ウイスキーのアルコール度数はなぜ高い?上手に付き合う飲み方も解説

ウイスキーというと、「アルコール度数の高いお酒」というイメージが強いのではないでしょうか?実際日本で飲まれているお酒の中で、ウイスキーはかなりアルコール度数の高いお酒です。そんなウイスキーはそのアルコール度数の高さから、時間をかけてゆっくり飲むのに適したお酒です。ロックやストレートは上級者向けの飲み方ですが、初心者向けの水割りを始めとした飲み方でも、美味しく楽しめるのがウイスキーなのです。そんなウイスキーの基礎知識から、初心者でも楽しめるウイスキーの飲み方など、ウイスキーの魅力を紹介します。

ウイスキーのアルコール度数はなぜ高い?上手に付き合う飲み方も解説のイメージ

目次

  1. 1ウイスキーのアルコール度数
  2. 2ウイスキーのアルコール度数が高い理由
  3. 3ウイスキーのアルコール度数が高いことによるメリット
  4. 4ウイスキーと上手に付き合う飲み方
  5. 5ウイスキーの度数を感じないカクテル
  6. 6ウイスキーの度数が低い初心者におすすめの銘柄
  7. 7ウイスキーは度数と飲み方を工夫して楽しめる

ウイスキーのアルコール度数

ウイスキーは一般的に売られているものでも、アルコール度数が40度~43度と高い種類のお酒です。普段日本で飲まれているお酒といえば、ビールのアルコール度数が4度~7度ほど、ワインが12度~15度ほど、日本酒が14度~18度ほど、焼酎ですら25度~35度が一般的となれば、ウイスキーのアルコール度数が群を抜いて高いことがわかります。

そんなアルコール度数の高いウイスキーですが、日本で作られているウイスキーは一般的にどのくらいの度数なのか、ウイスキーを材料や製法で分類したモルトウイスキーとグレンウイスキーそれぞれのウイスキーのアルコール度数は、一般的にどのくらいで作られているのかについて調べてみました。

日本のウイスキー

日本のウイスキーのアルコール度数は、他のお酒と比べてもかなり高い、40度~43度に設定されているのが一般的です。日本のウイスキーのアルコール度数は、基本値が40度に設定されています。この基本値のアルコール度数を超えると酒税率が上乗せされていき、逆にアルコール度数が下がると減算されることが決まっています。

このため日本のウイスキーの場合、アルコール度数が41度のウイスキーにかかる酒税と、アルコール度数が39度のウイスキーにかかる酒税とに差があるという特徴があるのです。

モルトウイスキー

モルトウイスキーは大麦の麦芽を発酵させた後、釜を使った単式蒸留器で2回蒸留して作るウイスキーです。風味が個性的なため、「ラウドスピリッツ」とも呼ばれています。蒸留後に樽で熟成するため、樽の香りを強く反映した風味の強い原酒ができます。

その原酒の個性の強さから、一般的にはブレンダーという専門職が複数の樽の原酒を調合して、独自の香りのウイスキーに仕上げています。なお「シングルモルト」は一ヶ所の蒸留所の樽のウイスキーを詰めたものなので、樽の個性が強く反映されています。好みは大きく分かれるものの、口に合う銘柄に強く魅了されやすい特徴もあります。

モルトウイスキーのアルコール度数は、多くがEUのスコッチウイスキーの定義に従ってアルコール度数が調整されています。一番多いアルコール度数が40%で、ついで43%ですが、主流のひとつになってきているアルコール度数は46%です。アルコール度数の高いものは60度を超えるものもあります。

グレーンウイスキー

グレーンウイスキーとは、トウモロコシや小麦などの穀類と麦芽を原料として発酵させた後、連続蒸留器で蒸留したものです。風味が軽いという特徴があるため、「サイレントスピリッツ」と呼ばれることもあります。またグレーンウイスキーの特徴として、単体で飲まれることの少ないウイスキーでもあるのです。

グレーンウイスキーは通常、香りの強いモルトウイスキーを飲みやすくするために使われます。またお酒の風味が強くないため、ウイスキーの独特な香りが苦手な人でも飲みやすいのが特徴です。アルコール度数は定番の40度~43度が多いですが、46度などの高いのものもあります。

