玉ねぎの芽が出たら?食べられる?毒の有無や保存方法まとめ!
玉ねぎはネットに入って大量に売られているので、つい買い置きしてしまいます。数ヶ月も経つと玉ねぎから芽が出始めます。もちろん早生(わせ)や晩生(おくて)などの種類によって、玉ねぎの芽が出る時期に多少の違いはありますが、数か月もすれば芽は20数センチまで伸びてしまいます。成長した立派な芽は、まるで長ネギのようで香りも、そっくりです。長ネギの代わりに食べられるのでしょうか?毒はないのでしょうか?芽が出た玉ねぎは、どうすれば上手に保存ができるのでしょう。そんな玉ねぎの芽にまつわる疑問にお答えします。
目次
玉ねぎの一生
玉ねぎの一生の確認
玉ねぎの芽を見て、この先、この芽はどうなるの?この芽は食べられるのかしら?毒はないのかしら?と疑問を持たれるのではないでしょうか。芽が育って、もう一度玉ねぎができる?そんな風に思われた人もいると思います。玉ねぎの芽を理解するためには、芽はどうして出てくるのか、玉ねぎの種まきから収穫までの栽培の流れを見ながら玉ねぎの一生を先ず確認しておきましょう。
玉ねぎの生育の流れ
玉ねぎは、日本の気候下では、2年草あるいは1年草で、種から芽を出し、成長し、花が咲き、種をつけて枯れてしまいます。玉ねぎの種まきは、春に種まきする北海道を除いて日本では8月~10月です。種をまいてから4~5日で発芽します。芽が出てから40~50日かけて育苗します。苗を植えるのは10~12月にかけてで、そのまま年越しをします。翌年の春に玉ねぎの苗が大きく育ちます。
玉ねぎの収穫時期
大きく育った玉ねぎの苗は地下茎の一部の鱗茎(りんけい)が地上で膨らんで鱗片(りんぺん)が何重にも重なって玉になってきます。早生(わせ)、中生(なかて)、晩生(おくて)の玉ねぎの種類によって種まきと収穫の時期に幅があります。玉が大きく膨らみきったところで、その上部の茎が倒伏します。この時が玉ねぎの収穫サインです。8月~10月に種をまいた玉ねぎの収穫は翌年の3月~7月頃となります。
玉ねぎの開花
この収穫した玉ねぎを、その年の秋に植えると芽が出ます。玉ねぎの芽は翌年の春に分結して花茎60~120センチ位に成長します。最後に白色の小花を散形状に咲かせ、種をつけ子孫を残して玉ねぎの一生を終えます。ただ市販されている玉ねぎの種は、在来種でなく一代交配種のF1ですから、一般的には花を咲かして種を採ることはしていません。
玉ねぎの乾燥と休眠
玉ねぎの乾燥
玉ねぎの取り方は茎ごと引き抜きます。茎を束ねて風通しのよい軒下などの日陰で乾燥させます。玉ねぎは乾燥させることで芽を出さずに長期の保存ができる野菜です。乾燥すると玉ねぎの外側の鱗片がカラカラに乾燥して外皮となり、内側の乾燥を防いでくれ、内部の品質も保ってくれるのです。あの玉ねぎの茶色の外皮は、家庭で保存用に使うラップよりも優れた機能を持っているといわれています。
玉ねぎの休眠
出典: http://tsui.jp
玉ねぎを収穫して数か月で夏日がやってきます。玉ねぎは収穫後も生きています。暑くなると呼吸量が増え蓄積養分を多く消耗します。玉ねぎは、高温では休眠して呼吸量を抑え養分も極力消耗せずに夏を乗り切る能力をもっています。この玉ねぎの外皮の保存力と夏場の休眠の二つから玉ねぎは、上手く保存すれば芽を出さずに一年近く品質の良い状態を保つことができるのです。ただ休眠期間は玉ねぎの品種によって大分違います。
一年通して供給される玉ねぎ
さて北海道を中心に栽培される春まき玉ねぎは、2月下旬~3月上旬に種まき、発芽、育苗して苗を植え、そして年内の8~9月に収穫します。極早生から晩生まで新品種が次々と生まれ、中でも「北もみじ」のように貯蔵性が極めて高く秋から翌年の初夏まで出荷されるものもあります。このように全国では秋に種をまく玉ねぎから北海道のように春にまく玉ねぎまで、1年中、絶え間なく供給される野菜です。
玉ねぎの芽の出る時期
玉ねぎの品種による芽の出る時期
玉ねぎの品質を落とさず保存できる期間は、収穫時期を違えた品種によって大きく違います。極早生の「貴錦」は3月に収穫、早生の「ソニック」は5月に収穫しますが貯蔵性は8月末です。中生の品種類は6月上旬の収穫で貯蔵性は12月末です。中晩生の品種は6月上旬収穫で翌年の2月下旬~3月下旬まで貯蔵性があります。このように寒さに強い玉ねぎですが、高温や春にかけての気温の変化に反応して芽が出てきます。
低温管理による萌芽を抑える
淡路島産の玉ねぎは品質の高さから年間を通じて高い需要があります。そこでは長期の冷蔵保存をすることで萌芽の形成を抑え、できるだけ芽が出るのを遅らせる貯蔵を試みています。低温に強く高温に弱い玉ねぎの特性を生かして、凍結しないぎりぎりの低温で貯蔵することで芽の動きを抑えることができます。しかし家庭では芽が出ないための、そうした低温の温度管理は困難です。
玉ねぎの芽は無毒で食べられる!
