長芋でかゆい時の対処法！触るとかゆくなる理由と予防方法も解説

長芋は、近年海外でも健康食材として人気が出てきている食材で、青森や北海道が産地として有名です。すりおろしたとろろは、ご飯やそば、うどんにかけて食べたり、お好み焼きの生地に混ぜて使われます。刻んで生のままイカやマグロと一緒にシャキシャキの食感を楽しんで食べるのも人気です。

しかし、調理をしている時や食べている時に、手や唇、口の周りがかゆくなった経験はありませんか？また、それが原因で長芋の調理を敬遠してしまっている方もいるでしょう。どうして長芋を食べたり触ったりするとかゆくなるのでしょうか？また、かゆくなった時の対処法や、かゆくならない方法を分かりやすく解説します。

長芋に触れると何故かゆみを感じるのでしょうか？ここではかゆみを引き起こす原因について詳しく解説します。

長芋のかゆみの正体はシュウ酸カルシウムです。シュウ酸カルシウムは先の尖った針状の結晶で、長芋の他にも里芋や未成熟のパイナップルにも含まれています。長芋に含まれるシュウ酸カルシウムは、数十本〜数百本単位の束状になって長芋の細胞内に入っています。

長芋をすりおろしたりなどで細胞が壊れ、針の束がバラバラになって飛び出します。これが皮膚に付着することで、チクチクしたりかゆくなったりするのです。このかゆみ成分は、長芋の皮の下に多く含まれます。また、暖かい季節になるとこの成分が増えるので、夏場は特にかゆくなりやすいです。

症状がひどい場合には、皮膚が赤く腫れたり、熱を持つ場合もあります。アレルギー症状と間違われることも多いですが、ある程度時間が経つと症状が治まります。

長芋に含まれるアセチルコリンという成分が、アレルギーと似たような反応を引き起こす場合があります。このアセチルコリンは「仮性アレルゲン」とも呼ばれており、トマト、なす、たけのこ、さといもなどにも含まれています。

食べた後に皮膚の赤みやかゆみなどの軽い症状が出ますが、多くの場合は1～2時間程度で治まります。しかし、一度に大量に摂取したり、疲労時など免疫力が低下しているときには、蕁麻疹や頭痛、発作などの症状が出る場合もあります。

摂取量の調整や疲労時の摂取を控えることで、これらの症状を防ぐことができます。また、調理の際にあく抜きをすることでも防ぐことができます。

長芋でかゆい時には、どのような対処法があるかを紹介します。どれも家庭にあるもので簡単にできる対処法なので、覚えておくと良いでしょう。

お酢やレモン水を塗ることで、かゆみを抑えることができます。かゆみ成分であるシュウ酸ナトリウムは、アルカリ性です。アルカリは、酸で中和することができるのです。まず、かゆい場所にお酢やレモン水を塗りこみます。その後、水で洗い流せばかゆみが治まります。

お酢は、多くの家庭にある調味料です。お酢を使ったこの方法は、かゆい時に手軽にできる簡単な対処法となります。また、すりおろす前に長芋を酢水に漬けることで、あく抜きや変色防止とともにかゆみ成分を中和させることができます。調理前に、手を酢水で濡らしておくのも効果的です。

かゆい部分を温めることでも症状を軽減することができます。かゆみ成分のシュウ酸ナトリウムは、熱に弱い性質があります。キッチンのコンロの火の上で、かゆい部分をかざしてみてください。熱によってかゆみが軽減されます。ただし、火傷や火事にならないように注意してください。

また、シュウ酸ナトリウムは温水に溶けやすい性質もあります。かゆい部分をお湯に浸したり、電子レンジで温めた濡れタオルなどで患部を温める方法も有効です。口の周りがかゆいときや小さな子供には、こちらの方法が安全で効果的です。

かゆい部分を米で擦る方法もあります。かゆみのある部分を米で擦り、皮膚を揉むことでかゆみが軽減されます。お酢やお湯に比べると手軽とは言えないかもしれませんが、いざという時のために覚えておくと良いでしょう。

