ウイスキーの原料は種類豊富!モルトやグレーンとは?水も重要な原料!
ウイスキーは世界中で飲まれていて、ファンの多い人気のあるお酒です。ウイスキーの発祥はアイルランドといわれており、現在では世界五大生産地を中心に色々なウイスキーが作られています。穀物を糖化し、酵母によりアルコール発酵させて作りますが、原料の種類がたくさんんあり色々な穀物が使われています。今回は、ウイスキーの原料や水、酵母ついて徹底調査します。また、モルトウイスキーとグレーンウイスキーの原料の違いや、バーボンとスコッチの違い、ウイスキーと焼酎の違いなども紹介します。
目次
ウイスキーの原料
ウイスキーは世界中で飲まれているお酒ですが、原料や製造方法に決まりがあります。原料は大麦やトウモロコシなどの穀物を使い、糖化し、酵母を使い発酵させ麦汁を作ります。
その麦汁を、単式蒸溜器や連続式の蒸溜機で蒸溜し、オークなどの木の樽で熟成されます。また、ウイスキーには大量の水が必要で、よい水源のあるところにウイスキーの蒸溜所が建てられます。
そのためウイスキーは、蒸溜所がある土地の気候や水などによって、蒸溜所独自の味わいが出るため、個性豊かなウイスキーに仕上がるのが特徴です。
主原料は穀物
ウイスキーの主原料は穀物です。発芽した穀物を使い、酵母の働きにより発酵させ麦汁を作ります。ウイスキー作りは、デンプン質を糖に変える糖化が必要で、デンプン質を多く含む穀物が使われます。ここでは、モルト、トウモロコシなど、ウイスキー作りに使われる穀物について紹介します。
モルト
モルトは麦芽のことで、一般的には大麦のことをいいます。ウイスキーのアルコールは、麦芽に含まれているデンプン質を糖に変え、その糖をアルコールに変えて作られています。モルトは、シングルモルトウイスキー、モルトウイスキー、ブレンデッドモルトウイスキー、ブレンデッドウイスキーになど使われています。
大麦はデンプン質を多く含んでおり、ウイスキー作りに最適の穀物です。大麦の中でも、二条大麦の穂が通常よりも大きく、デンプン質が多いことから、一番多く使用されています。
トウモロコシ
トウモロコシは、主にグレーンウイスキーの原料に使われます。また、アメリカンウイスキーのバーボンは、トウモロコシを51%以上80%以下を原料に使い、内側を焦がしたホワイトオークの新樽に樽詰めされます。
小麦
小麦は主にグレーンウイスキーの原料に使われます。小麦を主原料に使ったウイスキーは、ヘブンヒル蒸溜所で製造された、バーンハイムオリジナルウィートウイスキーがあります。冬小麦51%を主原料に使った、世界第1号の小麦ウイスキーです。
ライ麦
ライ麦は主にグレーンウイスキーの原料に使われます。カナディアンウイスキーのフレーバリングウイスキーのブレンド用とした作られているのが有名です。
燕麦
燕麦は主にグレーンウイスキーの原料に使われます。燕麦はオーツ麦ともいわれ、ビールの醸造に使われていた長い歴史があり、ウイスキー作りにも利用されています。
蕎麦
燕麦を主原料に使ったウイスキーもあります。エデューシルバーというウイスキーで、フランスのブルターニュ地方で作られています。一般的なウイスキーと同様に、2回蒸溜して作られ、コニャックの樽で5年間熟成されます。
水は良質なものを大量に
ウイスキー作りにおいて、水も大切な原料です。ウイスキーは穀物を糖化する際に、仕込み水とも呼ばれる水を大量に使います。そのため、蒸溜所はよい水源のあるところに建てられます。
この水は、酵母の栄養となるミネラル分がバランスよく含まれている良質な水が求められ、この水の質によって、独自な味わいや香りを持つウイスキーができあがるともいわれています。
ウイスキーの本場といえるスコッチウイスキーや、国産のジャパニーズウイスキーにはミネラル分が少ない軟水が多く使われ、バーボンなどが代表的なアメリカなどでは硬水が多く使われているのが特徴です。
