くるみの効果と栄養が凄い!くるみの一日に適切な摂取量は?
くるみはダイエットや心筋梗塞などの予防に効果があるといわれますが、本当に効くのでしょうか。また気になるのは、食べ過ぎると脂肪の摂り過ぎになるのでは?という所です。くるみの効果と、一日に摂取してよい量、またカロリーはどのくらいあるのか、説明していきます。
くるみは栄養が豊富!
くるみは最古のナッツと呼ばれています。紀元前7000年頃という太古の昔から食用や木材として使われていました。日本では縄文時代、すでに栽培され、食べられていたようです。くるみのイメージというと、まずはあの固くて分厚い殻。くるみの殻は雪や氷よりも固いので、砕いて粉にしたものがスタッドレスタイヤに利用されるほどです。
この手強い殻を割って中身を出すのにかかる手間というのは、紀元前7000年頃も現在も変わりがありません。けれどそれでも尚、くるみは廃れることなく愛され続けてきています。ただおいしいだけでなく、栄養素も豊富で、健康のために充分な効果を発揮してくれる食材、くるみ。
ダイエットにも効果があり、また血液をサラサラにしてくれるといわれます。ただ、食べすぎると逆効果にもなってしまうそうです。おいしいくるみを美容と健康管理に役立てる為に、くるみがもたらす効果と、一日の適正摂取量やカロリーについてお話していきます。
くるみの栄養素18選!
オメガ3脂肪酸
くるみの持つ栄養素でもっとも特徴的なものは、オメガ3脂肪酸と呼ばれるものです。オメガ3脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種で、人の体内で作ることのできない油です。つまり食べ物から摂取しなければならないものですが、実は日本人にはこの摂取量がかなり不足しているのです。欠乏すると皮膚炎などの発症を起こすといわれ、健康管理において大変重要な役割と効果を持つものです。
不飽和脂肪酸であるオメガ3脂肪酸は体内に入っても固まりにくく、血中の中性脂肪値やコレステロール値を下げ、また悪玉コレステロールを減らす効果もあります。オメガ3脂肪酸を含む食材には青魚やエゴマ油などがあるのですが、摂取する際にネックとなる性質があります。それは「熱に弱い」というもの。
そのため、青魚やエゴマ油などの場合、調理の過程でオメガ3脂肪酸は減ってしまい、充分な摂取量にならないという結果になってしまうのです。そう考えると、加熱せず生でも食べられるくるみは、オメガ3脂肪酸を摂るのに最適な食べ物といえるのかも知れません。もちろん、ローストした方が美味しいという好みもあると思いますので、くるみを食べるときには生でないとダメという話ではありません。
α-リノレン酸
くるみに含まれるオメガ3脂肪酸はα-リノレン酸です。この栄養素は、体内でEPA、DHAへと変わってゆき、脳や神経系を良い状態に保つほか、がん細胞の抑制効果もあります。また、アレルギー性皮膚炎にも効能があるなど、健康管理に大変役立ってくれます。
ポリフェノール
くるみに含まれる抗酸化物質のひとつ、ポリフェノールには5000種以上もの種類があります。よく知られているものはアントシアニン、カテキン、イソフラボンなどでしょう。くるみの持つクルミポリフェノールは、くるみの薄皮にのみ含まれています。私たちが「くるみの実」として食べている部分を仁(じん)と言いますが、この仁にはポリフェノールは含まれていません。
なのでくるみを食べる時には、渋いからといって薄皮を取り除いたりしないで、そのまま食べる方が良いでしょう。またポリフェノールは、熱しても含有量が変わらないのです。クルミポリフェノールには、血中の中性脂肪値を抑えたり、脂質の代謝を促進させるという、健康管理上大きく役立つ効果もあります。
メラトニン
メラトニンとは脳から分泌されるホルモンで「睡眠ホルモン」と呼ばれます。その名の通り、睡眠を誘う効果を持ちます。また、抗酸化作用もあり、新陳代謝を促します。このメラトニンの分泌は、年を取るごとに減少していきます。くるみにはこのメラトニンの原料となるトリプトファンがたくさん含まれているのです。
朝摂り入れると、夜寝る頃にはメラトニンが生成されていて、良質な眠りにつくことができます。睡眠は健康管理の基本ですから、これは大変うれしい効能です。
ビタミンA
ビタミンAは脂溶性ビタミンの一種で、緑黄色野菜やレバー、バターなどからも摂取される栄養素です。効能としては、暗いところで物を見るなどの視覚機能をよくしたり、粘膜や肌の健康を守る、体の免疫作用を支えるといったものがあります。摂取量が不足するといわゆる鳥目(夜盲症)になったり、皮膚が角質化して荒れる、生殖機能に異常を来たすなど、深刻な症状を起こしてしまいます。健康管理上大きな効果のあるものです。
ビタミンB
ビタミンBは、ビタミンB群といって色々な種類のものがあります。ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12などです。くるみが多く持っているのは、ビタミンB2。どんな効能を持つかというと、口内炎、肌荒れを防ぐというものです。
ビタミンB群は穀物や肉類に多く含まれますが、この栄養素も食事からだけでは不足しがちになります。健康管理の為には欠かせない効果のあるビタミンですので、くるみからしっかり補給したいものです。水溶性のビタミンで、たくさん摂取した分は体外に排泄されます。
ビタミンC
