アオリイカの捌き方のポイントを解説!おすすめの食べ方は?
アオリイカは何と言ってもイカの王様です。おすすめの食べ方はいろいろありますが、刺身が一番でしょう。ほんのりとした甘みは他のイカと比べても群を抜いています。そんなアオリイカの捌き方を、初心者の方にも分かりやすく、ステップごとに詳しく説明します。胴やゲソの捌き方から、皮や内臓、特に墨袋や肝などいろいろな部位も含めて、扱い方を紹介します。また、アオリイカを釣り上げた時などに必要となる、アオリイカの締め方も併せて紹介いたします。
目次
アオリイカの捌き方は意外と簡単!
アオリイカは「イカの王様」
世界にはイカをタブーとして食用にしない民族もいますが、日本人にとってイカは身近な食べ物です。種類は何百種類にも及びます。日本近海では130~140種類が棲息しています。聞きなれた主な種類だけでも「スルメイカ」「アカイカ」「ヤリイカ」「ケンサキイカ」「ホタルイカ」「コウイカ」「アオリイカ」などがあります。ツツイカ目とコウイカ目の2種類に大別されています。
その中でもツツイカ目ジンドウイカ科のアオリイカは、見た目はコウイカに似ていますがおでこの部分に甲が入っておらず、胴を割ると平べったい軟骨が入っています。アオリイカは、甘い旨味があり高値で取引される高級イカで「イカの王様」と呼んでさしつかえないでしょう。この記事ではアオリイカの捌き方を、詳しくステップを踏んで紹介していくつもりです。初心者の方にも意外と簡単!と、思っていただける捌き方のはずです。
アオリイカの旬はいつ?
アオリイカは北海道南部が北限で、西太平洋からインド洋まで広く分布しています。アオリイカは淡水と低水温がひじょうに苦手な生き物です。したがって、海と河川が交わるあたりの汽水域ではあまり釣れません。また、海水温が14℃で動きが鈍くなり、12~13℃では生存不可能と言われています。春から初夏にかけて、産卵ために沿岸に寄って来る、アオリイカの習性を利用して釣り上げます。
その場合も、河川と海とが交わる汽水域近くではなく、潮の流れがあって海藻や岩場が豊かな沿岸を好みます。基本的には、アオリイカの旬は2回あって、産卵時期の春から初夏にかけてと、産卵した子イカがいる秋になります。産卵時期には大型のアオリイカが、秋には小型のアオリイカがよく釣れます。
アオリイカのおすすめの食べ方は、やはり刺身になります。アオリイカを締めてすぐは透明な身で、しなやかな柔らかさと歯ごたえがあり、さらっとした甘みが特徴です。アオリイカをきちんとした捌き方をほどこしてから、一晩寝かせると柔らかさが増し濃厚な旨味が加わります。この時期の雌のアオリイカが抱く、卵も美味として珍重されています。
捌き方ステップ1:アオリイカから内蔵や下足を外す
アオリイカの胴の中心に包丁を入れる
アオリイカの捌き方を、ステップをおって紹介します。まずステップ1では、アオリイカから肝などの内臓やゲソを外すステップをやさしく説明します。アオリイカの最初の捌き方は、エンペラーを下にしてアオリイカを置きます。アオリイカの胴の中心に包丁を入れて、肝などの内臓にキズを付けないように浅く切り分ける捌き方です。
切り込み部分から軟骨を取り出す
捌き方の次のステップでは、切り分けた先にアオリイカ特有の平べったい軟骨が出てきます。プラスチックのような形をした軟骨を取り除きます。軟骨の下には肝などの内臓が隠れています。軟骨を除去したら肝などの内臓の下側に指を差し入れて、胴から肝などの内臓の部位を外します。
内蔵と一緒に下足を引っ張り出す
つづく捌き方のステップでは、肝などの内臓と一緒にゲソを引っ張り出します。この際に、初心者には大事な点ですが、墨袋などを傷つけたりしてしまわないように注意をしてください。胴との間に差し入れた指先で肝などの内臓と胴とのつながっている部位を分け放します。この時点では肝などの内臓とゲソはまだつながっています。ゲソの部分を持って胴から肝などの内臓ごと、やさしく引き抜きます。
ゲソの下処理をする
以上のステップの段階で、一度アオリイカのぬめりや汚れを丁寧かつ素早く水洗いして、吸水性の良いペーパータオルでよく水気をふき取っておきます。次のステップで内臓の内、肝に寄り添うように張り付いている墨袋を、破れないように片端を指先でつまんでそっと引き剥がします。墨袋を安全に取り外せたら、あとは初心者でも簡単な作業だけです。とりあえずのステップは、肝以外の内臓の部位を切り離して捨てます。
