枝豆・大豆・黒豆は同じもの?栄養成分の違いなどを徹底調査!

大豆を一家の主人にたとえますと、枝豆はその幼い子供、黒豆や茶豆などはその親類といったところでしょうか。どのように大豆と枝豆と黒豆が同じか、どのように違うのかを、これから探っていきます。「畑の肉」といわれるように、野菜としての大豆の栄養成分は奥が深い。その奥深さを調べるとともに、枝豆や大豆、黒豆などの比較もしてみます。大豆の全貌が明らかになるにつれ、ほぼ完ぺきな野菜栄養食としての大豆と、そのわずかにある隙間を埋めることができる枝豆に感動します。大豆や枝豆の栄養価、用途の広範さは驚きの一言です。

枝豆・大豆・黒豆は同じもの?栄養成分の違いなどを徹底調査!のイメージ

目次

  1. 1大豆と枝豆と黒豆について
  2. 2大豆の栄養や成分について
  3. 3枝豆の魅力について
  4. 4野菜としての大豆とは
  5. 5大豆・枝豆・黒豆の栄養素を比較
  6. 6大豆の栄養成分
  7. 7大豆の3大栄養素
  8. 8大豆の食物繊維
  9. 9大豆に含まれるミネラル
  10. 10ビタミンは枝豆の方が豊富
  11. 11大豆と枝豆は完璧な栄養食野菜

大豆と枝豆と黒豆について

大豆の生い立ち

大豆の原産地は東アジアで、「古事記」に記録がみられるように、日本にも古くから存在しました。野菜の中でも、大豆は五穀のひとつに数えられる主要な穀物です。大豆はマメ目マメ科の一年草で、種をまいてから4か月ほどした完熟の種子は、様々な食用に使われてきました。また、種まきから3か月ほどの未成熟な種子を枝豆と言います。奈良時代にはすでに、枝豆は日本人に食べられていました。

枝豆と大豆と違うものなのか?

枝豆は、野菜としての大豆を栽培する過程で、大豆をまだ青い状態のまま刈り取って食用にしたものが枝豆です。枝豆や大豆の、その見た目や味の違いもさることながら、後の章で詳しくふれますように栄養価においても、枝豆と大豆は同根のものとは思えないほど違います。枝豆と大豆の大きな違いとしては、蛋白質は大豆のほうが多く、ビタミンは枝豆のほうが多いことです。枝豆の旬は6~8月で、9~10月が収穫の大豆と違いもあります。

黒豆も枝豆・茶豆も枝豆

丹波の黒豆で有名な黒大豆も、大豆のたくさんある種類の中のひとつです。つまり、同じ大豆なのです。大豆には色や形の違いなどで分ければ、125種類もの品種があります。ここでは、色の違う大豆7種類のうち黄大豆、黒大豆、茶大豆を紹介しておきます。一番ポピュラーな黄大豆は、ほとんどの加工食品がこれから作られます。また、おせちなどに出る黒豆は、黒大豆で作られています。枝豆にもいろいろな大豆の枝豆があります。

枝豆としては高級品の部類に入る枝豆として、兵庫県は丹波の黒豆の枝豆や山形県は鶴岡のダダ茶豆の枝豆、新潟県は黒崎の茶豆の枝豆などが有名です。甘みや香りに優れていて、栄養価ばかりじゃなく美味しい点でもこれらの枝豆は評価されています。これらの枝豆も黒大豆や茶大豆といった大豆の一種から作られているわけです。余談ですが、茶大豆ではない枝豆を茶葉を加えた湯で茹で上げると、枝豆が茶豆のような味わいになります。

大豆の栄養や成分について

枝豆や黒豆の姿や形が大豆とどう違っても、どうやら枝豆も黒豆も大豆の親族とわかりました。本家である大豆というものについて、栄養や成分などを中心に枝豆との違いも含めて、少し詳しく掘り下げてみたいと思います。美味しさも、栄養価も調べれば調べるほど、大豆はもちろん枝豆や黒豆も実に奥が深いです。

いろいろな大豆製品

大豆から作られる数多くの製品のうちの、いくつかを紹介します。代表的なものが大豆から絞られた大豆油です。絞られたあとの大豆のカスも、古来より肥料として役立ってきました。油を搾ることができることから推しても、大豆が高カロリーの栄養価をもった食品であると想像されます。

そして豆腐です。大豆そのものの用途も広いですが、それから作られる豆腐も裾野は広いようです。冷奴や湯豆腐などの単品としても、ゴーヤチャンプルーや麻婆豆腐などの料理の素材としても、幅広く利用されています。野菜である大豆から作られている製品としての豆腐は、ヘルシーな栄養を含む食品というイメージもたいへん強く、大豆の中の一番人気じゃないでしょうか。

ヘルシーさそのままに、飲まれているのが豆乳。豆乳は、野菜なのに牛乳に劣らない、豊富な栄養価を含んでいます。女性の美容にとっての成分や、注目の抗がん作用が期待されるイソフラボンも多く含む人気商品です。飲みにくさがあるため、飲みやすく加工されたものも多く出回っています。なお、この豆乳を濾したものがおからです。おからも成分は繊維質からなっていて、便秘解消のためのヘルシー食品です。