ウイスキーのアルコール度数が高い理由

ウイスキーのアルコール度数は、どうしてこんなに高いのでしょうか?その理由はビールやワイン、日本酒といったお酒とウイスキーとでは、その製造方法が違うからなのです。ビールやワイン、日本酒などはぶどうやお米といった原材料を発酵させて作る醸造酒と呼ばれる種類のお酒なのです。

ではウイスキーはどのように作るのでしょうか?ウイスキーのアルコール度数が高い理由でもあるその作り方について、醸造酒とは違うその製造工程などを見ていってみましょう。

製造工程

ウイスキーの基本的な作り方は、原料を発酵させてまずは醸造酒を作り、その醸造酒をさらに蒸留することでアルコール度数を高めて作ります。そのため醸造酒では最もそのアルコール度数が高いといわれる日本酒の原酒が、最高でも20度前後なのに対して、ウイスキーの蒸留直後の原酒の度数90度程度といわれています。

なぜウイスキーの原酒がこれほどまでにアルコール度数が高いのかは、ポットスチルという機材2回~3回蒸留させるためです。アルコールの元であるエタノールは水よりも沸点が低いため、蒸気を集めて冷却することでより度数の高いお酒を作ることができるのです。

その後ウイスキーは樽で寝かせることによって、樽の中で科学的にも解明されていない事象を含むさまざまな現象が起こり、アルコール度数が徐々に落ちていきます。最終的に熟成後のウイスキーは大体の度数が60度前後まで下がります。

その後一般的には水で薄めて、40度前後のウイスキーとして出荷されます。中にはそのままボトル詰めされて出荷されるものもあるため、60度のウイスキーもあるというわけなのです。

蒸留方法

ウイスキーを作るための蒸留方法は2種類あります。先にも少し触れたようにそれぞれに特徴があり、出来上がるウイスキーの風味も異なります。この蒸留を経て、ウイスキーの元として醸造されたもろみ(ウォッシュ)は、アルコール度数が7%程度から一気に65%~70%の度数まで濃縮されていくのです。

この蒸留方法の原理は、水の沸点が100度なのに対して、アルコールの沸点が約80度と低いことを利用することで、ウォッシュを過熱して先にアルコールを気化させて、この蒸気を冷却して液体化するのです。ではウイスキーを作る蒸留方法とはどんなものなのでしょうか?

単式蒸留

単式蒸留は、単式蒸留器(ポットスチル)を用いて1回ずつ蒸留していく方法です。単式蒸留で一度に作り出せるアルコール度数は、元のウォッシュのアルコール度数の約3倍程度です。つまり通常ウォッシュの度数が7度前後のため、度数20度前後のお酒ができる計算になります。

単式蒸留の場合はこの蒸留を2回~3回繰り返すことで、アルコール度数を高めていきます。こうすることでアルコール度数40度~90度のお酒を作ることができるのです。このとき作り出すお酒の度数を何度にするかで、原料の風味の残り具合が変わります

原料の風味の残り具合は、より蒸留回数が少ない低いほうが高くなります。さらに単式蒸留器はその形や大きさでもウイスキーに個性を出せるため、個性の強いモルトウイスキーはこの単式蒸留で作られているのです。

連続式蒸留

連続式蒸留は、1つの蒸留器の中に単式蒸留器がいくつも入っているような形状をしています。連続式蒸留器1つで単式蒸留を繰り返すことが出来るのです。そのため連続してウォッシュを機械に投入できるだけでなく、1回機械を動かすだけで大量の蒸留ができ、アルコール度数も一気に95%近くまで上げることができます。

連続蒸留は、短時間で一気にアルコール度数を上げられる反面、原料の風味が残りにくいのが特徴で、よりクリアな味わいのグレーンウイスキーに用いられる製法です。

ウイスキーのアルコール度数が高いことによるメリット

ウイスキーのアルコール度数が高いことにはどんなメリットがあるのでしょうか?わざわざ蒸留してアルコール度数を上げるのには、当然それだけの理由があります。ウイスキーの度数が高いことによるメリットについてまとめてみました。

原産国

ウイスキーと一言で言っても、それぞれ作られている地域によって個性があり、特に世界中で人気の高いウイスキーは「世界5大ウイスキー」と呼ばれるだけでなく、それぞれの産地ごとに名前まで付いています。

