リキュールの分類とは?蒸留酒(スピリッツ)や歴史/定義など!
リキュールを味わうことはありますか?リキュールは蒸留酒(スピリッツ)に果実、ハーブやスパイスなどと糖分を加えた混成酒と分類されています。リキュールの種類はとても多く、味だけでなく、香り、色もバラエティに富み、カクテル作りには欠かせないものになっています。このリキュールの歴史と混成酒と言われる理由、酒税法上の分類を調査しました。スパイス系、ハーブ系、果実系など代表的なリキュールとその飲み方もあります。
目次
リキュールの分類について知りたい!
カクテルやお菓子を作る時などに使われるリキュールは、種類が多く味わいもバラエティに富んでいます。リキュールはアルコールの中でもどういった分類なのか、どんな原料をつかって作られているのかをみていきます。リキュールの歴史や代表的なリキュールを使ったおすすめな飲み方も紹介していきます。
リキュールの定義
リキュールといわれるものは種類が多くありますが、どういうものを指すのか、その定義をみていきます。スピリッツとの関係や混成酒といわれる理由などをまとめています。
リキュールは混成酒?
リキュールは、酒類の分類をする上では混成酒とされています。混成酒というのは、醸造酒や蒸留酒(スピリッツ)に、果実や香料、糖分を加え再製造されたアルコールのことです。梅酒やみりん、白酒も混成酒です。
蒸留酒(スピリッツ)とは、米や麦などを発酵させて作る醸造酒をさらに蒸留したもので、アルコール度数が高くなるのが一般的です。
混成酒の中には、ビールをベースにしたものや、ワインをベースにしたものが含まれ、これらの混成酒と分けるために、蒸留酒(スピリッツ)に香りや甘みなどをつけたものを「リキュール」とされています。混成酒の中でもリキュールは蒸留酒(スピリッツ)を使っているためにアルコール度数が15~55度程度と高くなっています。
リキュールの定義(日本)
日本では酒には税金がかけられ、その酒の種類によって税率が異なります。その税率等を定めた酒税法上では「リキュールとは、酒類と糖類その他の物品を原料とした酒類で、エキス分が2%以上のものをいう」とあります。ただし、清酒、合成清酒、焼酎、みりん、ビール、果実酒類、ウィスキー類、発泡酒に該当するものは除くとなっています。
ただ最近では、アルコール類の幅も広く、単に混成酒だけでなく発泡酒に蒸留酒を加えた第三のビールや日本酒と同じように製造されたものでもアルコール分が22%以上のものは、リキュール類に含まれるとなっています。
リキュールの定義(アメリカ)
リキュールの定義は国ごとに違い、糖分の割合などで定義しているところもあります。アメリカでは、「アルコール、ブランデー、ジンやその他スピリッツ(蒸留酒)を用い、副材料を加えて製造され、砂糖を2.5%以上含むもの」とリキュールを定義しています。副材料は果実やハーブ、生薬などのことです。
リキュールの歴史
リキュールが造られるようになったのは、紀元前ともいわれ、歴史のあるアルコールです。その後、世界的に広まり、親しまれバリエーションが増えていくまでの歴史をみていきます。
リキュールの起源
リキュールの起源といわれているのは、紀元前の古代ギリシャで、医師でもあるヒポクラテスが、ワインに薬草を溶かし込んで、飲む薬を作ったということです。現在のように蒸留酒を使った混成酒としてのリキュールの始まりは、11世紀以降で錬金術師が活力を出すための蒸留酒に花やスパイスを加えて造っていたものです。
14世紀になると、ヨーロッパで黒死病が猛威を振るい、病気の苦しみを和らげるためのものとして、薬草を使ったリキュールが造られるようになり、病人の世話をしていた修道院でよく造られていました。
その後、嗜好品としても味わうようになり、大航海時代にはアジアからのスパイスなども加えられ、多様化してきたという歴史があります。
現在はスピリッツ(蒸留酒)を使用
かつてはワインなどにハーブやスパイスを加えて造られていたものは、ワインを加工したものとして扱われるようになり、リキュールは、スピリッツ(蒸留酒)を使うということで定義されています。
リキュールを嗜好品として味わうようになると、ヨーロッパの貴婦人たちは、ドレスや宝石とコーディネイトしてリキュールを選ぶようになり、カラフルなリキュールが増えました。スピリッツを使うことで、香りを感じやすく濃厚な味わいのものから、最近では果実を使ったライトでソフトなものまで広まっています。
