2019年05月21日公開
2024年09月16日更新
もつの部位の特徴と種類!ホルモンと違う?定番もつ鍋などのレシピも紹介
もつの部位にはどのような種類があり、それぞれどんな特徴があるのか知っているでしょうか?もつといえば、もつ鍋やもつ煮込みなどのレシピで多くの人に食べられていますが、もつは豚や牛、鶏でそれぞれ部位によって名前が違うものがあり、レバーやハツなど良く耳にするもつの部位から、センマイやハチノスなどあまり聞きなれない部位まで多くの種類があります。またもつはホルモンとどう違うのでしょうか?今回はもつの部位について、その種類と特徴、ホルモンとの違い、下処理の仕方や定番もつ鍋のレシピなどを紹介していきます。
もつの魅力を豊富な種類ごとに紹介
一口にもつといっても、豚や牛、鶏で部位ごとに名前が違うことも多く、さまざまな種類があります。そしてもつの部位ごとにそれぞれ味や旨みも違い、それぞれに豊富な栄養素が含まれています。
部位ごとにいろいろな味や食感を楽しめて、さまざまなレシピで味わえるのも、もつが幅広く親しまれている大きな特徴でもあります。それでは、もつの豊富な種類とそれぞれの魅力について詳しく紹介していきましょう。
もつとホルモンは違う?
それではまず、もつとホルモンはどう違いがあるのでしょうか?もつとホルモンの違いについて詳しく見ていきましょう。
基本的には同じものを指す
もつとホルモンは、名前は違いますが、基本的にどちらも牛や豚、鶏などの内臓を料理の材料として使う場合の言葉です。同じものを指していますが、使われる料理によって呼び方に違いがあります。では具体的に、もつとホルモンはどんな違いがあるのでしょうか?
もつ
もつとは、臓物を略した言葉で、一般的にはもつという言葉が広く使われています。もつ鍋やもつ煮など煮物料理によく使われます。
牛や豚などの内臓(臓物)
もつは、牛や豚、鶏など鳥獣肉の内臓全般を指しています。牛や豚の特定の部位や場所を限定して呼ぶわけではなく、肝臓のレバーや心臓のハツ、横隔膜のハラミなど、すべての内臓を含んでいる名称です。
全国的に使われている呼称
もつは全国的に広く呼ばれている呼称であり、特に関東では、鍋などの料理に使用される内臓の部位はもつと呼ばれています。また、臓物全般をもつ、大腸や小腸をホルモン、などと地域やお店によって呼称が分かれる場合があります。
ホルモン
一方ホルモンは、一般的に牛や豚の腸の部位を指します。ホルモン焼きとはいいますが、もつ焼きと呼ばれることは見かけないように、ホルモンは特に焼き肉に使われる部位のことをいいます。
関西で多く使われる呼称
ホルモンは一般的に関西でよく使われている呼称で、関東や九州ではもつと呼ぶ内臓の部位を、関西ではホルモンと呼ばれることが多いようです。関西ではホルモン焼きという名前がよく使われ、関東ではスタミナ焼きと呼ばれることもあります。
語源
ホルモンは本来、内分泌のホルモンが語源となっています。ホルモンと呼ばれる部位は、栄養が豊富で食べると元気になる部位、という理由で名付けられたとされているようです。
また、関西では牛や豚の腸はほとんど捨てられていたことから、動物の腸を「放るもん(捨てるもの)」と呼び、これがホルモンに変化したという説もあります。
もつの部位の種類と特徴
それではもつの中でもよく耳にすることの多い部位の種類と、その特徴や栄養、それぞれのもつの魅力について紹介していきます。
レバー(キモ)
レバーとは肝臓の部位のことで、肝(キモ)とも呼ばれます。牛や豚、鶏などが主流でフォアグラもレバーの一種です。鶏レバーはキモと呼ばれることもあります。ビタミンAやビタミンB群、鉄分、葉酸など豊富な栄養素を含んでおり、貧血防止や造血に効果があります。
栄養価は高いですが、癖や臭みがあるのできちんとした下処理が必要です。一頭の牛から取れるレバーの量は多いため、比較的安価で提供されます。食中毒の問題から生食の提供は現在禁止されており、主に焼きレバーや串レバー、また香味野菜で臭みを消したレバニラ炒めなどのレシピが定番です。
ハツ(ハート)
ハツとは心臓の部位のことで、英語のhearts(ハーツ)がなまったものを語源とされており、ハートとも呼ばれます。ハツには特にビタミンB12が多く含まれており、貧血予防や神経機能の正常化に効果があります。
特に牛のハツは脂肪が少なく淡白な味わいなので好まれることが多く、カロリーも少なめでヘルシーです。見た目はレバーに似ていますが繊維が多くコリコリとした食感を楽しむことができ、臭みが少ないので生食も可能です。串焼きはもちろん、フライパンで焼いてニンニクとハーブ、塩こしょうでステーキにするなどのレシピでおいしく頂けます。
比較的リーズナブルな値段で楽しめますが、人気が出始めており少しずつ価格が上がっているところもあります。
