夏みかん(ナツミカン)の旬の時期・甘夏との違いは?特徴やレシピも
夏みかんという種類のみかんを知っていますか?みかんと聞けば冬が旬なイメージですが、初夏に旬を迎えるみかんもあるのは知っていますか?夏みかんと呼ばれ冬に食べられるみかんとは違い、皮や味にも大きな違いがあるのが特徴的です。さっぱりとした味わいが夏にはぴったりのみかんとなっています。今回は夏みかんとその他のみかんの違いやどういった栄養素を持っているのか紹介していきます。更には選び方のコツやおいしく頂くための食べ方・調理方法も紹介していきましょう。
夏みかん(ナツミカン)とはどんなミカン?
冬を迎えるとこたつやテーブルによく並び旬を迎えるみかんとは形や味だけでなく収穫時期も異なり、夏に旬を迎え食べる機会が多く特徴は甘さが控えめでさっぱりとしたみかんが夏みかんです。夏に向けて一足先に夏みかんの特徴や選び方、美味しい食べ方・調理方法をご紹介させていただきと思います。今年の夏は店頭に並ぶ夏みかんを一手間加え、楽しく美味しく食べてみてはどうでしょう?
夏みかんの原産国は日本
今から約300年程前(江戸中期)に、山口県長門市仙崎大日比の西本於長氏が海外に漂着した柑橘の種を育て、夏みかんの原樹になったのが起源となっているそうです。現在夏みかんの原樹となっている木は根の部分しか残っておらず上部は接ぎ木を施し1927年(昭和2年)に天然記念物に指名されており保護されています。
現在の夏みかんの生産は山口県を初めに愛媛県・和歌山県・静岡県など日本の温暖な地域で主に生産され、旬となる夏に向けて日本各地で多くの品種が生産され出荷されています。
夏みかんの味や特徴は?
夏に旬を迎えスーパー等店頭で見かけるようになる夏みかんですが、分厚い果皮に覆われていて果皮を剥いても果肉部分の薄皮(ジョウノウ)も厚みがあり、食べ方に癖があり、薄皮を剥いて大粒で食感も楽しめる果肉部分(サジョウ)を味わうのが夏みかんの特徴になっています。
夏みかん本来の味自体には若干の癖があります。冬に良く食べられているミカン(温州蜜柑)とは違い温州蜜柑ほどの甘みは無く、夏みかんは酸味や香りが強く感じられ暑い夏にはこの酸っぱさと若干の甘みが爽やかさを感じさせ、夏には涼しさを感じさせる丁度良いバランスが夏みかんの美味しさでしょう。
夏みかんの正式名称は?
世間一般では夏みかんと聞くとイメージしやすいですが、夏みかんにも正式名称があり、夏みかんの正式名称は「夏橙」又は「夏代々」と学名で登録されており、夏みかんは木に実った実を収穫せず来年まで実らせておけば2つの実がなることから「代々続いていく」という意味を込めて「夏代々」と名付けられたそうです。
夏代々から夏みかんと呼ばれるようになったのは明治中期(約100年前)、市場に出回るのと同時に「夏蜜柑」と商品名を命名し、今現在夏みかんとして広く知れ渡っています。
夏みかんと甘夏は元は同じ!?
