アロエの育て方を調査!土や種まきから室内栽培の方法まで解説!
私たちに非常に馴染のある多肉植物であるアロエ。美容や健康にも役立つ事で有名な植物です。このアロエを生活の中に採り入れてみませんか?一見難しく見える多肉植物類ですが、実は育て方は意外と簡単です。水やりと日光にさえ注意したら室内でも手軽に育てられるので、観葉植物の始めの第一歩にオススメです。ここでは育てる時の土や種まきの種にも注目し、人気のアロエの育て方のポイントをまとめていきます。
目次
アロエという植物について
アロエはユリ科アロエ属の植物です。いわゆる多肉植物の一種となります。アフリカ原産でありアフリカ南部とマダガスカルに大部分の種類が分布しています。他には一部中近東からインドにも分布しています。これらのエリアの内で、アロエは温帯地域、或いは標高の高い比較的涼しい地域を好んで生息します。中でも年間降水量が500mm以下の少雨地域や「やせ地」に自生するのが特徴です。
私たちはアロエと言うとすぐに思いつくのがアロエ・ベラ(アロエ・バルバデンシス)ですが、アロエ自身は非常に多種多様な植物であり、アロエ・ベラの用なロゼッタ型に葉をつくるものもあれば、アロエ・バーベラエのように全長18mにもなる大木に育つものまであります。日本で流通している観賞用のアロエでもピランシーやプリカティリスは2mものの高さまで育ちます。全世界で500種以上、変種を含めるとその倍近く存在します。
アロエの歴史
アロエという名称はアラビア語のアロッホ(Alloch)に由来します。エジプトやギリシアでは紀元前から栽培されており、当時は下剤の効能が利用されていました。古代ギリシアには於いては非常に重要な輸入品であり、伝承ではかのアリストテレスがアレクサンドロス大王にアロエの重要性を進言、当時の代表的な自生地であったソコトラ島を占拠することを勧めたとされています。
アロエの効能は洋の東西を問わずに伝えられ、中国にも渡来しました。宋代の本草学の書である劉翰撰の『開宝本草』(974年)には「奴薈」「蘆薈」の名前でアロエが紹介されています。「蘆薈」は今でもアロエを指す言葉として中国や日本でも利用されています。日本への伝搬は鎌倉時代と言う説もありますが、確認できる範囲では江戸時代の寛永年間とされています。観賞用或いは民間薬草として日本に導入されました。
江戸時代は本草学が日本に伝わり、多いに発展した時期であり、日本に伝わったアロエも最初は学術の対象であったことは言うまでもありません。特に日本にもたらされたアロエの内でキダチアロエは民間薬草としてすぐに定着しました。キダチアロエは内服で胃腸病・喘息、外用で切り傷や火傷・ひび割れに薬効があるとされ、その効能の高さによって「医者いらず」と呼ばれました。
アロエの育て方
アロエは比較的育てるのに手間が必要ではない観賞植物と言えます。成育適温は20度前後が適温(一部の高冷地原産の種を除く)とされています。また7度〜8度あたりから成育を開始し、低温はマイナスにならない限り枯死しないとされているのも手間がかからない理由の一つです。しかしながら、その産地の関係から日本のような高温多湿な夏の環境や冬に於ける霜雪の状況は非常に成育しにくい環境と言う事ができます。
ここではアロエの育て方の重要なポイントをまとめてみました。日本での育て方、そして日本の環境に適した土壌や水やりの方法、そして種まきを確認していきます。ちなみに基本的にアロエは30度以上で生育を停めてしまうとされています。日本の夏場をどのように過すかも重要なテーマです。
アロエの種まきからの育て方
アロエは種まきからと株分けからという二つの育てる方法があります。ここでは種まきの説明をします。アロエの生長時期は春から秋の間です。その為種まきはそれよりも少し早い春先の3月から初夏の5月頃までに行うのが理想です。種まきの時には用土として赤玉土を用意します。種まきを終えたら水をたっぷりとやります。種まきをしたアロエが発芽して、本葉は4、5枚になったら生長の良さそうな、強い個体を選んで間引きを行います。
鉢での育て方
種まきは地植えでも良いのですが、最初は環境によって場所を変える事ができる鉢植えをオススメします。鉢は大きめのものを用意し、底に石を敷いて水はけを良くする事が大事です。また種まき用の種はできるだけ新しい、身元のしっかりとしたものを使うようにします。種まきをしても全て発芽するとは残念ながら限りません。種まきしたものの音沙汰無しの場合もありますので、種まき時は出来るだけ多くまいておきましょう。
育て方で大事なアロエの置き場所
アロエは先にあげたようにアフリカ南部・マダガスカルから中近東・インドにかけて分布する植物です。そのため、基本的には乾燥していて暖かい気候を好みます。通年で日当たりのよい場所にアロエを置いて育てたほうがアロエの生長を促します。一番嫌うのは大量の水。雨にはあてない事が重要になります。
戸外でのアロエの育て方
