ししとうに辛いものが混ざるのはナゼ?見分け方と料理方法を紹介
ししとうといえば子供でも食べられる辛くない唐辛子というイメージです。ですが実際にししとうを食べたときに、辛いししとうに当たることがあります。そんな辛いししとうには、簡単に見分けられる特徴や方法が無いのでしょうか。本来辛くないはずのししとうが辛くなる理由や辛いししとうの見分け方はもちろん、辛いししとうを買ってしまった場合のおすすめレシピに、うっかり辛いししとうを食べてしまった場合の対処方法まで紹介します。
目次
辛いししとうの見分け方を知りたい!
ししとうと言えば「辛くない青唐辛子」というイメージが一般的です。そのため何の疑いもなくパクリッと食べた途端、「辛い!」とびっくりさせられた、という人が多いのも事実ではないでしょうか。辛くないと思って買ってきたししとうが実は辛かった、そんなことが無いように辛いししとうの見分け方というのはないものでしょうか。ししとうがどんな野菜でどのくらいの割合で辛いのか、まずはそこから紹介していきます。
ししとうは辛みのない唐辛子の一種
ししとうは正式名称を「獅子唐辛子」と言い、ナス科トウガラシ属の甘味種の未熟果です。「獅子唐辛子」の名の由来は、実の先端が獅子の頭に似ているということからきています。唐辛子はヨーロッパ人によって中南米からスペインに渡り、広く栽培される中で辛みの無い品種ができたと言われています。一般的な唐辛子が辛いのに対し、ししとうは辛みがほとんど無いよう品種改良された唐辛子なのです
辛いししとうの割合は?
辛いししとうに当たる確率は、一般的に10%と言われています。元々辛い唐辛子を品種改良して作られたししとうだけに、辛い遺伝子もそれなりに持っているためと言えるでしょう。ですが本当にこの確率は正しいのでしょうか。答えは「NO」です。ししとうが辛くなるには一定の条件があります。そのため辛い遺伝子が表面化する確率よりも育った環境で辛くなることが多く、辛いししとうが含まれる割合は確率論ではないのです。
ししとうが辛くなる原因は?
ししとうには辛い唐辛子だったときの遺伝子が残っているのは、先にも紹介した通りです。この辛い遺伝子が効果を発揮するには、ししとうの育つ環境が大きく影響します。本来辛みの無い唐辛子として品種改良されたししとうが、時としてびっくりするような辛さになってしまう原因を紹介していきます。
夏の暑さや水不足
ししとうも植物なので、育つ環境に大きな影響を受けます。ししとうは中南米原産の夏野菜でありながら、夏の暑さに弱いという特徴を持っています。そのため日中の気温が上がりすぎるとストレスを感じ、辛み成分を作り始めるのです。水不足にも弱く、これも辛み成分を作り出すストレスの元になります。ししとうが甘いままでいるには、涼しい場所で十分な水分を与えて育てる必要があるのです。
暑さや気温との関係
ししとうを育てるときの適温は22度~30度ほどとされ、猛暑日が続くとそれだけでストレスを感じてしまい、辛く変わっていきます。夜の気温も大切で、日中上がりすぎた気温がいつまでも下がらないのも、ししとうの辛味の元となってしまうのです。ししとうは温暖化の影響を受けやすい作物でもあるのです。
ししとうの辛味成分はカプサイシン
ししとうは唐辛子の一種なので、その辛み成分も他の唐辛子と同じカプサイシンです。実際ししとうも完熟すれば、カプサイシンが増えて他の唐辛子同様に赤く熟します。熟したししとうには未熟な実の特徴である甘唐辛子らしさは無く、カプサイシンが増えた分辛い唐辛子と同じ特徴を持つようになります。稀にある辛いししとうは、通常のししとうよりもカプサイシンを多く含んでいるからなのです。
植物がカプサイシンを作る理由は?
