2018年06月15日公開
2024年07月17日更新
紹興酒の原料は何か調査!お酒の味や効能も合わせて徹底解説!
紹興酒の原料は何か知っていますか?紹興酒は中国のお酒で世界三大美酒の一つとしても知られています。日本酒やビール、ワインに比べるとまだまだ日本に浸透しているとは言えない紹興酒ですが、独特の芳醇な香りとまろやかな味は種類の違いや熟成期間によっても異なり、一度魅了されるとその奥深さに驚きを感じることでしょう。今回は、紹興酒の原料について調査し、お酒の味やおすすめの飲み方、体への効能や飲みすぎると良くない理由についても徹底解説します。
目次
紹興酒とは?
紹興酒は中国の浙江省紹興地区の代表的な醸造酒で、フランスのワイン、日本の純米吟醸酒と並んで「世界三大美酒」と言われています。紹興酒はそのまま飲む以外に、中華料理や薬膳料理の調味料としても広く利用されています。紹興酒には元紅酒、加飯酒、善醸酒、香雪酒の4種類があり、それぞれ製法が異なりますが基本的な原料は同じです。
紹興酒の原料は?
紹興酒は中華料理とともに味わうことが多いお酒です。独特の芳醇な香りやまろやかな味をもつ紹興酒は一体どのような原料によって造られるのでしょうか?鑑湖名酒とも呼ばれる紹興酒の原料について詳しく紹介します。
紹興酒の原料:もち米
中国のお酒は、原料と製法によって白酒、紅酒、黄酒の3種類に分けられます。白酒は穀物を原料とする蒸留酒、紅酒は果実を原料とする醸造酒、黄酒はもち米を原料とする醸造酒であり、紹興酒は黄酒の一種です。紹興酒の産地である浙江省の紹興付近は良質なもち米が収穫できる水郷地帯であり、紹興酒はこの地で約2400年以上前より造られてきました。
紹興酒の原料:麦麹と酒薬(酵母と乳酸菌の種)
紹興酒の原料である麦麹とは麦に麹菌を増殖させたものです。また、紹興酒を造るための酵母と乳酸菌の種は酒薬といわれ、粳米粉とヤナギ蓼から作られています。紹興酒を含む醸造酒は、酵母を原料としてアルコール発酵させることによって造られます。アルコール発酵とは酵母がブドウ糖を分解してアルコールと炭酸ガスをつくることをいいます。
酵母は原料であるもち米のデンプンをブドウ糖に分解することはできません。もち米のデンプンをブドウ糖に分解する役割は麦麹が担っています。また、酒薬に含まれる乳酸菌は乳酸を生成して酵母以外の余計な微生物を死滅させる役割をもっています。
紹興酒の原料:鑑湖の水と漿水
紹興には水が綺麗なことで知られる鑑湖という湖があり、鑑湖の水は紹興酒の仕込み水として使用されてきました。紹興酒を造るとき、もち米を精白して鑑湖の水に1~2週間浸して乳酸発酵させます。もち米が乳酸発酵したら取り出して蒸します。もち米を浸しておいた水は漿水と呼ばれ、漿水に含まれる乳酸が防腐作用をもつほか酒に酸味を加えるため、こちらも原料として使用します。
紹興酒の原料:カラメル(焦糖色)
紹興酒は麦麹を使用するため、新酒は黄色みがかった色をしています。熟成期間が長くなると紹興酒に含まれるアミノ酸と糖分が反応して茶色く色付きます。カラメルは本来の紹興酒の原料ではありませんが、紹興酒の色や香味を調節するために添加します。市販の紹興酒はほぼ全てカラメルが添加されているようです。
紹興酒の主原料や製法を日本酒・ビール・ワインと比較
日本酒は日本を代表するお酒であり、ビールやワインは日本人にとても人気のあるお酒です。これらのお酒と比べると、紹興酒はまだまだ日本人に馴染みの深いお酒とは言えません。実は、紹興酒は醸造酒であるという点で日本酒、ビール、ワインと同じカテゴリーに入ります。紹興酒とこれらのお酒の主原料や製法を比べてみます。
主原料について紹興酒を日本酒、ビール、ワインと比較する
水がお酒の原料として重要なのは言うまでもないのですが、今回は水以外の主原料を比較します。先にも述べた通り、紹興酒の主原料はもち米と麦麹です。日本酒の場合は主原料に酒造好適米と呼ばれる米と、米麹を使用しています。ビールはビール大麦から作られる麦芽とホップが主原料です。そしてワインの主原料はぶどうです。主原料を比較すると紹興酒と日本酒はいずれも材料に米と麹を使用していることがわかります。
製法について紹興酒を日本酒、ビール、ワインと比較する
原料が米や麦などの穀類である場合、製造工程に穀物のデンプンをブドウ糖に分解する糖化という工程が必要で、その後アルコール発酵させます。これを複発酵式といいます。その中でも糖化とアルコール発酵を同時に行う方法を並行複発酵式といい日本酒はこの製法で造られます。紹興酒も日本酒と同様に並行複発酵式で造られます。