ビタミンCというと柑橘系の果物を連想しやすいかも知れませんね。野菜や果物に多く含まれています。ビタミンCの摂取量が不足すると、壊血病を起こしてしまいます。毛細血管が敗れて出血するという病気です。ほかにも皮膚が乾燥して荒れるなどの症状も引き起こします。口内の健康においてもビタミンCは重要な効能を持っています。くるみのビタミンC効果を健康管理に役立てましょう。ビタミンCも、水溶性ビタミンです。
ビタミンE
ビタミンEは脂溶性で、抗酸化作用を持つビタミンです。生体膜の酸化を防いでくれますので、血管を健康に保つ効能、そして老化防止に効能があります。ビタミンEの摂取量が不足すると、脂溶性貧血となったり、老化、更年期障害、自律神経失調症などを招いてしまいます。いつまでも元気で若々しくあるため、健康管理に欠かせない効果のあるビタミンです。
ビタミンK
ビタミンKも脂溶性ビタミンで、くるみのように脂質の高いもので摂取すると効果的です。ビタミンKは出血を止める、骨を丈夫にするなどの効能を持ちます。摂取量が不足すると、出血が止まりにくくなったり、鼻血や胃腸からの出血など、また乳児では頭蓋内出血を起こすなどしてしまいます。
葉酸
葉酸は、ビタミンB9とも呼ばれます。DNAや細胞、また赤血球を新しく作り出すという効果があります。不足すると貧血になったり、口腔内や粘膜などに障害が出ます。
鉄分
摂取量が不足すると貧血を起こすといわれる鉄分。主な効能としては、エネルギー生産に必要な酸素を血液中に送る、筋肉の動きを助ける、代謝を活発にさせるなどです。不足してしまうと貧血による動悸や目眩、疲労感、集中力低下などを起こします。くるみの鉄分の効果で健康管理を行い、はつらつとしていたいものです。
カルシウム
カルシウムは多くの方が知っている通り、骨や歯をつくるという効果を持つ栄養素です。他にも神経や血液の状態を正常に保つ効能があります。摂取量が不足すると、骨粗しょう症になったり、イライラ、抑うつ、不眠症などの症状が現れます。心身ともに健康管理に役立てたいですね。
カリウム
カリウムの効能は、細胞内のpH値(酸性とアルカリ性のバランス)を適切に保ったり、ナトリウムの摂取量が多すぎるときはそれを排泄して血圧の上昇を防いだり、心臓、筋肉、神経を正常に保つなどがあります。不足すると高血圧、心臓発作などを起こしてしまいます。海草などに多く含まれますが、煮たりすると水の中に溶け出してしまうので、くるみのようにそのまま食べられるものはカリウム摂取に大変効果的だといえます。
マグネシウム
マグネシウムはカルシウムとともに骨や歯をつくり、また筋肉の中にも存在しています。筋肉の動きや神経の働きを助け、体内の酵素を活性化させてエネルギーを作り出すという効果があります。不足すると動脈硬化や骨粗しょう症、抑うつ、イライラなどの症状を招きます。カルシウムと合わせて適宜摂取が望ましいものですが、くるみにはこの両方とも入っています。
リン
リンは、カルシウムと結合して骨や歯を作り、またATPというエネルギーの素になる物質を作る効果を持ちます。ほかにもpH値の調整、神経や筋肉の保護などしてくれます。不足すると骨軟化症を引き起こします。
亜鉛
亜鉛はDNAや細胞を作り出し、活性酸素を抑える成分となって健康を維持するという効果を発揮します。また味覚や嗅覚の正常な働きを保ち、アルコールの害から体を守り、さらに皮膚や骨の発達にも良い働きをするという、大変有能なミネラルです。不足すると発育不全や免疫力の低下を招いてしまいます。
たんぱく質
皆さんが知っている「三大栄養素」の一つです。たんぱく質は体内でアミノ酸となり、血液や筋肉など体を作ったり修復したりする効果があります。不足すると成長障害、体力低下、免疫力低下、精神障害などを招いてしまいます。
食物繊維
食物繊維はダイエットのために重要な効果を持つ栄養素です。有害物質の排泄を助け、腸内環境を整え、腸の働きを活発にして便秘を解消し、胃の中でふくらんでエネルギーの摂り過ぎを防ぎます。ほかにも心筋梗塞や糖尿病などの生活習慣病を防ぐ効果のあることがわかってきています。不足すると便秘や高脂血症、肌のトラブルなど招いてしまいます。
くるみのカロリー
出典: https://pinst.jp
くるみは1個の殻の中に2かけの仁が入っていますが、この仁1かけに含まれるカロリーは、約20キロカロリーです。10かけ、つまり殻5個分で、約200キロカロリー。白米ご飯茶碗軽く一杯分と同等です。そう考えると、小さな姿でもくるみというのは、高カロリーの食物ですね。くるみを黒糖やキャラメルなどでコーティングしたものだと、糖質が追加されるのでさらに高カロリーの食品となります。
一度にたくさん食べるのではなく、少しずつ、食事の中に取り入れるのが適切でしょう。おやつやおつまみにすると、どうしても一点集中で食べ過ぎ、カロリーの摂り過ぎになる危険があるので、他の食品と一緒にバランスよく摂ることを意識しましょう。
くるみの効能
くるみはコレステロール値や中性脂肪値を下げ、血管を柔らかくして健康を保ってくれます。くるみの適度な摂取により、動脈硬化、高血圧、肥満、糖尿病などの生活習慣病を予防する効果が期待できます。また、がんの予防にも効果が期待されるといわれています。重要なのは、くるみばかりに集中して食べるのではなく、他の食品と合わせてバランスよく食べるという事です。
くるみ自体が栄養バランスの取れたものではありますが、「くるみを食べる」ではなく「食生活にくるみを取り入れる」と考えて摂取するとよいでしょう。
くるみの食べ過ぎは危険?
