ピーマンに含まれている栄養素は?加熱調理のコツやレシピも紹介
ピーマンは、実は栄養豊富な野菜であることをご存じでしょうか。この記事では、ピーマンが持つ栄養素とその効果について説明しています。おいしいピーマンの選び方や、ピーマンを使ったレシピも紹介します。栄養たっぷりのピーマンを毎日の食卓に上手に取り入れていきましょう。
「ピーマンの旬っていつだったっけ?」
「何の栄養素が含まれているの?」
「ピーマンは苦いから、あまり好きじゃない。」
ピーマンはスーパーなどでよく見かける身近な野菜ですが、栄養素や効果など、案外知らないことが多いのではないでしょうか。苦味が理由で苦手な人もいるでしょう。
この記事では、ピーマンが持つ栄養素とその効果について説明しています。ピーマンの旬や産地、調理のコツやおいしいピーマンの選び方、ピーマンをおいしく食べるためのレシピについても紹介しています。
この記事を読むことで、今までよく知らなかったピーマンについて理解を深め、ピーマンの栄養を効果的に摂取できるようになるでしょう。栄養たっぷりのピーマンを食卓に取り入れて、健康的な食生活を送っていきましょう。
ピーマンとはどういう野菜?
ピーマンといえば、大人でも子どもでも苦手な人が多い野菜でしょう。苦手な理由をきけば、苦みが強いから食べられないという場合がほとんどです。しかしそんなピーマンですが、野菜の中では栄養価がとても高く、またその効果や効能が大変優れていると言われています。
では一体どのような効果や効能がピーマンの中に入っていて、その栄養価はどんなものがあるのか、ピーマンの歴史、旬や産地と合わせてさらに細かく紹介していきます。
ピーマンの歴史
さて、ここからピーマンについて細かく紹介していきましょう。まずピーマンの効果や効能、栄養価はもちろんですが、ピーマンはどこから来たのかというピーマンの歴史から触れてみます。
ピーマンはもともとは唐辛子と言われており、紀元前8000年前ごろに中南米にて生産されていたと言われています。15世紀の大航海時代、コロンブスらがヨーロッパに持ち込んだことで香辛料などに使われるようになりました。
その後アメリカで品種改良され、辛味が完全に取り除かれた唐辛子はイギリスなどに持ち込まれ「スィートペッパー」と呼ばれます。甘味が強い唐辛子は明治時代の初期にアメリカから日本へ持ち込まれました。
当初は通訳して「甘唐辛子」と言われていましたが、フランス語のピメントという唐辛子の意味を持つ単語を転用して「ピーマン」と名付けた事からピーマンという名前で日本では広がり、固有名詞になりました
ピーマンの旬や産地
ピーマンは、7月から9月頃が旬とされる夏野菜です。日本全国で生産されており、なかでも国内の出荷量の7割ほどを占めているのが、茨城県、宮城県、高知県、鹿児島県、岩手県の5県になります。
旬はありますが、現在はハウス栽培もされているため、年間を通して市場に出回っているのが現状です。しかし、旬の時期のピーマンには、ビタミンCや鉄といった栄養素が通常よりも多く含まれています。そのため、夏場はピーマンを意識的に献立に取り入れると良いでしょう。
ピーマンの栄養素と効果
ここから、ピーマンの栄養素と効果について紹介していきます。細かくどういう栄養が入っているか知ることで、ピーマンの栄養がいかに高く優れているか理解し、更にピーマンを好きになるきっかけにしていきましょう。
出典:青ピーマン/一般成分表-無機質-ビタミン類|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
参照:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06245_7
青ピーマン(100g)中の栄養素 | 含有量 |
---|---|
食物繊維 | 2.3ℊ |
ナトリウム | 1mg |
カリウム | 190mg |
リン | 22mg |
鉄 | 0.4mg |
亜鉛 | 0.2mg |
クロム | 1㎍ |
β‐カロテン | 400㎍ |
ビタミンE | 0.8mg |
ビタミンK | 20㎍ |
ビタミンB1 | 0.03mg |
ビタミンB2 | 0.03mg |
ビタミンB6 | 0.19mg |
ナイアシン | 0.6mg |
葉酸 | 26㎍ |
ビタミンC | 76mg |
ビタミンCの量が多い
