2019年02月25日公開
2024年09月05日更新
ヌーハラとは?麺をすする音はマナー違反で嫌?日本と海外の文化の違い!
ヌーハラとはなんとも聞き慣れない言葉ですが、簡単に言えば麺をすする時に出る日本独特の文化の問題で、海外ではマナー違反とされている食事の時の音に関するハラスメントです。過去には日清がフォークを出してカップラーメンをすする音を是正しようとしましたが日本の麺文化にとって音も重要なファクターなので定着しませんでした。確かに音が気になる方もいらっしゃるのですが、落語家がそばを食べる音に細心の注意を払うように音も日本の食文化のひとつです。そこに着目しながらこのヌーハラ問題を見ていきたいと思います。
ヌーハラとは?
ヌーハラはヌードルハラスメントの略
ヌードルハラスメントは、最近出てきたわけではありません。以前から言われている、日本人お食事に対してのマナーハラスメントとされている問題です。麺類をすするときのズズッという音を嫌がる人は外国の方を含め多数存在しています。
この食事の音の文化は日本人にはあまりなじみのないものですが、たしかに日本人でも食事をクチャクチャと食べている人の音に対して非常に不快感を持ったことのある人も多いはずです。ゲップやおならなど音に対してのマナー意識が低い我々日本人でも嫌うマナーもあります。
具体的にどんな行為が問題に?
ヌーハラで一番問題な音は、麺やスープをすする際に出る「ズズッ」という音です。日本人でも麺類が好きな人に多いのですが、このすする音は海外の方からするとたまらなく嫌という人は少なくありません。そもそも日本人は食事の音に対してのマナーはあまり教えられていません。
そもそも海外では、子供の時から食事マナーだけは徹底して教えられたという環境はごく当たり前で、そこは日本人と文化が違うのでどちらが正しいわけでもありません。ただ最近は日本人の中にもこのすする音が嫌だと言う人と、海外の人の中にもすする音がしないと食べた気がしないという人どちらも増えています。
ヌーハラに対する賛否両論
ヌーハラに関しては、食事中に音をたてることに否定的な方と、むしろ音を出して食べたいという方が両方います。一方的な考えやマナーを押し付けるのは非常に不快なヌーハラですので、相手に合わせて使い分けましょう。すすって食べることは実は日本文化と大きな関わりがあります。
この「すする音」は一つに落語の影響もあります。蕎麦が流行った江戸時代以降同じように落語も流行りました。落語はすべて噺家の声だけで表現されるため、食べていることを表すために蕎麦をすする音が重視され、すする音だけで蕎麦を表現する技法が用いられました。この時代のヌーハラは逆に音を出さないことでした。
中でもいい音を出しながら蕎麦を食べるのが江戸では好まれ、イナセな江戸っ子ほど蕎麦の音にもうるさかったと言われています。こうした文化背景があり日本では他の音はともかくすする音はマナー違反どころか、逆にもてはやされた傾向があります。
たしかに食事の音は、気になる人とならない人がいます。でもそれはそれとして、相手に合わせた対応をするのが大人のマナーではないでしょうか。音が嫌な人の前では音を出さないのが世界共通の基本のルールです。意地を張って音を出すのも違いますし、節度を守って使い分けましょう。
日本のすする文化
日本人がすする理由
日本人の麺を始め食事をすするのは先ほど述べた通りの文化背景がありますし、歴史もあります。単純に否定してはいけませんが、同じように海外の文化も尊重されるべきものです。日本だけで通用するルールでは世界中からそっぽを向かれてしまいます。
ラーメンや蕎麦などは特にそうですが、すすって食べないと食べた気がしないという人もかなりの数います。会話禁止のラーメン店でもラーメンをすする音だけは聞こえてくるということもあります。すするという文化が日本の麺産業の成長の一つの要因であることは間違いありません。
だからといって、どこでもすすっていいのは違います。郷に入れば郷に従え。麺をすすりたい人は海外に出た時はすするのは控えて、日本に戻って来てから思う存分すすってください。でも海外ではちゃんとヌーハラ対策としてフォークを使って音を出さずに食べる事をおすすめします。
近年はすすらない人も多い
すするというヌーハラの音を出すのに嫌悪感を感じるのは何も海外の人だけではありません。ヌーハラで音を嫌がる人は日本人にもいます。また、すするとスープが飛び散るからということですすらない人も増えています。特にサラリーマンはお昼時スーツを汚さないためにすすらない人もいます。
