さんまの内臓の取り方と下処理は?キレイに取れる裏ワザも!
秋に旬を迎えるさんまは、簡単な下処理をして焼くだけでも美味しく食べられる魚です。焼いたさんまの内臓や骨は上手に外すことができますか?さんまは調理する前の下処理の段階で、簡単に内臓を抜き取る取り方があります。この取り方を知っていると、さんまの塩焼きはもちろん、さまざまなさんま料理の下処理が手早くできます。塩焼きにしたさんまの内臓はほろ苦さがあって苦手な人もいますが、この内臓には栄養もたっぷり含まれています。内臓の取り方とあわせて、さんまの内臓も使ったレシピなどをまとめています。
目次
苦いさんまの内臓は苦手な人も多い
脂がのって、ふっくらとした旬のさんまは美味しい秋の味覚です。でもさんまの内臓は、食べると苦味があって、食べ残してしまう人もいます。これは、栄養分を捨ててしまうことにもなり、もったいないです。さんまは魚の中でも珍しく、内臓も食べられる種類の魚です。多くの魚の場合は、胃を持ち、その中にエサにしたものが残っているので、胃部分を焼いてからでも人間が口にすると食中毒になることがあります。
それが、さんまには胃がないため、内臓部分を加熱して食べても食中毒がおきにくいのです。さんまの内臓は臭みや苦味もあるので、苦手な人もいますので、下処理できれいな内臓の取り方、焼いたさんまの内臓と骨のスマートな取り方を紹介します。あわせて、さんまの内臓に含まれる栄養と、内臓まで含めた美味しいさんまのレシピを紹介します。
さんまを美味しくする下処理方法
さんまは好きだけれど、内臓だけでなくて小骨があって塩焼きは食べるのが苦手、という人もいます。さんまは下処理をすることで、より食べやすく、より美味しくすることもできます。先ず、さんまを購入する時には、口先の部分が黄色のものが新鮮です。水揚げされてから3~4日経つと色が茶色く変化します。黒目の周りが濁っていずに、お腹部分がかたいもののほうが、内臓が傷んでいずに新鮮なものといえます。
なるべく新鮮なものを選ぶのも、さんまの旨味をより堪能できるコツになります。さんまは水道水で全体をさっと洗い、さんまの尾から頭に向かって、包丁の背をあてて撫でるようにしてウロコを落とします。ここまでが、共通の下処理になります。この後は、頭を落として内臓を除くのか、それとも頭を残して内臓も残すのか、刺身や蒲焼きなどに三枚におろすのかで下処理、内臓の取り方、おろし方の手順が変わります。
さんまの頭も内臓も残して、丸ごと1尾のさんまを塩焼きする場合には、水気を拭き取りさんま全体に塩をふって、10分から15分おき、でてきた水分をキッチンペーパーでふきとります。この手間をかけることで、さんまそのものの臭みを取り除くことができ、旨味を引き出せます。丸焼きなら、これをそのまま焼くだけです。
魚焼きグリルやフライパンのサイズなどで、1尾を半分にする場合は、ウロコを落としたさんまのお腹側の尾に近い部分にある肛門から斜めに包丁を入れて半分に切ります。こうすると内臓が飛び出さずにカットできます。身の真ん中あたりをまっすぐに半分に切ると、内臓が切れて、飛び出して臭みもでてしまうので、内臓をつぶさないように切ることも大切です。
寄生虫にも気をつけて下処理を
さんまには、寄生虫がいる場合があります。多くの場合は売り場に並ぶまでに、取り除かれていますが、腹あたりに、黒い切り口のような穴が開いているものがあれば、寄生虫が開けたものとも考えられます。さんまの腹に穴を開けるような寄生虫は、人が食べても問題ありませんが、内臓に寄生する白い色のアニサキスには気をつけて下処理を進める必要があります。
アニサキスは新鮮な状態では内臓に寄生し、時間が経つと身に移動します。目で見て発見できるので、見つけたら取り方としては、毛抜きなどを使ってひっぱりだして除きます。またさんまの内臓を食べたい場合は、60度で1分以上加熱することで、アニサキスは死滅するので、しっかりと加熱したものであれば安心して食べられます。
新鮮なさんまでなく、年中出回っているようなさんまの場合は、冷凍したものを解凍したものが多いです。こうして冷凍させたものであれば、寄生虫の心配なく、料理に使うことができます。マイナス20度以上で冷凍して24時間以上たったものも、アニサキスは死滅します。下処理でアニサキスを無害にさせることが大切です。
簡単に内臓が取れる裏技「つぼ抜き」
さんまを丸ごと焼いて食べたい人でも、内臓は苦味があって苦手という人や、寄生虫が心配という場合は、下処理で内臓を取り除くことで、安心して食べることができます。さんまの腹部分を包丁で開いてしまい、内臓をかきだすような取り方もあります。こうすると内臓があった部分をきれいに流水で洗いやすくなります。ただ慣れないと身まで切るなど、内臓だけをきれいに取り除くのが難しいこともあるので、簡単な方法を紹介します。
内臓が苦手な人はこの裏技で安心!