世界で生産量が最も多く、独特なスモーキーな香りがするスコットランド製の「スコッチウイスキー」や、口当たりがソフトでお酒が苦手な人でも飲みやすい特徴の「カナディアンウイスキー」、スコッチと並ぶ長い歴史を持ち、癖のないまろやかな飲み口でロックや水割りに適した「アイリッシュウイスキー」もあります。

さらに力強く風味の深さが特徴のバーボンに代表されるアメリカ産の「アメリカンウイスキー」や、日本で作られている「ジャパニーズウイスキー」もスコッチの製造法をベースに、日本ならではの繊細な味わいが特徴的で人気があります。このようにアルコール度数の高さは、さまざまな味わいを出すのにも有効なのです。

保存性

ウイスキーはそのアルコール度数の高さゆえに、正しく保存すれば長期間保存が利くのも特徴です。そのためウイスキーは賞味期限のない飲料でもあるのです。開封さえしなければ、基本的に風味が変わることもありません。

さらに開封後でも、医療用の「パラフィルム」をボトルキャップとボトルのつなぎ目に巻きつけるといった工夫次第で、ウイスキーの香りや味が飛ぶのを大きく防げるなど、1本で長く楽しめるのもアルコール度数の高いウイスキーならではなのです。

アレンジのしやすさ

ウイスキーは同じ原料で同じように醸造し、同じ蒸留法を使って作っても、個々に個性のある原酒ができます。それらの原酒をブレンドすることでより個性が強くなるだけでなく、アルコール度数が高いからこそその個性が見えやすいといいます。

さらにロックや水割りを始め、ほんのわずか水を入れただけでも、隠れていたウイスキーの味わいは広がりを見せます。もちろんさまざまなカクテルでそれぞれのウイスキーの個性を楽しめるのも、アルコール度数が高いメリットなのです。

ウイスキーと上手に付き合う飲み方

ウイスキーはそのアルコール度数の高さゆえに、さまざまな楽しみ方ができるお酒です。ストレートやロックのようにウイスキーそのものの味わいを楽しむ飲み方や、アルコール度数の高さゆえの個性を活かした飲み方もおすすめです。

アルコール度数が強すぎるけどウイスキーそのものの味を楽しみたいときの水割りや、度数を調整しつつ美味しく楽しめる代表的な割り方などを紹介します。

ロック

ロックはストレートと並んで、ウイスキーそのものの味を楽しむ飲み方として、定番中の定番の飲み方です。ロックの良さは単にウイスキーそのものの味を楽しむだけでなく、氷が溶けるに従って変化するウイスキーの風味を、時間をかけてゆっくりと楽しむことができることです。

そのためロックは大勢でわいわいと飲むときよりも、大人の時間を楽しむときに適した飲み方です。ですがロックはウイスキーのアルコール度数の影響を受けやすいので苦手、という人もいるのではないでしょうか?そういう人はロックのウイスキーだけでなく、チェイサーと呼ばれる水も用意するのがおすすめです。

バーでウイスキーをロックやストレートで飲むときには、必ずといっていいほど水が一緒に出てきます。その水がチェイサーと呼ばれるもので、悪酔い防止や口直し用に用意された水なのです。自宅でロックを楽しむ場合にも、胃の負担も軽くできるので、チェイサーを用意するようにするのがおすすめです。

水割り

水割りはウイスキーのアルコール度数を下げてくれるだけでなく、コツさえ掴めばいつでも美味しい水割りを楽しむことができます。さらに水割りは、水がウイスキーの個性を柔らかく包み込むことで、食事のときに一緒にウイスキーを楽しむ場合の飲み方としても、水割りが定番となっています。

ウイスキーの水割りの基本的な割合は、ウイスキー1に対してミネラルウォーター2~2.5とされています。もちろんこれはあくまで水割りの目安なので、まだアルコール度数が高すぎる場合には、水の量を増やして好みの度数に調節できるのも水割りの良さであり、おすすめのポイントでもあります。

