煎茶と緑茶の違いとは?日本の代表的お茶の特徴と入れ方まとめ!
煎茶と緑茶はどちらも同じ緑色をしたお茶ですが、その違いを知っているでしょうか?私たちが普段よく飲んでいるお茶は煎茶と緑茶のどちらなのか、はっきりとわからない方も多いかと思います。今回は日本の代表的なお茶「煎茶」について、その味や特徴、緑茶とはどう違うのか、また抹茶や玉露、かぶせ茶などいろいろな種類のお茶の違いや、煎茶の美味しい入れ方、お茶がどんな木からどのように育てられているのかまで、詳しく紹介します。これを読んで、日本のお茶に詳しくなりましょう!
日本の代表的なお茶「煎茶」とは?
煎茶はどんなお茶?
煎茶とは、もともと茶葉を煎出して飲むお茶という意味から名前が付けられており、茶葉をお湯で煮出すことで成分を抽出するお茶のことをいいます。この製法は世界的にもあまり見られず、ほとんど日本でしか出回っていません。近世以前は茶葉を臼ですりつぶした挽茶で飲まれており、その後永谷宗円によって現在の煎茶の蒸し製法が確立して普及しました。
玉露やかぶせ茶は新芽が出たら日光を遮るのに対し、煎茶は摘み取るまでずっと日光を浴びせて育てるため、お茶の渋みであるカテキンが増加します。煎茶は程よい渋みと爽やかな香り、すっきりとした味が特徴で、日本で流通しているお茶の80%以上を占めているお茶です。一方日光を抑えて育てられた玉露やかぶせ茶は、甘みとコクがある味わいになります。
深蒸し煎茶とは?
深蒸し煎茶とは、普通の煎茶より2倍ほど長い時間をかけて蒸して作られたお茶です。さらに長く蒸したお茶は特蒸し茶と呼ばれます。明治維新後、やせて荒れた土地で作られたお茶の葉は葉肉が厚く、渋みが強かったためお茶として飲むには難しい茶葉でした。そこで昭和30年代に、蒸し時間を長くして渋みを抑えた深蒸し煎茶が考え出されたのです。
煎茶と栄養素に違いはほとんどありませんが、茶葉の中まで蒸気熱が伝わることで茶葉が細かく粉に近いものになります。そのためお茶の味や色が濃くなりますが渋みはなく、普通なら茶葉に残ったままになる食物繊維やβカロテンなどの栄養成分もお茶に溶けだすので、より多くの栄養素を摂取できます。
煎茶と緑茶の違い
煎茶は緑茶の種類
実は煎茶は緑茶の種類の一つで、育て方や加工の仕方の違いから、同じ緑茶の中でもそれぞれ味や香りに違いがあり、それによって煎茶や玉露、かぶせ茶、番茶などさまざまな種類のお茶になります。緑茶の中でも煎茶は、生産量や消費量ともに最も多い代表的な緑茶であるといえます。
煎茶と緑茶の違い
緑茶とは、チャノキの葉から作ったお茶の中でも、茶葉を摘み取った直後に加熱処理をして発酵を妨げた不発酵茶の総称です。日本では緑茶と日本茶は同じ意味で使われることが多く、煎茶やほうじ茶、抹茶などすべて緑茶であり、日本でよく飲まれているお茶です。中国茶のジャスミン茶も緑茶の種類に入ります。煎茶は緑茶の中の種類の一つであり、新鮮な摘みたての茶葉を蒸して、揉みながら乾燥させたお茶です。
不発酵茶と発酵茶
お茶には大きく不発酵茶と発酵茶に分けられます。茶葉には酵素が含まれているので、収穫すると茶葉は発酵・酸化していきます。茶葉を摘んですぐ、蒸す・釜で炒る・火であぶる・天日で干すなどの方法で熱を加え酵素の動きを止めて発酵させないようにしたものが「不発酵茶」です。茶葉が発酵していないので緑色のお茶が特徴で、日本では緑茶がこれに当たります。
発酵茶の代表的なお茶は紅茶であり、紅茶は完全に発酵しているため完全発酵茶とも呼ばれます。また発酵を途中で止めた半発酵茶もあり、烏龍茶がその代表的なお茶です。さらに茶葉の酵素ではなく乳酸菌などで発酵させたプーアル茶は、後発酵茶の種類に入ります。
煎茶の美味しい入れ方
使う水と温度
煎茶の美味しい入れ方は、使う水と温度がポイントです。まず急須に煎茶を入れる際のお湯の温度は、80度がベストです。渋み成分であるカテキンは80度以上で溶けだすため、70~80度が丁度良い温度になります。適した温度はお茶によって異なります。
お茶を入れるのに最適な水は、微酸性の軟水です。日本の水道の水は微酸性の軟水なので水道水でも問題ないですが、塩素が含まれているので沸騰させてから使いましょう。ミネラルウォーターを使用する場合は、硬度を確認して使用したほうがよいです。沸かしたての新鮮なお湯を使うのも、美味しい煎茶を飲める入れ方のポイントになります。
良い煎茶は旨み成分を豊富に含んでいるので、渋みを抑えて旨みを引き出すために低温でお茶を入れます。普通の煎茶の場合は、旨み成分が少なめなのでポットのお湯を直接急須に入れます。80度を測るのは大変なので、一度湯呑みにお湯を注いで少し冷ましてから、急須にお湯を注ぎましょう。