ビールは糖化とアルコール発酵を別々に行う単行複発酵式で造られます。一方、ワインの場合は原料のぶどうに糖を含むため、そのままで酵母によるアルコール発酵が可能です。このような発酵方法は単発酵式と呼ばれています。以上より、紹興酒は原料や製法において日本酒と共通の特徴を持つことがわかります。
紹興酒の味は種類や熟成期間で異なる
紹興酒の種類による味の違い
芳醇な香りと甘みが特徴の紹興酒ですが、種類によってその味は異なります。紹興酒では先程紹介した原料を用いて淋飯酒と呼ばれる酒母(母体)から全ての紹興酒の基本となる元紅酒を造ります。元紅酒の熟成期間は1~2年でアルコール分は15~16%、糖分が0.5%以下と4種類の中で最も辛口です。
加飯酒は元紅酒と同じ製法で造られますが、原料のもち米と麦麹の量を増やして熟成期間を3年以上と長めにしているためアルコール分は17~18%で糖分が2%と増え、香りよく味は程よい甘みを感じます。善醸酒は仕込み水の代わりに元紅酒を用いており、アルコール分は15%で糖分は8%と甘くて濃厚な味です。香雪酒は原料に麦麹と紹興酒の酒粕より取った焼酎を加えるためアルコール分は18~20%と高く、糖分は10%以上と甘いです。
紹興酒の熟成期間による味の違い
元紅酒、加飯酒、善醸酒、香雪酒の4種類の紹興酒のうち、日本に輸入されている紹興酒のほとんどは加飯酒です。陳年3年~20年と様々な熟成期間の紹興酒が店頭に並んでいますが、味は熟成期間が長くなるほど酸味が減って香り高くまろやかな味わいへと変化します。加飯酒の熟成期間が長いものは花彫酒と呼ばれ、これは女児が誕生してから嫁ぐ日まで美しい彫刻のほどこされた甕に加飯酒を入れて熟成させていたことにちなんでいます。
紹興酒のおすすめの飲み方
紹興酒の基本の飲み方は「常温でストレート」です。ただしお酒は楽しむものなので、基本の飲み方にこだわる必要はありません。暑い夏には冷やしたり、ロックで飲むのもおすすめです。また、温めると紹興酒の香りが強く感じられますし、冬の寒い日に飲めば体も温まります。紹興酒に砂糖や干し梅を加える飲み方は飲みやすさが増すため人気があります。また紹興酒を使ったカクテルの定番にはドラゴンウォーターがあげられます。
紹興酒の効能は?
紹興酒の効能:血行促進
紹興酒の効能には血行促進があり、冷え性の改善も期待できます。そのまま飲んでも良いのですが、紹興酒にクローブ(生薬名は丁子または丁香)を加えて蒸し器で10分間加熱すると丁香煮酒という薬膳酒になります。スーパーでも売っていて比較的手に入れやすい生薬であるクローブには、冷えによる下痢や嘔吐を止める作用があります。冷え性で困っている方は一度試してみてはいかがでしょうか?
紹興酒の効能:体力増進・疲労回復
紹興酒にはビタミンやミネラルのほか、アミノ酸が豊富に含まれており、紹興酒の独特の香りやまろやかな味はアミノ酸によるものといわれています。アミノ酸の中でも9種類ある必須アミノ酸を紹興酒は全て含んでおり、必須アミノ酸の量も日本酒やビール、ワインと比べて多いとされています。必須アミノ酸は健康な体を維持したり筋肉の修復にも不可欠であるため、紹興酒の効能として体力増進や疲労回復が期待できます。
紹興酒の効能:骨組織強化
紹興酒にはリン、マグネシウム、マンガンといったミネラルが多く含まれています。リンはカルシウムやマグネシウムと結合して骨を形成しており、マグネシウムには骨の健康を維持する働きがあります。またマンガンは様々な酵素の構成成分となるミネラルで骨形成に関与しています。このようにいずれも骨の形成促進に関わるミネラルであるため、紹興酒の効能として骨組織強化が期待されています。
紹興酒を飲みすぎるとよくない理由
紹興酒にはプリン体が10mg/100mL以上含まれています。プリン体は体内で分解されると最終的に尿酸となり、血中に尿酸が高濃度になる高尿酸血症は痛風を引き起こす原因となります。通常のビールのプリン体の量は3.3~8.4mg/100mLであり、これと比べてみても紹興酒のプリン体の量は多いことがわかります。紹興酒を飲むときは一日150ml程度を目安にして飲みすぎないようにしましょう。
中国ならではの原料で造られる紹興酒を楽しもう!
いかがでしたでしょうか?今回は紹興酒の原料や味、おすすめの飲み方、そして体への効能や飲みすぎると良くない理由について紹介しました。中国の紹興の地ならではの原料を使用して造られる紹興酒は、中国の歴史ともつながりが深く、春秋時代以降の様々な書物に登場します。紹興酒の芳醇な香りや味とともに中国の歴史を学ぶのも紹興酒の楽しみ方の一つといえるでしょう。紹興酒を気軽に味わってみてはいかがでしょうか?