2019年03月23日公開
2024年09月09日更新
お雑煮の地域ごとの違い!雑煮の地域差の理由は歴史にある?
お雑煮は地域によって、お餅、味、出汁、具材が異なるのを知っていますか?お正月には欠かすことのできない縁起の良い歴史ある料理として、食卓に毎年並ぶ家庭も多いことでしょう。日本全国で親しまれているお雑煮の地域による違いや特徴を、今回は詳しく紹介していきたいと思います。味はもちろんのこと、見た目も全く違う関東と関西のお雑煮ですが、その他の地域も細かく見てみるとその地域によってお雑煮文化があるようです。
目次
お雑煮が地域で違いがある理由を知ってる?
お正月になると、食卓に並ぶことから日本人には馴染みの深いお雑煮ですが、地域によって違いがあるのを知っていますか?違う地域で、お雑煮を食べて知っているお雑煮ではなかった、という経験をしたことがある方も多いことでしょう。
今回は、そんなお雑煮の地域別による違いを見ていきたいと思います。日本人のお正月行事に欠かすことのできない、歴史深いお雑煮を紐解いていきましょう。
お雑煮について
まずはお雑煮について見ていきましょう。お雑煮を食べる文化は浸透していても、その由来や歴史は知られていないともいわれています。お雑煮の由来や歴史には、どのようなものがあるのでしょうか?
お雑煮の由来
お雑煮の由来は、元々の語源は煮混ぜといわれていました。その名の通り、さまざまな具材を煮たものになります。新年の最初の火で煮込んだものを元旦に食べるというのが始まりです。
お雑煮の歴史
お雑煮の始まりは、平安時代であるといわれています。お餅は、かつてお祝い事などに食べるとされていたために、お正月にお餅の入ったお雑煮を食べる文化ができたといわれています。そのため、ハレの日という意味を持つお祝いの日には、お雑煮は欠かすことのできない料理になっていったのです。
お正月に食べる行事食
このように、お雑煮はお正月に食べる料理として浸透していきました。長い歴史を持っているお雑煮のため、今ではお正月には欠かせない料理になり、いつしか日本では誰もがお正月に食べる行事食になったのです。
お雑煮の地域ごとの特徴の違い【お餅】
ここからは、地域ごとのお雑煮の違いを紐解いていきます。まずは、お雑煮のメインでもあるお餅についてみていきましょう。お餅に違いがあるの?と疑問に思う方もいることでしょう。実は、お餅にも地域によって違いがあるのです。
関東地域
関東地方で主に使用されるお餅は、角餅になります。四角のお餅を使用しているのを見かけたことがあることでしょう。そのように角餅を使用しているのは関東地方であるといえます。
角餅の歴史には、関東の食の中心が江戸であったことから角餅になったといわれています。関西とは違い、丸める文化もなかったために今でも関東地方のお雑煮のお餅は角餅が使用されています。
関西地域
関西地方でお雑煮に使用されるお餅は、丸餅といい丸められたコロンとしたお餅が特徴的です。お雑煮の発祥が関西の京都であることから、古くから伝わっているお餅の形になります。丸餅には、円満の意もこめられており、京都の食文化を取り入れている関西地方ならではといえるでしょう。
その他の地域
その他の地域では、この角餅と丸餅の二手に分かれるようです。そのため、角餅と丸餅以外のお餅が使用されている地域は、現在はないといえるでしょう。
お雑煮の地域ごとの特徴の違い【味】
次に見ていくのは、お雑煮の味を地域別に紹介しましょう。お雑煮に関わらず、料理の味は薄い、濃いなどの違いが多いとされていることもあり、お雑煮の味にも地域によっては差が出ています。
関東地域
関東地方のお雑煮は、基本的には醤油ベースであっさりした味わいになっています。これは、武家文化に沿っているといわれています。
その昔、武士は食材に味噌をつけることにより、戦に負けてしまうという意味を持っていたことが背景にあります。そのため、関東地方では味噌ではなく醤油ベースのお雑煮の文化が広がったとされています。
関西地域
関西地方では、お餅と同様に京都の文化が濃く残っていることもあり味噌ベースのお雑煮が一般的です。京都の文化をそのままにお雑煮にしている場合には、白味噌が使用されているお雑煮であるといえます。
ですが、関西から少し離れてしまうと、味噌と醤油がまちまちになることから、味噌ベースの味わいのお雑煮はほんの一握りの関西地方であるといえるでしょう。
その他の地域
関西地方では、出汁が味噌ベースとお伝えをしましたが京都付近では白味噌を使用していますが、日本海側などでは赤味噌が使用されている地域もあるといいます。同じ味噌ベースでも、白と赤では味わいが異なるので、全く違った味わいのお雑煮であるといえるでしょう。
お雑煮の地域ごとの特徴の違い【出汁】
お雑煮の味が決まる出汁にも注目してみましょう。出汁によって、料理の味わいは変わるといわれています。関東と関西ではどのような出汁の違いがあるのでしょうか?