茶葉の量
煎茶の茶葉の量は、1人分なら湯呑み1杯(湯量60ccくらい)で茶葉2~3g、ティースプーン1杯を目安に入れます。商品によって差があるので注意が必要です。またティーバッグの場合は、カップ1杯でティーバッグ1個使用します。
煎茶の浸出時間は、普通の煎茶なら30秒くらい、高級な煎茶なら40秒から1分くらいが適していると言われています。お茶に浸す時間が短いと渋みが少なくあっさりした味になり、長いと渋みや苦みが増して濃い味わいになります。
まわし注ぎ
一度で複数人の煎茶を入れる場合は、順番に回して注がないと味や濃さが均等になりません。注いでる間にも茶葉の成分が溶けてきているので、渋みや苦みもどんどん濃くなっていきます。湯呑みには取っ手がないのでひたひたに入れると飲みにくいため、7分目くらいまでいれるのがよいでしょう。均等に回し入れたら、お盆にのせて運びます。茶托を使用すると、熱さでテーブルに白い輪ができるのを防げて、おもてなし感を出せます。
二煎目の入れ方
煎茶の二煎目の美味しい入れ方は、まず急須の中に一煎目のお茶が残っていると二煎目が渋くなってしまうので、最後の1滴までしぼりだすようにします。煎茶を注ぎ切ったら、急須のフタを少しずらしておくと、茶葉が蒸れずに二煎目の煎茶も美味しく入れることができます。二煎目は、一煎目より少し高温のお湯を使うと、茶葉に残っている旨みや適度な渋みを楽しむことができます。
二煎目はすぐ濃くなってしまうので、お湯を注いだら早めに湯呑みに注ぐようにしましょう。
保存方法のコツ
煎茶の保存方法は、未開封の場合はそのまま冷蔵庫、もしくは冷凍庫で保存します。冷蔵庫から出して使用する際には、温度差で水滴ができるのを防ぐために常温に戻してから使用するのがおすすめです。開封後は、酸素が入ると酸化して味が落ちてしまい、光が当たると茶葉が変色したりするので、遮光性のある密封容器や袋にいれて、冷暗所で保存します。
冷蔵庫で保存すると、茶葉は脱臭作用により冷蔵庫のさまざまな臭いを吸収したり、湿気が入ってしまったりする恐れがなるので、避けた方が良さそうです。煎茶を美味しい状態で飲むために、なるべく少量で購入して、2週間から1か月くらいで使い切るようにするのがおすすめです。古くなって風味が落ちてしまったお茶は、お茶パックなどに入れて下駄箱やシンクの下などに置くと、脱臭剤として使うことができます。
緑茶はどう作られている?
緑茶は同じ木から作られる
緑茶の原料となる木はツバキ科の多年生植物でチャノキと呼ばれます。緑茶や煎茶、紅茶、烏龍茶まで実は皆チャノキの新芽を原料としています。チャノキにはアッサム種と中国種があり、基本的に緑茶は中国種、紅茶はアッサム種から作られます。チャノキはもともと亜熱帯性の植物ですが、日本では京都の山間部や静岡の天竜などやや涼しい地域で育てられています。
同じ緑茶の中の種類でも、チャノキの育て方や蒸し方、乾燥のさせ方などの違いでいろいろな種類の緑茶が作られています。
煎茶を作る「露天園」
煎茶を作るチャノキは露天園といいます。茶畑に覆いを一切しないで、新芽が出てから摘み取るまでずっと日光を十分に浴びさせて栽培する方法です。煎茶の茶葉が太陽の光を浴びて光合成を行うことで、葉に渋みの成分であるカテキンが増加します。この露天園によって、煎茶は程よい渋みが特徴のすっきりとしたお茶になります。煎茶の他にも、ほうじ茶や玄米茶も同じ方法で作られます。
玉露や抹茶を作る「覆下園」
露天園に対して、玉露や抹茶を作るチャノキを覆下園(おおいしたえん)といいます。茶畑に覆いを被せて太陽の光を遮る栽培方法です。覆いを被せると光合成の働きが抑えられて、カテキンの増加が抑制され旨みの成分であるテアニンが増加します。玉露は新芽が出始めた時または茶摘みの3週間まえほどから、日光を遮ります。覆下園で作られたお茶は、渋みが少なく甘みとコクのあるまろやかな味を楽しめます。
煎茶と緑茶の違いを理解しよう!
いかがでしたか?日本で日常的に飲まれている煎茶と緑茶の違いについて、それぞれの特徴や違い、緑茶のいろいろな種類、煎茶の美味しい入れ方、緑茶のそれぞれの種類のお茶の作り方などについて詳しく紹介してきました。
煎茶は緑茶の種類の一つであり、もともとは同じ木を材料をしているにも関わらず、それぞれ育て方や加工方法の違いから、緑茶には煎茶の他に抹茶や玉露、かぶせ茶などたくさんの種類がありました。ぜひ煎茶と緑茶の違いを理解して、今回紹介した美味しい煎茶の入れ方を参考に、家でも程よい渋みと旨みを兼ね備えた美味しい煎茶をティータイムに楽しみましょう!