トワイスアップ

トワイスアップはウイスキーの芳香を堪能するのに最適な飲み方です。コツは常温のウイスキー常温の水で割ることです。ワイングラスやテイスティンググラスに注いで、静かに揺すって香りを立たせて楽しみます。作り方も非常に簡単で、ウイスキーと水を同量混ぜ合わせるだけのおすすめの割り方です。

Thumbトワイスアップはウイスキーの香りが開く通な飲み方!おすすめ銘柄は? | お食事ウェブマガジン「グルメノート」

ハイボール

ハイボールはウイスキーをソーダ水で割ったものです。ウイスキー本来の味わいやコクが断然際立つ飲み方で、料理の味わいも引き立ててくれる飲み方です。通常は氷を入れますが、氷なしのハイボールはよりウイスキーの旨味や甘味を楽しむことができます。

ハイボールは爽快感を楽しむスタイルですが、レモンの皮で香り付けすることで爽快感を引き立たせることもできます。氷はロックでも同様ですが市販の大粒のクラッシュアイスは、すぐに溶けてしまわないためおすすめです。またソーダ水の気が抜けてしまわないよう、かき混ぜすぎないようにしましょう。

ウイスキーの度数を感じないカクテル

ウイスキーのアルコール感が苦手という人は、度数を感じさせないカクテルを試してみてはどうでしょうか?ウイスキーのカクテルは数多くありますが、その中でもおすすめのカクテルをいくつか紹介します。

ウイスキー・コーク

ウイスキー・コークは良く冷やしたグラスに氷とウイスキーを入れて、そこにコカ・コーラを注いだら完成という、レシピもお手軽なカクテルです。ウイスキーの量に対して、コカ・コーラの量は好きなだけ入れられるので、コカ・コーラの爽快感と甘さも手伝って、お酒の苦手な人でも飲みやすいおすすめのカクテルです。

オールド・ファッションド

オールド・ファッションドは古典的カクテルのひとつで、バリエーションの多いカクテルです。基本はバーボンなどのアメリカンウイスキーに、角砂糖で甘味を足して、アロマティック・ビターズという香りが強く苦味のあるお酒を使って作ります。この基本を崩さなければ、後はお好みで楽しめるカクテルです。

ミント・ジュレップ

ミント・ジュレップはアメリカのケンタッキーの人々が、最も好むカクテルのひとつです。ジュレップカップと呼ばれる器にミントと砂糖と水(または炭酸水)を入れて、ミントはバー・スプーンで潰して香りを出して砂糖も良く溶かします。そこにバーボンとクラッシュド・アイスをいっぱいに詰めてかき混ぜて完成というカクテルです。

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ウイスキーの度数が低い初心者におすすめの銘柄

ウイスキーを試してみたいけれど、アルコール度数が気になって手が出せない、という人は、ウイスキーの中でもアルコール度数の低い銘柄から試してみてはどうでしょうか?ウイスキーの中でもアルコール度数が低いおすすめの銘柄を紹介します。

MACALLAN「シングルモルト ウイスキー ザ マッカラン 12年」

スコッチウイスキーの定番の銘柄で、世界中で愛されている銘柄でもあります。スコッチならではのスモーキーな風味を堪能するのに最適な銘柄であり、樽由来の甘い香りとの絶妙なバランスも楽しむことができます。スコッチに興味のある人が最初に試すのにはぴったりで、アルコール度数は40度のウイスキーです。

サントリー「シングルモルト ウイスキー 山崎」

世界でも認められたジャパニーズウイスキーの定番の銘柄がこの「山崎」です。華やかに広がる香りを楽しめ、ジャパニーズウイスキーならではの本質を知ることができます。香りはフルーティでありながら独特の酸味も感じられ、複雑にして心地良い味わいが人気を集めています。

アルコール度数は43度とちょっと高めに感じるかもしれませんが、トワイスアップならばアルコール度数を半分に抑えられるだけでなく、その香りを存分に堪能できるのでおすすめです。

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ウイスキーは度数と飲み方を工夫して楽しめる

ウイスキーは単体で飲むのであればアルコール度数は高い部類に入るお酒です。ですがウイスキーはその度数の高さゆえにさまざまな飲み方があり、飲み方に合わせた楽しみ方もできるお酒です。今まで飲んでみたことがないという人でも、きっと気に入る飲み方があるはずです。ぜひ見つけて楽しんでみてください!

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