きなこは、日本人にとって餅を食べる際の、必需品のようなものになっています。栄養価もけっして低くはありません。一般的にきなこは黄大豆を用いて、炒って皮を剥いたうえで、挽いて作られます。青大豆を用いて作ると淡緑色の「うぐいすきな粉」となります。きなこは大豆同様の栄養価があるうえに、粉にすることで摂取も容易になり、整腸作用もあって美容やダイエットにも効果があります。

これはまた、紹介の必要もないほどにヘルシーな栄養食として、人々に愛されている納豆です。大豆製品のなかの四番バッターかもしれません。大豆本来が持つ栄養素とともに、大豆を納豆菌で発酵させることで、強力な栄養成分をもつ健康食となりえています。発酵した納豆は、疲労回復に効果のあるビタミンB2が、大豆の5倍にも増えているとともに、カルシウムの働きを助けるビタミンKも豊富に含まれています。

これも当然、大豆製品です。まず、この味噌汁から日本人の朝が始まります。ご飯とともに出される汁物として、味噌汁は日本料理の代表であり基本です。一汁一菜でも、一汁三菜でも欠かされることはありません。ご飯と大豆から作られる味噌汁は、互いの欠けてる栄養素をうまく補い合って、3大栄養素をバランスよく整える組み合わせです。また、味噌汁ばかりじゃなく、いろいろな料理の調味料としても使用されています。

最後に真打登場。これなくして日本料理は語れないような食材です。そう、大豆から作る醤油です。日本人で、この醤油と生涯にわたって縁のない人はいないはずです。醤油は、その発酵や熟成の過程で、アミノ酸やブドウ糖の栄養成分が作り出されています。以上、古くから栄養ある食品として、われわれの生活から切り離すことができない存在であったのが、大豆からなる製品の数々です。

枝豆の魅力について

本家の大豆のバラエティに富んだ美味、栄養なども魅力ですが、その血を引いた枝豆も大豆とは少し違った栄養成分を持つなど、その枝豆の魅力が大豆に劣ることはありません。美味しく枝豆を食べるための茹で方や、枝豆の保存方法をここで紹介しておきます。

枝豆の美味しい茹で方

枝豆250gに対し、水1000cc、塩40gを用意します。ボウルに枝豆と用意した塩の半量を入れ、枝豆をよく揉みこんでしばらく置いておきます。その間に、鍋に水を入れて沸騰させます。沸騰したら残りの半量の塩を加えて溶かし、ボウルの塩をまぶしたままの枝豆も加え、ここから4分きっかりで枝豆をザルに上げます。これより早くても遅くてもいけません。これ以上茹でると枝豆の旨味や栄養の成分が、お湯の中に流れ出てしまいます。

こうして茹でた枝豆を、好みにもよりますが熱々の状態で食べれば、枝豆の香りも甘みもベストでいただけます。あとはビールで迎え撃つだけです。そして熱い枝豆をつまみながら、団扇であおぐか扇風機で、ザルの枝豆を冷ましてあげることです。手早く冷ますために枝豆を冷水に取るのはいけません。枝豆の栄養も香りも逃がしてしまうからです。枝豆の種類については、やはり茶豆や黒豆の枝豆が他の枝豆より一段と味が勝るようです。

枝豆の保存方法

枝豆は生でも茹でても、3日ぐらいが冷蔵庫での賞味期限です。枝豆を冷凍保存する場合は、生でも茹でたものでもさやに入った状態の枝豆を、枝豆の表面の水分をできるだけふき取ってから急速冷凍にかけます。この場合、ジッパー袋にはできるだけ少量の枝豆を小分けしたほうがよいでしょう。急速冷凍のためにも向きますし、枝豆を解凍する際の使い勝手もよいと思います。

おいしい枝豆のスープ

枝豆といえば、それを豆腐に練りこんだり、枝豆独特の涼しげな色をかもし出す料理がいろいろあります。枝豆のスープもそのひとつです。枝豆と玉ネギを素材とした、夏にぴったりの冷たいビシソワーズ。同じ夏場でも、同じ枝豆と玉ネギを素材の基本にした、逆に温かいポタージュスープ。枝豆の色と香りを楽しむ、その季節の旬の味です。冷製と温製の違いはありますが、どちらの枝豆も栄養価は満点です。

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野菜としての大豆とは

野菜の中でも豆類は、他の野菜と比べると一般的に栄養素は高めです。その豆類を二つに分けると、3大栄養素のうち炭水化物が多めの種類と、脂質が多めの種類とに分けることができます。

炭水化物という栄養素が多めの豆類

小豆やインゲン豆、エンドウ、ソラマメ、レンズ豆などが炭水化物多めに属します。これらは、乾燥豆の重量の半分以上の成分が炭水化物です。また、これらの豆は大豆ほどではありませんが、蛋白質を約20%と豊富に含んでいるのに対して、脂質は2%前後と少なめです。低脂肪、高蛋白な豆類ということができます。
 

