玉ねぎの保存方法は?長持ちさせるための冷蔵・常温・冷凍など裏技も紹介
玉ねぎといえば料理店だけでなく、通常どこの家庭にも当たり前にある、用途多彩で便利な常備野菜の1つです。でも玉ねぎの保存に適した方法は案外知られていないものです。今回はそんな玉ねぎの保存方法として、冷蔵・常温・冷凍の中からもっとも適した方法を始め、玉ねぎの残り方や切り方ごとのおすすめ保存方法だけでなく、玉ねぎの単なる保存だけじゃ終わらない、料理にも応用できる裏技まで紹介します。
目次
食卓の必需品の玉ねぎ
玉ねぎといえば、サラダから炒め物、スープにいたるまで、ありとあらゆる料理で大活躍してくれる野菜です。そのため、どの家庭でもまず常備している野菜の1つです。玉ねぎは一年中売っていることもあり、季節を問わず利用できる便利な野菜です。今回はこの玉ねぎを取り上げて紹介します。
玉ねぎってどんな野菜?
玉ねぎは、中央アジア原産のネギ科の野菜です。日本には、江戸時代に長崎に伝わり、当初は観賞用で食べ物ではありませんでした。字も「葱頭」と書いて玉ねぎと読んでいました。こんな玉ねぎが野菜として栽培されるようになったのは、明治時代に入ってからです。1878年(明治11年)に、札幌農学校で栽培されるようになりました。
現在出回っている玉ねぎは、春に種をまいて夏に収穫する品種と、秋に種をまいて梅雨入り前に収穫する品種に分かれます。春まきの品種は北海道で、秋まきの品種は関東より西の地域で多く栽培されています。玉ねぎは、品種さえ間違えなければ病害虫にも強いため、素人でも簡単に栽培できる野菜です。家庭菜園に興味のある人は、育ててみても楽しめます。
良い玉ねぎを見分ける方法
玉ねぎも食べるなら、美味しくて質の良いものを選びたいものです。食べようとしたら芽が出ていたとか、腐っていたとか、残念な経験を持つ人も多いでしょう。保存方法ももちろん大切ですが、まずはちゃんとした玉ねぎを選ぶところから始めましょう。
玉ねぎを買うときは、球形に近くて皮に傷がなく、さらに艶の良いものを選びましょう。芽や根が出ているものは、保存に向かないだけでなく風味も落ちるので、必ず避けるようにします。そして手に持ってみて重量感があり、傷みやすい上の部分がしっかりして硬いものが良い玉ねぎです。
意外と知られていない玉ねぎの保存方法
玉ねぎはどの家庭にあるほど一般的な野菜ですが、その正しい保存方法は意外と知られていません。買ってきたら、そのまま冷蔵庫の野菜庫に入れて保存している家庭が多いです。確かに冷蔵庫の性能自体は年々進化しています。より野菜が傷みにくいように、温度や湿度の管理も細かくなっています。
ですが、野菜ごとに適した保存方法があります。全ての野菜が同じというわけではありません。玉ねぎは、ちゃんと正しい保存方法を守れば、2ヶ月近くも保存できる優秀な野菜です。ですが間違った保存方法をとると、あっという間に腐ったり芽や根が出てしまいます。良い玉ねぎを選んだら、今度は正しい保存方法で長持ちさせましょう。
新玉ねぎや赤玉ねぎの保存方法と保存可能期間
一般的に売られている玉ねぎには、一度表面をしっかり乾燥させて長期保存しやすくなっている玉ねぎと、収穫したてで水気が多く辛味が少ない新玉ねぎの他、サラダの彩りに人気の赤玉ねぎなどがあります。長期保存向きの茶色いいわゆる玉ねぎはともかく、新玉ねぎと赤玉ねぎはその特性上、1週間ほどしかもちません。
新玉ねぎや赤玉ねぎの保存方法は、1個ずつ湿気とり用に新聞紙で包んだ後に、他の湿気が寄ってこないようにポリ袋に入れた後、冷蔵庫に入れて保存しましょう。なるべく間隔をあけて圧迫しないように置いて、こまめに新聞紙を交換するのも、保存期間を長くさせる方法です。それでも1週間ほどで傷んでしまうので、早めに食べきるのがおすすめです。
玉ねぎの保存方法は常温が基本
玉ねぎの保存方法としてもっとも基本的なのは常温保存です。実は玉ねぎは、保存方法にかなりうるさい野菜です。他の野菜は乾燥するとしなびてしまうため、ある程度の湿度が無いと傷みが早くなってしまいます。ですが玉ねぎの場合は逆です。湿気が多いとすぐに腐って傷んでしまいます。そのため玉ねぎは、湿度の高い冷蔵庫の野菜庫よりも、湿度の低い常温での保存に向いているのです。
