日本酒の作り方を簡単解説!お酒になるまでの全工程と仕込み時期について

日本酒の作り方を知っていますか? 日本酒は米、米麹、水のみを原料に発酵させこしたものと定義されているように原材料は少ないです。しかし日本酒は20000種類存在しており、その味の変化は製造法に秘密があります。日本酒の味の変化がどこで付けられていくのか、また自分好みの味はどういった行程を経て作られているものなのか、日本酒の作り方を知ることでわかってきます。今回はその手助けになるよう簡単に日本酒の作り方について紹介します。

日本酒の作り方を簡単解説!お酒になるまでの全工程と仕込み時期についてのイメージ

目次

  1. 1日本酒の詳しい作り方が知りたい!
  2. 2日本酒の作り方全工程を簡単解説
  3. 3日本酒の仕込みの時期について
  4. 4日本酒が出来上がる工程を知って美味しく飲もう

日本酒の詳しい作り方が知りたい!

日本酒は日本のお酒の代表ですが、その種類の多さや独特な味わいから苦手意識をもつ方が多いのではないでしょうか?お酒を飲み初めてすぐに日本酒が飲めるようになる人はなかなかいません。しかし一度その味の魅力を知ってしまうと病みつきになります。また飲みやすい日本酒があることもあまり知られていません。

日本酒の種類は20000種類あると言われています。酒税法上では「米、米麹、水を原料として発酵させてこしたもの」という日本酒の作り方が定義されていますが、この少ない原材料でどうやって20000種類の味が生まれるのでしょう。日本酒が大好きな人はさらに深く知識を深めて日本酒を楽しむために、また苦手意識があるけれど飲んでみたい方の手助けになるよう、日本酒の作り方についてその工程、時期などを簡単に詳しく解説します。

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日本酒の作り方全工程を簡単解説

日本で生み出され、日本独自の作り方で製造されてきた日本酒ですが、米と水からどのような工程を経て日本酒になるのでしょう?基本的にはどの蔵も同じ原料、同じ作り方で日本酒を造っていますがその一つ一つの工程の中で蔵独自のこだわりが込められ、20000種類もの日本酒を生み出しています。日本酒の基本的な作り方を見て行きつつも、その工程ごとに見られるこだわりについて簡単に紹介していきます。

精米

日本酒の作り方でまず行うのは「精米」です。日本酒を造る際に使用するお米は酒造好適米 (しゅぞうこうてきまい)、もしくは酒米(さかまい)と言われる日本酒を造るためだけに造られたお米です。日本酒を造るときには玄米ではなく精米を使います。なぜなら玄米の段階では外側にタンパク質や無機質、脂肪などが含まれており、タンパク質は日本酒に雑味を与えてしまうからです。
 

そのためできるだけタンパク質を削り、中央のデンプン質のみを使用するために私たちが食べるようなお米より削る割合が大きくなります。しかし削れば削るほど精米されたお米を小さくなりますし、また50パーセント削るのに約50時間かかると言われています。この工程で削れば削るほど日本酒は美味しくなりますが、コストや労力を簡単に考えれば全ての日本酒の工程に同じような手間はかけられません。

そのため多くの酒造では、この削る割合によってお祝いのや贅沢用の高級酒の大吟醸や、日常的に飲める日本酒として本醸造など品質をわけています。削る割合が50パーセント以下だと大吟醸、60パーセント以下だと吟醸、70パーセント以下だと本醸造になります。

また酒米によってもデンプン質の大きさや、あまり削らなくても甘味が取り出せるものなど違いがあり、各酒造では酒米を自家栽培したり、米どころから取り寄せるようにしたりなど様々です。酒米の種類や精米歩合によって日本酒の味が大きく変わりますので、購入の際にはぜひラベルを注目しましょう。
 

洗米・浸漬

次に日本酒の作り方の工程で行うのは「洗米」です。簡単に言えば精米した酒米を洗う作業のことを言います。精米を終えた酒米には、表面にぬかやちりなどのゴミが不着しています。これらをキレイに落とし、酒米をきれいにします。

洗米した後、「浸漬(しんし)」の工程に入ります。浸漬とはお米を水につけて一粒一粒に水を吸わせる作業のことです。この工程は日本酒の作り方の中でかなり大事な工程となります。このあと酒米を蒸していくのですが、その際に外側を硬く、内側を柔らかくし麹菌を繁殖しやすくさせます。それには浸漬の時間がポイントとなるのです。

そのため杜氏と呼ばれる日本酒造りの監督者がストップウォッチを片手に、その年にとれた酒米の具合を見ながら最も良いあんばいで水分を含むよう、秒単位で作業を進めます。このあとの工程にある米蒸し、麹づくりに重要な工程であることが簡単にですがわかっていだたけたかと思います。