名前が似ているため夏みかんの中で選別された甘い夏みかんと思うでしょうか?甘夏とは正式名称「カワノナツダイダイ」と呼ばれ別名「甘夏みかん」「甘夏」と呼ばれている蜜柑です。昭和10年代に川野氏が育てていた夏みかんから枝分かれし、変異品種として発見されたのが甘夏です。
甘夏は夏みかんと比べて酸味が抜けるのが早いため甘みが多く、春から初夏が旬の品種で、現在も人気があり多く出回っています。
夏みかん(ナツミカン)の栄養素とその働き
柑橘類の多くに栄養素は詰まっていますが夏みかんも同じく栄養素がぎっしり詰まっています。ミカンと聞いて1番に思い浮かぶのがビタミンCです。その他にもクエン酸やシネフィリン・ペクチン・カリウム、食物繊維が多く含まれています。それぞれ様々な効能が期待される栄養素ですので夏みかんの健康面での特徴を紹介します。
ペクチンによる整腸作用
夏みかんに含まれる成分の中でペクチンという成分があります。普段あまり耳にしないペクチンですが人体には非常に重要な役割を持った成分です。整腸効果が大きく期待できるペクチンは乳酸菌を増やし腸の調子を整え、便秘や下痢の予防もしてくれる役割を持っています。ペクチンを効率よく摂取するには薄皮部分に多く含まれているため調理加工が必要になります。
その他に夏みかんに含まれるペクチンには血糖値を抑える効果やコレステロール値の低下させる成分も含まれているため、インスリンの分泌を抑え糖尿病予防にも繋がりますし、コレステロール値の低下により心筋梗塞や高血圧予防にも繋がるため健康にも良い果実です。
クエン酸による疲労回復効果
夏みかんや柑橘類に含まれているクエン酸ですが人体にとって必要不可欠なエネルギー源となっています。クエン酸には身体的疲労回復の効果があると言われていますが、精神的疲労回復効果があると言われております。クエン酸が持つ乳酸濃度を下げる効果は身体的疲労感を取り除くだけでは無く、疲労を軽減する事で精神的疲労回復効果の軽減にも繋がっていきます。
ビタミンCとシネフリンによる風邪予防
夏みかんにはビタミンCが多く含まれており1日1個夏みかんを食べれば1日に必要なビタミンCを摂取することが出来ます。ビタミンCには風邪予防をする役割を持っていますがサプリメントとは違い天然ビタミンCは体への吸収率の違いがある為、季節の変わり目や身体が疲れているときに疲労回復効果もある夏みかんを食べてみてはどうでしょうか?
のどの風邪や脂肪燃焼効果の期待され漢方の有効成分などで使われているシネフリンと呼ばれる成分は、主に酸味成分に含まれています。夏みかんや冬に食べる温州みかんにも含まれています。ですが刺激物と同時に摂取してしまうと血流の上昇を引き起こしてしまう可能性があるので果実やサプリメントを摂取する場合は十分に注意してください。
皮、種、ふくろにも栄養がたくさん!
柑橘類における事ですが中の果肉部分だけを食べ、他は捨ててしまうなんてことはよくあることではないでしょうか?夏みかんも特徴として外皮が厚く薄皮も他のに比べてしまうと厚みがありますが、実は無駄になる部分は殆どなく加工を上手くすれば夏みかんの栄養素を効率良く取り込むことが出来ます。
みかんや夏みかんの外皮の内側にある白い筋の部分にはコレステロール値を下げる効果が他の部分より多く含まれてます。夏みかんの外皮や薄皮は厚みがあって食べる際には剥いて捨ててしまいますがこの薄皮にもビタミンPが豊富で果肉部分よりも多く含まれています。ビタミンPはアレルギー対策やビタミンCを守る役割等をもっていて非常に重要な栄養素です。
種にはペクチンが含まれています。生のまま夏みかんの種を食べる事なんて有りませんが調理加工をすれば夏みかんの皮や種に含まれた栄養を取り入れれるでしょう。
夏みかん(ナツミカン)の旬や選び方
夏みかんの食べごろは?
夏みかんが流通しはじめご家庭で見るようになるのは4月から7月にかけて見ることが多いのではないでしょうか?その期間の中でも夏みかんを美味しく頂ける旬となる時期があります。最も旬な時期となるのは4月下旬から5月下旬の時期が水々しい果肉にさっぱりとした酸味とほのかな甘み、爽やかな香りが1番引き立っている時期です。旬な時期の夏みかんでも水々しさが無かったりと選び方や食べ方にも注意してみましょう。
夏みかんを選ぶコツ
夏みかんの旬な時期が分かりスーパーに出向いても沢山並んでおり、様々な色や形をしている夏みかんの中でどれが美味しいのか迷ってしまいます。簡単な選び方を紹介します。
簡単に見分ける方法として4つの選び方を抑えてみましょう。1つ目は見た目です。色が濃くムラ無く黄色になっていて表面に張りがあるものが大事です。2つ目は変色が起きて無く傷が無いものを選びましょう。3つ目は夏みかんのヘタの部分が緑色である物です。最後に4つ目のポイントは同じようなものを選んだ時、重みがある方が水分を含んでおり水々しい夏みかんです。
その4つの選び方を抑えて選び、今までとはまた違った夏みかんの楽しみ方を堪能してみてはいかがでしょうか?