リキュールの分類【ハーブ・薬草・スパイス系】
リキュールの歴史の中で最も古いものに分類されるのが、ハーブ、薬草系のものです。かつては薬としての役割をもっていたためで、何種類ものハーブを混ぜているものもあります。アクセントにスパイスを効かせたリキュールもあります。
ハーブ・薬草系リキュールの特徴
ハーブ・薬草系のリキュールは、薬として飲まれていた歴史もあり、個性ある飲み口です。数種のハーブにスパイスを混ぜたものや、ハーブの香りそのまま活かしたものもあり、独特な味ですが、カクテルなどで味わいやすくすることで、クセになる味わいにもなります。
またスパイスをブレンドすることで、香りを加えたりピリッとした後味になるようにしているものもあります。ハーブやスパイスの組み合わせで口のなかをさっぱりとしてくれるという特徴もあります。
カンパリ
出典: https://cutee.jp
鮮やかな赤い色の「カンパリ」は、バーはもちろん居酒屋でも置いてあるような、定番のハーブ系のリキュールです。数多くのハーブを使ったイタリア生まれのリキュールで、苦味があるので、ジュースなどで割って飲むのが一般的です。オレンジジュースと割ったカンパリオレンジ、炭酸水と1:1で割ったカンパリソーダなどがあります。
イエーガーマイスター
ハーブ系のリキュールの中でも「イエーガーマイスター」は、苦味と甘味が際立つ重厚で、刺激的な味が特徴です。ドイツ生まれのリキュールで、薬酒として飲んでいる人もいて、日本人にとってはうがい薬のような味と評する人もいます。
刺激ある味は、クラブなどで大音量の音楽に酔うのと合わせて、冷蔵庫でしっかりと冷やしたイエーガーマイスターをあおるように飲んだり、カクテルの「イエガーボブ」を飲んでいる人たちがいます。イエガーボムは、エナジードリンクにイエーガーマイスターを30mlほどを合わせて作ります。
ティフィン ティーリキュール
ハーブ系リキュールの中でも、味わいやすいものが「ティフィン ティーリキュール」です。紅茶葉を使ったもので紅茶のティーとお菓子のマフィンを合わせた名前になっています。
ティフィンを1、牛乳を3の割合で注ぎダ「ティフィンミルク」はアイスでも、ホットにしても味わえるカクテルです。ストレートティーに少し加えて飲むのも「ダブルティフィン」と言われおすすめです。
リキュールの分類【果実系】
リキュールの中では歴史が浅いながら、香りのよさや親しみやすい味わいから、種類が増えているのが果実系のリキュールです。簡単な飲み方で味わうことができる手軽さもあります。
果実系リキュールの特徴
リキュールの中でも、アルコール度数が低めで、アルコールに弱い女性や若い人にも飲みやすいのが、果実系のものです。果実のジュースや炭酸と合わせるだけで、飲みやすいカクテルを作ることができます。
ルジェ クレーム ド カシス
果実系リキュールの代表ともいえるものがカシスのリキュールで、その中でも元祖といわれるのが「ルジェ クレーム ド カシス」です。厳選したカシスを原料に使い、保存料や添加物を使っていません。
「カシス・オレンジ」は有名なカクテルで、オレンジジュースとカシスリキュールを合わせるだけのものです。ルジェ クレーム ド カシスを氷を入れたグラスに1/3注ぎ、そこにソーダ水を注ぐカシスソーダは、ブドウの炭酸のようで飲みやすいカクテルです。
コアントロー
「コアントロー」はオレンジのリキュールで、味よりも香りが強く、お菓子作りでも使われます。ほんのりとした甘さで、さわやかな香りなので、果実系の中でも甘すぎることなく味わうことができます。
コアントローは紅茶やオレンジジュースに数滴垂らして味わうのも美味しく、コアントローと炭酸水を合わせたものにライムを搾ったものは「コアントローフィズ」として、さっぱりと味わえるカクテルです。
ボルス ブルーキュラソー
ブルーの色ながら、オレンジの果皮と数種類のハーブを原料としているのが「ボルス ブルーキュラソー」です。フレッシュな酸味を感じつつ、オレンジの香りもします。
「チャイナブルー」は、ブルーキュラソー2にとライチのキュラソー1を合わせ、グレープフルーツジュースと合わせたもので、さっぱりと味わえ夏向きのカクテルです。ブルーキュラソーに炭酸を加えレモンを搾っただけでも、すっきりと味わえます。
