じゃがいもの種類と特徴は?種類別の選び方と料理法を解説!
私たちの食卓でおなじみの野菜・じゃがいも。一年中入手しやすく、価格も安価であることから、人気を集めているじゃがいもですが、一口にじゃがいもといってもかなりの種類が存在することをご存知でしょうか。じゃがいもの種類によって、じゃがいもそれぞれが持つ特徴や料理法も異なってきます。そこで今回は、人気のじゃがいもの種類と、種類別の特徴や料理法について調査してみました!
目次
- 1世界4大作物のひとつ・『じゃがいも』!
- 2『じゃがいも』ってどんな野菜?
- 3じゃがいもは種類が豊富。種類別の特徴や用途・料理法は?
- 4じゃがいもの種類別の特徴や用途・料理法を調査せよ!
- 5じゃがいもの種類別特徴・用途・料理法①男爵いも
- 6じゃがいもの種類別特徴・用途・料理法②メークイン
- 7じゃがいもの種類別特徴・用途・料理法③デジマ
- 8じゃがいもの種類別特徴・用途・料理法④キタアカリ
- 9じゃがいもの種類別特徴・用途・料理法⑤インカのめざめ
- 10じゃがいもの種類別特徴・用途・料理法⑥アンデス赤
- 11じゃがいもの種類別特徴・用途・料理法⑦とうや
- 12じゃがいもを長持ちさせるための保存方法って…?
- 13じゃがいもの種類別特徴を知ってじゃがいも料理を楽しもう!
世界4大作物のひとつ・『じゃがいも』!
利用頻度が高い食材・『じゃがいも』。和洋中問わずに多くの料理に使われているじゃがいもは、米・麦・とうもろこしと、並ぶ『世界4大作物』と呼ばれているうちののひとつです。そんな世界中の食卓で食べられているじゃがいもは年中手に入れやすい野菜のひとつです。私たちの食卓に欠かせないじゃがいもという野菜が一体どんなものなのか、まずはじゃがいもについてチェックしてみましょう!
『じゃがいも』ってどんな野菜?
『じゃがいも』とは、ナス科ナス属の多年草の植物のことを指します。じゃがいもは、デンプンが多く蓄えられている地下の茎の部分(塊茎)がいもの一種として食用とされています。そんなじゃがいもは加熱調理して食べられるのはもちろん、デンプン原料としても利用されています。
じゃがいもの原産は南米アンデス山脈の高地といわれており、トウモロコシとともに長い間インカ文明を支える主要な食糧とされていました。そして、16世紀には、スペイン人によってヨーロッパにもたらされ、現在では世界各地で栽培されています。じゃがいもがヨーロッパにもたさられた頃、運搬中の船内で芽が出たものを食べ、毒にあたったため「悪魔の植物」と呼ばれていました。
日本には、1600年頃にオランダ船によりジャカルタ港から運ばれてきました。「ジャワのジャガトラ(ジャカルタ)から来たいも」として『じゃがたらいも』、さらに『じゃがいも』と呼ばれるようになったという説があります。日本では当時は観賞用として栽培されていたじゃがいもですが、江戸時代後期にロシア人の影響でじゃがいもが北海道・東北地方に移入され、飢饉対策として栽培されるようになりました。
じゃがいもの利用形態は、生食(青果)・加工・デンプン原料の3種類に大別されています。日本では北海道が最大の生産地であり、春に植え付けて夏の終わりから秋にかけて収穫されます。続いて、長崎県の生産量が多くなっています。長崎県では、秋に植え付けて冬に収穫するのに加え、冬に植え付けて春に収穫する二期作が行われています。
じゃがいもは種類が豊富。種類別の特徴や用途・料理法は?
「じゃがいも」と一口に言っても、世界4大作物のひとつとされるじゃがいもですから非常に種類が豊富です。日本で品種登録されているじゃがいもの数はなんと99品種!じゃがいもの種類によって、それぞれが持つ特徴も違いますし、種類別の用途や料理法も異なります。そのため、パッと見て、じゃがいもだという事はわかっても意外とその種類ごとの使い分けや特徴を知らないという方が多いそうです。
じゃがいもの種類別の特徴や用途・料理法を調査せよ!
では、じゃがいもには一体どのような種類があって、それぞれの種類別の特徴はどんなものがあるのでしょうか?また、用途・料理法はどのようなものが適しているのでしょうか…?そこで今回は、世界4大作物のひとつである、じゃがいもの種類別の特徴や用途・料理法について調査してみました!