シングルモルトのボトル1本を製造するのに、平均すると水10l程が必要とされており、ウイスキー作りには多くの水が不可欠です。
酵母は香りを生む原料として
ウイスキー作りには、香りを生む原料として酵母が使われます。酵母は、糖分を炭酸ガスとアルコールに分解する働きがあり、アルコールを発酵させ麦汁を作ります。
酵母にはたくさんの種類があり、ウイスキーを作る場合、1種類しか酵母を使わないものや、複数の種類の酵母を使うウイスキーもあります。この酵母の特徴や組み合わせにより、色々な香りのウイスキーを作ることができます。
モルトウイスキーとグレーンウイスキーの原料と特徴
ウイスキーは原料の違いで、モルトウイスキーとグレーンウイスキーに分けることができます。ここでは、モルトウイスキーとグレーンウイスキーの原料の違いと特徴を紹介します。
モルトウイスキーの原料と特徴
一般的なモルトウイスキーは、大麦の麦芽のみ原料に使い、大麦を糖化し、酵母を使い発酵させ麦汁を作り、ポットスチルと呼ばれる単式蒸留器でで2回から3回、蒸留してつくります。
モルトウイスキーは、蒸溜所がある土地の気候や水などによって、蒸留の過程でその土地ならではの香りや味わいを持ち、個性的な味わいに仕上がるのが特徴です。
また、モルトウイスキーの中でも、1つの樽のウイスキーの原酒だけを瓶詰めしたウイスキーをシングルカスクといい、味を調整せず作られるので、より個性の強いモルトウイスキーになります。
大麦が原料
モルトウイスキーは、通常、大麦の麦芽のみを使ったものをいいます。大麦の中でも、二条大麦という種類が一番多く使われており、そのほか、四条大麦、六条大麦、ハダカ大麦、野生大麦などが使われています。
国によって大麦の使用率が違う
モルトウイスキーは、色々な国で作れられており、各国ごとに違いがあります。ウイスキーの本場イギリスをはじめ、ヨーロッパや日本などでは、大麦のみを使ったものがモルトウイスキーといいます。
アメリカでは、大麦が原料の51%以上含まれているものをモルトウイスキーといい、大麦のみを原料とするものはシングルモルトウイスキーと呼んでいます。
ジャパニーズウイスキーはモルトが一般的
日本の蒸留所で作られるジャパニーズウイスキーはモルトウイスキーが一般的です。日本国内で作られるモルトウイスキーの原料も二条大麦が多く、そのほとんどがヨーロッパから輸入して作られています。
グレーンウイスキーの原料と特徴
グレーンとは穀類という意味で、グレーンウイスキーは、トウモロコシ、小麦、ライ麦などの穀物に麦芽を加え、酵母により発酵させ、アルコール発酵したモロミを連続的に蒸留する連続式蒸留機で作られ、その後、樽で熟成されます。
以前は、主にブレンデッドウイスキー用として作られてきたグレーンウイスキーですが、近年では上質なものも作られるようになり、シングルモルトのように同じ蒸溜所で作られた、シングルグレーンウイスキーも販売されています。
トウモロコシやライ麦などが原料
グレーンウイスキーの原料は、トウモロコシ、小麦、ライ麦、燕麦、蕎麦などの穀物に、糖化のため麦芽を15%から25%程度加えられて作られます。原料を酵母により発酵させ、樽で熟成されます。
グレーンウイスキーの風味は軽く少なめで、なるべく個性を出さないように作られているのが特徴で、サイレントスピリッツと呼ばれています。
シングルグレーンウイスキーは、ほんのり甘く軽やかな口当たりのものが多く、個性の主張が抑えられおり、飲みやすいウイスキーといえます。
製造方法が特殊で希少
グレーンウイスキーは、製造方法が特殊でブレンド用として製造されることから、そのほとんどが消費されてしまいます。しかし、ごく稀に長期熟成されたグレーンウイスキーが出回ることがあります。
長期熟成されたグレーンウイスキーは、モルトウイスキーほどの個性はないものの、特徴的な風味と味わいがあり、希少でもあるので、一度は味わって欲しいウイスキーです。
ウイスキーとバーボン・スコッチの違いは原料?