ししとうを始め唐辛子の仲間が、わざわざカプサイシンを作って実を辛くするのはなぜなのでしょうか。ししとうを始め唐辛子のカプサイシンは、胎座と呼ばれる種が付いている部分に多く含まれる特徴があります。通常植物は鳥や動物に食べてもらうことで、種を遠くに運んでもらいます。ですが唐辛子の場合は辛くなってしまうため、誰も食べてくれないように感じるかもしれません。
ところが動物の中でも、鳥だけはカプサイシンの辛さを感じないのです。しかも鳥は動物の中でも果実を丸呑みにしてくれるため、種が噛み砕かれてしまう心配もありません。そのためあえて鳥だけに食べられるように、辛み成分を溜め込むように進化したと言うのです。このほかにもカプサイシンでカビなどの感染症を予防しているという研究結果もあり、ししとうにとって辛くなることは身を守るための特徴と言えるのです。
辛いししとうの特徴や見分け方
ししとうが辛くなる理由はわかりました。ですが食べるロシアンルーレットとも呼ばれる、辛いししとうの上手な見分け方はないものでしょうか。実は辛いししとうには共通する特徴があるというのです。辛いししとうを上手に見極める見分け方を紹介します。
形やしわ/光沢
ししとうはパック詰めや袋詰めにされてから売られているものが多いです。ですがこんな梱包済みのししとうでも、辛いししとうの見分け方があります。ししとうは通常、房の上の部分が多角形をしているという特徴があります。ですが辛いししとうはこの房の上の部分が丸くなりやすいのです。形状の差は見た目にもわかりやすい特徴なので、梱包済みのししとうの見分け方としておすすめです。
さらに辛いししとうは、受けたストレスの影響でしわが少なくなり、光沢も弱くなる特徴があります。総じて「成長不良の不健康そうなししとう」が辛いというわけです。ストレスを受け続けたししとうは、何とかして子孫を残そうとしてカプサイシンを作り、辛くなる方法をもって生き残ろうとするためなのです。パック詰めされた後でも形やつやは確認しやすいため、ししとうの見分け方として覚えておきましょう。
香りの強さ
ししとうを調理するときに、急に咳き込んだりしたことはありませんか。辛いししとうはカプサイシンを多く含んでいるため、料理に使うと揮発したカプサイシンで咳き込んだりすることがあるのです。そのようなししとうは当然のことながら含有するカプサイシン量が多いため、せっかく出来上がった料理も辛い味になってしまいます。香りの強いししとうは、辛いレシピに作り変えるほうが無難と言えます。
種の量
辛いししとうは種が少ないという特徴も持っています。ストレスを受ける環境下で、種を十分に実らせることができないためです。そのため辛いししとうは辛くないししとうの1/3の量の種しか持っていないといいます。残念ながらししとうの房の中の種の量は、外から見分ける方法がありません。ししとうの下処理を始めてみたら種が少なかったときは、辛いししとうを使ったレシピに切り替えるようにしましょう。
房の部分の形
ししとうはストレスを受けるほど、その成長にも影響が出る特徴があります。具体的には房の先が不自然に細くなったり、全体が細長い形状になったりします。房のところどころでも成長に差が出るため、形もいびつになりやすいのです。このようなししとうは高確率で辛いししとうになるので、見分け方としても簡単な方法として覚えておくと良いでしょう。
時期の違い
ししとうは夏野菜でありながら、気温が30度を超えるとどんどん辛くなっていってしまいます。そのためししとうが辛くなる前の、涼しい初夏の時期に楽しむようにするのもひとつの方法です。これは家庭菜園のししとうにも言えることなので、夜はもちろん日中もなるべく置き場所に涼しい場所を選んだり、乾燥を防ぐために水やりもこまめに行うなど、辛くならないように工夫するようにしましょう。
効果的な辛いししとうの見分け方は?
辛いししとうの一番確実な見分け方は、気温を参考に選ぶことです。ですがこの方法では、短期間しかししとうを楽しむことができません。夏野菜として長くししとうを楽しむのであれば、種の量での見分け方が確実性が高いです。買った後でないと見分けられない方法ですが、もし辛いししとうを買ってしまった場合のレシピも用意しておくなど、辛いししとうと辛くないししとうとで使い分けをすると良いでしょう。
辛いししとうの下ごしらえ
辛いししとうを買ってしまった場合でも、処理の仕方ひとつでいろいろなレシピで楽しむことができます。辛い部分を取り除くことで、辛味を抑える方法もあるのです。もし辛いししとうを買ってしまったときでも、美味しい料理を作るためのコツを紹介します。
辛いのはヘタの部分と種
ししとうの中でもカプサイシンが多い場所は、先にも紹介したように胎座と呼ばれる種の付いている部分を始めとした、ヘタと種の部分です。そんな辛い部分さえ取り除いてしまえば、よほど辛いものが苦手という人でもなければ、辛いししとうもピリッとした程度の辛さまで抑えることができ、美味しい料理の材料としてさまざまなレシピを楽しむことができるようになります。
ししとうに穴をあける
ししとうは辛い・からくないに関わらず、中は空洞になっています。そのためそのままの状態で加熱すると、中の空気が膨張して破裂することがあります。その際に果肉や種、油やお湯などが飛んで、やけどの危険性もあるのです。そのため調理前のししとうには、必ず爪楊枝で穴を開けるか切込みを入れるなどして、膨張した空気が外に出る道を作ってから調理し始めましょう。
ししとうの種の取り方
ししとうの辛さの元となる種は、簡単な方法で取り除くことができます。まな板の上でししとうを手で念入りにゴロゴロと転がしてから、ヘタの部分を切り落とします。転がす時間は気持ち長めくらいがちょうど良いでしょう。ヘタを切った後はゴミ箱の上などで切った部分を下にして、ししとうのお尻の部分を指先で弾くだけです。何度か弾くだけで種は取れますが、まだ残っている場合には爪楊枝などでかき出してください。
辛いししとうのおすすめレシピ!