夏みかんの食べ方やアレンジレシピ
ここまで夏みかんには様々な栄養素が含まれているのがわかってきました。しかし人によっては生の夏みかんは酸味が強かったり苦手な方がいると思います。酸っぱいイメージが先行し、食わず嫌いにはならずに、ご紹介するレシピを参考に食べ方を工夫してみてはどうでしょうか?
夏みかんを生で食べる場合
夏みかんの皮が厚いため、手で剥くよりナイフを使って剥いていくのがお手軽でしょう。夏みかんの上下部分を切り取り側面に切り込みを入れてあげれば簡単に厚い皮を剥くことが出来ます。薄皮部分も厚みがあるので薄皮で包み込んでいる接着部分に切れ込みを入れると綺麗に果肉部分が取り出せるでしょう。
酸味が抜けてきているとはいえデザートやジャムなどに加工するのが適した果物ですので他の柑橘に比べると夏みかんは酸味が強いです。食べ方の1つとして生でも勿論美味しく頂く事も可能で、砂糖や塩、蜂蜜などをかけて酸味と香りを楽しむために食べるのも人気です。
夏みかんを調理する場合
夏みかん本来の酸味が強く香りも柑橘類特有の爽やかな香りがデザートやお菓子の材料に適していると思います。夏みかんを美味しく頂く調理方法を3つ程ご紹介させて頂きますのでこの夏参考にしてみてはいかがでしょうか?
見た目がきれい「夏みかんの淡雪かん」
- 卵白2個分
- 砂糖(上白糖)100g
- 寒天5g・水250cc
- 夏みかん1個
- 寒天と水を鍋に入れてよく溶かす。
- 果肉部分のみとなった夏みかんを一口サイズにカットし型に敷き詰め寒天液を果肉が浸る程度入れる。
- 卵白を掻き混ぜ砂糖を2〜3回に分けて入れ角が立つように泡立て残りの寒天液を投入し混ぜます。
- 冷やしておいた夏みかんが敷き詰められた型に卵白を詰め30分程冷やせば完成です。
たくさん手に入ったら「夏みかんのマーマレード」
- 夏みかん4個
- 砂糖500g
- 夏みかんを4等分にカットし、皮と実を分ける。皮の白い綿をスプーンなどで落とします。
- 皮を細かく細切りにし、ボウルに入れ水に浸し揉みながら水洗いをする。この洗う工程を3〜5回繰り返します。
- 薄皮から果実を取り出し、種は鍋に取り出し約100ccの水で煮立たせペクチン液を取り出します。
- 水を切った皮を2〜3回茹で、鍋に実・皮・砂糖を入れ煮詰め、沸騰してからは弱火で煮詰めていく。
- 煮詰まってきたら種から取り出したペクチン液を混ぜとろみを出せば完成です。
大人のデザート「甘夏のはちみつマリネ」
- 甘夏1個
- 蜂蜜大さじ1
- 甘夏の皮を剥き薄皮から実を取り出します。
- 綺麗に取り出した実に蜂蜜を全体に絡め、一晩冷蔵庫で冷やし完成です。
夏みかんの旬の時期が待ち遠しい!
ここまで夏みかんの生産地や栄養素、旬な時期から選び方・調理方法をご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?夏みかんの栄養素の重要さを知り、ひと手間工夫した美味しい食べ方をアレンジし、暑く湿気が多い初夏を夏みかんの爽やかな酸味と程よい甘さで是非、夏を乗り切ってみてはどうでしょうか?