基本的に日本では戸外で育てる事が可能です。春から秋にかけては戸外の日当たりのよい場所で十分に育ちます。しかし冬場に積雪のある場所、また氷点下に下がる環境の場合は屋外に置いておくことはできません。室内の日当たりの良いところにアロエを移動してあげてください。冬場でも5度前後の気温で、積雪や霜の害がない地域であれば、十分に戸外で越冬も可能です。
室内でのアロエの育て方
アロエは年中室内で育てる事もできます。室内で育てる場合は日光がよく入る窓際に置いてあげると良いでしょう。室内で育てていても、天気の良い日には外に出してあげるとアロエの生長に効果的です。太陽の光をたっぷりと与える事によってアロエの葉が丈夫に育ってくれます。また日光を与える事で寒さにも強くなっていきます。
しかしながら長い期間室内で育ててきたアロエを夏場にいきなり長時間外に出すと日焼けをおこしてしまいます。日焼けすればアロエの葉が変色を起こしてしまいますので、室内から外に出す場合は徐々に慣らしてあげましょう。もしアロエの葉が変色した場合でも寝や茎が無事であれば問題なく生長しますが、変色した葉は元に戻らないので注意しましょう。
アロエの育て方の中で置き場所はかなり重要です。ここを間違えなければ問題ありません。なお、アロエの種類の中で特殊な環境を要するものもありますので注意が必要です。例えばアロエ・ポリフィラは高山性のアロエであり暑い環境が苦手ですので室内の気温調節が良いです。日本でも人気の女王錦も夏場の暑さに弱いので注意が必要です。逆にラウイー・ホワイトフォックスなどは冬の寒さがダメですので冬場は室内にいれます。
アロエの水やりに見る育て方のエッセンス
アロエは水やりが比較的楽な植物です。アロエは基本的に他の観葉植物よりも乾燥に強く、少々水が不足しても枯れることはありません。その理由はアロエが多肉植物であり、葉に水分を蓄えておく事ができるためです。逆に水のやり過ぎに気をつけなければなりません。アロエの生育に失敗する一番の原因が水のやり過ぎによる根腐れによるものです。
育て方で大事な水やりの基本
水やりの基本は土が乾燥していたらたっぷり水をやることです。しかし、数日放っておいても問題ないのでちょっとした旅行で家を離れる時もあまり気にする必要はありません。春から秋はこのように土の様子を見て、水やりを行ってください。冬に戸外で越冬させる時は殆ど水を必要としません。これは水を与えない状態の方が生長を停めていわゆる「冬眠状態」になるので、その方が寒さにも耐える事ができ、越冬に適しているからです。
水やりにみる季節ごとの育て方
水やりの大体の目安ですが、春・秋の季節は2週間1回程度、冬の時期は月に1回程度土の乾燥具合を確認して水やりをしてください。夏場も2週間に1回程度でも大丈夫ですが、日の当たる場所に設置している場合は土の乾燥具合の確認を多くしてください。鉢植えのアロエには、鉢全体に水が行き渡るようにたっぷりと水をやります。「アロエには余り水やりは要らない」と思って少ししか水をやらないと水分補給ができなくなります。
一時的に過湿状態になるのですが鉢と用土が問題なければ、水分が溜まるようなことはありません。もし加湿状態が続くと根腐れになってしまいますので、水やりの適量が判るまでは用土を掘って手で状態を確認してみるのが良いです。どうしても水やりが上手くいかない場合は、用土の構成に問題があるかもしれませんので、そちらを疑ってみましょう。
また夏場にアロエに水やりをする時は、必ず昼間を避けて下さい。昼間に水やりをすると、夏の暑さでアロエが煮えるような状態になってしまいます。直射日光の当たらない、日が沈んだ夕方以降に水やりをするように心がけましょう。アロエは夜に水を吸い上げますのでその方が効率的でもあります。
アロエの育て方は用土できまる
アロエを育てるに当たって必要な用土は、基本的には販売しているサボテン・多肉植物用の用土で大丈夫です。ただし、アロエは種類によって用土の微調整を行う必要があるので、既製の用土を使用するにしてもアロエに適した用土の組み合わせを理解しておいた方が良いです。
アロエに適した用土を自分で作るにあたって大事な事は次の3点です。先ずは「しっかりと水が流れる」事。余分な水が土に残っていれば根腐れの元になりますので排水ができる土が絶対条件です。その上で「保水性の高いもの」が理想となります。そして「用土の Ph を中性からやや酸性」に設定します。
基本となる用土の割合は赤玉土8:腐葉土2です。水はけの状態を見て赤玉土に川砂を混ぜるのも良い方法です。その時は赤玉土7:腐葉土2:川砂1の割合で試してみます。また用土及び土壌改良剤としてピートモスを利用するのもよいでしょう。ピートモスはPhを酸性に持って行きますので、その面でも有用です。同じ土壌改良剤としてバーク堆肥も良い選択です。バーク堆肥を使う場合は肥料に鶏糞などを使って発酵補助剤とします。
用土の組み合わせは人それぞれの環境でも異なりますし、アロエの種類によっても異なります。色々試行錯誤して配合の組み合わせを考えるのもアロエを育てる上での楽しみの一つです。実際に試してみて、環境に合った最適な用土を見つけてください。