さらに玉ねぎは本来冬の野菜のため、暑さにも弱いです。そのため直射日光は避け、涼しくて風通しの良い場所に保管しましょう。また、りんごと一緒に保存すると、りんごから出るエチレンガスが玉ねぎを傷める原因になります。そのため、玉ねぎはりんごから離して保管するのも大事です。もし傷んだ玉ねぎがあったら、他に傷みが伝染しやすいため、すぐに取り出して処分しましょう。
玉ねぎの常温保存の方法
玉ねぎが暑さと湿度に弱く、傷み始めると他の健康な玉ねぎも傷んでしまうことはわかりました。では玉ねぎに適した常温保存方法とは、どのようにするのが望ましいのでしょうか?まず大切なことは、玉ねぎの苦手な湿度対策をきちんと行うことです。そのため湿度の高い冷蔵庫の中はもちろん、湿気の溜まりやすい場所を避けて保存しましょう。
玉ねぎの適切な常温保存方法は、直射日光の当たらない涼しい風通しの良い場所で、できるだけお互いの玉ねぎが当たらないように保存することです。やり方としては、玉ねぎやみかんの入っていたネットや、伝線したストッキングを利用する方法が手軽でおすすめです。
玉ねぎをネットやストッキングに1個入れたら、少し余裕をとって一度結び目を作ります。そしてまた1個入れたら結び目を作るのを繰り返せば、下になった玉ねぎが上の玉ねぎの重みで押しつぶされて、傷みが早まってしまうのを防ぐことができます。ちょっとしたひと手間で保存期間が大きく変わるので、ぜひやってみてください。
玉ねぎをネットやストッキングに入れ終わったら、風通しの良い涼しい軒下などに吊るしておきましょう。使うときには、玉ねぎのすぐ上の結び目の下の部分をはさみで切れば、必要な個数だけをとることができます。残った玉ねぎはそのまま保存できるので、ぜひ試してみてください。
他の常温保存の方法としては、玉ねぎをネットやストッキングに入れずに1個1個間隔を開けて紐で縛り、それぞれの玉ねぎが当たらないように、それぞれをずらして吊るす方法もあります。ですがこの方法だとかなりの手間がかかるので、伝線したストッキングをとっておけば無駄がなく、余計な経費もかからないのでおすすめです。
玉ねぎを吊るす場所がない場合の常温保存方法
玉ねぎを吊るしたくても、スペースの関係などでなかなか吊るせる場所の確保が難しい家庭もあります。そういう家庭の場合は、玉ねぎを1個1個新聞紙で包んだ後にダンボールやかごに入れて、風通しの良い涼しい場所で保存しましょう。先にも紹介したように、新聞紙には湿気予防の効果があります。それでも玉ねぎ自体も呼吸しているため、傷んでいないか定期的に確認しましょう。
他にも玉ねぎの保管に適した風通しの良い涼しい場所は、害虫にとっても良い環境となるため虫が寄って来やすくなります。そのため新聞紙の交換同様、周辺の掃除や虫がいないかのチェックも怠らないようにしましょう。持ち手のあるダンボールやかごに入れて保管していると、移動も楽なのでおすすめです。
自分で育てた玉ねぎの常温保存方法
玉ねぎは栽培が簡単なので、家庭菜園でも育てやすい野菜です。春撒き・秋撒きどちらのタイプでも、玉ねぎの上の部分が折れて葉が倒れたら収穫時です。収穫直後の玉ねぎは、いわゆる新玉ねぎです。葉はそのまま切らずに残して、それぞれの玉ねぎが当たらないように縛り、日の当たらない風通しの良い軒下に吊るしておけば、こちらも常温で長期保存が可能です。
夏場の玉ねぎの保存方法
いくら玉ねぎが常温保存が良いといっても、日本の夏は高温多湿のため外気のほうが湿度も気温も高いのが普通です。そのため家の中で保存することになります。家の中でも湿度が低く、風通しの良い涼しい場所があれば理想的ですが、クーラーが普及しているとはいえ、なかなか思うところがないのが実情です。
その場合には、玉ねぎも冷蔵庫での保存が望ましくなります。1個1個を新聞紙で包み、ポリ袋に入れた後に口をゆるめに縛ります。しっかり縛ってしまうと中が蒸れてしまって逆効果になります。いずれにせよ湿度管理も兼ねて、こまめに確認をするついでに新聞紙を交換していれば、1ヶ月近く保存しておくことができます。
切った玉ねぎの冷蔵庫での保存方法
玉ねぎを使うとき、残った分はもちろん冷蔵庫に入れて保存することになります。一度切れ目を入れた玉ねぎは、その切り方で保存方法にも違いが出てきます。スライスやみじん切りなどの切り方別の保存方法や、保存可能期間を紹介します。
スライスした玉ねぎの保存方法と保存可能期間