内臓で使用できるのは肝と墨袋だけです。いよいよゲソを切り分ける捌き方のステップに入ります。ゲソの部位のうちアオリイカの目に当たる部分を、目の上と目の下で切り離します。目は食べられませんから捨てます。ゲソを二つに切り開くと、丸いものが出てきます。中心に鳥の嘴みたいな黒いものがあります。これがアオリイカのクチバシです。クチバシの周りの白い部分は食べられます。塩焼きにすれば立派なつまみになります。
残りの捌き方のステップは軟骨と肝とを切り離すだけです。この際も、肝の先端を傷つけて肝が流れ出ないように気をつけてください。アオリイカの墨はパスタなどのソースなどの食べ方に利用できます。肝は塩辛にしたり、そのまま醤油に溶かし込んで肝醤油にして、アオリイカの刺身を食べる食べ方に使います。ゲソや軟骨、クチバシも、もちろんいろいろな食べ方ができます。
捌き方ステップ2:アオリイカの胴から皮をはがす
胴からエンペラを外す
ゲソの下処理を終えて、アオリイカの胴のほうに戻り、ステップ2の胴から皮やエンペラの部位を外す捌き方に移ります。胴を返してエンペラがある側を上に向けます。エンペラの上部で胴との間に親指を指し入れます。差し入れた親指を、エンペラの下部に向かってスライドさせていきます。片側のエンペラを終えたら、もう片側も同じようにします。後は上部から下に向かい、エンペラの先を持って引っ張れば簡単に引き離されます。
胴身の外皮と薄皮をはがす
エンペラを外す作業と外皮を外す作業は一体で完了できました。とりあえず、エンペラは脇に置いておいて、胴身の掃除をしましょう。アオリイカの内側からいきます。きれいな白いアオリイカですが、よく見ると薄いスジみたいなものが所々見えるはずです。これが薄皮です。薄皮は捌き方の要領さえ分かれば初心者でも簡単です。素手ではなかなか厄介ですから、初心者にはペーパータオルがおすすめです。
胴身に対して横方向へペーパータオルを擦るようにすれば、白い筋のようなものがクルクル剥がれてくるはずです。これで内側の薄皮は取り除けましたが、薄皮は外側にもあります。実はこちらの方が少々厄介なのです。アオリイカの外側を上にして、縦三等分に切り分けます。三等分にした胴身のゲソに近い部位に、包丁で切り離さないように半分くらい切れ目を入れます。切れ目を折り返すようにして外側の薄皮を剥いでいきます。
ここは一気に剥がすことはできませんから、外側から中心に向ってジワジワと剥がしていきます。胴身のほうは、素手ではなくフキンのような柔らかいもので抑えながら行うと、アオリイカの身が崩れようなこともなくなります。
エンペラの皮をはがす
もう一度エンペラの捌き方にもどります。エンペラもアオリイカの食べ方として、刺身で食べるのがおすすめの部位です。加熱調理するのなら皮は外す必要はありませんが、刺身で食べるためには皮を外さなければなりません。エンペラと外皮を切り離します。この時にエンペラと胴身がくっついていた部位には軟骨がありますから、それも同時に切り離しておきます。そうしておけばエンペラの皮を剥ぐのは初心者でも簡単です。
エンペラの身と皮の間に指先を差し入れて、エンペラの外側に向けて引っ張ればごく簡単に剥がせます。エンペラも最後にペーパータオルで、ぬめりなど表面をきれいにふき取っておくのがおすすめです。
アオリイカのおすすめな食べ方
新鮮なアオリイカなら「刺し身」
アオリイカのおすすめの食べ方は何と言っても「刺し身」が一番でしょう。アオリイカのもつ甘味旨味を堪能できるからです。けれども、厄介なのはアオリイカにかぎらず、新鮮な魚介類ほどアニキサスが付いていることが多いのです。アオリイカの身を光にかざしてみると、白い筋のようなものが見えます。それがアニキサスです。これは包丁や爪楊枝などでひっかきだしてやれば、取り除くことができます。
アオリイカを刺身にする切り方は、いろいろありますが一般的なのは身は格子状に切れ目を入れて短冊切りにがおすすめです。こうすることで、薄皮が多少残っていたような場合でも、歯触りが悪くなるようなことはなくなるからです。エンペラの部位は、コリコリとして歯ごたえがありますから、極細切りにしてソーメン風にいただくのがおすすめです。刺し身にする場合、冷蔵庫で一晩寝かせることもおすすめで、味が濃厚になります。