アロエの育て方と肥料の種類
一般的にアロエを育てるに当たって肥料は不要と言われています。これは栄養が多過ぎる環境の場合、逆にアロエを弱らせてしまいかねないからです。肥料をやって弱らせてしまったのでは元も子もありません。しかしながらこれは栄養が「多過ぎる」場合の話です。適量の肥料はもちろんアロエの生長に非常に効果的であり、優秀な強いアロエを育てるにあたって必須とも言えます。
アロエに適した肥料として化学肥料よりも有機肥料をオススメします。化学肥料の方が効果は高いかもしれませんが、その為に効果が強過ぎる嫌いがあります。栄養度合を我々がコントロールしやすい有機肥料の方が現実的と言えます。また、アロエは場合によっては食用にしたり薬として使用することも考えられますので、化学肥料はチョット抵抗があるという方も多いでしょう。そういった観点からも有機肥料を推薦します。
有機肥料としては牛糞堆肥や鶏糞堆肥、それに油かすが良いでしょう。基本的には最小限で結構です。アロエの生長期は春から秋にかけてですので、この時期に有機肥料をやるのが一番効果的です。追肥でも構いませんが、植え替えなどを行うのであれば元肥として用土の中に入れてやるのが一番です。
アロエの害虫対策
アロエの育て方を考える上で、害虫に関しては其れほど神経質になる必要はありません。アロエは病虫害に対しては非常に強い耐性を持っています。その中で害虫となりうる存在としてはアブラムシやカイガラムシが考えられます。
アブラムシは春先から活発に活動を始めます。繁殖力が強く、煤病(すすびょう)の原因となります。アブラムシなど害虫を発見したら直ぐに対処しなければなりません。一番良い方法は綿棒に少し水を湿らせてそれで取り除くことです。殺虫剤を使うのも一つの手ですが、できるだけ自然な状態で対処するのであれば綿棒などでひとつひとつ対処するしかありません。
カイガラムシはその名の通り貝殻のような風体をしています。全世界に7,300種類もいると言われています。成虫になると貝殻のような殻に覆われます。この殻を纏うようになると殺虫剤などが効き難くなるので大変です。カイガラムシは初夏が繁殖期になっていますので、その時期にしっかりと対応することが大事となってきます。カイガラムシも放っておくと煤病になるので注意が必要です。
カイガラムシを駆除するのにオススメなのが歯ブラシです。歯ブラシでカイガラムシをそぎ落とすのが一番楽な方法です。もし、歯ブラシで葉や茎の部分にダメージが出るようでしたら、歯間ブラシを使ってみるのも良い方法でしょう。
アブラムシもカイガラムシもアロエの生長点に近いところに隠れて繁殖しています。これらの害虫をしっかりと対処することでアロエの正しい生長を促せます。また、害虫は室内で育てている時によく発生しますので、該当する場合はしっかりと確認に、早い目に対処することが肝要です。害虫を処分できたら同様のことが起きないようにオルトラン粒剤を散布しておくと良いでしょう。
アロエの効能
アロエを使った商品は日々開発されており、私たちの周りにはアロエの恩恵に与ったもので溢れています。有名なところではかのクレオパトラが愛用したというアロエの化粧水があり、これは現在でも人気の商品として販売されています。美容液やハンドクリーム、ボディソープなどにもアロエはよく使用されています。またアロエのジュースやヨーグルトなどにアロエが入った製品もよく見ます。
アロエにはアロインおよびアロエエモジンという成分が含まれており、これらはアロエに含まれている苦味の元となる成分ですが、アロインには緩下作用や殺菌作用があります。またアロエエモジンには胃腸の具合を良くしてくれたり、鎮痛効果で知られています。他にもアロエにはカリウムやカルシウムが豊富に含まれています。
これらの成分の影響の下、アロエには内服する事によって便秘対策や免疫力の向上が見込まれます。また外用では軽い火傷やすり傷・切り傷といった肌の怪我の治癒・しみやそばかすの対策によく使用されています。過剰摂取は禁物ですし、妊婦の方が摂取する事はオススメできませんが、これらの効能を上手に生活に取り入れていきたいところです。
アロエの育て方のまとめ
アロエは私たちの生活に密着した、非常に育てやすい観葉植物です。日本でもポピュラーなアロエ・ベラは食用に、またキダチアロエは薬用として活用されます。人気の多肉植物の中では圧倒的に育てやすいのも特徴です。生育適温をしっかり守り、水のやり過ぎにさえ気をつけていれば十分に育ちます。
アロエを園芸店やホームセンターなどで購入する時に気をつけなければならないのは、そのアロエの経歴です。寒いところが苦手なのか、それとも暑いところが苦手なのか。非常に重要なことなのでショップの店員さんに必ず確認してから購入してください。
さぁ、これでアロエの育て方に関するレクチャーはおしまいです。頑張って自分なりの環境をつくって、アロエを育ててください。アロエに囲まれた楽しい生活を!