パクチーの臭いは克服可能?成分はカメムシと同じ?臭いは消せる?
パクチーは独特な臭いを持つ野菜です。その香りからカメムシのような臭いともいわれるパクチーですが、実は体に良い栄養成分も多く含まれています。本記事では、パクチーの臭いの原因や消し方、克服レシピなどを紹介します。
パクチーの臭いは乗り越えることができる?
出典: https://tenki.jp
トムヤムクンや生春巻き、フォーなどに使われる食材パクチー。タイやベトナムといったアジア料理に欠かすことのできない香辛料で、最近では日本でも女性を中心にパクチーブームが到来しています。パクチー料理専門店もあるほど人気のパクチーですが、カメムシのような独特の臭いがあることから苦手な方も多いと言われています。
本記事ではパクチーの臭いの原因をはじめ、栄養成分や臭いの消し方、臭いを気にせずに食べられるレシピなどを紹介します。「パクチーの臭いが嫌い」「パクチーの臭いを克服したい」という方も、ぜひチェックしてみてください。
パクチーの臭いの原因
コリアンダーや香菜(シャンツァイ)という呼び名でも知られているパクチー。好きな人にはたまらないと言われるパクチーですが、臭いが強いことから好き嫌いがはっきりと分かれる食材でもあります。カメムシの臭いとも評されるパクチーの臭いには、一体どのような成分が含まれているのでしょうか?
パクチーの臭い成分
別名カメムシ草ともいわれるパクチーには、人間がくさいと感じる臭い成分が含まれています。好きな香りは人によっても異なりますが、パクチーの臭いを好む人というのは遺伝である程度決まっていると言われています。そう考えると、好き嫌いが大きく分かれるのも納得でしょう。
パクチーの臭い成分①ピネン
ピネンは、モノテルペンの一種で特有の香りを持つ有機化合物です。パクチー以外にスギやヒノキなどの木の臭い成分としても有名で、香りをかぐと生理的なリラックス効果があると言われています。
ピネンの臭いには、免疫細胞を活性化させる可能性も示唆されており、睡眠効率が良くなるという研究結果も出ています。松精油や松脂の主成分で、香料や医薬品の原料に使われることが多いようです。
パクチーの臭い成分②デカナール
デカナールは、柑橘類の重要な要素でソバの香り要素としても知られる成分です。アルデヒドの一種に分類され、食欲増進効果や心のバランスを整える働きが期待できます。デカナールの主な用途としては、レモングラスやグレープフルーツの精油、空間の消臭、香水の原料などがあります。
パクチーの臭い成分③ノナナール
ノナナールも、デカナールと同じくアルデヒドの一種に分類される臭い成分です。ノニルアルデヒドという名でも知られており、花や果実の香りに含まれています。香料の原料に用いられるノナナールですが、実は日本人の99%以上が持つ脂臭物質でもあります。
パクチーの臭い成分④リナロール
リナロールは精油に含まれる臭い成分で、モノテルペンアルコールの一種です。特にローズウッドに多く含有されているほか、ラベンダーやベルガモットにも比較的多くのリナロールが含まれています。
主に化粧品や食品の香料に使われるリナロールですが、ビールの原料ホップにも含まれることから、ビールの香りを豊かにするとも言われています。
リナロールの香りには、鎮静作用や抗不安作用があり、リラックスして気持ちを落ち着かせる働きがあります。また抗菌、抗ウイルス効果もあり、血圧低下などの効果も期待できます。
パクチーの臭い成分⑤ボルネオ―ル
ボルネオ―ルとは、竜脳という名前でも知られる二環式モノテルペンです。その匂いは樟脳にも似ていますが、樟脳よりも柔らかく優雅な香りが特徴です。ボルネオ―ルは、その香りが脳の扉を開くカギとなると言われており、中国伝統医学では脳血管疾患の薬を使う際の補助的な役割としても使用されています。
パクチーの臭い成分⑥ゲラニオール
ゲラニオールは、ゼラニウムから発見された非環式モノテルペンに属するアルコールです。バラに似た香りがあり、主に香水やアロマオイルに使われています。ゲラオニールには、抗菌や抗カビ作用のほか、皮膚を保湿して弾力を保つ働きがあります。
カメムシの臭い成分
カメムシの臭いの成分はカメムシ酸と呼ばれており、ディセナールやへキサナール、オクテナールなどのアルデヒドが主成分となっています。それぞれの成分を比べると、臭いは似ていても構造が全く同じという訳ではないようです。
ただ、カメムシには植物の青臭い臭いがもともとあり、パクチーにもアルデヒドが含まれることから両者の臭いは似ているのだと考えられます。
セリ科の植物の臭いや加齢臭の成分も同じ?