米蒸し

先ほど述べたように次の日本酒の作り方の工程は「米蒸し」です。浸漬した米を蒸し器で蒸す作業となります。蒸し時間はおおよそ1時間程度です。高温の乾燥した湯気で蒸かすことで高温低湿の状態を作り出し、内側だけ柔らかい蒸米を作ります。この工程で酒米のデンプンをβ型(生デンプン)からα型(蒸米)に変化させ、麹菌による糖化酵素の作用を受けやすくするのです。
 

蒸米はぶんじという木のスコップでかき混ぜます。蒸米はとても重く、また蒸気が立ちこめる中での作業は暑さとの戦いです。100度近い蒸米を土間にひいたむしろに広げてかき混ぜながら冷却する作業は簡単ではありません、たいへんな重労働です。

麹づくり

日本酒の作り方で重要な工程に入ります。蒸米には2つの使い道があります。一つ目は「麹づくり」です。麹づくりは蒸米を広げ、麹の種を振りまき雑菌を繁殖させる作業です。そもそも麹とは何かわからない人のために簡単に麹について説明します。麹とは、蒸米に麹菌というコウジカビの胞子をふりかけて育てたものです。米のデンプン質をブドウ糖へ変える糖化の働きをします。
 

なぜこの麹菌が日本酒の作り方に必要なのでしょうか?それはお酒を造る上でかかせないアルコール発酵がこのままだと出来ないためです。アルコール発酵はブドウ糖が酵母によって分解されるために起きる現象です。酒米には主にデンプン質しかないためそのデンプン質をブドウ糖に変える必要があります。そのため麹菌が使われるのです。

麹づくりは室温30度前後、湿度が高めに設定された部屋で行われ、麹菌を繁殖させるため布に包むなどして一昼夜寝かせます。寝かせ終わったら麹蓋と呼ばれる容器に移して麹室に積み上げます。麹菌は環境によって繁殖の度合いが変わってくるので、温度の変化などを見ながら手でほぐしたり、換気をしたりと一晩中つきっきりで作業する必要があります。

現在では自動製麹機を使用して管理を行っている所もありますが、伝統的な酒蔵では今でも寝ずの番で作業を行っているところもあります。麹はデンプン質を糖化するほかにタンパク質分解酵素なども出ており、これらが酒米を溶かし日本酒の質や味を決めていくのです。 あまり酵素が出過ぎると目指す質にはならないため、米の溶け具合がちょうど良く止まるよう麹を造る必要があります。
 

酒母づくり

蒸米の使い道2つ目は「酒母(しゅぼ)づくり」です。酒母づくりは日本酒の作り方の主役といえる酵母を大量に繁殖させる工程になります。冷たい水に蒸米、さきほど造くった麹、そして酵母を少量いれます。そして酒母室もしくは転場(もとば)と呼ばれる室温が5度くらいに保たれた部屋に2週間から1ヶ月ほど置かれると、酵母が培養され大量の酵母ができます。この大量の酵母を酒母と言います。

酒母をつくる際には雑菌や野生の酵母が入り込んでくる可能性があります。それを防ぐために大量の乳酸が必要となりますが、この乳酸をどのように用意するかによって日本酒に特殊な名前がつきます。主に2つ用意する方法があります。1つ目は空気中など自然発生した乳酸菌を使用する方法です。この方法を使うと日本酒は生もと(きもと)と呼ばれます。

2つ目は人工の乳酸菌を添加して作る方法です。これは速醸(そくじょう)と呼ばれます。ほとんどの日本酒は速醸で造られますが生もとを行っているところも少なからずあります。天然由来の素材を使ってじっくり熟成させた日本酒は、アーモンドやココナッツのように独特の香ばしさを醸します。このように酒母によって日本酒の味にまた明確な違いが生まれてくるため、酒母づくりは日本酒の作り方の工程で重要なポジションなのです。

もろみづくり

日本酒の作り方はここから仕込みの工程に入ります。「もろみづくり」です。もろみとは、仕込みに用いるタンクの中で酒母、麹、蒸米が一体化し、白く濁って泡立ちのある粘度の高い液体のことです。しかし日本酒の作り方において「もろみ」とはつまり「仕込み」のこと、「つくり」のこととほぼ同じ意味合いを表します。

ではもろみづくりは具体的にどういったことを行うのでしょうか?もろみづくりでは出来上がった酒母、麹、そして蒸米、水を3回に分けてタンクに入れ、もろみを作り20日間程度かけて発酵させていきます。この3回に分ける工程には意味があり、「初添え」「中添え」「留添え」といって3回に分けることによってタンク内での雑菌の繁殖、汚染を防ぐとともに、発酵をスムーズに進める日本酒独自の作り方です。

