2018年07月13日公開
2024年07月23日更新
チルド室に入れるものはコレ!冷蔵室・冷凍室との違いと上手な使い方!
チルド室にどんなものを入れていますか?冷蔵庫より少し庫内温度が低いので、ビールを入れてキンキンに冷やしたり、お刺身を入れたりとそれぞれのご家庭で様々に使っているのではないでしょうか?チルド室は、正しい使い方をすることでとても便利に使える場所なのです。入れるものはどんな食材が適しているのか?どんな食材をいれてはいけないのか?また、メーカーによって違う呼び名や庫内環境の違いについてチェックしました。
チルド室の上手な使い方を知っている?
チルド室にはどんなものを入れていますか?冷蔵室内に、区分けされたスペースがあり、そこがチルド室になっている場合が多く見られます。冷蔵室よりも少し温度が低いことは分かっていても、こんな使い方でいいのかな?って迷いながら使われている方が多いのではないでしょうか?チルド室に入れるもの、使い方、収納方法について紹介します。
チルド室とは?
チルド室の特徴や温度
チルド室とは、入れるものが凍る一歩手前の温度、つまり0度前後に保たれているスペースのことです。それはまるで、食材を冬眠させるように眠らせて鮮度を保つ温度なのです。凍るか凍らないかのギリギリの温度にすることで、凍りやすいものは凍りはじめてしまうリスクはありますが、入れるものを分別することで非常に使い勝手の良いスペースになります。
一般的に10度以下だと菌の著しい繁殖が抑えられるといわれています。冷蔵庫内の温度は10度以下なのでどこに入れても菌の繁殖が抑えられることになっていますが、冷蔵室は開け閉めによって温度が上がりやすいのも事実です。そのため、扉付の区分けされたスペースを設け、一定の低い温度を保つように作られたのがチルド室です。
冷蔵室や冷凍室との違い
冷蔵室や野菜室、冷凍室に比べて、チルド室が一番得意とすることは、食材を美味しく長持ちさせることです。チルド室は、JAS法(食品保存基準)では5度以下、JIS9607(冷蔵庫の規格)では0度付近の温度ということになっており、冷凍室に入れるよりも美味しく食材を保存できると言われています。
一方冷蔵室はJIS規格で4度以下であることが定められていますが、冷蔵室内でも温度にばらつきがあり、吹き出し口近くは1~2度低く、ドアポケットの部分は高めの温度になっていると考えるとよいでしょう。入れるもの・入れられるスペースがたくさんある冷蔵室ですが、温度のばらつきがあるということを考慮した使い方が賢い方法といえるでしょう。
そして、冷凍室は-18度以下であることが決められています。冷凍室は、微生物が増殖できない温度ということからこの温度になったそうです。そこで、食中毒を防ぐためにも、食品は全部冷凍室に入れてしまえば良いのでは?と考える方もいるかもしれませんが、凍ってしまうと美味しさが損なわれてしまう食材もあり、全部冷凍庫にいれるという使い方は現実的ではありません。
食品を保存するという面では、冷凍室に軍配があがりそうですが、一度冷凍してしまうと解凍するときに品質が劣化してしまうことが多いため、美味しく・長持ちさせるのはチルド室が一番!なのです。凍らせないチルド室は、鮮度を保ちたい食材にピッタリの場所といえます。
メーカーで見るチルド室
様々なメーカーからチルド室付きの冷蔵庫が販売されています。それぞれの特色を知り、上手にチルド室を使いこなしましょう。国内人気メーカーの一つである、三菱電機の冷蔵庫には、チルド室や冷蔵室よりも少し低く、冷凍室よりも温度が高い氷点下ストッカーDという機能があります。
-3度〜0度という凍らせない冷凍室のような機能で、チルド室より食材の保存期間を長くするそうです。チルド室で2日〜4日が保存の目安と言われる丸ごとの魚が、5日間にも及ぶとされています。また、チルド室と氷点下ストッカーを切り替えられる機能がついているものもあります。氷点下ストッカーに入れるものについては、チルド室よりも凍りやすいので、凍らせたくない豆腐や牛乳などの水分が多い食品は避けた方がよいでしょう。