ピーマンに入っている栄養価と栄養の代表格としてあげるならば、ビタミンCが適切でしょう。ピーマンに含まれるビタミンCはレモンの2倍ほどあると言われており、夏野菜代表と言われる理由はその点にもあります。
ビタミンCは免疫力の強化、抗酸化作用をはじめとするいろいろな効果、効能を持っている栄養価です。コラーゲンの生成にも欠かせない栄養素であるため、不足すると血管が脆くなったり、貧血症状が出たりします。
ビタミンCは、メラニン色素の沈下を防いでシミやソバカスも防ぐため、美肌効果も期待できます。水溶性ビタミンのため、長時間水にさらしたり茹でることでどんどん失われてしまうことに注意しましょう。
出典:ビタミンCの働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
参照:https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-c.html
β-カロテンも豊富に含まれる
ピーマンはβ‐カロテンを豊富に含む野菜です。β‐カロテンは体内でビタミンAに変換されて皮膚や粘膜、目の健康を維持したり、抗酸化作用や抵抗力アップにも効果があると言われています。
同じピーマンでも、赤ピーマンの方が青ピーマンよりも約3倍のβ‐カロテンを含んでいます。実は、赤ピーマンは青ピーマンが完全に熟成したピーマンであり、表層の赤い色は、青ピーマンにある葉緑素のクロロフィルがカプサンチンに変化した事で赤くなっているのです。
β‐カロテン以外にも、赤ピーマンはビタミンEを約8倍、ビタミンCを約2倍と、青ピーマンよりも多く含んでいます。そのため、美肌やアンチエイジング効果をさらに高めたい人は、赤ピーマンを摂取するのがおすすめです。
出典:ビタミンAの働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネット
参照:https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-a.html
出典:ピーマン - カロリー/栄養成分/計算 | カロリーSlism
参照:https://calorie.slism.jp/106245/
出典:赤ピーマン - カロリー/栄養成分/計算 | カロリーSlism
参照:https://calorie.slism.jp/106247/
苦味はクエルシトリンが影響
ピーマンには独特な苦味があるため、子供に限らず大人でも苦手な人がいるでしょう。ピーマンの苦味に影響しているのは、クエルシトリンと呼ばれる成分です。
実は、クエルシトリン単体では渋味しか感じません。これにピラジンという、ピーマンに同じく含まれる成分が加わることで、ピーマン独特の苦味になることがわかっています。
クエルシトリンはただ味を苦くしているだけではなく、利尿作用や抗動脈硬化作用、便通改善作用があると言われており、ピーマンの栄養価を高めている成分の1つでもあるのです。
出典:元気通信|生薬百選
参照:https://www.yomeishu.co.jp/genkigenki/crude/060825/index.html
ピーマンの効果的な食べ方
ここからは、ピーマンの効果的な食べ方について紹介していきます。ピーマンが持つ栄養素と特徴について知り、その効能を十分に活用できるような食べ方を工夫していきましょう。
栄養素を逃がさない調理のコツ
ピーマンは栄養価の高い夏野菜です。カリウムや鉄などのミネラル、水溶性ビタミンのビタミンCや、B1、B2などのビタミンB群以外にも、脂溶性ビタミンのビタミンA(β‐カロテン)やビタミンE、Kも含みます。
これらの脂溶性ビタミンは、油と合わさることで吸収力のアップが期待できます。そのため炒め物や、オイルを使用したドレッシングを使って食べるなど、油と合わせるのはおすすめの調理方法の1つです。
また、ピーマンは生で食べることも可能な野菜です。加熱によるビタミンCの消失を少しでも抑えたいときは、生のまま食べても良いでしょう。ただし、生のピーマンはいっそう苦味を強く感じるため、苦いのが苦手な人は加熱処理した方が食べやすくはあります。
出典:ピーマン - カロリー/栄養成分/計算 | カロリーSlism
参照:https://calorie.slism.jp/106245/
ピーマンの栄養素は加熱するとどうなる?