また日本酒のようなアルコールは米と麹が合わさってデンプンに変わり、酵母がデンプンを食べることで生まれます。このようにアルコールは糖を取り込みますので、旨味や甘味、アルコール量を調整しながら造る必要があります。そのため3段階に分けて仕込みを行うことによって味を調整する作り方が行われます。

上槽とおり引き

日本酒の作り方の次の工程は「上槽(じょうそう)とおり引き」です。上槽とは、もろみから生酒を搾る工程のことを言います。杜氏が熟成したと判断したもろみへ、アルコール添加や副原料が投入され、これを搾って白米・米麹などの酒粕と、生酒となる液体分にわけます。簡単に搾りとだけ言うことも多いです。

上槽の方法は3つあります。自動圧搾機を使って一気に搾る方法、布袋に入れてゆっくり時間をかけて搾っていく方法、もろみを吊り下げてそこからしたたる日本酒の葉を集める方法です。ゆっくり搾れば搾るほどストレスがかかりにくく、日本酒本体の味をそのまま搾り出せます。そのため高級酒は3番目の搾り方が使われます。逆に機械を使って一気に搾ると空気に触れる時間は短いため、酸化があまりされないというメリットもあります。

濾過

搾り終えた日本酒にはまだ米粒や酵母が混じり、ほんのりと琥珀色や金色に濁った状態になっています。この濁りは雑味となるので活性炭を入れて色抜きと同時に雑味を「濾過」するのです。一般的に日本酒は透明であることが良いとされていますが、この濾過の工程を経ることによって、日本酒本来の旨味が損なわれるという見方もあります。そのためあえて濾過をしない酒造もあります。

火入れ・瓶詰め

仕込みの最後の工程は「火入れ」です。火入れを終えたら瓶詰めします。火入れとは日本酒の中に生息している火落ち菌という菌を殺し、長持ちかつ味を安定させるための処理です。60度前後のお湯に30分つける作業を行います。しかし火入れを行うことによって日本酒本来の旨みを損なうという観点、わざと微生物の動きを活発化させて熟成させるという観点から火入れを行わない日本酒もあります。

火入れの工程を経るかそうでないかによって、また日本酒の名称が付いてきます。普通酒は搾り、火入れ、貯蔵、火入れ、瓶詰めという工程をたどりますが、火入れを全く行わない場合は生酒と名称が付きます。2回目の火入れを行わない場合は生詰め、1回目の火入れを行わない場合は生貯蔵です。

火入れをしなければしないほど日本酒本来のフルーティーな味わいを楽しめますが、その分菌が殺菌されないままなので管理が難しくなります。瑞々しい日本酒が飲みたいというかたは、ぜひ生酒や生詰などを試して下さい。その後、半年程度貯蔵タンクに酒を寝かせて完成となります。

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日本酒の仕込みの時期について

以上、日本酒の作り方について簡単に紹介しました。次にこの仕込みの時期はいつ頃なのかを紹介します。日本酒は江戸初期まで四季醸造といって年5回四季を通じて造られてきました。しかし徳川幕府によって冬の時期に仕込む以外の作り方は禁止されてしまい、他の時期の作り方の技術が失われていった歴史があります。

四季醸造は昭和になって工業技術と空調設備によって復活しましたが、日本酒造りの時期は結果的に冬が最も適していることから、中小の酒造では今でも冬の時期に積極的に日本酒が造られています。これら冬の時期の作り方は「ひやおろし」、「寒造り(かんづくり)」などと呼ば れており簡単に紹介します。

「ひやおろし」とは?

ひやおろしとは、江戸時代冬の時期に仕込まれた新酒が劣化しないよう春先に火入れをした上で大補に貯蔵し、ひと夏を超して外気温と貯蔵庫の温度が同じくらいになった頃に火入れをせず、冷やのまま大補から樽におろして出荷する作り方です。秋の時期の日本酒として重宝されており、夏の時期に寝かせることで熟成が進み、絞りたての粗さが取れまろやかな味わいとなります。比較的飲みやすい日本酒になりますのでおすすめです。

「寒造り」とは?

寒造りは言葉の通り、気温の低い冬場の時期に仕込むことを言います。日本酒はもろみづくりなど、いくつかの工程で低温の環境が向いていることがわかっています。酵母に効果的な活動を促すためには低温の環境が適しているのです。そのため冬の時期に仕込む寒造りは四季醸造が復活した今でも特に熱心に行われています。

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日本酒が出来上がる工程を知って美味しく飲もう

日本には1500の蔵があり、20000種類もの日本酒が造られています。今回日本酒の作り方を簡単に紹介しましたが、工程の中に出てくるワードはラベルにきちんと書かれており、消費者側で好きな製造方法を選べるようになっています。この記事をヒントに日本酒への理解を深め、自分好みの味をぜひ探してみて下さい。

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