ししとうを買ってきたら辛いししとうだった、そんなときにおすすめのピリ辛ししとうレシピをいくつか紹介します。辛いししとうでも辛い部分さえ取り除いてしまえば、ピリッと辛みの効いた大人の味の料理に変わります。辛いししとうだからこそ活きる、そんなレシピです。
甘辛でご飯が進む「辛いししとうの佃煮」
- A・ししとう30本
- B・ごま油大さじ1
- C・砂糖大さじ1
- C・みりん大さじ1
- C・しょうゆ大さじ1
- C・昆布5cm
- C・水(昆布を戻すのに使ったもの)100cc
- Cの昆布は水に浸して柔らかくした後、キッチンバサミで細切りにしておきます。
- Aのししとうのヘタをとったら、5mm幅くらいの斜め切りにします。
- Bのごま油を鍋に入れてししとうを炒めていきます。Aのししとうに油が回ったところで、Cを全て加えます。
- 煮汁が無くなるまで中火で炒めたら完成です。甘辛なのでご飯のお供だけでなく、ビールのおつまみにも最適なレシピです。
お弁当のおかずにもなる「ちくわとししとうの甘辛炒め」
- A・ちくわ4本
- A・ししとう12本~13本(1パック)
- B・酒小さじ1
- B・砂糖大さじ1
- B・しょうゆ大さじ1
- B・みりん大さじ1弱
- C・バター10g
- C・サラダ油大さじ1弱
- Aのししとうはヘタの部分を切り落とします。ちくわは約1cm幅に斜めに切っておきます。
- Cのサラダ油をフライパンに入れて軽く温め、ししとうを加えてサッと炒めます。続けてちくわを加えてサッと炒めて、全体に油を回らせます。
- Bの調味料を入れたら3回~4回フライパンを振って、全体に絡めます。
- 最後にCのバターを加えてフライパンで溶かし、全体に絡めたらできあがりのお手軽レシピです。
辛いししとうを食べた時に辛さを消す方法
辛いししとうをうっかり食べてしまったとき、あなたはどうしていますか。いきなり押し寄せてくるカプサイシンの辛味は、辛いものが苦手な人にはまさに食べるロシアンルーレットです。うっかり辛いししとうを食べてしまったときの対処方法を紹介します。
水を飲むのはNG
辛いものを食べてしまったときに、すぐに水を飲む人は多いものです。ですがししとうの辛み成分であるカプサイシンの場合は、水を飲むのは逆効果になります。なぜならカプサイシンは水に溶けにくいばかりか、辛さを洗い流すよりも広げてしまうのです。さらに水を甘く感じるように、カプサイシンの辛さが引き立ってしまいます。そのためカプサイシンの辛味にやられたときに、水を飲むのはNGなのです。
辛さを消すには乳製品がおすすめ
ししとうの辛みの元であるカプサイシンは、水には溶けにくくても油には溶けやすい性質を持っています。なので脂肪分を含む飲み物である牛乳などの乳製品が、カプサイシンの辛味から舌を救ってくれます。さらに乳製品にはカゼインというたんぱく質が含まれていて、このカゼインがカプサイシンの辛味の刺激を止めてくれます。辛いししとうに当たったときは、水よりも牛乳を飲むようにしましょう。
上手な食べ方
ししとうに含まれるカプサイシンに当たらないようにするには、先に牛乳などの乳製品を摂っておけば辛さを緩和することができます。また牛乳と同じように脂肪分とカゼインを含むマヨネーズで味付けするのも、ししとうの辛さに当たったときの予防策にもってこいです。辛いししとうを食べてしまった後のデザートには、アイスクリームで舌を休めてあげるのがおすすめです。
辛いししとうを上手に見分けて美味しく食べよう!
出典: https://tenki.jp
辛いししとうを上手に見分けることで、辛いししとうも普通のししとうもそれぞれに美味しく食べることができます。辛いししとうに当たってしまったときの事も考えていくつかレシピを用意しておいたり、カプサイシンの辛さを上手に緩和することで、もっと美味しくししとうを楽しんでください。