ミノ
ミノとは、牛の胃袋で4つあるうちの1つ目の胃袋の部位のことをいいます。その中央部分の分厚い部分は上ミノと呼ばれます。ミノを広げた時の姿が蓑傘(みのかさ)に似ていることにその名が由来します。ミノはビタミンB12を豊富に含んでおり、貧血予防やタンパク質の代謝を促します。
ミノはコリコリとした独特の食感があり、軟骨に似ていて弾力や歯ごたえがありますが、癖や臭みが少ないので比較的食べやすいもつの種類です。特に上ミノは厚みがあり、より脂があって柔らかく美味しいので人気があります。
ミノは焼いて食べることが多いのですが、鍋に入れても臭みが取れて美味しく頂けます。比較的安価で手に入れやすく料理法も簡単なので食べやすいもつです。
ハチノス
ハチノスとは牛の第2胃袋のことで、ハチの巣のように六角形が並んでいるような見た目からその名が付いています。糖質の代謝を助け疲労回復に効果のあるビタミンB1や、代謝を促進するビタミンB2、動脈硬化の予防やストレスの軽減に効果のあるパントテン酸、女性に嬉しいコラーゲンなどの豊富な栄養を含んでいます。
ハチノスは独特な食感と弾力があり、牛が反芻した消化物が通る場所なのでしっかりと下処理をして臭みを取る必要があります。生のままでは食べにくく、焼き肉や炒め物、煮物などのレシピに利用されることが多いですが、4つある胃袋の中でもっとも美味しい部位ともいわれ、クセのある味が人気の部位です。
下処理のしてあるハチノスも売られており多少高めの値段ですが、下処理をしていないハチノスはお手頃価格で手に入れることができます。
センマイ
センマイは牛の第3胃袋のことで、灰色で表面に細かい突起がたくさんあり、千枚もありそうなヒダ上の内壁がついていることから、センマイと呼ばれます。貧血予防に効果のあるビタミンB12を多く含んでおり、また肌や髪に艶を与える亜鉛や、細胞の再生を助けて脂質代謝の促進を促すビタミンB2などの栄養素が豊富です。
見た目は布のようですが、シャキシャキとした独特の歯ごたえがある部位で、さっぱりとした味でもつの中でも低脂質かつ低カロリーな部位として知られています。臭みが強く下処理が必要ですが、湯通しした状態で酢味噌を付けるレシピで食べることが多いです。焼き肉店ではセンマイ刺しが定番で、焼いたり鍋に入れたりしても美味しく頂けます。
市販されているセンマイは下処理されているものが大半で、比較的安価で手に入れることができます。
コプチャン(ヒモ・ホソ)
コプチャンとは牛の小腸の部位で、地域によっては長いひも状なのでヒモ、細長いのでホソとも呼ばれます。韓国語では牛の大腸をテッチャンと、小腸をコプチャンと呼びます。
貧血防止に効果のあるビタミンB12のほか、代謝やアルコール分解も助けるナイアシン、肌に潤いを与えるコラーゲンなどの栄養素が豊富です。見た目が丸くつるつるとしており、焼き肉屋でもよく見かける定番のもつです。やわらかくぷるぷるしており、脂質が多いのでジューシーで人気があります。
焼き肉はもちろん、照り焼きや串刺し、鍋などさまざまな料レシピで食べることがができ、一頭からたくさんの量が取れるため比較的リーズナブルに購入することができます。
テッチャン(シマチョウ)
テッチャンとは牛の大腸の部位で、綺麗なシマ模様が入っていることからシマチョウとも呼ばれます。コプチャン同様、貧血防止に効果のあるビタミンB12、代謝を助けるナイアシン、肌に潤いを与えるコラーゲンなどの栄養を豊富に含んでいます。
大腸は匂いや汚れが多いので、しっかり下処理をされて販売・提供されます。テッチャンは小腸よりも脂が少なく、厚みがあってしっかりとした食べ応えがあります。くどくなく丁度良い脂身が特徴で、とろける食感で人気があります。お店でホルモンと呼ぶ場合は一般的にテッチャンを指すことが多く、もつ鍋でもよくこの部位が使用されます。
コプチャンに比べて脂が少ないため低カロリーな部位ですが、テッチャンのほうが1頭から取れる量が少ないためコプチャンよりは値段が高いですが、どちらも全体的にリーズナブルに購入できます。
コブクロ
コブクロとは子宮の部位で、少しピンクがかった色をしており見た目に抵抗のある方もいるようですが、焼いてしまうと縮んであまり気にならなくなります。脂肪が少ない分ビタミンやミネラルが少ないですが、タンパク質が豊富で、新陳代謝をアップさせる効果につながりダイエット中でも食べられる部位です。
コブクロはコリコリとした歯切れの良い食感が特徴です。焼くと少し柔らかくなって食べやすくなります。クセがないのでホルモンにあまり慣れていない方でも食べやすいおすすめの部位です。