パナソニックの冷蔵庫にはチルド室と冷凍室の良い所を融合させた微凍結パーシャルという機能があります。-3度〜-1度の温度設定で、食材の周りだけを少し凍らせるというものでした。周りだけが凍るので、包丁で切ることやスプーンですくうこともできます。丸ごとの魚の保存期間の目安は7日間でした。
チルド室とパーシャルを切り替えられる機能がついているものもあり、生活習慣に合わせて変更できます。入れるものについては、パーシャルの時には食材が凍ることが前提なので、長持ちさせたい常備菜やおかずの残り物、生肉・生魚などがおすすめです。
チルド室とパーシャル室の違いは、その温度にあります。チルド室は、凍るか凍らないかの状態で保存できる0度で、パーシャル室は微凍結状態で保存できる-3度となっています。二つとも、冷蔵室よりは低く、冷凍室よりは高い温度なので、使い方を迷ってしまう方がいらっしゃるかもしれまんせんが、基本的にパーシャル室に入れるものは凍らせて保存するものと考えた方が良いようです。
日立の冷蔵庫では、チルド室を真空にしています。真空になったため、出来るだけ空気を抜いてラップをするという作業が不要になりました。とても便利な機能なのですが、匂い移りが気になるときには、ラップをすることをおすすめしています。真空という強みを生かして、肉や魚に下味をつけるとき、真空チルドに入れておけば、よりしっかりと漬け込むことができ、時間の短縮にもなります。
日立の冷蔵庫ではチルド室に、うるおいとプラズマクラスター機能を付け加えています。チルド室には生肉や生魚を入れるので、ドリップなどで汚れがちになりますが、プラマズマクラスターで雑菌の繁殖を抑えてくれるそうです。また、うるおいもプラスしてくれるので、ラップなしでも鮮度が長持ちします。
東芝のチルド室は、-4度前後の大風量で、急速に食材の温度を下げる機能「速鮮チルド」モードを付け加えています。従来よりも早く温度が下がるので、栄養価も壊れることなくより美味しい状態で保たれるのです。また、解凍モード機能もあり、カチコチに凍っていた食材を30分で-7度まで解凍してくれます。
チルド室の使い方:入れる食材
チルド室に入れれるもの
チルド室や冷凍室、冷蔵室それぞれに温度が決まっていることがわかりましたが、チルド室に入れれるものはなんなのでしょうか?チルド室に入れるものをランキング形式で発表したいと思います。キンキンに冷やすためのビールでしょうか?それともケーキでしょうか?それぞれ自分なりの考えで使用していたチルド室の、正しい使い方を紹介します。
第三位は発酵食品です。チルド室の温度の目安である0度付近では菌の繁殖はかなり抑えられることが分かっています。それは、発酵食品を作っている菌も同様で、発酵の働きが鈍くなり、美味しい時のままでキープできるのです。普段から冷蔵庫で保存している発酵食品といえば、納豆・みそなどでしょうか?ヨーグルトも当てはまります。流行りの塩麹もチルド室に収納するとよいでしょう。
チルド室に入れるもの第二位はもやしです。もやしは野菜なので野菜室に入れるものと考えていない方がほとんどではないでしょうか?ですが、もやしは痛みやすい野菜ため、チルドに入れることで長持ちさせることができるのです。安い時に多めに購入しても、チルド室に入れておくことで、日にちをかけて食べることができるそうです。
堂々の一位は、生鮮食品です。お肉や魚などは必ずチルド室に入れましょう。その時には、ぴっちりと包装し、出来る限り真空に近い状態で入れておくと、酸化も防ぐことができ、より新鮮で美味しく保存することができます。
週末にお肉をまとめ買いして、小分けにラップし、冷凍庫で保存されている方もいると思いますが、2〜4日間で使用する分については、チルド室に入れておくことで解凍する手間が減りますし、美味しさもそのままになるので、一度試してみてはいかがでしょうか?