関東地方
関東の醤油ベースに合わせる出汁には、カツオや昆布などが一般的です。醤油に合わせるシンプルな出汁を取ることで、あっさりとした奥深さのある味わいになることでしょう。その他に、具材に使用する鶏や鶏の皮で出汁を取る家庭もあるようです。
関西地方
関西地方では、味噌ベースになるため昆布で出汁を取る家庭が一般的であるといえるでしょう。出汁は変わらないものの、ベースが変わってくるお雑煮は味わいが異なることが分かります。
その他の地方
その他の地域では、魚の出汁を使用する地域もあるといいます。ダシの出やすい、サバやアゴを使用することで風味豊かなお雑煮が完成するとされています。
お雑煮の地域ごとの特徴の違い【具材】
最後に見ていくのは、具材の違いを見ていきましょう。地域によって、お雑煮に入れる具材は変わってくるといわれています。ご自身の食べ親しんでいるお雑煮には、どのような具材が入っているのかを想像して見ていきましょう。
関東地域
関東地方のお雑煮は、醤油ベースのすまし汁のようなお雑煮のため、具材の味わいが際立つのが特徴といえるでしょう。また、武家文化の強い関東のお雑煮は、出世の意味を込めた具材が使用されています。関東地方のお雑煮の具材に欠かせないのが、鶏肉と小松菜であるといわれています。
これには、古くからの江戸の文化が現代まで受け継がれているのでしょう。名取りを意味する、鶏肉と小松菜は関東のお雑煮には必ず入っているといいます。その他にも、大根や人参、ねぎなどが入っておりそのどれもが意味を成しているといわれています。
関西地域
関西地方のお雑煮の具材も、関東とほぼ変わらないといわれています。大根や人参などが入っていることが多いですが、鶏肉は入っていないことが多いといいます。
また、関西のお雑煮として特徴的なのが頭芋という芋が入っていることが多いです。人の先頭に立つという意味を持つ頭芋が入っていることも、縁起の良い料理として親しまれている理由でしょう。
その他の地域
具材は、お餅、味、出汁に比べると地域で差が出やすいのも特徴でしょう。長野県ではブリが入っていたり、新潟県では鮭の頭やイクラが入っているお雑煮が一般的です。
このように、地域によってはお雑煮の具材が異なることから、一般的な具材以外のものが入っているお雑煮に親しみのある方は、その他の地域のお雑煮にびっくりする方も多いといいます。
お雑煮の地域ごとの違いの理由は?
このように、お雑煮には地域によって、お餅、味、出汁、具材に違いが出ているのが分かります。では、なぜ地域によって、お雑煮にこのような違いが出ているのでしょうか?違いの理由を解明していきましょう。
本来は丸い餅が江戸時代に変化
お餅部分でも紹介をしてきましたが、お雑煮の発祥は関西地方の京都になります。そんな京都発祥のお雑煮が、関東地方に伝わったことにより、そのときに日本で食の文化を握っていたのが江戸です。
江戸では、お餅を丸くする手間をかけることができず、比較的加工のしやすい角餅を使用したことから、現在に至るまで関東では角餅、関西では京都の食文化をそのままに丸餅が使用されているというわけです。
味付けが違う理由
味付けが、醤油ベースと味噌ベースで違いがあるのも、味の箇所で紹介したように京都と江戸の食文化の違いが原因であると考えられます。江戸では、味噌に対しての考えが違うことから味噌ベースで伝わってきた京都のお雑煮ではなく、醤油ベースになったのでしょう。京都付近では、今も味噌ベースのお雑煮が親しまれています。
具材が違う理由
具材は、各地域によって大きく変わっていることが判明しました。その理由として、その地域に伝わる縁起の良い食材が違うことにあるようです。
地域ごとに、縁起が良い、意味が良いとされている食材が異なることから関東関西ではなく、細かく地域によってさまざまな具材がお雑煮に使用がされています。お雑煮は、お正月に食べることから、使用する具材にも意味が込められているのでしょう。
お雑煮の地域ごとの違いの理由を知るとおもしろい!
今回は、お雑煮を地域別にどのような違いがあるのかを見てきました。ご自身の住んでいる地域は、どのような特徴を持ったお雑煮でしょうか?ぜひ、お正月にはさまざまな地域でいろいろなお雑煮が食べれていることを覚えておくと、どこか楽しくお雑煮を堪能することができることでしょう。