もやしの冷凍・解凍方法や保存期間は?袋のままなど正しいやり方を紹介
安くてヘルシーで料理の食材としてもかさ増しに重宝される野菜「もやし」ですが、傷みが早いという難点があります。そこで、もやしは冷凍してもいいのか、もやしの冷凍方法と保存期限、さらにもやしを解凍する方法の他に冷蔵保存についても調べてみたので紹介したいと思います。
目次
もやしはどんな野菜?
もやしは芽がでるという意味の「萌ゆ」から「萌やす」が「もやし」に変化したと言われていて、種子を20〜27℃の暗所で発芽させ、成長して出てきたやわらかい芽のことです。もやしは発芽させる豆によって名前も異なり、一般的に流通しているもやしは「緑豆もやし・ブラックマッペもやし・大豆もやし」の3種類です。水耕栽培されているもやしは1年中スーパーに陳列され、安くて重宝されています。
もやしは発芽中の新芽で成長中のため、細胞分裂が活発です。衝撃や温度変化、菌からの攻撃にも弱くとてもデリケートな野菜なんです。買ってきてから持ち帰り、保管するまでの行動次第では期限内でも傷んでしまいます。そんなデリケートなもやしの保存期限を伸ばすための方法はこの後の章で詳しく紹介しますが、その前にもやしの優れた栄養素について紹介したいと思います。
もやしにはどんな栄養成分があるの?
もやしは種子となる豆が持つ栄養素「デンプン・脂肪・タンパク質」の他に、もやしに成長していく過程で別の栄養素を生成する特殊な野菜です。もやしの構成はほぼ水分のため、他の野菜に比べたら含まれている量は多くはありませんが、さまざまな栄養素が含まれています。その中から代表的な栄養素と、日本で流通している「緑豆もやし・ブラックマッペもやし・大豆もやし」それぞれの特徴を紹介します。
貧血予防に効果の有る葉酸
葉酸は水に溶ける水溶性のビタミンの一種で、ビタミンB群の仲間です。ビタミンB12と協力して赤血球を作るため造血ビタミンともいわれています。また、細胞の分裂や成熟を大きく左右するため、胎児の正常な発育に重要な栄養素でもあります。
美肌効果のあるビタミンC
もともとの豆に含まれるビタミンCはわずかですが、発芽から成長の過程でビタミンCが増加します。コラーゲンの生成に欠かせないビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、「毛細血管・歯・軟骨」などを正常に保つ働きがあります。アスコルビン酸とも言われていて、抗酸化作用がありアンチエイジングにも効果があります。また、体内や肌の免疫力を高める効果や、抗ストレス効果もある重要な栄養素です。
疲労回復に効果のあるアスパラギン酸
アスパラギン酸はアミノ酸の一種で、カリウムやカルシウムなどのミネラルと結合して細胞に運ぶ役割があります。疲労回復やアンモニアを尿に合成する作用、また肌の潤いを保つ効果もあります。
腸内環境を整える食物繊維
人の消化液では消化吸収できない食物繊維は炭水化物の仲間で、血中のコレステロールや血糖値を正常に保ったり大腸の運動を促進する栄養素です。もやしには水に溶けやすい水溶性の食物繊維と水に溶けにくい不溶性の食物繊維がともに含まれ、腸内環境を整えてくれます。また「便秘・糖尿病・大腸ガン」などの生活習慣病を予防し、改善する働きもあります。
腸の働きを整える消化酵素アミラーゼ
ジアスターゼとも呼ばれる消化酵素のアミラーゼは、豆が発芽し成長する過程で生成される栄養素です。消化を行う酵素の一種で、食べ物の消化を助けて腸の働きを整えるので「胃もたれ・胸焼け」の予防効果にも期待できます。
緑豆もやしの特徴と栄養素
緑豆もやしは日本で一番生産量が多く、一般的にもやしといわれているのは緑豆もやしです。中国原産で青小豆とも呼ばれる緑豆を発芽させたもやしで、軸が太くて水分も多くシャキシャキとしたみずみずしさが特徴で甘みがあります。火が通りやすい緑豆もやしは「サラダ・ラーメン・炒め物・鍋物・和え物」と何にでも合うクセのないもやしで、春雨の原料にもなっています。
