2019年04月13日公開
2024年09月11日更新
モルトとグレーンの特徴と原料の違い!ウイスキーのカスク/バレルも紹介
モルトウイスキーとグレーンウイスキーの違いを知っていますか?モルトとグレーンはウイスキーの原料と製造方法に違いがあります。中でも一つの樽を瓶詰めしたシングルモルトは最高級のウイスキーです。モルトウイスキーもスコッチウイスキーやアメリカンウイスキーに分類されます。グレーンはブレンデッドウイスキーとして活躍します。モルトとグレーンの違いについて紹介します。また、トウモロコシを原料としたバーボンなどおすすめのウイスキーやシングルカスクやシングルバレルといったウイスキー用語についても紹介します。
目次
モルトとグレーンでウイスキーはどう違うの?
芳醇な香りや一癖ある味わい深さ、そして黄金色に輝く美しさに魅かれて昨今ではウイスキー愛好家が増加しています。ウイスキーをソーダで割ったハイボール人気もウイスキー愛好家を増やす一つの要因です。そんなウイスキーはモルトウイスキーとグレーンウイスキーの二種類に分類されます。
モルトウイスキーもグレーンウイスキーも同じ蒸留酒ですが、原料や製造方法に違いがあります。モルトウイスキーとグレーンウイスキーではそれぞれ味わいや香りなどが異なり、良さが際立ちます。そんなウイスキーの種類であるモルトウイスキーとグレーンウイスキーの違いについて紹介します。
モルトとグレーンの違い【原料と製造編】
ウイスキーは大きく二種類に分類されます。モルトウイスキーとグレーンウイスキーです。モルトウイスキーは本格ウイスキーで大麦の麦芽だけを使用します。一方グレーンウイスキーは、モルトとは異なり大麦の麦芽と穀物をブレンドして使用します。
モルト
モルトウイスキーの原料は大麦の麦芽です。大麦の麦芽を発酵させ二回蒸留して作られるのがモルトウイスキーです。樽で熟成させるのもモルトウィスキーの特徴です。一般的に耳にするシングルモルトウイスキーは一つの蒸留所で製造された樽のウイスキーだけを詰めたものです。モルトは樽の個性がはっきりと出るのが特徴です。
モルトウイスキーは一般的にはブレンダーが複数の樽のウイスキーをブレンドして作られます。モルトは個性がありすぎるため調合や調和させたウイスキーに仕上げます。マッカランやグレンフィディック、モンキーショルダーブレンデッドなど有名なウイスキーが勢揃いしているのがモルトウイスキーです。
グレーン
グレーンは穀類と麦芽をブレンドして発酵させて蒸留して作ります。モルトが単式の蒸留器を使用するのに対してグレーンは連続蒸留器を使用します。穀物はトウモロコシや小麦などを使用します。グレーンウイスキーはサイレントスピリッツとも呼ばれています。
グレーンウイスキーはそのまま飲むためにあまり利用されません。ブレンデッドウイスキーなどに使用されることがほとんどです。アイリッシュウイスキーティーリングやサントリーシングルグレーンウイスキーなどが有名です。
グレンウイスキーはモルトと異なり連続蒸留器を使用するため短時間で大量製造が可能です。そのため量産が可能なのもモルトと異なる点です。品質に差が出にくく大量製造が可能であるため市場へ流通する価格も安くできるのが特徴です。
モルトとグレーンの違い【特徴編】
モルトウイスキーとグレーンウイスキーはそれぞれ味に特徴があります。モルトウイスキーは樽で寝かせて深い味わいに熟成されるのに対して、グレーンウイスキーは軽い風味の味に仕上がります。
モルト
モルトウイスキーの特徴はオークの樽で長期間熟成させることです。最初は無色透明なモルトウイスキーも熟成とともに黄金色に輝きます。モルトウイスキーを樽で寝かせることで独特の深みが増して、風味の個性を出すことができます。モルトウイスキーがラウドスピリッツと呼ばれるのは個性がとても強いためです。
モルトウイスキーは蒸留所が自信を持って世に送り出しています。蒸留所が誇りを持って製造している中で特に自信作なのがシングルモルトです。シングルモルトは樽によって微妙な味わいが異なるのが特徴です。しかしその微妙な違いもシングルモルトの良さとして受け止められています。
グレーン