さんまの内臓を簡単できれいに取る裏技として「つぼ抜き」といわれる方法があります。さんまの腹をまな板にあてるようにして、立てて置き、背から胸びれの後ろ部分に包丁を入れます。この時に中骨に包丁が当たり骨を切った音がしたところで包丁を止めます。腹部分までを切り落とさないように気をつけます。包丁をその位置のまま残してさんまの頭部をまな板に押し付けるようにしておき、胴体を尾の側へ引っ張ります。
こうするだけで、頭部に内臓が付いたまま取り除くことができます。うまく抜けない場合は、頭部分に包丁をいれてから、腹側にもう1か所、肛門から腹部側へ1㎝ほど切り込みをいれて、尾を持って頭を頭をひっぱると、内臓も頭部について引き抜くことができます。さんまの頭部には、骨と内臓がくっついているので、その骨だけを切り離し、内臓だけを頭部につなげた状態で、一気に内臓を外せるさんまの下処理の技です。
頭を切り落としてしまった場合や、すでに頭を落としてあるさんまを購入してきた場合は、切り口側から内臓部分へ、割り箸をいれて、ねじるようにして引き抜くことでも、内臓がきれいに取り出せる下処理技があります。この取り方をすると、身に切れ目をいれることがないので、筒状態のまま焼いたり煮たりといった調理ができます。
内臓をひきぬいた後は、内臓があった部分にも流水を注ぎ、きれいに洗って、キッチンペーパーを割り箸に巻き、中の水気も拭き取っておきます。または、内臓部分の血を洗い流してから、塩水にさんまを10分ほど漬けて、水気を拭き取ります。内臓部分もきれいに洗った方が、臭みが減り、苦味が嫌いな人向きな塩焼きや料理におすすめです。
焼いたさんまの内臓の取り方
さんまを丸ごと焼いたものや、頭を落としてあっても内臓が付いたままで、塩焼きにしたものが出されても、内臓部分は食べたくない時もあります。だからといって、内臓部分をほじくりだすようにするのは、マナー違反になります。長い中骨がうまく外せないという人も、基本的な食べ方にそって食べると、お皿の上でさんまの骨や内臓が散らからずに、美味しくスマートに食べ進めることができます。
焼き魚のマナーとして、魚の頭は左側にあり、腹側が手間になるようにお皿に盛りつけられています。先ずは、頭から尾にむかって腹の中央辺りの骨に沿って箸を一文字にいれます。表面の背側、頭に近い部分から、一口サイズで箸にとって食べます。さんまの皮を取り除く人もいますが、さんまの皮は薄く、塩をふってある部分でもあり、よく焼けているので食べた方がよいです。骨よりも上側にある表面の上半分、背側を食べ進めます。
上半分を食べた次に、下半分を食べます。この時に、内臓部分は箸でつまんで取り外して、さんまの向こう側の左端におきます。もちろん大根おろしとあわせて食べても構いませんが、残してもマナー違反ではないので、箸で取り除きます。その後、骨を外します。この時には、箸で下側になっている身をおさえて、空いている手で骨を尾側からはがすようにして、手をつかってもかまいません。
骨と頭は、身の向こう側に置いて、残った半身を食べ進めると、残りは内臓、頭と骨といった具合にきれいに食べ進めることができます。お皿の上でさんまを裏返したり、一度口の中に入った骨を出すのは、和食の作法としては好まれません。箸で取り除きながら、食べられない部分はお皿の向こう側の一か所にまとめて置くようにします。
もう1つ、和食のマナーとは離れてしまいますが、焼きさんまの身をくずす前に、頭についている骨をひきぬいてしまう取り方があります。さんまの下処理をしたら、胸びれの部分と、尾の手前に骨まで切らずに身に切り込みを入れてから焼きます。焼きあがったら尾を折って切り離します。焼いたさんまの胴部分を軽くつかみながら、頭をそっと引き抜きます。
さんまを焼くことで、たんぱく質でできている身が縮むために、骨との間にすき間もできるので、頭についたままの骨をひきぬくことができます。こうして骨を抜いてしまうと、子どもでも食べやすくなります。内臓をとりだしてあっても、同じように引き抜くことができます。
さんまの頭と骨、尾だけを残すくらいにきれいに食べられると、マナーとしても好感が持たれます。しっかりと焼けているものであれば、骨から身もはがれやすくなっていて、内臓も添えてある大根おろしや柑橘の果汁を絞って食べれば、ほろ苦さの美味しさを感じられます。きれいに食べてもらえるためにも、さんまを焼く時には、頭が左になるように考えて、表面から焼くと、盛り付けた時にもきれいな仕上がりになります。