玉ねぎの芽は毒がないか、芽は食べられるか不安になりませんか?玉ねぎの芽は毒はありません。芽は食べられます。玉ねぎは新しい芽を育てようと玉ねぎの中心部に萌芽葉(ほうがよう)を形成します。萌芽葉ができると、玉ねぎの食べられる部分の貯蔵葉に蓄えられている養分は、徐々にその萌芽葉に移っていきます。芽が育つにつれて玉ねぎはしぼんでいきます。芽は玉ねぎの養分によって育ったものですから毒はありません。
玉ねぎの芽が出たら
切りとって芽と本体を食べる
玉ねぎの芽は毒がなく、食べられるので、芽が大きくなり過ぎる前に根元から切り取ります。芽は長ネギ代わりに薬味にしても、炒めて食べても甘みがあって美味しいです。玉ねぎの貯蔵葉部分も、まだ養分がさほど芽に摂られていないので、そのまま玉ねぎとして美味しく食べられるのです。芽が大きく育ち養分を摂られて、しぼんでしまった玉ねぎは、不味いので芽だけ食べます。芽の取り方は根元から剥くようにして取ります。
芽の出た玉ねぎを土に植える
買い置きした玉ねぎに芽が出たら、庭やプランターに植えると芽も食べられ、「葉玉ねぎ」みたいにしても食べられます。芽が出た玉ねぎを植えるときは、芽が出ている全体を埋めずに、少し芽の下の頭を出して植えるのがポイントです。芽を植えたプランターの土が乾燥したら水をしっかりあげましょう。20センチ位になったら切り取ります。切り取り方は根元から切り取ります。
芽の出た玉ねぎの水耕栽培
芽が出てきたら玉ねぎは土に植えるだけでなく、水の入った容器に入れて水耕栽培もできます。キッチンに置いてもオシャレですし、必要な時にすぐに切り取って使えます。芽は直ぐに大きく育ちます。育った芽の取り方は15~20センチ位に伸びたら根元で切り取ります。このような切り取り方をすると何回も芽が出てきて収穫することができます。
玉ねぎの芽が分球
土に植えると芽葉が20センチ以上に伸びる頃、地中で小さく分球しています。取り方は、掘って出てきた分球した芽と崩れた周りの側球部分を洗って切り離します。芽葉と玉が柔らかいうちに調理すると葉玉ねぎみたいに美味しくいただけます。本来の葉玉ねぎは玉ねぎを栽培して玉が膨らみかけたところで取り方をしたものですが、それに似た味わいが楽しめます。
玉ねぎの芽が出にくい保存方法
乾燥が玉ねぎ保存の鉄則
玉ねぎは料理に幅広く使われる常備野菜です。どうしても大量に買い置きしてしまいがちです。玉ねぎは高温、多湿に弱いため、夏場や春などの季節の変わり目の気温の変化で芽が出てきてしまいます。保存方法を工夫することで少しでも芽出しをしにくくする方法があります。それは風通しの良い涼しい北側の日陰で、雨に濡れない軒下にネットに入れて吊るして乾燥させながら保存することです。
通年で供給される玉ねぎ
先に紹介したように、玉ねぎは全国で保存性の違う、さまざまな品種ものが栽培され、1年を通して新鮮なものが出回っています。玉ねぎの芽をできるだけ出さないためには、使い残しを少なくすることです。少し残ったら漬物にしたり、炒め物したり、調理して冷凍しておけば味を損なわず保存できます。それに、保存した調理素材に、ちょっと手を加えて1品料理が増やせて、無駄にせずに一石二鳥です。
玉ねぎの栄養と皮の活用
玉ねぎと芽の栄養
玉ねぎにははポリフェノールのケルセチンや硫化アリルが含まれています。ケルセチンは抗酸化作用があったり、悪玉コレステロール減らしたり、脂肪の吸収を抑えるなどの作用があります。硫化アリルは、血液をサラサラにしたり、降圧作用や心筋梗塞・動脈硬化の予防効果があります。これまで説明したように玉ねぎの芽は玉ねぎの養分を吸収して育ったものですから玉ねぎの栄養と合わせて効用があります。
皮の活用:健康茶
玉ねぎの皮は、玉ねぎの一番外側の鱗片が乾燥したものですから玉ねぎの成分が凝縮しています。例えばケルセチンは玉ねぎ100グラムに対して玉ねぎの中側に40ミリグラム、玉ねぎの皮には800ミリグラムも含まれています。硫化アリルも同様に玉ねぎの皮に多く含まれています。玉ねぎの皮のスープや玉ねぎ皮茶にして飲めば栄養の取り方として十分です。玉ねぎの皮茶は皮を水で10分ほど沸かせば出来上りです。
まとめ:無駄にしないで!玉ねぎの芽
これまで紹介してきたように、玉ねぎの芽は玉ねぎが次の世代へ命のバトンをつなぐ現れです。芽は玉ねぎ自身の体内の養分を目いっぱい受け取りながら育っていますから毒性はもちろんありません。安心して召し上がっていただけます。玉ねぎの芽をコップに入れたオシャレな水耕栽培から新鮮な芽を切り取って、甘みのある美味しさを味わってみてはいかがですか?