ビタミン群の中でも水溶性のビタミンCがあるピーマンは、加熱したら栄養が消えるのではないかと思う人もいるでしょう。実はピーマンには加熱からビタミンCを守るビタミンも併せ持っています。それがビタミンPとも呼ばれるヘスペリジンです。
ヘスペリジンはビタミンCの吸収を助け、毛細血管を丈夫にして血管、血液を綺麗にする効果があります。ヘスペリジンが熱からある程度守ってくれるため、ピーマンを加熱調理したとしてもビタミンCをしっかり摂取できるでしょう。
出典:ビタミンP作用|ヘスペリジン研究会
参照:http://www.ghes.jp/ghes/hesperidin/effects05/
わたや種は食べられる?
調理の時、捨てられがちなピーマンの白わたと種の部分は、苦味しかないと思われがちですが、実は栄養がたっぷり詰まった部位になります。白わたや種の苦味は人体への影響はほぼなく、美容効果など様々な効能が期待できます。
白わたや種には血流を良くするカプサイシンや、血液をサラサラにするピラジン、余分な水分を体外に排出する効果があるカリウムが、果肉より多くあると言われています。
白わたや種は、苦味が強いため食用としては避けられがちです。しかし栄養に富んだ部位であるため、なるべく捨てないように調理を工夫してみましょう。
出典:野菜の豆知識|「ピーマン」タネやワタも栄養豊富 | 世田谷自然食品
参照:https://www.shizensyokuhin.jp/archives/articles/900
ピーマンのレシピ3選
ここからは、ピーマンを使ったレシピを紹介していきます。
ピーマンは炒めても茹でても、生で食べても大丈夫な、栄養たっぷりの野菜です。レシピを増やして、いろいろな調理方法でピーマンを食卓に並べていきましょう。
1:箸がとまらない!梅ピーマンのおひたし
「箸がとまらない!梅ピーマンのおひたし」は、ピーマンと梅干を和えて醬油で味を調えた、さっぱり系のおひたしです。ピーマンを茹でる代わりに電子レンジで加熱するため、調理時間を短縮できたり、茹でることで栄養素が失われるのを防げるでしょう。
梅干に含まれるクエン酸には、酸性に傾いてドロドロになった血液をサラサラに戻したり、疲労回復効果が認められています。また、インフルエンザウイルスや食中毒の原因となる細菌の増殖を抑える効果も確認されています。
梅干は、栄養価の高いピーマンと相性ばっちりの食材と言えるでしょう。ただし、梅干には塩分も含まれているため、味付けに使う醤油の量を調整して、塩分の過剰摂取にならないように注意が必要です。
出典:梅の効能 | 紀州梅効能研究会
参照:http://www.umekounou.com/effect/
2:ご飯がすすむ!てりてり♪ピーマンの肉巻き
「ご飯がすすむ!てりてり♪ピーマンの肉巻き」は、細切りにしたピーマンに豚バラ薄切り肉を巻いて、照り焼き味で味付けしたこってり系のレシピです。主菜としてはもちろん、お酒のおつまみとしてもピッタリの一品でしょう。
豚肉のタンパク質は良質で、代謝を促進して疲労回復効果を発揮するビタミンB1や、皮膚の健康維持に欠かせないビタミンB6といった栄養素が多く含まれているのも嬉しいポイントです。
しかし豚バラ肉は脂質も多いため、気になる人は調理の時に出てくる油をキッチンペーパーでふき取って取り除くなどして、摂取する脂質を減らせるように工夫すると良いでしょう。
出典:豚肉 - カロリー/栄養成分/計算 | カロリーSlism
参照:https://calorie.slism.jp/111129/
出典:ビタミンB1の働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネット
参照:https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b1.html
出典:ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネット
参照:https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b6.html
3:ピーマンの消費にも!ご飯が進む~!たっぷりピーマンのひじき煮
甘辛味でご飯が進みます~♪
ツナの旨味も加わって
ピーマンが苦手な方でもペロリと食べていただけるのでは…! ピーマンがたくさんあって困っている方にもおすすめの一品!