弾力が強く薄いので、お刺身でも食べられます。主に串焼きや煮込み料理のレシピに使用され、若い雌牛のほうが脂が少なく低カロリー・高タンパク質なので好まれて食べられます。子宮なので雌から1個しか取れず希少な部位として扱われるため、値段は高めで取り扱っているお店も少ないようです。
ハラミ
ハラミとは牛の横隔膜の背中部分で、見た目は赤身の肉によく似ていますが、肺を支えている部位で肺にくっついているため内臓として扱われます。抗酸化作用を持ち動脈硬化の効果のあるビタミンEや、丈夫な骨を作るビタミンK、骨の形成を助けるマンガンなどの栄養素が豊富に含まれています。
牛のハラミは、肉厚で噛むほどに旨みを味わうことができ、脂身が少なくて柔らかいため人気の高い部位です。独特な噛み応えはありますが、低カロリー・高タンパク質なのでダイエットにも向いています。焼き肉で食べるのが一般的ですが、お店によっては刺身の提供もあり、煮込み料理にも利用されます。
ハラミは1頭から2~3kgくらいしか取れない貴重な部位なので、ホルモンの中でも高めの価格です。特に黒毛和牛など高級肉のハラミはかなり高額な値段になります。
その他の種類
他にも、牛の第4胃袋であるギアラは、大きなひだがあるのが特徴で、ホルモンの中でも味が濃厚なため通好みの味を楽しむことができます。牛の舌の部位であるタンは人気が高く、1頭から取れる量も少ないためホルモンの中では最も高値で提供されます。
しっぽの部位であるテールや肺の部位であるフワなど、内臓の各部位ごとにいろいろな名称があります。牛や豚などによっても種類が違うもつ、一般的に食べられているものから好き嫌いが分かれるものまで、覚えられないほどの多くの種類に分けることができます。
もつの下処理方法と定番のもつ鍋のレシピ
いろいろな種類があって美味しく人気のあるもつですが、家で美味しく食べるには下処理が欠かせません。美味しく食べるためのもつの下処理方法と、定番のもつ鍋レシピを紹介します。
下処理で臭み取り
内臓であるもつは、脂肪や汚れがついているため臭みが強く残っています。美味しく食べるにはしっかりと下処理をしましょう。スーパーで買うもつはボイル済みされているものも多く提供されていますが、ボイル済みのものでもボイルしてから時間が経っています。
新鮮なもつならあまり臭みが気にならないかもしれませんが、きちんと下処理されていないと、調理した後に臭みが残っていて食べる気が失せてしまう、ということになる可能性もあります。もつ調理する前には丁寧に下処理をして、しっかり臭み取りするのがおすすめです。
やり方
もつの臭みを家で下処理して取るには、いくつかの方法があります。まず塩をもつにしっかりともつにもみ込んでから水洗いをしましょう。臭いだけでなく、ぬめりも取ることができるので、流水でたっぷりと丁寧に洗います。
ホルモンを洗ったらよく水を切って、30分くらい牛乳につけておきます。牛乳が少しピンク色になったら、牛乳を捨てて水洗いして牛乳を洗い流します。これで臭みが取れているはずです。牛乳を使わずに、焼酎やしょうゆを使っても臭みを取ることができます。
それでも臭みが気になる場合は、しょうがやニンニクなどと一緒に下茹でしてぬるま湯で洗ってあげましょう。
もつ鍋の材料と作り方
それでは、もつを美味しく食べる定番料理・もつ鍋の基本的な作り方のレシピを紹介します。もつ鍋は、もつのどの部位でも好きな部位を入れて煮込めるので、手軽にもつを楽しむことができます。にんにくとしょうがでもつの旨みを最大限に引き出したレシピです。
材料
- キャベツ1/2玉
- もやし2袋
- ニラ1束
- お好みの部位のもつ400~500g
- 乾燥にんにくチップ、白ごま、輪切り唐辛子適量
- 水4カップ
- 和風だしの素4g
- 薄口しょうゆ大さじ6
- みりん大さじ2
- 砂糖小さじ1
- おろしにんにく、おろししょうがチューブ5cm
作り方
- もつは下処理をしておきます。鍋に色のついた材料を入れ溶かし、一口大に切ったもつを入れて中火にかけます。
- 沸騰したらアクをすくい、アクがでなくなったら火を止めます。
- ざく切りにしたキャベツをドーナツ状に鍋に入れ、真ん中にもやしを山盛りに入れます。さらに7cmほどに切ったニラを並べ、乾燥にんにくチップを散らします。
- 白ごまと輪切り唐辛子をトッピングし、強火にかけてキャベツがしんなりしてきたら出来上がりです。
もつは安くて栄養豊富でヘルシー!
もつは種類が豊富で、部位によってそれぞれ違った名称を持ち、どの部位も栄養たっぷりで値段も安いものが多く、かつカロリーが低くヘルシーに食べることができる優れた食材です。クセがあってもしっかりと下処理をすれば、どの部位も美味しくレシピに加えることができます。
ぜひ栄養満点でヘルシーなもつを取り入れて、紹介した簡単に作れるもつ鍋のレシピを参考にしながら、家でも手軽に美味しくもつ料理を楽しみましょう!