説がハイボールの由来だと教えているそう。
ボール信号機由来説:バリエーション②
ボール信号機は、列車だけでなく工事労働者への合図にも使われていました。労働者たちは休憩の時にウイスキーの炭酸割りを飲んでいて、その飲み物も「ハイ・ボール」と呼ばれるようになり定着していったという説。
炭酸の泡が名前の由来?
名前の由来③:ソーダ泡説
グラスに立ち上がる泡に由来するという説。グラス越しに見える炭酸水の泡をボールに見立てて、浮き上がる=ハイ(高い)という様子を組み合わせて、ハイボールという名前がついたよう。
他にも色々な由来や意味がある
他にも、背の高い(high)容器(bowl)にウイスキーと炭酸水を注いだ飲み物からハイボールという名前が付いたという説もあります。有力な説は、「スコットランドのゴルフ場説」と「アメリカの鉄道ボール信号機説」だといわれています。
ハイボールの歴史
ハイボールと聞いて、「懐かしい」と感じるのは50代以降の方でしょう。1950年代に庶民の間でトリスウイスキーの炭酸割りが爆発的な人気を誇りました。「トリハイ」「Tハイ」と呼ばれ親しまれていました。その後、チューハイブームが到来し、ハイボールはチューハイに市民権を奪われてしまいます。
ウイスキーの低迷
もともとウイスキーは「アルコールがきつくて飲みにくい」「食事と一緒には合わない」「おじさんくさい」「敷居が高い」という印象が強く、若者に敬遠されがちで、1980年初めごろから売上が減少傾向にありました。
しかも、以前に比べて飲みに行っても1軒目で食事が終わる傾向が、ウイスキー離れにさらに拍車をかけます。ウイスキーは2軒目以降で行くバーやスナックで扱っている場合が多く、1軒目の食事する店にウイスキーがないので、飲む機会が少なくなり消費者がウイスキーから遠ざかるという状態になっていました。
ハイボールブームの火付け役
ウイスキー売上UPを目指して
サントリーは、落ち込んでいたウイスキー販売数を回復させるため、ウイスキーと水を1対1で割る「ハーフロック」の飲み方を打ちだします。しかし、低迷に歯止めはかからず、2008年には売上がピーク時の5分の1ほどまでに落ち込んだそう。
ハイボールに活路を見出したサントリー
現在のハイボールブームは、酒造メーカーのサントリーが火付け役。ロングセラー商品のウイスキーの売上が下がり続けていたことに危機感を抱き、社内に若手中心のチームが結成され、ハイボールをウイスキーの新しい飲み方として推進するプロジェクトを立ち上げます。
ウイスキーの新しい飲み方を提案する宣伝活動と地道なプロモーション活動を展開し、見事にハイボールを復活させ、ウイスキーの売り上げ回復に成功しました。「ウイスキーがお好きでしょ~、もう少ししゃべりましょ」というCMが記憶に新しいところ。
ウイスキーのポジションを変える!
ハイボール復活プロジェクト①:居酒屋の1杯目に!
プロジェクトチームがこだわったことは次の3つ。ハイボールを「居酒屋で1杯目に飲めるお酒にする」「食中酒という位置づけに変える」「若い人や女性に受け入れやすい飲み物にする」ということ。
ハイボール復活プロジェクト②:常識を覆す!
通常、ウイスキーの水割りは、ウイスキー1:水2.5くらいの割合で薄めて、ウイスキーグラスに入れて飲みます。この常識を覆して、炭酸水で水割りよりもさらに薄めてアルコール度数をおとし、さらにビールのようにジョッキに注いで飲むスタイルを世の中に提案しました。
さらに、ハイボール専門店をオープンし、ウイスキーとは無縁だった立ち飲みや焼き鳥屋、バルや酒場などの飲食店にハイボールを扱ってもらえるよう働きかけました。チームの努力の甲斐あって「コストパフォーマンスがよいお酒」として次第に受け入れられるようになり、ハイボールが食中酒としてのポジションを確立するのです。
こだわり3ヶ条+1とは?
ハイボール復活プロジェクト③:こだわり3ヶ条+1
プロジェクトチームは、美味しいハイボールの味と作り方を伝えることが大切だと考えました。そこで「こだわり3ヶ条+1」というマニュアルを作り、自社のホームペーシで紹介。
ハイボールの黄金比率
こだわり3ヶ条+1は、サントリーが提案するハイボールが最もおいしい状態で楽しめる「黄金比率」と呼ばれるもの。このマニュアルは若者の好みに合わせるために改良が重ねられました。
温度や炭酸圧にこだわる
第1条は「温度のこだわり」ジョッキいっぱい氷をいれます。第2条は「炭酸圧のこだわり」炭酸圧を維持するために冷やした炭酸水を静かに注ぐ、炭酸がとばないように、縦に1回だけ混ぜます。
アルコール濃度にこだわる
第3条は「アルコール濃度のこだわり」ウイスキー1に対して炭酸水を4の割合でいれるというもの。そうすると氷が解けて7%くらいのアルコール度数になるのです。ちなみに+1とは、「レモン汁」氷より先にレモンを軽く搾っていれておくと、風味と酸味がハイボールの味を引き立たせるというワンポイント。
ハイボールタワーの開発!
誰でも同じように作れる工夫
マニュアルを作っても、なかなか誰でも同じように黄金比率で美味しいハイボール作ることがなかなか難しい状況の中で、「ハイボールタワー」というサーバーを開発。こうして、飲食店などでもサントリーが提案する美味しいハイボールが提供できるようになりました。
「安い」「飲みやすい」「おしゃれ」
40代より若い層にとっては、ハイボールは未知の飲料水でした。ハイボールの名前を聞いたことはあっても飲んだことがないという人が多いなかで、ウイスキーを炭酸水で割るという飲み方自体が斬新だったことが、ハイボールブームの要因の1つ。
そういった状況にサントリーがいち早く気づき、地道な市場調査とプロモーションを続けた結果、昔のハイボールブームの時と同じように「安い」「飲みやすい」「おしゃれ」というイメージを定着させることができたのです。
ハイボールをさらに美味しくするおすすめの炭酸水!
炭酸水の銘柄を変えるだけでハイボールの印象が変わります。ウイスキーの炭酸割りに特におすすめの炭酸水を紹介します。
おすすめ炭酸水①:ウィルキンソン
おすすめなのは、炭酸水の定番ともいわれているアサヒの「ウィルキンソンタンサン」です。炭酸ガスが強く、ウイスキーとの相性は抜群!
おすすめ炭酸水②:ザ・プレミアムソーダ山崎
サントリーが販売しているプレミアムソーダです。山崎の天然水で作られた炭酸水で、飲むとかすかな甘みが感じられます。サントリーのウイスキーとの相性がよいのは言うまでもありません。パッケージの特別感もおおすすめです。
おすすめ炭酸水③:クオス
強炭酸水として知られている「クオス」。水の郷100選に選ばれた大分県日田市の天然水を使用しています。低コストで高品質であると大人気の炭酸水です。お得な定期購入もでき、日常的に気軽に使えます。
ハイボールの意味や由来を知って美味しく楽しみましょう!
ハイボールの意味や由来を知ることで、味わい方も変わってくるのではないでしょうか。ハイボールは数かぎりなく種類があって、しかも自分で気軽に作れる飲料水です。自分好みにカスタマイズして楽しんでみるのもよさそうですね。