ウイスキーには、バーボンウイスキー、スコッチウイスキーなど色々な種類があります。ここでは、ウイスキーとバーボン・スコッチの違いを説明します。
バーボンウイスキーの特徴
バーボンウイスキーはアメリカを代表するウイスキーで、アメリカンウイスキーのひとつです。主にアメリカのケンタッキー州を中心に製造されるウイスキーで、バーボンはアメリカで発祥した唯一のスピリッツ(蒸溜酒)です。
原料
バーボンウイスキーの原料は、トウモロコシを51%以上を使用する決まりがあり、そのほか、ライ麦や小麦などが加えられ、大麦の麦芽で糖化し、さらに酵母を加えてアルコール発酵させて作られます。
製法と生産地
バーボンウイスキーは、トウモロコシなどの主原料に大麦の麦芽で糖化し、酵母を加えアルコール発酵させた原酒を連続式蒸留機で蒸留します。このときは、アルコール度数80度以下で蒸留され、できあがった蒸留酒を加水して、アルコール度数62.5%以下に調整します。
調整された蒸留酒を、内側を焦がしたホワイトオークの新しい樽に詰め熟成されます。熟成されたバーボンは、アルコール度数40度以上で瓶詰めするのがバーボンウイスキーの決まりです。
バーボンウイスキーは、ケンタッキー州のバーボンという地域で作られていたことから、そのまま名前が付けられ、アメリカ国内において現在も有数の生産地です。また、バーボンウイスキーの原料や製造方法を満たし、アメリカ国内で生産されたのもはバーボンウイスキーと呼ばれています。
スコッチウイスキーの特徴
スコッチウイスキーは、イギリスのスコットランドで製造されるウイスキーのことです。スコッチウイスキーには決まりがあり、糖化から発酵、蒸留、熟成までの全ての工程を、スコットランドで行われたウィスキーのみがスコッチウィスキーと呼ばれています。
原料
スコッチウイスキーにもモルトウイスキーとグレーンウイスキーがあります。モルトウイスキーの原料は大麦で、グレーンウイスキーの原料はトウモロコシ、小麦、ライ麦などの穀物です。
製法と生産地
スコッチウイスキーを代表するのはモルトウイスキーですので、ここでは、モルトウイスキーの製法の決まりを紹介します。糖化、発酵、蒸留、熟成までの全ての工程をスコットランドの蒸留所で行い、さらに、700l以下の容量のオーク樽で3年以上の期間、熟成されたものだけがスコッチウイスキーと決められています。
ウイスキーの基礎知識
ここでは、知っておきたいウイスキーの基礎知識を紹介します。ウイスキーの世界五大生産地、ジングルモルトとブレンデッドについて解説します。
世界五大生産地
ウイスキーの世界五大生産地は、スコットランド、アメリカ、アイルランド、カナダ、日本です。ここでは、それぞれの産地の特徴を紹介します。
スコットランド
スコットランドで作られるウイスキーは、スコッチウイスキーで世界で最も生産量の多いウイスキーといわれています。麦芽を乾燥させる際に、ピートと呼ばれる泥炭で燻蒸するため、独特の香りが強いウイスキーが多く、スモーキーなフレーバーが特徴です。
アメリカ
アメリカで作られるウイスキーは、バーボンウイスキーがよく知られています。ケンタッキー州のバーボン発祥で、夏に暑く、冬に寒い、厳しい自然の中で作られ独特の甘みが特長です。トウモロコシを主原料としているのも特徴のひとつです。
アイルランド
アイルランドで作られるウイスキーは、アイリッシュウイスキーで、ウイスキー発祥の地とされており、世界で最も古い歴史があるウイスキーです。麦芽を乾燥させる際に、ピートによる燻蒸を行わないことが特徴で、熟成期間が短く、穀物の豊かな香りと軽やかでスッキリとした味わいが特長です。
カナダ
カナダで作られるウイスキーは、カナディアンウイスキーで、トウモロコシを主原料とするベースウイスキーとライ麦を主原料とするフレーバリングウイスキーをブレンドして作られます。世界5大ウイスキーの中で、最もライトなお酒で、比較的クセのない軽快なフレーバーが特徴です。