グレーンウイスキーは香りが強いモルトウイスキーとは対照的に、お酒の風味が柔らかくなっているのが特徴です。ウイスキーの香りが苦手な人でも美味しく飲むことができます。グレーンウイスキーも樽で熟成されますが、風味が軽い穏やかな味わいになるのがおすすめポイントです。
モルトの定義
モルトウイスキーもさらに分類されます。スコッチウイスキーとアメリカンウイスキーです。違いはそれぞれ発祥となる場所です。スコッチウイスキーはスコットランドで製造されます。アメリカンウイスキーはケンタッキー州のバーボンで誕生しアメリカで製造されています。定義も異なりおすすめは大麦麦芽100%のスコッチウイスキーです。
スコッチウィスキーの定義
スコッチウイスキーはモルトウイスキーの定番です。大麦麦芽だけを原料とし、大麦麦芽以外は使用しない大麦麦芽100%が原料です。スコッチウイスキーの製造は単式の蒸留器で2回から3回蒸留を繰り返し製造します。大量製造に向いておらず、少量の製造で市場に出回ります。そのため価格も高めで高級なウイスキーとしての位置づけです。
スコッチウイスキーにおけるシングルモルトウイスキーの定義は、1つの蒸留所だけで製造されたモルトウイスキーである事です。他で製造された蒸留所のモルトウイスキーをブレンドしない純粋なモルトウイスキーの事を指します。
世界五大ウイスキーの一つに数えられるスコッチウイスキーは、モルトの中でも最上位です。全世界の生産量の7割を占めています。スコットランドだけで製造されるため、スコットランドには名高い蒸留所がたくさん存在します。本物のモルトが生まれるのがスコットランドです。
アメリカンウィスキーの定義
アメリカンウイスキーはアメリカ合衆国で製造されるモルトウイスキーです。原料は大麦の麦芽が51%以上であることがアメリカンウイスキーの定義です。つまり原料の過半数以上が大麦麦芽である必要があります。すべてが大麦麦芽で作られていることがスコッチウイスキーとの大きな違いです。
アメリカンウイスキーにおけるシングルモルトウイスキーとは、アメリカンウイスキーの中でも大麦麦芽を100%使用したモルトウイスキーであることが定義になっており、スコッチウイスキーのシングルモルトとは意味合いが異なります。
グレーンのブレンディングでの必要性
日本人に一番馴染みのあるウイスキーがブレンデッドウイスキーです。ブレンデッドウイスキーとはモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドさせたウイスキーです。日本国内で一番流通しているおすすめのウイスキーです。価格も安く手に入りやすくおすすめです。
風味を引き出す存在
ブレンデッドウイスキーは風味が特徴です。モルトウイスキーの強い個性とグレーンウイスキーの柔らかい風味をブレンドすることでまろやかな味わいのあるウイスキーに仕上がります。モルトウイスキーの持つ芳醇な香りとグレーンウイスキーが持つ飲みやすさを両立させたウイスキーであるのがおすすめポイントです。
モルトウイスキーは個性があり過ぎてきつく感じる、グレーンウイスキーは柔らかすぎてウイスキーを飲んでいる感じがしないと悩んでいる人におすすめなのがブレンデッドウイスキーです。飲みやすいウイスキーであるため女性にも人気のウイスキーです。
ブレンデッドウイスキーの風味は使用するモルトとグレーンのブレンドによって決まります。モルトとグレーンのバランスを少し変えるだけで全く異なるブレンデッドウイスキーが完成します。さらにモルトは樽によって微妙な風味の違いもあるため、ブレンデッドウイスキーは無限の可能性があるウイスキーです。
ブレンデッドウイスキーに欠かせない
角やトリス、響など日本のブランドも数多く存在するブレンデッドウイスキーに欠かせないのがグレーンウイスキーの存在です。グレーンウイスキーはウイスキー単独ではモルトウイスキーの陰に隠れてしまう存在です。グレーンウイスキーを単独で飲むシーンはあまり見かけません。
しかしブレンデッドウイスキーにはグレーンウイスキーの存在が重要になります。モルトウイスキーの個性をグレーンウイスキーで中和する大事な役割があります。グレーンウイスキーは美味しいブレンデッドウイスキーを作り出すために存在するといっても過言ではありません。
グレーンとバーボンの違いは?