じゃがいもの種類別特徴・用途・料理法①男爵いも
じゃがいもの中でも、最もポピュラーな種類が『男爵いも(だんしゃくいも)』です。男爵いもは、明治時代である1908年に川田龍吉男爵がイギリスから持ち込んで日本に広めた事から『男爵いも』と呼ばれるようになりました。男爵いもは日本でじゃがいもが普及するきっかけになった種類です。男爵いもの植え付け時期は1月中旬~3月中旬、収穫時期は5月中旬〜となっています。
男爵いもの種類特徴
男爵いもの特徴としては、丸い形でややゴツゴツしており、芽の部分が深くくぼんでいます。くぼみが深いので、皮が剥きにくいという難点があります。じゃがいもの中でも品質の劣化が少ない種類といわれており、長期間の貯蔵に向いています。男爵いもは、中ぐらいの大きさでずしりと重いものを選ぶのが良いです。
男爵いもの用途・料理法
男爵いもの果肉は白っぽく粉質で、デンプン価は14~16%程となっています。そのため、加熱するとホクホクとした食感が楽しめます。そんな粉質が強い男爵いものおすすめの料理法は、ジャガバターやフライドポテトなどといったじゃがいものホクホク感が重要な料理に向いています。煮崩れしやすいので、煮込み料理には向きません。
じゃがいもの種類別特徴・用途・料理法②メークイン
男爵いもに続いて定番人気のじゃがいもといえば、『メークイン』です。メークインはイギリスで民間に栽培されていたのが1900年に登録され、日本には大正時代に持ち込まれた種類のじゃがいもです。主に西日本での消費が多いじゃがいもの種類です。また、メークインは世界的に見ても特に日本で人気がある種類とされています。メークインの植え付け時期は1月中旬~3月中旬、収穫時期は5月中旬〜となっています。
メークインの種類特徴
メークインの特徴としては、細長い卵形をしており、少し曲がり気味になる傾向があります。また、表面はつるっとしていて、くぼみも浅いので男爵いもより皮が剥きやすいといった点があります。メークインの果肉は男爵いもより少し黄色っぽい白です。選び方ポイントとしては、表面がなめらかでしなびれていないものを選びます。
メークインの用途・料理法
男爵いもよりもねっとりしていて、煮くずれしにくいメークインは低温貯蔵をすることで甘みを増します。そのため、カレーやシチュー・肉じゃが・おでんなどといった煮込み料理に適しています。しかし、男爵いものようなホクホク感が無いので、コロッケや粉ふき芋には不向きです。また、糖分が多い為、揚げ物にはあまり適していません。
じゃがいもの種類別特徴・用途・料理法③デジマ
長崎県総合農林試験場で交配・育成された品種で、1971年に品種登録された種類・『デジマ』。江戸時代に外国への窓口であった長崎の出島に因んだ名前として『デジマ』とつけられました。長崎県を中心に九州で多く栽培されています。デジマの植え付け時期は8月下旬~9月上旬、収穫時期11月〜12月となっています。また、春作も可能です。
デジマの種類特徴
デジマの特徴としては、目が浅いので凹凸が少なく、表面がなめらかなので種類多いじゃがいもの中でも外観が美しいと評価されています。デジマの中の肉色は白黄から淡黄で、新じゃがとして出回ることが多いです。皮が柔らかく、口に残りにくいので皮ごと調理しても美味しく食べられます。
デジマの用途・料理法
デジマの肉質は粉質と粘質の中間程度ですが、煮崩れは多少するものの、男色いもほどではありません。程よい煮崩れ感があるデジマは肉じゃがや煮物に最適です。また、変色しにくいのでフライドポテトやポテトチップ・粉ふきいもにもおすすめです。
じゃがいもの種類別特徴・用途・料理法④キタアカリ
『男爵いも』と『ツニカ』を交雑させ、1987年に品種登録された『キタアカリ』。男爵よりも甘く、実が黄色いため、『黄金男爵』や『クリじゃがいも』とも呼ばれています。キタアカリの植え付け時期は1月中旬~3月中旬、収穫時期は5月中旬〜となっています。
キタアカリの種類特徴
キタアカリの特徴としては、男爵いもに似てごつごつしており、くぼみが深めなので皮がむきにくいです。また、芽の部分はやや赤い色をしています。キタアカリの果肉は男爵いもよりも黄色く、肉質は粉質で加熱調理するとホクホク感が味わえます。また、男爵いもよりキタアカリの方が甘みが強いといった点も注目点です。
キタアカリの用途・料理法
甘くて香りも良いキタアカリはジャガバターやフライなどといったシンプルな料理がおすすめです。粉質でほくほくしているのでコロッケや粉ふき芋にしても美味しいです。しかし、男爵芋より煮崩れしやすいとされているので、長時間煮込む料理には向いていません。
じゃがいもの種類別特徴・用途・料理法⑤インカのめざめ
2002年に種苗登録されたばかりの比較的新しいじゃがいもの種類として注目されている『インカのめざめ』。アンデス産の小粒で食味が良い種と、アメリカの品種『Katahdin』の半数体を交配させ、日本の長日条件下で栽培できるように開発した2倍体の品種です。インカのめざめの植え付け時期は1月中旬~3月中旬、収穫時期は5月中旬〜となっています。