かゆい部分をすぐに対処せずに手で掻いたりし続けると、かゆみや赤みの症状が悪化したり広がったりしてしまいます。なるべく早めに上記の方法で、かゆみに対処するようにしましょう。

事前にかゆみを予防できる方法があれば、必ず実行したいものです。では、その予防方法をいくつか詳しく紹介しましょう。

長芋のかゆみ成分であるシュウ酸カルシウムは、長芋の皮の下に多く含まれています。厚めに皮をむくことで、かゆみ成分がなるべく手に触れないようにすることができます。捨てる部分が多くなるので少しもったいない方法ですが、簡単に防ぐことができる方法です。

すりおろして調理する場合は、持つ部分を残しながらすりおろしましょう。これによってかゆみも防ぐことができます。むいた皮の内側に触るとかゆみ成分が手に付着するので、くれぐれも触らないようご注意を。

確実な方法は、長芋に直接触らないように、ゴム手袋やビニール手袋をして調理することです。こうすればかゆみ成分は手につきません。表面にツブツブが加工されている手袋なら、滑り止め効果もあって便利です。また、手袋がない場合はキッチンペーパーで代用することもできます。

すりおろし器の中には、直接食材に触れずにすりおろしができるものも販売されています。長芋だけでなく、大根おろしを作ることもできます。手も汚れずけがの防止にもなるので、よく調理するなら購入するのも良いでしょう。

かゆみを防ぐために、事前に熱湯をかけてから調理する方法もおすすめです。長芋のかゆみ成分であるシュウ酸ナトリウムは、熱に弱いという性質があります。調理をする前に、皮が付いた状態で熱湯を５～６秒ほどかけます。

鍋に湯を沸かして漬ける方法もありますが、火が通ってしまわないように注意してください。その後、冷めてから皮を剥くか、急ぐときは冷水で冷やしたあとに皮を剥きましょう。

長芋を冷凍することでもかゆみを防ぐことができます。長芋のかゆみ成分であるシュウ酸ナトリウムは、冷凍することで針状になった先端が壊れます。すると、シュウ酸ナトリウムが手に付いても、かゆくなりにくくなるのです。

ジャガイモなどの他の芋類は、冷凍すると食感が変ってしまいます。しかし、長芋は食感も変わらずに冷凍保存することができます。かゆみ防止のためだけでなく、少しづつしか使わないときや、余ってしまったときにも冷凍保存は使える技です。たくさん長芋が手に入った時のためにも、覚えておくと良いでしょう。

長芋は、皮つきのまま冷凍保存をすることができます。ラップでしっかりと包んで冷凍庫に入れるだけの、とても簡単な方法です。短く切ってラップに包み、チャック付きの保存袋に入れて冷凍するのがおすすめです。切り口には、キッチンペーパーを当てると良いでしょう。

冷凍保存期間の目安は1か月です。1か月以上経つと品質が落ちてしまいます。忘れないように冷凍した日にちを書いておくようにしましょう。

長芋は凍ったままや半解凍の状態で、切ったりすりおろしたりすることができます。完全に解凍してしまうと滑りやすく扱いにくくなりますので、気を付けてください。使う分だけ切って、残りをまた冷凍しておくこともできます。また、すりおろした長芋や食べやすいサイズに切った後に冷凍することもできます。

長芋でなぜかゆくなるのか、かゆい時の対処方法、またかゆくなりにくくなる予防方法について詳しく解説しました。長芋は、生のシャキシャキとした食感や、すりおろしてネバネバの食感、焼いてホクホクとした食感など、いろんな食べ方で楽しめる食材です。

また、滋養強壮効果や風邪予防、夏バテ防止にも効果があるので、すすんで摂り入れたい食材です。本記事で紹介した方法を活用すれば、かゆみを心配せずに調理することができます。今までかゆみに悩んでいた方も、ぜひ長芋料理にトライしてください。