すすらないことがマナーであるように、すすることがマナーである場合日本では多々あります。豪快に音を立てて食べることで、若さや元気をアピールしたりする場合もあります。すすらないことが絶対正しいわけではありません。その時々で使い分けましょう。ヌーハラにも様々な側面があります。
ヌーハラとの海外でのマナー
海外ですする行為はタブー
基本的には海外では食事時の音を立てる行為はマナー違反です。問題なのは、海外でマナー違反だから日本でもマナー違反ということではなく、日本と海外の文化が違うことが問題の前提にあることです。ヌーハラ以前の問題としてマナー違反は避けましょう。
ただ、どちらのルールもヌーハラに対して必ずしも正しいわけではなく、どちらの場合も嫌がる人がいることが問題の焦点になるわけです。人と人の問題は文化や価値観の理解から始まります。ヌーハラなどの食事マナーの問題にも同じことが言えるでしょう。
日本が国際社会に出て150年戦後75年が経とうとしている中で、世界でも少しずつ日本の文化が受け入れられるようになってきました。このヌーハラの問題もその一つです。スパゲッティ―はフォークで巻くけど蕎麦はすするという海外の方も増えています。
少しずつ認識されている日本文化
文化や価値観は固定でなく絶えず変動します。そのふり幅は小さかったり大きかったり問題によって違いますが、時間をかけていく中で相互理解が出来ればだんだんと解決していきます。言葉の壁を超えて落語を見に来る海外の方も随分と増えています。そうした方の中には、食事の時に音を出すのが必ずしもマナー違反や問題でないことの認識が広がっています。
またラーメン店のチェーンが海外に進出する例も増えており、そこではヌーハラに関して賛否両論があるようですが、きちんとルールが挽かれていて、箸が使えないのでフォークで食べるのも珍しくありません。
ヌーハラの対策方法
海外では音を立てないように気をつける
日本文化が理解されたとはいえ、まだまだ一部なのは正直残念ですが、海外では相手のルールに従って音を立てないことがマナーです。ヌーハラは決して法律で縛られているわけではありませんが、相手に不快な思いをさせることは避けましょう。
特にヨーロッパ諸国は食事マナーにうるさいです。肉や魚によって食器を使い分けたりするようにその食文化に根付いたマナーはきちんと守りましょう。例えばインドなどでは手で食べることもマナーの一つです。もちろんレストランなどで違いがあります。がむしゃらに自分のスタイルで行くのではなく使い分けが重要です。
麺を多く取りすぎない
また、上手にフォークを使うためには、少量ずつ食べることを心掛けましょう。一度に多く摂ってしまうとフォークで巻ききれず大きな口を空けたり、すすってしいヌーハラに繋がります。スープも同じように少量づつ飲みましょう。
ただこれは、音を立てる場合にも言えます。蕎麦も大量にすすってしまうのはイナセな江戸っ子の音がしません。少量ずつ取るのがイイすすり音をさせるコツにもつながっています。
過去にはヌーハラ対策のためのフォーク開発も
日清は2017年12月15日「乙彦」という名前でヌーハラ対策のフォークの商品化を断念しています。理由は予約目標が当初の5000個に届かなかったためです。しかしやはり日本では麺をすする文化が根強かったということで、ヌーハラ対策には別手段を考える必要があります。
しかしこの方針自体は間違ったものではなく、海外でもカップ麺を食べる時にすするのは今でもマナー違反でヌーハラです。ただ日本の文化に馴染まなかっただけで、このアイディアが無ければ即席めんが世界中で今のように売られる要因にはなり得なかったかもしれません。
ヌーハラについて理解を深めよう
ヌーハラにとって大事なことは音そのものはマナーであって、同じく文化でもあることです。だから逆に音のしないラーメン屋に行ってもなんか違うような気がしてしまう人も少なくありません。実は音を出さないこともヌーハラの一つです。
逆の観点からしたら、蕎麦屋に入って周りの人が音を立てているのに嫌悪感をあらわにするのもマナー違反です。嫌ならば近づかないことです。結局ヌーハラにもマクロな観点から言うとその国や地域、ミクロの観点からすると個人によって考え方が違うので、自分が正しいと強要しないことも重要なマナーです。
相手がマナー違反を下から自分もマナー違反をしていいというルールはありません。お互いが気持ちよく生きて行けるように住み分けも重要な要素です。崖に近付いて落ちてしまえば近付いた人が悪いのは当たり前です。ヌーハラは両側面あるので気を付けましょう。
かといって、どちらも嫌がる人がいるのが事実なので、使い分けが肝心です。どちらも正しく、ルールはありませんが、マナーは大人のたしなみです。ヌーハラも上手に使い分けてあなたのヌードルライフを楽しんでください。