ブラックマッペもやしや大豆もやしと比較すると栄養素は少なめですが、緑豆もやしにはモリブデンが含まれています。モリブデンはミネラルの1種で、尿酸の生成を促す効果の他に鉄分の利用を促す作用もあります。葉酸も含んでいるもやしは貧血の予防効果も期待できます。
ブラックマッペもやしの特徴と栄養素
ブラックマッペという黒豆を発芽させたブラックマッペもやしは「黒豆もやし」とも呼ばれ、黒い種皮をかぶっているのが特徴です。しっかりとした細めの茎はシャキシャキとした食感で、豆の持つ甘みも楽しめます。栄養成分は緑豆もやしよりやや多い程度ですが、その中でもカルシウムの含有量は多く、ビタミン Cはもやしの中で一番多く含まれています。
黒豆もやしは細もやしともいわれていて、緑豆もやしよりも細くもやし独特の臭みも少ないのが特徴です。「広島風お好み焼き・ラーメンの具・炒め物・鍋物・和え物・ステーキ、鉄板焼きの添え物」などに使われています。しっかりとした細めの茎はシャキシャキとした食感で、豆の持つ甘みも楽しめます。
大豆もやしの特徴と栄養素
大豆を水に浸し暗所で発芽させ、5〜10cmくらいになったら豆をつけた状態で収穫される大豆もやしは、長くて太い茎が特徴でシャキシャキとした歯ごたえが楽しめます。もやしの中でも栄養面で最も優れているのが大豆もやしで、「カリウム・ビタミンB1・葉酸・食物繊維」の栄養素は緑豆もやしの約2倍もあり、また大豆の栄養素「イソフラボン・サニポン」も含まれています。
イソフラボンは体内で女性ホルモンのような働きをするため、「更年期障害の緩和・骨粗鬆症の予防」などに効果があり、苦味やえぐ味の成分サニポンは「肥満・生活習慣病の予防」になるともいわれています。さらに大豆たんぱく質が血中コレステロールを下げる効果があり、悪玉コレステロールを減らすレシチンも含まれているため、栄養素の面では大豆もやしがおすすめです。
もやしを上手に冷蔵保存!期限を伸ばす方法とは?
傷みが早く保存期限の短いもやしは買ってきたらすぐ使い切ることが基本ですが、保存方法を工夫することでもやしの保存期限を伸ばすことができます。もやしをそのまま保存する場合の期限は、製造年月日から3日以内といわれています。次の章では少しでも長く、新鮮な状態で保存できる冷蔵方法を紹介したいと思います。
もやしの冷蔵保存その1!温度の低いチルド室で期限を延ばす
成長中のもやしの劣化を抑えるためにはなるべく低い温度で保存し、冬眠状態にすることで劣化のスピードを遅らせることで保存期限をのばすことができます。もやしの保存温度は3〜5℃といわれているため、冷蔵室より温度が高めの野菜室よりチルド室の方が向いています。また、もやしは呼吸をしているので時間が経つと袋が膨らみ水が溜まる原因にもなるので、もやしの袋に数カ所穴をあけてから保存しましょう。
もやしの冷蔵保存その2!水に浸し期限を延ばす
保存容器に水洗いしたもやしを入れ、もやしが浸るくらいの水を入れます。あとはフタを閉めて冷蔵室で保存するだけです。ポイントは、毎日1回水を入れ替えることです。この方法で1週間くらい保存が可能になるため、袋のまま保存するより保存期限をのばすことができます。ただし、水溶性の栄養成分「ビタミンC」が流れ出てしまうので、栄養を重視するのであれば長期の保存には向いていません。なるべく早く使い切りましょう。
もやしの冷蔵保存その3!加熱することで期限を延ばす
もやしは熱を加えることで細菌の繁殖を抑える効果があり、生のまま保存するよりも日持ちします。熱湯をかけたりさっと炒めるなど、食感を失わない程度にさっと熱を加えてから穴を開けておいたポリ袋に入れて冷蔵保存します。
もやしの冷蔵保存その4!電子レンジで加熱し期限を延ばす
もやしの袋の一部に穴をあけてから500Wで15〜20秒電子レンジで熱を加え、粗熱が取れたら保存容器に移し冷蔵保存します。生のもやしは成長し続けているため傷みやすいといわれているため、電子レンジで熱を加えることで成長が止まり、買ったときの状態で保存するより保存期限を延ばすことができます。20秒くらいだと見た目も生のもやしと変わらず、シャキシャキの食感も残っています。
もやしは冷凍できるの?冷凍すると期限はどのくらい伸びる?