無駄なく部位を食べるなら「肝バター焼き」
アオリイカのおすすめの食べ方は、アオリイカの全部位を食べることができる「肝バター焼き」です。フライパンに弱火でバターを溶かしたら、アオリイカのぶつ切りにした肝を加えます。塩、胡椒をして中火で肝を押しつぶしながら炒め上げます。肝に火が通ったら日本酒か白ワイン(できれば上等な物)を加えます。アルコール分が飛んだら、アオリイカを投入します。ひと炒め終えたらバター1かけを加えて器に盛ります。
アオリイカはどの部位でも好みに応じて入れてください。炒めすぎるとせっかくのアオリイカの風味を損ないますので、さっと引き上げるのが良い食べ方になります。
最も簡単で初心者にも向く「沖漬け」
さあ、念願のアオリイカを釣り上げました。初心者でも誰でもできる超簡単な食べ方は「沖漬け」です。醤油と酒、味醂を好みの分量で合わせてタッパーに入れておきます。漬けダレへ、アオリイカを活きたまま加えるだけです。活〆めする必要もありません。持ち帰って一晩寝かせたら、りっぱな沖漬けが完成しています。なんて言ったってアオリイカですから、高級なつまみになります。
アオリイカを釣ったときの締め方とは?
イカ締め専用のピックやナイフを使うと便利
一般的に魚を活〆めする目的は、内出血による身の劣化を防いだり死後硬直を遅らせることで腐敗を抑えることなどがあります。自然死させた時と比べて魚を長時間鮮度よく保つことができます。けれども、多くのイカの場合には活〆めを行うことはあまりありませんが、アオリイカの場合は活〆めを施します。これも目的は鮮度の保持よりも、アオリイカが自らの墨で身を汚すことを防ぐのが一番の目的のようです。腐敗の原因にもなります。
鮮度の保持という観点からならば、活〆め以上に釣ったアオリイカをどう持ち帰るかのほうが、大切なポイントとなります。アオリイカは長く水につけると身が白濁した上に硬くなります。これは海水であっても防げません。真水ならなおさらです。ジッパー袋などに密封して冷蔵用の氷などと直接接触しないようにしてクーラーボックスで持ち帰るのがベストになります。
アオリイカの締め方にはいろいろな方法があります。空手チョップで一撃する方法とか、割り箸を使う方法とかを耳にします。しかし、この締め方はいずれも心得のある人のやり方であって初心者におすすめできる方法ではありません。やはり、初心者がアオリイカの締め方を確実に行うためには、ピックやナイフあるいはハサミなどの、それ専用の道具を使うことが一番です。
イカを締めるポイントは?
釣ったアオリイカの締め方を紹介します。締め方のコツはピックなどを使って、アオリイカの神経を断つことが重要です。アオリイカの断つべき神経のポイントさえ覚えれば、締め方は初心者にもさほどむつかしい作業ではありません。アオリイカの締め方では、基本的に2ヶ所に活〆めを施します。最初の締め方のポイントは、アオリイカの目と目の間、つまり眉間にあります。眉間に狙いを定めてゲソ側に45度ほどピックを寝かせます。
その角度を保ったまま、一気にピックを刺し込みます。締め方が成功した場合には、その瞬間にアオリイカの茶褐色の胴体が見る見る間に白く変色していきます。白く変色しない場合は、ピックが神経を刺せていないことになり、締め方の失敗です。その場合には、あわてる必要はなく、再度ピックを刺し込み直せばよいのです。次の締め方のポイントも、要領はまったく同じです。
最初の締め方のポイントと同じ個所に、今度はピックを胴体側に45度寝かせて刺し込みます。これもゲソが白く変色したら締め方の成功です。アオリイカの締め方は2ヶ所で行いますが、スルメイカやヤリイカの場合は、胴体を内臓がつながっている部分を切断して、胴側が締まれば1回で成功です。アオリイカの場合でも、時には1回の締め方で胴もゲソも白くなることがあります。初心者にもできる締め方を紹介しました。
アオリイカの捌き方をマスターしよう!
どうでしょうか?初心者の方でもアオリイカの捌き方は簡単だったのではないでしょうか。これからはアオリイカを釣ったと時や、あるいは釣ったアオリイカをいただいた時などに、紹介した記事を参考にしていただいて、マスターした捌き方で見事なアオリイカ料理を堪能しましょう!