くるみにはまず、高カロリーである、つまりその7割が脂質でできているという注意すべき性質があります。脂質は3大栄養素の一つであり、人間の体に必須のもの。ビタミンA、D、Kなどの脂溶性ビタミンは、脂質とともに摂取することで吸収されやすくなります。ですが脂質を摂り過ぎた場合、消費しきれず体脂肪として体内に蓄えられ、肥満や動脈硬化など生活習慣病のおそれが出てきます。
また、ニキビができやすくなったりもします。また、くるみに含まれている食物繊維は上にも書いた通りダイエット効果において強い味方なのですが、摂り過ぎると腸に悪影響を及ぼしてしまいます。
他にも、通常の食事であれば摂り過ぎる心配のないビタミンやミネラルですが、過剰に摂取した場合貧血や中毒症状など健康上の問題を引き起こすという逆効果になるので、くるみの摂り過ぎにはやはり注意が必要なのです。小さいけれどカロリーの高い食べ物であるということを、しっかり意識しておきましょう。
くるみの適正摂取量
くるみの効果を健康管理に役立てるにあたり、その適正摂取量は、重量でいうと27~28グラム。片手でひと掴み分が目安といわれます。仁の数でいうと10かけ程度。仁はひとつの殻の中に二かけ入っていますので、殻の個数でいうと5個位ですね。
ちなみにこの「殻」が、実はくるみの「果実」なのです。くるみの食用部分は「仁」という部分で、実(つまり種)の内容物、というわけです。私たちが普段食べている「くるみ」とは、くるみという植物の一番コアなところなのです。子葉になる胚と、胚の栄養となる胚乳が、この仁の成分です。驚くほど栄養価が高いのも、納得です。
くるみの料理
くるみを使った料理や食品の中で、手に入りやすく馴染み深いものといえば、くるみパンがあります。レシピをいろいろ見てみると、9~10個分の材料としてくるみ70グラム、25グラム、90グラム、50グラムなどとありました。
つまり、パン屋さんやコンビニで売られているくるみパン1個中には、大体くるみ5~10グラム程度が含まれていると考えてよいかと思います。他にもくるみを使った料理には、ケーキ・クッキー・炒め物・佃煮などがあります。また、くるみ味噌・くるみご飯・くるみ餅・くるみ蕎麦などの郷土料理も、各地にいろいろあります。
一食分に入っているくるみが上のパンと同じくらいと考えると、一日三食の中で毎食一品、何かくるみを使ったものを取り入れれば、過剰にならず適量が摂取できそうです。もちろん生くるみやローストしたくるみをおやつとして、またおつまみとしてそのまま食べても良いですね。
くるみの割り方
くるみを割るには、必ず何らかの道具が必要です。専用のくるみ割り器をはじめとして、キッチンばさみ、剪定ばさみ、ハンマー、ドライバーなど、さまざまな道具が使われています。また殻を割る前に茹でたり炒ったり、熱を加えると良いという話もあります。
ここでは、一番身近な道具のひとつともいえる「包丁」を使ってくるみの殻を割る方法の動画を紹介します。どの道具を使うにしても、くれぐれも怪我をしないようお気をつけ下さいね。せっかく健康維持に効果のあるくるみをいただくのですから。
くるみは栄養や効果が豊富だった!
くるみは不飽和脂肪酸を豊富に含み、血中のコレステロール値を下げてくれます。また抗酸化物質も豊富で、体を活性酸素から守ってくれます。食物繊維で腸の働きをよくし、ビタミンやミネラルで体の状態を良好に保ってくれます。そして少ない量でも高カロリーで、適正摂取量は一日に殻5個分程度。たくさんの素晴らしい効果をもたらしてくれるくるみを、上手に摂り入れて健康管理に役立てましょう。