もやしは冷凍して保存することはできますが、ほぼ水分のもやしは冷凍することで膨張し食物繊維を破壊してしまうため、もやしの持ち味である「シャキシャキ」とした食感は失われてしまいます。では向いていないのかというと、そうでもありません。炒め物や汁物などもやしがやわらかくても気にならない料理に使えるので、多めに買ってしまったときは新鮮なうちに冷凍してしまいましょう。
もやしの保存期限は冷蔵だと1から2日しか日持ちしませんが、冷凍した場合の保存期限は2から3週間が目安です。かなり日持ちするようにはなりますが、もやしのシャキシャキとした食感は楽しめなくなるので、買いすぎてしまいすぐに使用しないのであればおすすめできます。
もやしの冷凍保存その1!未開封のもやしをそのまま冷凍で期限を延ばす
一番簡単な冷凍保存は、買ってきたもやしを未開封のまま冷凍庫に入れる方法です。ポイントは、もやしの袋に数カ所穴をあけることと、なるべく平らな状態にすることです。
もやしの冷凍保存その2!もやしの下処理をしてから冷凍で期限を延ばす
もやしの下処理をしてから冷凍保存する方法はいくつかあります。もやしの冷凍保存のおすすめは未開封のまま冷凍することですが、使いかけのもやしや使う分量で小分けにしたい場合、またひげ根取ってから保存したい場合におすすめの方法です。
下処理してから保存する方法1!水で洗ってからの冷凍で期限を延ばす
もやしをさっと水で洗ってからよく水を切り、キッチンペーパーなどで水分をよく拭き取ってから冷凍保存用の袋に入れ、酸化を防止するために空気をしっかり抜いてから密封し冷凍庫で保存します。
下処理してから保存する方法2!さっと湯通ししてからの冷凍で期限を延ばす
もやしの食感を損なわない程度にさっと湯通し、粗熱が取れたらよく水を切り、キッチンペーパーなどでしっかり水分を拭きとります。後は水で洗ったときと同じように冷凍保存用の袋に入れ、空気を抜いてから密封し冷凍保存します。
もやしを冷凍するときの注意点とは!
水分をしっかり拭き取る!
水洗いしてからもやしを冷凍する場合は、キッチンペーパーなどでしっかりと水分を拭いてから冷凍しましょう。水分が残った状態で冷凍すると調理したときに水っぽくなってしまうようです。そのため、開封前のもやしは水で洗ったり熱を加えたりしないで、袋のまま冷凍することをおすすめします。開封した使いかけのもやしを冷凍する場合は、しっかりと水分をふき取ってから冷凍保存しましょう。
下処理でゆで過ぎに注意!
もやしには水溶性の栄養成分が含まれているため、下処理でゆでるときや水洗いのときに栄養成分が流れでてしまします。少しでも栄養素の流出を防ぐためにも、ゆで過ぎや水につけすぎないように注意しましょう。
栄養効果を重視するならひげの処理は不要!
もやしのひげを処理する派と処理しない派に別れると思いますが、見た目や食感を重視するならひげの処理はありです。もやしのひげを処理してしまうと調理のときに栄養が流れでやすくなるだけでなく、食物繊維の量が減って効果も落ちてしまいます。栄養効果を重視するならひげの処理はしないほうがおすすめです。
冷凍したもやしを解凍する方法とは?
冷凍もやしの解凍方法はとても簡単で、調理するときに冷凍もやしを解凍せずにそのまま入れるだけです。みそ汁に入れるときも、他の具材と凍ったままのもやしを入れるだけです。炒め物や鍋物など煮込み料理に入れるときも凍ったまま入れるだけで、解凍する手間がいらないので便利です。
冷凍したもやしを解凍するときに注意すること!
冷凍もやしは解凍するともやしの水分も出てしまいます。冷凍したことでもやしの特徴でもある食感が失われているのに、解凍してしまうとさらに食感が悪くなってしまいます。そのため、冷凍したもやしは解凍せずにそのまま調理します。また、もやしは冷凍すると臭みが増すこともあるので、さっと水で洗うともやしについていた霜が洗い流せて、臭みも落とすことができます。
冷凍もやしを上手に活用する方法
冷凍したもやしは水分が抜けて細胞組織も壊れているため、サラダなどシャキシャキの食感を楽しむ料理には向いていません。冷凍もやしを活用するためには、失ってしまった食感と強くなってしまった臭みをいかにカバーするかがポイントですが大丈夫です。冷凍で細胞組織が壊れてしまったもやしは味が染み込みやすくなっているため、やわらかくなった食感でも気にならないみそ汁などの汁物や、じっくり煮込む料理には向いています。
また、たくさんの具材を入れる炒め物も、もやしの食感をごまかしてくれるのでおすすめです。もやしの臭みがきになる場合は、味付けを濃いめにすることでカバーできます。冷凍もやしで一番気をつける必要があるのは、解凍して調理するときです。冷凍もやしを使うときは自然解凍や、電子レンジなどで解凍するのではなく、凍ったままのもやしを調理しながら解凍することです。
もやしの冷凍や解凍方法についてのまとめ
安くてヘルシーと便利な野菜「もやし」が冷凍できることはお分りいただけたでしょうか。また、その方法はとても簡単なので、特売でさらに安くなり買いすぎてしまっても安心です。買ってきてすぐに冷凍保存すれば、期限を気にせず保存も可能で解凍方法もそのまま調理するだけと簡単でしたね。ただし、もやしの持ち味のシャキシャキとした食感が無くなってしまうのは残念です。
それでも煮物や炒め物など冷凍もやしに合ったメニューに使うことで問題なく、もやし料理が楽しめることも分かっていただけたのではないでしょうか。また、もう一つの問題もやしの臭みも濃いめの味付けで解消できるので、上手に冷凍もやしと新鮮なもやしを使い分けしてもやし料理を楽しんでください。