切り方にかかわらず、切った玉ねぎは切り口から乾燥してしまいます。乾燥してしまった玉ねぎは風味が落ちるだけでなく、当然傷んでしまいます。そのため切り口は、なるべく空気に触れないようにする必要があります。半分にカットしただけの玉ねぎの場合は、切り口全体を空気に触れないようにラップで覆うようにすれば問題ありませんが、早々に食べきってしまったほうが良いことはいうまでもありません。
スライスした玉ねぎは、半分に切った場合よりもさらに空気に触れやすくなります。そのため、ジップ付きの保存袋に入れて空気をしっかり抜いてから、冷蔵庫で保存するようにしましょう。保存袋がない場合は、湿らせたキッチンペーパーで包んでから、タッパーで密封すると良いでしょう。いずれにせよ保存期間はわずか2,3日なので、早めに食べきりましょう。
玉ねぎには酵素が多く含まれているため、そのまま冷凍するよりも一度加熱して、酵素を壊してから冷凍したほうが長持ちします。ただし長持ちする反面、いつ作ったものかわからなくなることがあります。後々わからなくならないように、冷凍した日を保存袋に書いておくようにしましょう。玉ねぎの冷凍保存可能期間は、1ヶ月が目安になります。
切った玉ねぎの保存期間は、半分でもスライスでも冷蔵庫に正しく入れておいても短いです。みじん切りはなおのことなので、できるだけ必要なときに1個丸々使い切るようにしたいものです。ですが実際、必要な量はその時々で変わります。残り方によっては酢やしょうゆ、オリーブオイルなどに漬け込んで、ドレッシングを作ったり漬物として楽しむのもおすすめです。
冷凍保存した玉ねぎの解凍方法
冷凍保存した玉ねぎは、加熱処理をしていなくてもシャキシャキ感がなくなってしまうため、サラダには向きません。そのため冷凍保存した玉ねぎは、そのまま調理に使うのがおすすめです。必要な量だけ割って取り出したり、初めから小分けに冷凍保存しておいて、そのままカレーや炒め物に利用すると解凍の必要もなくすぐ使えます。
ただし、外食産業で使っている玉ねぎの多くが冷凍保存された玉ねぎです。解凍の仕方に注意すれば、生ほどではありませんがそのまま食べられないわけではありません。冷凍玉ねぎを解凍するときは、加熱したり水にさらすのではなく、手でほぐしてから常温で自然解凍するといいでしょう。もちろん電子レンジを使っても解凍できます。
冷凍保存を利用した玉ねぎの使い方の裏技
玉ねぎは生のまま保存しても、冷凍することにより細胞内の水分が膨張して、細胞壁を壊してくれます。その結果、火のとおりや味の染み込みが良くなります。玉ねぎの火のとおりや味の市見込みが良くなるということは、調理時間の短縮になります。この利便性を利用しない手はありません。
特に玉ねぎペーストを作るときには、冷凍玉ねぎを使うと簡単にできて便利です。スライスした玉ねぎを冷凍しておいて、解凍することなくそのまま炒めれば短時間で作ることができます。作る量にもよりますが、常温保存の玉ねぎで玉ねぎペーストを作る場合、20分以上ゆっくり炒める必要があります。ところが冷凍玉ねぎを使えば、わずか5分ほどでできてしまうのです。
さらに冷凍玉ねぎは、玉ねぎの辛味が抑えられて甘みを強く感じやすくなります。カレーやスープなどの煮込み料理の甘味としても使いやすく、溶けやすい冷凍玉ねぎで味に深みを出し、玉ねぎの存在感を常温保存の玉ねぎで出す、といった使い分けもできます。玉ねぎの保存方法の特徴を理解して使い分ければ、より玉ねぎを料理に使いやすくなります。
玉ねぎから出てきた芽を食べても大丈夫?
玉ねぎを使おうと思ったら芽が出ていた、ということが時々あります。ジャガイモなどのように芽に毒素を含むものもあるため、そのまま使っていいものか迷った結果捨てた、という人も多いでしょう。ですが、玉ねぎの芽はそのまま食べることができます。味もねぎそのものです。
玉ねぎの芽は、中心部分が伸びたものです。なので根の出る部分ごとくり抜いておけば、芽が出ることはありません。芽が出た玉ねぎは風味も落ちますが、水耕栽培で簡単に芽を育てられるので、そのまま育ててねぎの代わりに使うこともできます。もし芽が出てしまったときは、そのまま味わってみてはいかがでしょう?
玉ねぎの保存方法はこれで決まり!
玉ねぎの保存方法は、長期間もたせたい場合は常温保存で、料理の利便性を考えたときは冷凍保存がおすすめです。ただし蒸し暑い夏は、玉ねぎも冷蔵庫で避暑させてあげましょう。ちょっとした手間と工夫で、保存期間から料理方法まで変わる玉ねぎの保存方法を使いこなして、あなたの家庭の食卓をより豊かに変えてみてください。