インカのめざめの種類特徴
インカのめざめは、卵形で重さが平均50g前後と比較的小ぶりなサイズのじゃがいもです。果肉の色は濃い黄色で、抗酸化作用が強いとされているカロテノイド系色素の『ゼアキサンチン』という成分が『キタアカリ』の約7倍も含まれているそうです。インカのめざめは肉質はやや粘質で、キメが細かいので舌ざわりがとても良いです。
インカのめざめの用途・料理法
甘みが強く、サツマイモや栗に似た味を持つインカのめざめですから、ふかし芋やサラダのトッピングにもおすすめです。また、煮崩れしにくいのでカレーやシチューなどの煮込み料理や、油で揚げてもあまり変色しないといった特徴があるのでポテトチップやフライにもおすすめです。
じゃがいもの種類別特徴・用途・料理法⑥アンデス赤
1971年〜1974年にかけて川上幸治郎らがアーリーローズを母・アンデス原産の2倍体栽培種『S.phureja 253』を父として交配した3倍体の種間雑種系統の『アンデス赤』。別名『アンデスレッド』や『ネオデリシャス』とも呼ばれています。休眠期間が極端に短く成長力が強いので、すぐに芽が出てしまうという欠点もあります。アンデス赤の植え付け時期は1月中旬~3月中旬、収穫時期は5月中旬〜となっています。
アンデス赤の種類特徴
アンデス赤の特徴敏江は、見た目はやや男爵いもに似ており、球体に近いものが多い傾向があります。皮は薄く赤い色をしており、中はサツマイモのような鮮やかな黄色となっています。アンデス赤の果肉が鮮やかな黄色なのは『βカロテン』が豊富に含まれているためです。加熱するとほくほくとした食感になり、甘み・旨みがあります。
アンデス赤の用途・料理法
粉質でほくほくしているアンデス赤は、コロッケやポテトサラダ・ジャーマンポテトなどのじゃがいものほくほく食感が生かされている料理にオススメです。また、アンデス赤は煮崩れしやすいのでカレーやシチュー・おでんなどの煮込み料理には向いていません。
じゃがいもの種類別特徴・用途・料理法⑦とうや
ジャガイモシストセンチュウに強い品種とYウイルスに強い品種を交雑して生まれた品種・『とうや』。病害虫に強く、早生で大きくなるといった特徴があります。『とうや』という名前の由来は、道南の洞爺湖に因んでいるそうです。とうやの植え付け時期は1月中旬~3月中旬、収穫時期は5月中旬〜となっています。内部が黄色く、カロテンやビタミンCの含有量が多いじゃがいもの種類として知られています。
とうやの種類特徴
とうやの特徴として、比較的サイズが大きい物が多く、形は球体から長球体のものが多いです。皮色は黄色であり、芽のくぼみが浅くて皮が剥きやすいといった点が挙げられます。切った後の黒変はほとんどないとされるとうやは加工用にも適しています。でん粉価が少なめでホクホク感はあまりないですが、口当たりが滑らかです。
とうやの用途・料理法
茹でてもホクホクとした食感にはならずに煮崩れしにくいので、カレーやシチューなどの煮込み料理や炒め物などに向いています。また、口当たりが滑らかなのでポテトサラダに使用するのも絶品です。ホクホク感は無いので、フライドポテトやコロッケにはあまり適していません。
じゃがいもを長持ちさせるための保存方法って…?
野菜の中でも比較的長期保存が可能とされているじゃがいも。しかし、「うっかり芽が出てしまった!」なんてことも意外と少なくありません。じゃがいもを長持ちさせるためには正しい保存方法が重要です。では、じゃがいもを長持ちさせるための保存方法とは一体どのような物なのでしょうか?最後に、じゃがいもを長持ちさせるための保存方法について学んでみましょう。
じゃがいもは冷暗所に保存する!
じゃがいもは日光に当たることで緑化し、『ソラニン』という有毒成分を生成してしまいます。そのため、日光に当てないように保存することが大事です。じゃがいもは5℃程度の冷暗所で保存すると長持ちさせやすいです。また、暗くても温度の高い所に保存すると発芽しやすいので、風通しの良い涼しい場所で保管するようにしましょう。
冷蔵保存しなくても良いじゃがいもですが、冷蔵保存することが禁止とされているわけではありません。しかし、じゃがいもを冷蔵保存する場合はじゃがいもが乾燥してしまわない様に新聞紙などでくるんでからナイロンやポリ袋などに入れて保存しておきましょう。すでに皮を剥いたり切ってしまった状態で冷蔵保存する場合は、少量の酢を加えた水に浸して冷蔵庫に入れておくとじゃがいもの変色を避けられます。
じゃがいもの種類別特徴を知ってじゃがいも料理を楽しもう!
じゃがいもの種類別の特徴や用途・料理法調査まとめはどうでしたか?じゃがいもと一口に言っても、非常に多くの種類があります。そして、その種類ごとに食感や味の特徴が異なるため、じゃがいもを料理に使う際にはどんな種類のじゃがいもが適しているのかを考えた上でチョイスするのが美味しいじゃがいも料理の第一歩です。じゃがいもの特徴を知って、じゃがいも料理を一層楽しみましょう!