脂質という栄養素が多めの豆類

大豆や落花生は脂質を多く含む豆類に属します。栄養素は、落花生が炭水化物20%、脂質50%、蛋白質25%で、大豆は炭水化物が30%、脂質20%、蛋白質34%です。落花生の脂質が飛びぬけた数字を示していますが、大豆の3大栄養素はバランスよく配分されています。大豆が完全な栄養食といわれるゆえんです。鶏卵も大豆と似たような栄養食ですが、鶏卵の動物性蛋白質は悪玉コレステロールが増えやすい問題点もあります。

大豆・枝豆・黒豆の栄養素を比較

枝豆と大豆を100g当りの栄養素で比較です。炭水化物や脂質、蛋白質は、枝豆がそれぞれ9g、6g、12gで、大豆が29g、23g、35gです。これでみると枝豆から大豆になる際の、乾燥や凝縮がもたらす栄養成分の変化の違いは小さくありません。逆に、ビタミンAは枝豆が110mgで、大豆が12mgです。約10分の1に減少しています。ビタミンCは枝豆が30mgで、大豆が0mgです。枝豆が大豆になることでビタミンCは消えてしまいました。

黒豆の成分は、大豆とそれほど変わりません。大きな違いは、その色からもうかがわれるように、多くのポリフェノールが黒豆には含まれていることです。ポリフェノールは、抗酸化作用や免疫力の活性化による病気の予防に欠かせない、大事な栄養素です。

大豆の栄養成分

大豆には、炭水化物や脂質、蛋白質といった3大栄養素に、ビタミンやミネラルを加えた5大栄養素が含まれています。この5大栄養素とは、人間が健康に生活するのに必要なではなく、不可欠な栄養素です。ここまで、大豆や枝豆、黒豆をその違いまで含めて調べてきて、大豆がバランスのとれた総合的な栄養素を含んでいる食品であることが理解できました。ここからは、大豆や枝豆や黒豆の栄養素がいかなるものかを紹介していきます。

大豆の3大栄養素

炭水化物

大豆には炭水化物が30%弱含まれています。けれども、糖質よりも食物繊維が多く、米や小麦粉よりもはるかに低糖質なのです。

脂質

脂質も必要不可欠な栄養素ですが、摂りすぎれば生活習慣病をひきおこす面もあります。けれども、肉類の飽和脂肪酸と違い、大豆の多価不飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを下げる働きもあって、人に欠かせない必須脂肪酸です。

蛋白質

蛋白質は、血液や筋肉などを作ったりする、人にとって重要な成分です。そして、大豆には豊富な蛋白質が含まれています。しかも、コレステロールを下げたり、中性脂肪、体脂肪を下げる良質な植物性の蛋白質です。大豆の蛋白質にも、脂質と同様に体内で合成できない必須脂肪酸が含まれています。

大豆の食物繊維

食物繊維のたいせつさは、第6の栄養素とも言われて十分に認識されてきています。便秘の対策としても、心筋梗塞や糖尿病などの生活習慣病の予防の役立つことも明らかにされています。1回の食事で食物繊維を摂るためには、よく言われている野菜よりも大豆のほうが多く摂ることができるのです。

大豆に含まれるミネラル

大豆に豊富に含まれている亜鉛は、蛋白質の合成やDNAの転写などの新陳代謝にかかわっています。また、マグネシウムやカルシウムは、骨や歯の形成に必要なミネラルです。貧血予防には鉄分です。大豆はホウレンソウに負けず劣らない鉄分を含んでいます。

ビタミンは枝豆の方が豊富

ビタミンは、エネルギーや体を直接作る成分ではありません。他の栄養素が機能するために、料理でいうなら調味料のような存在です。また、ビタミンは体内で合成できないため、食事から摂るしかありません。大豆には若返りのビタミンであるEや、B群が豊富に含まれていますが、これまでに述べたようにAやCが不足しています。ここは、違う栄養素をもつ枝豆などの野菜に補ってもらうしかありません。

大豆と枝豆は完璧な栄養食野菜

大豆を「畑の肉」と呼ぶのは失礼かも

大豆が「畑の肉」と呼ばれるのは、よく耳にします。これは、大豆が牛肉に匹敵するくらいの豊富な栄養素を含む野菜である、ことからきているのだと思います。けれども、3大栄養素を比較するまでもなく、大豆の栄養素は牛肉のそれよりもバランスが良いうえに、野菜である大豆は動物性の牛肉がもつ生活習慣病の要因をほとんど含んでいません。抗がん作用があるといわれるイソフラボンも、大豆には含まれています。

大豆と枝豆のタッグは最強!

つまり、大豆は牛肉に匹敵するのではなく、健康面や栄養面からみた場合、牛肉をはるかに凌駕している食品なのです。その意味において、大豆はドイツや日本で呼ばれているような「畑の肉」ではなく、アメリカでの「大地の黄金」という呼び方のほうがふさわしいと思われます。大豆に欠けているビタミンAとCを、同じ大豆の子供である枝豆で補えば、大地からのほぼ完ぺきな野菜栄養食ができあがります。

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