苦み臭みがきにならないさんまの内臓レシピ
さんまの内臓のきれいな取り方などを紹介してきましたが、内臓こそ好きという人もいます。さんまの内臓ならではの美味しさを感じられる、内臓を使ったレシピを紹介します。下処理の方法と内臓の簡単な取り方を参考にして、新鮮なさんまの内臓で作ってください。
にんにく香るさんまのわたソースパスタ
さんまの内臓の臭いは、にんにくを使うことで気にならなくしつつ、苦味が味に深みを出してくれるパスタです。さんまは三枚に卸して、4~5cmの幅に切って、塩こしょうをふっておきます。ワタは刻んでおきます。好みのパスタを茹ではじめます。フラいパンに、オリーブオイル、にんにくスライス、鷹の爪をいれて、弱火にかけ、香りがでてきたら、さんまのワタを入れて炒め合わせます。
フライパンにさんまをいれて両面を焼き、白ワインを加えて煮詰めます。ゆであがったパスタを、フライパンに加えて、全体を和えて、塩こしょうで味を整えます。お皿に盛って、レモンを絞っていただきます。トマトを小さく切って、塩こしょう、砂糖とオリーブオイルに漬けて置いたものをトッピングすると、彩りもきれいで、酸味と甘みが加わり、さんまのワタの苦みも気にならなくなります。
薬味の好い香りさんまのワタご飯
新鮮なさんまで、内臓まで使ってさんまの栄養を丸ごと口にできて、深みのある味わいの混ぜご飯にします。さんまは下処理をして、内臓をとっておき、三枚におろして塩をふっておきます。内臓は包丁でたたき、しょうゆとみりん、各大さじ1とあわせて、さんまをここに漬けて30分ほど置きます。お米は酒大さじ1と塩をひとつまみ加えて、だし汁をいつも炊くよりも気持ち少な目の水加減にしてやや硬めに炊飯します。
フライパンに、ごま油とみじん切りのしょうが、漬け汁から取り出したさんまを入れて、両面を焼きます。余分あ脂をキッチンペーパーで拭き取ってしまい、漬け汁を加えて煮詰めます。ご飯が炊きあがったところで、さんまを汁ごと加えて、身をほぐしながら混ぜ合わせます。蓋をして10分ほど蒸らします。食べる時には、シソとみょうがの千切りを添えていただきます。
炊飯器や土鍋に、米と、しょうゆ、酒を入れて水加減したところに、さんまの内臓を取り出して、表面を塩焼きにしたものをのせて炊飯する、さんまの炊き込みご飯もあります。ご飯を炊いている間に、さんまの内臓を酒、コチジャンとあわせて、火にかけて煮詰めたものを、シソ、しょうがなどの薬味とあわせて炊きあがった炊き込みご飯にのせていただきます。苦味がコチジャンの辛味でやわらぎ、コクを感じるご飯になります。
さんまのワタ焼き
さんまのワタをタレにして、さんまにタレをからめながら焼くレシピです。さんまの内臓の苦みを感じながらも、しょうがを使うことで臭いはそれほど気にならなくなります。タレの材料は、さんまの内臓2尾分、しょうゆ、酒、みりん各大さじ1、砂糖としょうがのすりおろし(チューブでも可)各大さじ1/2です。これらを小鍋にいれて、調味料とあわせて、かき混ぜながら煮詰めます。
さんまは下処理をして、三等分に切って、フライパンにクッキングシートをひいて中火から弱火で焼きます。焼き色が付いたら、裏返して表面に煮詰めたワタのタレを塗って、蓋をして5分ほど焼きます。蓋を外して、再度裏返して、タレを塗り2分ほど焼きます。タレをフライパンにいれて、焼いたさんまにからめてできあがりです。魚焼きグリルで焼きながら、タレを塗って焼き上げるのも、皮がパリッとしておすすめです。
仕上げに、針しょうが、大葉やみょうがの千切りなど薬味を添えると、さらに臭みが和らぎ、ご飯にもお酒にも合う一品になります。塩焼きばかりでなく、ワタのタレ焼きもお試しください。
さんまの内臓もそのまましょうが煮
さんまを内臓も骨もそのまましょうがたっぷりで煮込む料理です。臭み、苦味もしょうがをたくさん使うことで、ほどんど気にならなくなります。さんま4尾、しょうが、煮汁として酢、水、酒を各1カップ、しょうゆ1/3カップを用意します。しょうがは表面をよく洗って、皮つきのまま千切りにしてカップに半量くらい準備しておきます。