日本
日本で作られるウイスキーは、ジャパニーズウイスキーで、スコッチウイスキーの影響を受けており、独自の味わいに仕上げられたウイスキーです。色々な原酒を日本人の感性でブレンドし、日本特有の繊細さと優美さをがあり、世界的に高い評価を受けています。
ジングルモルトとブレンデッド
ウイスキーは、ジングルモルトとブレンデッドに分けることができ、ここでは、ジングルモルトとブレンデッドの特徴ついて紹介します。
シングルモルトの特徴
シングルモルトのシングルとは「ひとつの」という意味で、モルトウイスキーを製造する際、ひとつの蒸留所で作られたものをいいます。ブレンダーと呼ばれる職人が、同じ蒸溜所の年数の違う樽の中から、モルトウイスキーの原酒を取り出し、混ぜ合わせ香りや味のバランスを調整して作られます。
シングルモルトウイスキーは、蒸溜所がある土地の気候や水などによって、蒸留の過程で色々な香りや味わいを持ち、独自の味わいが出るため、個性豊かなウイスキーに仕上がるのが特徴です。
ブレンデッドの特徴
ブレンデッドウイスキーは、モルトウイスキーの原酒とグレーンウイスキー原酒を混ぜ合わせて作ったウイスキーです。
個性的なモルトウイスキーと、飲みやすく軽い口当たりのグレーンウイスキーとをブレンドすることで、互いの良いところ強調し、香味の豊かで飲みやすいウイスキーへ仕上げたものです。ブレンデッドウイスキーは世界中で飲まれているウイスキーで、世界のウイスキーの7割から8割がブレンデッドウイスキーだといわれています。
ウイスキーと焼酎の共通点と違い
世界中で飲まれているウイスキーと、日本国内でよく飲まれている焼酎、どちらもお酒ですが、同じところもあり、違うところもあります。ここでは、ウイスキーと焼酎の共通点と違いを紹介します。
どちらも蒸留酒
ウイスキーと焼酎の共通点は、どちらも蒸留酒ということです。一般的なお酒は大きく、蒸溜酒と醸造酒に分けられ、醸造酒は日本酒、ビール、ワインなどで、原材料をアルコール発酵して作ったお酒です。
蒸溜酒はアルコール発酵された原酒を蒸溜して作ったお酒で、ウイスキーと焼酎が蒸留酒です。蒸留酒は、蒸溜器で加熱することでアルコール度数を高めたお酒で、焼酎は1回、ウイスキーは2回から3回蒸溜されます。
蒸留酒は個性的な味わいと香りがあり、製造する際に、同じ味わいのウイスキーや焼酎を作ることができる安定感があります。
焼酎の原料
ウイスキーと焼酎の違いは原料にあります。ウイスキーは、大麦をはじめ、トウモロコシ、小麦、ライ麦、燕麦、蕎麦などのほかにも色々な穀物が使われています。
焼酎は、芋、米、麦、蕎麦、黒糖など色々な原料から造られていますが、日本国内において手に入りやすい原料が使われています。
熟成方法
ウイスキーと焼酎の違いは熟成方法にもあります。ウイスキーは木製の樽で熟成され、樽から溶け出る成分により独特の琥珀色をしたお酒に仕上がります。また、樽で熟成されるため、スモーキーな味わいのお酒ができあがります。
焼酎の場合は、ステンレスやホーローのタンクなどで熟成されるのが一般的です。このため、無色透明なお酒に仕上がり、雑味のない原料と水だけのクリアな味わいのお酒ができあがります。
ウイスキーの原料はシンプルだが奥が深い
今回は、ウイスキーの原料について紹介しました。ウイスキーの原料には色々な穀物が使われており、それぞれできあがるウイスキーに特徴があります。シングルモルトウイスキーは個性が強く、好みが分かれます。ブレンデッドウイスキーは飲みやすく、初心者にもおすすめです。
ウイスキーは、穀物、水、酵母が原料でシンプルでありながら、色々な味わいのウイスキーができあがります。奥が深いウイスキーですが、色々飲み比べて自分好みのウイスキーを見つけましょう。