飯盒炊爨で美味しいお米の炊き方のコツ!失敗しない火加減や水の量は?
「飯盒炊爨」とは、登山やキャンプなど屋外で炊事するための調理器具「飯盒」を使って調理することです。なんだか難しそうですが意外と簡単なんです。誰でも飯盒炊爨を楽しめるように美味しくお米を炊くための水の量や火加減など、失敗しない炊き方のコツを紹介します。
目次
飯盒炊爨と飯盒炊飯どっちが正しいの?その意味とは?
見慣れない難しい漢字の飯盒炊爨は「はんごうすいさん」と読み、登山やキャンプなど屋外でご飯を炊くなどの調理をすることに使われます。屋外でご飯を炊くという意味では飯盒炊飯とも言われていますが、どちらが正しいかというとどちらも間違いではないようです。飯盒とは携帯用の調理器具のことで、炊飯は読んで字のごとく「飯を炊く」ことなので飯盒炊飯は「飯盒を使って飯を炊く」ことです。
飯盒炊爨も同じ意味ですが、炊爨は飯を炊く「炊飯・炊事」の意味があり、さらに爨には「かまど・飯を炊く・かしぐ・食べ物を煮る」という意味があります。また、「かしぐ」には(飯などを)炊くという意味があるそうです。飯盒はご飯を炊くだけではなく、みそ汁や煮物など炊飯以外の用途にも使われるため、飯盒炊爨の方がしっくるくるのではないでしょうか。ここでは飯盒炊爨に統一して表記していきます。
飯盒炊爨の必需品!種類もいろいろある飯盒について
飯盒炊爨で必要不可欠な飯盒とはどういうものなのでしょうか?元は軍用として日本の軍隊が開発した、野外で煮炊きするための携帯用炊飯具のことで、最近では登山やキャンプなどで利用されています。
主にアルミニウム製で底が深く蓋がついています。代表的なものは兵式と呼ばれる飯盒で、腰にぶら下げて歩くときに邪魔にならないよう腰にフィットする豆のような形をしています。他にはお米が研ぎやすく、火の回りも良い丸型の飯盒もあります。
ここでは兵式飯盒をもとに美味しいお米の炊き方を紹介していきます。飯盒にはご飯を炊くための便利な機能が備わっていて、中蓋と外蓋は計量カップとして利用できます。中蓋だと米すりきり1杯で2号、外蓋は米すりきり1杯で3号のお米が計れます。詳しい内容は次の章から順に紹介していきます。
飯盒炊爨で失敗しないためのお米の炊き方とは?
飯盒炊爨での失敗には色々ありますが、失敗には原因もあるはずです。その原因を取り除いていけば失敗せずに美味しくお米が炊けるはずです。まずは焦げていないのに芯があるご飯の場合は、水が足りなかったことが原因です。同じ芯があってもご飯がべちゃべちゃしている場合は、火から下ろすのが早かったからです。ご飯が焦げてしまう場合は、水の量が足りなかったり火加減が強すぎたからとそれぞれ原因があります。
飯盒炊爨で美味しくお米を炊くコツは下準備の「お米の量と水の量は正しく計る・研いだお米に水分を浸透させる」とシンプルですが、水の量と火加減は失敗の原因にもなっているので重要なポイントです。火加減はかまどでお米を炊いていたころの「はじめちょろちょろ・中ぱっぱ・じゅうじゅう吹いたら火を引いて・赤子泣いてもふた取るな」を参考にすると美味しく炊けるはずです。方法については次の章から順に紹介していきます。
飯盒炊爨で美味しいお米を炊くコツその1!正しいお米の計り方
飯盒炊爨で美味しいお米の炊き方の最初のコツは、正確にお米を計ることです。毎回同じようにお米を炊くためには、計量がとても重要です。お米を計る方法の一つに炊飯器についてくる計量カップがありますが、計量カップ1杯の量を知っていますか。見た目は調理用の計量カップに似ていますが、容量は違うので注意が必要です。
調理用の計量カップは200ccですが、お米用の計量カップは180ccですので、調理用の計量カップを代用する場合は1カップではなく180ccです。ただ、飯盒でお米を炊くのであれば蓋が計量カップになります。まずは中蓋すりきり1杯が2号で、外蓋すりきり1杯が3号です。飯盒本体の内側に線が入っている場合は、下の線が4号ですので屋外でも正確にお米を計ることができます。
飯盒炊爨で美味しいお米を炊くコツその2!正しいお米の研ぎ方
飯盒炊爨で美味しいお米の炊き方のコツ2つ目は、お米を研ぐことです。精米の技術は進んではいますが、お米には精米した時の糠がついています。この糠を十分に取り除けるかが炊き上がりのご飯の味を左右するそうです。そのためお米は研ぐ前に表面についている糠や油を落とす必要がありますが、最初に水に触れた時にお米が一番水を吸ため、素早くやらないとお米が臭いを吸い取ってしまいます。
まず飯盒に水を入れてからお米を入れ、さっとかき混ぜ汚れを落としてからすぐに水を捨てます。次にお米が浸る程度の水を入れすぐに捨てます。これを2、3回繰り返しますが、ここまではお米が臭を吸わないよう手早く行います。次にお米を軽く20回くらい研いでから、水で3回くらいすすぎます。この時、水が透明になるまですすいでしまうと、お米の美味しさや栄養も流れてしまうので注意してください。
飯盒炊爨で美味しいお米を炊くコツその3!正しい水の量と計り方
飯盒炊爨で美味しいお米の炊き方のコツ3つ目は、ご飯を炊く水の量です。この水の量を間違ってしまうとご飯がやわらかくなったり硬くなったりし、さらに焦げてしまうことにもなります。正しい水の量の計り方をマスターしてしまえば、飯盒炊爨で毎回同じ硬さのご飯が炊けるようになり失敗も回避できます。
飯盒炊爨で正しく水の量を計る方法として、飯盒があります。本体の内側に線がある場合は、下の線が2号用で上の線が4号用になりその中間が3号です。線がなくても飯盒の蓋が計量カップになっているので、お米が「2号の場合は中蓋1杯・3号の場合は外蓋1杯・4号の場合は中蓋2杯」と正確に計れます。
飯盒炊爨で美味しいお米を炊くコツその4!お米を水に浸すこと!
