ハーブのタイムを料理に使うには?種類や使い方・育て方と効能も調査!
タイムといえば、フランス料理のブーケガルニをはじめ、ソースやドレッシングの風味づけや肉・魚介類の臭み消しにも使われるハーブです。ハーブの中でもナンバー1と言われるほどの強い殺菌作用のあるタイムは、古くから生活のさまざまな場面で活用されてきました。丈夫で育てやすく可憐な花まで楽しめます。今回はタイムの種類や育て方、さまざまな効能、そしてさらに料理での使い方まで紹介します。
目次
タイムはどんなハーブ?
タイムは草丈15から30cmほどの常緑性の低木で、ヨーロッパや北アフリカ、アジアなど北半球の広い地域に自生しています。葉はハーブとしてよく利用されています。また、春から夏にかけて枝先に白やピンク、うす紫の小さな花を咲かせるので、ハーブの中では育てやすいうえに花も楽しめる植物です。
タイムはギリシャ語で「防腐」という意味。その由来通り、古くから食用や薬用として親しまれてきました。料理ではソースやドレッシングの風味づけに使うほか、肉や魚介類の臭み消しに効果を見せます。殺菌効果があるため、ティーは冷ますとうがい薬にも。タイムにはチモールという成分が含まれており、ハーブの中でもナンバー1と言われるほど強い殺菌効果と抗ウイルス作用を備えています。
便利なハーブ・タイムの種類
北半球を中心に、300から400もの種類のタイムが自生しているとされています。主に地面をはって育つ「ほふく性」の種類と、茎が立ち上がって育つ「立性」の種類の2つに分けられ、一般には立性のコモンタイムという種類がハーブとして栽培されています。立性タイプはほとんどの品種が料理に利用されていますが、ほふく性タイプの一部は葉に細かい毛があったりするため、料理に利用されない種類のタイムもあります。
コモンタイム
一般的にタイムというと、コモンタイムのことを呼ぶようです。南ヨーロッパ原産で、別名「タチジャコウソウ」とも呼ばれる立性タイプの品種で、20から40cmにまで成長します。初夏には淡いピンク色の小さな花を球状にたくさん咲かせます。料理用のハーブとしてよく利用され、葉や枝はシチューやスープ、マリネ、肉、魚料理などに広く使われています。
シルバータイム
葉に白い縁取りの斑が入る、高さ25cmほどの立性の品種です。夏に淡いピンクの花をつけて冬から秋にかけては紫色に紅葉するなど、四季ごとに様々な姿で楽しませてくれます。シルバーリーフが美しいので寄せ植えなどにおすすめです。葉は斑入りですが、通常のタイムと同じく料理やハーブティーとしても利用できます。
レモンタイム
レモンタイムはコモンタイムとラージタイムをかけあわせて作られた品種です。葉は明るい緑色で、もむとレモンのような香りが楽しめ、シトラスタイムとも呼ばれています。立性タイプのタイムで高さは10から20cmになり、淡い紫色の花をつけます。コモンタイムよりさわやかで繊細な香りが特徴。レモンタイムの使い方としては、サラダのドレッシングなどに入れのが香りが引き立ちおすすめです。
ウーリータイム
草丈の低いほふく性の品種で、花壇やロックガーデンの装飾、グランドカバーによく利用されます。数多いタイムの種類の中では最小の品種で、コケのように地面を覆います。葉はやわらかな毛で覆われていて、手触りがよいことが特徴です。葉はスパイスとして料理に使用することができます。
クリーピングタイム
クリーピングの名の通り、地面をはうように広がって育つほふく性の品種です。繁殖力が旺盛で横にどんどん広がっていくので、ウーリータイム同様に鉢物やグランドカバーとしてよく利用されています。花の時期は4月から6月。花の色はピンクから薄紫ですが、白花の品種も流通しています。葉はさわやかな芳香があります。タイムの仲間ですが、通常はハーブとして料理には使用しません。
マスチックタイム
マスチックタイムの原産地はスペイン・ポルトガルで、原産地ではスパニッシュマジョラムとも呼ばれます。立性タイプで高さは20から30cmほどになり、葉はうっすらと毛で覆われています。夏に白い小花を球状に咲かせます。香りがとても強くポプリや入浴剤に向いており、香水の原料としても使われます。香りが強いので、料理に使う場合は個性が強い肉料理に向いていると言われています。
便利なハーブ・タイムの育て方