リキュールの分類【ナッツ・種子系】
果実の種や豆類を使ったリキュールです。お菓子の原料ともなるコーヒー豆やカカオ豆といったものを原料にしているものもあり、製菓用として香りや風味付けに使われることもあります。
ナッツ・種子系リキュールの特徴
ナッツ・種子系リキュールは、果実やハーブ系のものに比べると種類は少ないですが、濃厚な味わい、香りが特徴です。食後のデザートのように、そのまま味わうこともあります。
カルーア コーヒー
コーヒー豆を原料として、バニラの香りを付けたリキュールのトップブランド品が「カルーア コーヒー」です。まろやかな強い甘みがあるので、そのままをコーヒーに少し垂らして砂糖代わりに使うこともできます。
代表的なカクテルは「カルーアミルク」で、カルーア1に牛乳を3加えるだけで作ることができます。シナモンを少しトッピングするアレンジもあり、カルーアそのものをバニラアイスに少し垂らして食べるのもおすすめです。
ディサローノ アマレット
アンズの種子の核の部分、杏仁(あんにん)と呼ばれる部分を原料とし、10種以上のハーブや果実を加えブランデーと合わせたのが「アマレット」です。「ディサローノ アマレット」は、16世紀にイタリアで誕生したアマレットの元祖です。
ウイスキー3にアマレットを1加え、氷を入れたグラスに注ぐ「ゴッドファーザー」は有名なカクテルです。ウィスキーをウォッカに変えると「ゴッドマザー」になり、ほろ苦さのある甘い味わいがひきたちます。
モーツァルト チョコレートクリーム
カカオ豆を使い、チョコレートの味わいのリキュールで、モーツァルト生誕の地で作られたことから「モーツァルト チョコレートクリーム」といいます。熟成させるときに、モーツァルトの音楽を聴かせています。
温めた牛乳に、大さじ1くらいのチョコレートクリームを注ぐだけで甘口の「ホット・モーツァルト」ができます。コーヒーと牛乳でカフェオレを作り、そこにチョコレートクリームを合わせれば「モーツァルト・カフェモカ」になります。
リキュールの分類【その他】
リキュール造りの歴史を重ねてきた現代だからこそ造られるようになているのが、その他に分類されるリキュールです。卵や乳製品などといったタンパク質や脂肪分を含むものが代表的です。
ベイリーズ オリジナル アイリッシュクリーム
20世紀になってから酪農が盛んなアイルランドで誕生した「ベイリーズ オリジナル アイリッシュクリーム」は、クリームとアイリッシュウィスキー、カカオとバニラを使ったリキュールです。
似た味わいに、コーヒー豆を使ったリキュールのカルーアがありますが、そちらよりもさっぱりとした甘さになっています。味わい方はカルーアと同様に、ミルクと合わせるだけでよく、ホットにもアイスにもおすすめです。
ヨーグリート ヨーグルトリキュール
出典: https://kaumo.jp
ヨーグルトの持つ酸味を持ったリキュールが「ヨーグリート ヨーグルトリキュール」です。乳酸菌をイメージさせるボトルで、口当たりもよくさっぱりと飲めて、多様な飲み方ができます。
フルーツジュースと合わせると、飲むヨーグルトのフルーツ味のようになり、他の果実のリキュールを少し加えると、香りもひきたちます。ジンジャエールや炭酸水で割ると、ほど良い酸味を楽しむことができます。
アドヴォカート
「アドヴォカート」は卵黄に、砂糖、ブランデー、バニラなどを合わせた卵のリキュールです。オランダ語で弁護士を「アドヴォカート」と言い、これを飲むと弁護士のように滑らかなにしゃべるようになることから、名付けられました。
スパイス系のリキュールとは違って、アドヴォガートはとろみのある粘度があります。味わいはカスタードクリームのようで、実際にお菓子作りに少量使うこともあります。
「エッグノッグ」はアドヴォカートを1/3と牛乳を2/3合わせたカクテルで、ミルクセーキのようにコクのあるカクテルです。牛乳と合わせて、シナモンなどのスパイスを少し加えて温めると、寒い時におすすめのカクテルになります。
リキュールを知ってカクテルをもっと楽しもう!
スピリッツは、病気の時に飲むものから始まった歴史があります。すっきりとしたハーブやスパイス系から果実やカカオなどを使った甘いものなど多様なものがあります。口当たりがよくてもスピリッツを原料にしているので、アルコール度数があるので飲み過ぎに気をつけて、リキュールを使ったカクテル作りを楽しんでください。