飯盒炊爨でふっくらとおいしくお米を炊くコツは、お米を水に浸すことです。お米を研いだあとにしっかり水を吸わせることで、お米の芯まで火が通りふっくらとおいしいご飯が炊き上がります。浸す時間は水温や気温でお米の浸水度も変わってくるため、しっかりとおさえておいてください。
お米を水に浸す目安の時間は夏だと30分、水温の低い冬は1時間くらいです。お米が水を吸う量には限りがあり、長く浸しすぎるとデンプンが流れ出してしまうため、炊き上がりのご飯がベタつく原因にもなります。飯盒炊爨でおいしくご飯を炊くためには水に浸す時間にも注意してください。ここまでがお米をおいしく炊くための準備です。
飯盒炊爨で美味しいお米を炊くコツその5!重要なポイント火加減と時間!
飯盒炊爨で美味しくお米を炊くための一番の重要なポイントは火加減といっても過言ではありません。火加減が強すぎると焦がしてしまったり、弱すぎると均等に火が通らずべちゃべちゃしているのに芯が残っていたりと失敗の原因にもなります。失敗しないためにも、火加減と炊き上がりの目安時間を覚えることが大切です。まずは飯盒の中蓋を外した状態で外蓋をし、火にかけ弱火で湯気が出るまで10分位待ちます。
強火で約15分沸騰を維持し、吹きこぼれて飯盒の蓋が持ち上がるようなら蓋の上に石などの重りを乗せて圧力をかけます。沸騰が収まったら弱火にし、約5分たったら蓋の上に割り箸などを当てグツグツ煮える振動が伝わらなくなっていたら炊き上がりです。薪の場合の火加減の目安は、弱火の場合は飯盒の底に火が満遍なくあたっている状態で、強火の場合は炎が立ち登っている状態です。
飯盒炊爨で美味しいお米を炊くコツその6!最後の仕上げ「蒸らし」が大切なわけとは?
飯盒炊爨でおいしいご飯を炊くコツの最後は「蒸らし」です。ではなぜ蒸らすとお米がおいしく炊けるのでしょうか。火加減に注意し上手く炊き上がっていてもお米の表面は水分が多い状態ですが、内部まで水分がいき届いていません。蒸らすことで内部にまで水分が浸透し、お米の水分量が均等になるから炊き上がったご飯が美味しくなるんです。
飯盒炊爨では、炊き上がったご飯を蒸らす場合に気をつけるポイントがあります。火から下ろしたばかりの飯盒の底は高温のため、そのままご飯を蒸らしていると余熱で焦げてしまいます。飯盒は火から下ろしたら逆さまにして、10から15分くらい蒸らします。その際、新聞紙などで包んでおくと温度が下がるのを防ぐことができます。
飯盒炊爨で美味しいお米を炊くコツのまとめ
いかがでしたか。おいしくお米を炊くコツとして、炊く前の準備が最も大切だということがわかっていただけたのではないでしょうか。また手間をかけることで、失敗するリスクも減らすことができます。お米を炊く火加減は「火にかけ沸騰するまでに約10分・沸騰したら約15分維持させる・沸騰が落ち着いてきたら弱火で約5分炊き上げ・ご飯を約10分蒸らし完成」です。
「はじめちょろちょろ・中ぱっぱ・じゅうじゅうふいたら火をひいて・赤子泣いてもふたとるな」とだいたいあっているのではないでしょうか。大体の目安ではありますが40分でおいしいご飯が炊き上がります。飯盒炊爨で美味しいお米の炊き方やコツがわかってしまえば、決して難しいことではないので、天気のいい日にぜひ外で飯盒炊爨を楽しんで見てください。