タイムは暑さ・寒さや乾燥にも強く、比較的育てやすいハーブと言われています。ただ、多湿に弱いので、梅雨時には高温多湿で蒸れて枯れてしまわないよう、水はけと風通しの良い場所に植えておく必要があります。様子を見て葉を収穫しておけば、問題なく育ちます。タイムは繁殖力が旺盛でどんどん伸びていきます
春から初夏にかけてピンクや紫の小さな花を枝先にたくさん咲かせるので、料理に使えるだけでなくガーデニングで楽しめるハーブです。香りは花の開花直前が最も強くなるので、ドライハーブにする場合はその時期に枝ごと切り取って束ねて乾燥させます。
便利なハーブ・タイムの効能
タイムの精油成分はチモール、カルバクロール、ボルネオールなどが含まれています。タイムのシャープなつんとする香りは、消毒力の強い成分チモールによるもので、歯磨き・石鹸・トニック・男性用ローションなどにも使われています。このチモールという成分が黄色ブドウ球菌や大腸菌に対しても抗菌力があります。風邪やインフルエンザの予防にも効果的です。
出典: https://horti.jp
タイムの効能は数多くありますが、中でも殺菌力が高いことは歴史的にも古くから知られていました。古代エジプトではミイラの防腐剤として使用されていたこと、古代ギリシャでは入浴剤として使われていたこと、ヨーロッパ中世では良い睡眠のために枕の下に置いていたことなど、タイムの効能の話はたくさん語り伝えられています。
現在でも、タイムが解剖標本や植物標本の保存用、紙の虫食い防止用として使われています。レストランや家庭の料理でもタイムを利用するのは、肉や魚介類の風味づけだけではなく臭みを消して保存力を高めるという意味合いがあります。
タイムの効能としては、消化を促進することも知られています。様々な種類のハーブティーがありますが、タイムの入った飲料は食べ過ぎた後に飲むものとして適していると言えます。胃のけいれん抑制や二日酔いにも効果があります。また、爽やかなタイムのハーブティーを飲むと喉がすっきりして、疲労感や倦怠感も緩和されてリラックスできるという効能もあります。
便利なハーブ・タイムを使った料理を紹介
タイムの味は、すっきりとした香りにぴりっとしたほろ苦い風味が特徴で、肉料理や魚料理に幅広く使えるハーブです。ローズマリーやセージとともに肉類のローストや煮込み料理によく使われます。鶏肉や白身の魚など淡白な食材の場合は、タイムだけで素材の美味しさを引き出すことができます。
フレッシュタイプは風味がマイルドなので量を多めに入れても大丈夫です。料理の中に茎が残ると触感を損ないますので、葉の部分だけを使うか、あとから茎を取り除きましょう。ドライタイプの場合は香りが強いので、量を加減しながら加えましょう。スープや煮込みの場合は、料理の最初から入れた方がコクが出ます。
便利なハーブ・タイムのハーブティー
フレッシュタイムのハーブティーはおうちで簡単に作れます。種類はコモンタイム、レモンタイム、クリーピングタイムがおすすめです。レモンタイムが爽やかで飲みやすいと評判です。
用意するのは、熱湯200mlとフレッシュタイムの枝約10本です。フレッシュタイムは種類や収穫の時期で風味が大きく違いますので、量は好みで加減しましょう。タイムを枝ごと洗って水気をふきとり、あらかじめお湯で温めておいたポットに入れます。そこに沸騰したてのお湯を注いで5から7分蒸らして、カップに注ぎます。タイムの爽やかな香りが元気にしてくれます。
便利なハーブ・タイムの使い方
タイムは殺菌効果がありますので、アロマオイルとして使うとお部屋全体を清浄に保つことができます。また寒い時期には風邪やインフルエンザの予防効果も期待できます。また、ドライタイムを入れた手作りのサシェはいかがでしょうか?気になるブーツや靴の中、タンスや引き出しの中に入れると防虫・防臭の効果があります。
まとめ:役立つハーブ・タイムを暮らしに取り入れよう!
今回はタイムの種類や育て方、さまざまな効能、そしてさらに料理での使い方やハーブティーまで紹介しました。いかがでしたでしょうか?タイムは丈夫で育てやすいので、コツさえつかめば本当に手間いらずですし、可愛い花まで楽しめます。ぜひ、お庭やプランターの片隅で育てた自家製タイムを、日々の生活の中に取り入れてみてください。