ご飯にのせて食べると最高に美味しいですよ♡
お弁当にもおすすめ♪ 作り置きも出来るので沢山作っておくと便利です♪
※冷蔵庫で3日程度保存可能です。
「ピーマンの消費にも!ご飯が進む~!たっぷりピーマンのひじき煮」は、ピーマン、芽ひじき、ツナ缶を甘辛く味付けした、ご飯のお供にピッタリの一品です。ピーマンをたくさん使うので、ピーマンを大量に余らせている時にもおすすめのレシピです。
芽ひじきは低カロリーで、ビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含む食材として知られています。なかでも、芽ひじきが持つミネラルの1つであるクロムは、体内で血糖降下作用を持つホルモンであるインスリンの働きを促進する効果があります。
クロムは、ビタミンCと一緒に摂取すると体内での吸収効率がアップするため、ピーマンとの相性抜群な食材の1つでしょう。
出典:ひじき - カロリー/栄養成分/計算 | カロリーSlism
参照:https://calorie.slism.jp/109031/
出典:クロミウム | 厚生労働省
参照:https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/03.html
おいしいピーマンの選び方や適切な保存方法
ピーマンはどれも同じ量の栄養素が含まれている訳ではなく、栽培環境によって変動が見られます。なるべくであれば、栄養たっぷりでおいしいピーマンを選びたいものでしょう。
また、購入したピーマンがいつの間にか傷んでしまい、食べられなくなって廃棄しなければならないといった状況も、できれば避けたいものです。
ここからは、おいしいピーマンの選び方や適切な保存方法について紹介していくので、参考にしてみてください。
ピーマンの選び方
鮮度の良いピーマンかどうかは、見た目や触った感じである程度判断が可能です。新鮮なピーマンは果皮に光沢とハリがあり、色が濃く鮮やかで、ヘタの切り口が瑞々しく、黒ずんだりしていないといった特徴があります。
ピーマンのヘタは通常5角形ですが、栄養をしっかり吸収して育つとヘタの角が増えることが知られています。ピーマンを選ぶときは、ヘタの角にも注目してみると良いでしょう。
ピーマンの保存方法
ピーマンは、常温でも、冷蔵、冷凍でも保存可能です。常温保存では冷暗所において、1週間以内に食べきるようにしましょう。カットピーマンは常温保存には向かないため、冷蔵または冷凍保存がおすすめです。
カット前のピーマンは、冷蔵では3週間ほど保存可能です。キッチンペーパーでくるんでポリ袋に入れ、袋の口は完全に閉じずに冷蔵庫の野菜室に入れましょう。カット済みのピーマンの場合は傷みやすいため、冷蔵保存であっても3日以内を目途に食べきった方が良いでしょう。
冷凍では4週間ほど保存可能です。ジッパー付きの袋に入れて冷凍庫に保管しましょう。ピーマンは解凍しなくても調理に使えるため、冷凍庫に入れる前にあらかじめ丁度良いサイズにカットしておくのがおすすめです。
栄養たっぷりのピーマンを上手に活用しよう!
ピーマンは夏野菜の代表であると同時に、野菜の中では一つからたくさんの栄養が摂れると言われている優れものです。ピーマンの苦味が苦手な人でも、工夫すれば食べやすくなります。
レシピのレパートリーを増やして、栄養豊富なピーマンを毎日の食事に上手に活用していきましょう。