チルド室に入れない方がよいもの
チルド室は食品が長持ちするし、良いことづくしなのだから全ての食材をチルド室に入れたくなってしまいますが、野菜の低温障害を防ぐために野菜室ができたように、チルド室に入れてしまうと逆に美味しくなくなってしまう食材もあるのです。そんな食材をいくつか紹介します。
出典: http://gazoo.com
豆腐・牛乳など、水分が多い食材はチルド室に入れないほうが良いようです。凍るか凍らないかのぎりぎりの温度の状態がチルド室なので、水分の多い食品はどうしても凍りやすくなります。豆腐は一度凍ってしまうと弾力が出て完全に食味が変わってしまうので、凍らせないように気をつけましょう。
ビールもチルド室で保存するのはやめましょう。キンキンに冷えたビールはとても美味しいものですが、チルド室で長期間保存していると、にごりが出てきてしまい、風味も落ちてしまいます。もし、チルド室で冷やしたビールがどうしても飲みたいと思ったら、普段は冷蔵室で保存して飲む少し前にチルド室に移しておくという方法をおすすめします。
アルコール以外のジュースやお茶なども、凍る危険があるので入れない方がよいでしょう。ペットボトルなどが凍ったことで膨張し破裂する危険性があるからです。キンキンに冷えたものを飲みたい時には、氷を使うか、飲む直前少しの時間だけにチルド室にいれて冷やすようにしましょう。
鮮度が命と思われているのですが、玉子は入れない方がよい食材です。水分量が多いので凍ってしまう危険があるからです。凍る可能性があるといっても、最近流行っている冷凍玉子を作りたいときには、チルド室ではなく、冷凍室に入れることをおすすめします。
ウインナーなどの加工肉商品については冷蔵室に収納するという説と、チルド室に収納するという説の二通りがあるようです。賞味期限よりも前でしたら、未開封のものは冷蔵室に入れ、開封後はチルド室に移すという使い方が良いのかもしれません。
チルド室の使い方:収納方法
チルド室には扉がついていることが多いので、冷蔵室と比べて食材を手に取るまでワンアクション多いことになります。その間、冷蔵室の扉は開けたままになるので、どんどん温度は上がり続けます。そのため、なるべく素早く開け閉めしなくてはいけません。効率よく食品を取り出すことができるように、収納の仕方を工夫しましょう。
チルド室の収納のポイント
保存しておく場所を決めておくことをおすすめします。例えば、買ってきたばかりの肉や魚は右側。ヨーグルトや納豆は左側。賞味期限が早いものやもやしは手前に置くといったように決めるのです。ミートボールなどの冷蔵加工品はなどはタッパーに立てた状態で収納しましょう。
生魚や肉は、真空に近い状態でパックするのをおすすめします。フードシーラーがある場合には、どんどん利用して真空にしてから収納しましょう!持ってないときには、できるだけ空気を抜くようにしてラップします。
ラップするときには、水気を取ることも大事なので、魚は下処理をしてからラップしましょう。内臓とエラを取り、水洗いしてからクッキングペーパーでしっかりと水分をふき取ります。さらに、クッキングペーパーで包んでからラップをすることで、美味しいままで保存することができます。
チルド室の収納の注意点
チルド室の吹き出し口は奥側についていることがほとんどですが、一度自分のチルド室の吹き出し口を確認してみましょう。効率の良い収納を考えるあまり、びっちり詰め込み過ぎてしまうと、冷気が循環せず冷えが悪くなってしまいますので、冷蔵室と同じように隙間をあけて、冷気が循環するように収納しましょう。
チルド室を使った裏技紹介
揚げ物の材料を、上げる直前までチルド室に入れて冷やしておきます。すると温度差が大きくなるので、よりカラッと揚がるそうです。その時気をつけなければいけないのは、火加減と油の量です。温度の低いものを揚げるので、油の温度が急激に下がってしまうからです。油の量が少なすぎると、べちょべちょした揚げ物になってしまう危険性があります。
通常トマトはチルド室に入れることはありませんが、完熟トマトは別です。チルド室にいれることで、これ以上トマトが熟さないようにできます。また、サラダを作る時には冷水にさらしてパリッとさせますが、チルド室にいれることで同じようにパリッとなります。栄養素が水にとけることもないので、栄養もバッチリそのまま摂取することができます。
チルド室を使った裏技を紹介しましたが、最後にもう一つ紹介します。それは、解凍にチルド室を使用することです。温度が低いため、室温や冷蔵室で解凍した時よりも、解凍に時間はかかりますが、ドリップが少なくなるので、より美味しくより栄養価が高いまま解凍できるのです。ぜひお試しください。
チルド室を上手に使って食材を長持ちさせよう!
いかがでしたでしょうか。冷蔵室では0〜1日しか持たないといわれている生肉・生魚でも、正しくラップをしてチルド室にいれると2〜4日は持つとされています。忙しい現代人はまとめて買い物することが多いのですが、冷蔵室・チルド室・冷凍室に、適材適所で食材を収納することで、より品質の良い状態のものを食べることが出来るようになりました。
空気を抜いてラップをする、水気をとってからラップする、生魚はクッキングペーパーで包んでラップをするなど、少しの工夫でより美味しく長持ちさせることができます。チルド室の性能を考えて、正しく使うことを心がけましょう。