さんまは下処理をして、頭を落とし内臓もつけたまま2cm幅くらいに筒切りにします。鍋かフライパンに、半量の千切り生姜を広げます。そこに筒切りにしたさんまを立てて並べ入れた上に、残りのしょうがを散らして、酢と水だけを注ぎいれて強火にかけます。沸いてくるとアクがでてくるので、取り除いて、落し蓋をして弱火で煮汁がなくなるまで30分~45分ほど煮ます。
煮汁がほとんどなくなったところに、酒としょうゆを加えて、落し蓋をして弱火で煮詰めます。汁がなくなるまで煮詰めてできあがりです。冷めたら保存容器に煮汁をきって、詰め替えて冷蔵庫で保存すると4日くらいは作り置きのおかずにもなります。骨を取り除いていませんが、煮詰めるのにトータルで1~2時間かけているので、骨も気にならなくなります。内臓が旨味になって、しょうがの爽やかさも美味しい副菜になります。
さんまのワタ炒めの珍味
さんまの内臓の苦さは少し残りますが、大人向きなお酒とあわせたくなる珍味を、さんまの内臓で作ることができます。家族分のさんま料理を作る時に、取り除いたさんまの内臓だけを使って作ります。材料はさんまの内臓2尾分、しょうゆ、みりん、酒、各大さじ1/2です。さんまの内臓は流水で好く洗って、血を洗いながします。その内臓を包丁を使って細かくたたき、調味料を混ぜ合わせて、鍋かフライパンに入れて弱火にかけます。
水分がとんで、ねっとりとした感じになって冷めたら出来上がりです。水気がとんだところで、白ゴマ、しょうがのみじん切り、細ネギの小口切りにしたものなどを混ぜると、食べやすくなります。冷奴にのせてもよいですし、新鮮なさんまをおろして刺身にして、その刺身でくるむようにして食べるのもおすすめです。
さんまの骨も内臓も食べられる甘酢煮
さんまの骨を取るのも、子どもには難しい作業です。そこで内臓も食べられて、骨まで軟らかくして、さんまを丸ごと食べられる甘酢煮もおすすめです。さんまは下処理をして頭だけを取り除いておきます。鍋に、水と酢を各1/2カップ入れて、砂糖50g、しょうゆ大さじ1を加えて、ぶつ切りにしたさんまもいれます。弱火にかけ、落し蓋をして汁気がなくなるくらいまで煮込むだけです。
本格的な中華料理に仕上げるには、鍋の底にネギの青い部分をひいた上に、下処理したさんまをそのままのせます。薄切りしょうが、にんにく、赤唐辛子、花椒をさんまの上に散らします。酢2カップ、しょうゆ1カップ、酒1/2カップ、砂糖100gを混ぜ合わせたものを鍋に注ぎ入れて蓋をして強火にかけます。沸騰したら火を弱めて1時間くらい煮詰めます。そのまま冷まして味をしみこませてから取り出すと、身もくずれにくいです。
さんまの内臓には栄養たっぷり
実はさんまの内臓には、栄養がたっぷりと含まれています。さんまの身の部分にはDHA、EPAといった脳の働きを活性化してくれ、血液の流れをサラサラにしてくれる成分が多く含まれていて、それだけでも栄養豊富な魚といえます。そこに加えて、内臓部分には「レチノール」というビタミンAが含まれ、美肌作りに役立つ成分があります。化粧品にもレチノール配合といったものがあるように、肌への働きかけをしてくれます。
レチノールは、コラーゲンを生成を促進する働きがあるので、肌のハリ、シワの改善に効果が期待できます。さらに、抗酸化作用があるので、たるみ、くすみ、そしてニキビ予防など肌全般の悩みにはおすすめの栄養成分です。加えてビタミン12、鉄分も含まれています。赤血球を作るのに必要なものなので、貧血予防にも役立ちます。美肌と貧血の対策と考えると、女性にはより食べて欲しい、さんまの内臓です。
女性だけでなく、男性が食べて役立つ栄養効果としても、レチノールの目の機能をサポートしてくれる働きや、疲れ気味の体に、ビタミンと鉄分で疲労回復のサポートもしてくれます。新鮮なさんまが手に入ったら、しっかりと加熱をして、内臓も食べるようにしてください。
さんまの内臓が苦手でも裏技でキレイに取り除ける
さんまの身はたんぱく質がたっぷりで、内臓にはビタミンなど、身よりも含まれる栄養もあります。できれば上手く料理をして食べて欲しい部分ですが、苦手であれば、さんまを食べるのをやめてしまわずに、裏技を使って、簡単に内臓を取り除いて、さんまを美味しく食べてください。