グレーンウイスキーもバーボンウイスキーも大麦麦芽以外に穀物をブレンドした原料が使用されます。バーボンウイスキーはこの原料に過半数のトウモロコシを使用することが定義づけられています。また、バーボンウイスキーは熟成させるのに常に新品の樽を使用するなどの決まりもあります。
原料
グレーンウイスキーとバーボンウイスキーの大きな違いの一つに原料があります。グレーンウイスキーもバーボンウイスキーも大麦麦芽に穀物をブレンドしたものが原料ですが、バーボンウイスキーは原料の半分以上がトウモロコシであることが定義づけられています。
バーボンウイスキーの主たる原料はトウモロコシであるのが他のウイスキーとは異なる点です。この原料のトウモロコシの割合が80%を超えるとコーンウイスキーと呼ばれます。コーンウイスキーもバーボンウイスキーの一つに含まれます。
産地
バーボンウイスキーはアメリカンウイスキーの一つに数えられています。そしてバーボンウイスキーは独特の甘みを持った原酒として定評があります。バーボンウイスキーに使用されるトウモロコシはアメリカの広大な土地で生産されたものです。アメリカンウイスキーの一種であるのにも納得です。
熟成の樽
バーボンウイスキーには樽にも秘密があります。ウイスキーは樽に入れて数年寝かして熟成させます。12年もののウイスキーは12年間樽で熟成させたものです。その熟成に使用する樽はバーボンウイスキーの場合、新品の樽を使用します。
逆にスコッチウイスキーの場合は、必ず中古の樽を使用します。新品の樽はバーボンウイスキーを熟成させるのに使用し、一度使用した樽はスコッチウイスキーを熟成させるのに使用します。
ウイスキーのカスクとバレルとは?
ウイスキー用語にはカスクとバレルがあります。カスクは樽を意味しカスクはオークの木でできています。バレルは容量を表す単位です。シングルカスクもシングルバレルも同じ意味で一つの蒸留所の樽から瓶詰めされたウイスキーです。
シングルカスクとは?
ウイスキー用語でカスクとは樽の事を指します。樽はウイスキーを熟成させる重要な役割を持っています。カスクは木でできています。オークの木を使用していますが、オークの種類によってもウイスキーの味が変わります。蒸留後無色透明なウイスキーは、熟成させることで黄金色に変化していきます。
シングルカスクとは、一つの樽の原種を瓶に詰めたものです。シングルモルトはシングルカスクの中でもモルトウイスキーだけに適用される言葉です。他のグレーンウイスキーやバーボンウイスキーでは一つの樽から瓶詰めされれば、シングルカスクになります。
シングルカスクに利用されるオークはホワイトオークやヨーロピアンオークなどが使用されます。日本の市グルかすくではミズナラが使用されることも多くなっています。日本ならではの味を醸し出すシングルカスクは世界でも注目を集める人気ぶりです。
シングルバレルとは?
シングルカスクに対してシングルバレルという言葉もあります。バレルは、容量を示す単位ですが、シングルバレルは一つの樽から瓶詰めされたウイスキーの事を意味します。シングルカスクとシングルバレルは同じ意味です。
スコッチウイスキーはシングルカスクと呼ばれることが多く、アメリカンウイスキーやバーボンウイスキーはシングルバレルという言葉を使用することが多いのが特徴です。
ウイスキーは一般的に複数の樽のウイスキーをブレンドして瓶詰めされます。しかし独特の味わいを楽しむにはシングルカスクやシングルバレルのウイスキーがおすすめです。樽ごとに微妙に味の違うウイスキーを楽しむのもシングルカスクやシングルバレルの楽しみの一つです。
ロックやストレートがおすすめ
シングルカスクやシングルバレルのウイスキーの最大の特徴は、ブレンドや調合が一切されていない為、ウイスキー本来の深い味わいを楽しむことができることです。年度や瓶によって微妙に味が変化するのもシングルカスクやシングルバレルの楽しみの一つです。
ウイスキーの飲み方には、ロックやストレートで飲む以外にもハイボールやカクテルで飲むのもおすすめです。しかしシングルカスクやシングルバレルのウイスキーを飲むときには、ウイスキー本来の味を堪能するのがベストであるため、ロックやストレートでの飲み方がおすすめです。
モルトもグレーンも美味しいウイスキーに欠かせない!
ウイスキーは原料や製造工程によってモルトウイスキーとグレーンウイスキーに分類されます。ウイスキー本来の深い味わいを楽しむのであれば、モルトウイスキーがおすすめです。モルトウイスキーのシングルカスクやシングルバレルであるシングルモルトは最高級のウイスキーです。
しかしグレーンウイスキーもモルトウイスキーとブレンドすることで美味しいブレンデッドウイスキーに仕上がります。モルトの芳醇な香りとグレーンの飲みやすいまろやかさを両立させた庶民に愛されているウイスキーです。
ウイスキーの原料や製造方法、そして定義などの違いを知ることでウイスキーの味わいが増します。ウィスキーの違いを知って美味しいウイスキーを味わってみませんか?