パクチーはセリ科の一年草です。同じセリ科にはパセリやセロリ、三つ葉などがあり、どれも独特の香りを持っているのが特徴です。料理に風味やアクセントを与える面ではどの食材も同じですが、カメムシ臭がしないことから臭い成分は異なると推測されます。
ただしパクチーの臭い成分であるノナナールは、体臭に大きく関わりがある成分です。ノナナールの分泌は特に40代の女性に多く、女性加齢臭の主成分にもなっています。パクチーの臭いと同じという訳ではありませんが、成分的には同じものを含むと言えるでしょう。
パクチーは臭いが強い一方栄養が豊富
カメムシのような臭いで苦手な方も多いパクチーですが、実は豊富な栄養成分が含まれている野菜です。ここからは、パクチーを食べることで得られる成分とその効果について紹介します。
ビタミンK
ビタミンKは、油に溶けやすい脂溶性ビタミンの1つです。主な働きは、ケガ時の血液の凝固や新しい細胞と骨の形成で、私たちは体内で作られたビタミンKと食品に含まれるビタミンKのどちらも利用して生活しています。
またビタミンKには、カルシウムを体内に留めて排出を防ぎ、骨の破壊を防ぐ役割もあります。これを利用して、骨粗鬆症の薬としてもビタミンKが使われています。
カリウム
むくみ改善に効果のあるカリウムも、パクチーに含まれています。カリウムは、ナトリウムとのバランスを保ちながら細胞を正常に維持するほか、血圧を調整する働きもあります。
むくみや血圧が気になる方は、日頃からカリウムの摂取を心がけるとよいでしょう。またカリウムにはストレス改善や脳卒中予防、骨密度アップなどの嬉しい効果もあります。
βカロテン
肌の状態が気になる方は、パクチーに含まれるβカロテンの摂取がおすすめです。βカロテンはカロテノイドという色素成分の一種で、必要に応じて体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAには皮膚や粘膜の健康維持をはじめ、肌の奥に潜むシミ予備群を減少させるという美肌作用が期待できます。
また夜間の視力維持のほか、抗酸化作用や免疫力アップの効果もあるようです。さらにβカロテンが豊富な食材を摂ると、ある種のガンや心疾患のリスクを低下させるとも言われています。
パクチーの臭い消しの方法
パクチーの持つカメムシ臭は、工夫をすれば消し去ることが可能です。ここからは、パクチーの臭いを消して美味しく食べるための方法を紹介します。ぜひこの機会にパクチーを克服してみませんか?
パクチーの臭い消し①乾燥して使う
生のパクチーを乾燥させると、独特の臭いを消し去ることができます。これは、カメムシに似た臭い成分が乾燥に弱いということを利用した方法です。乾燥パクチーは食べやすいというだけでなく、乾燥させても抗酸化作用が期待できるというのもメリットです。
市販のフリーズドライパクチーを購入してもよいですが、生のパクチーがある場合は電子レンジで手軽に作ることができます。まずは臭いの強いパクチーの茎を取り除き、葉のみを耐熱皿にのせます。
600Wの電子レンジで2分半加熱してからかき混ぜ、さらに1分40秒~2分加熱すれば完成です。密閉容器に入れて冷蔵庫で保存すれば、ある程度の期間楽しめます。
パクチーの臭い消し②ペーストやドレッシングにする
パクチーをオイルでコーティングするのも、臭い消しの方法の1つです。細かいペースト状にしてドレッシングやソースにすると、意外と違和感なく食べることができます。パクチーペーストの作り方は、パクチー(茎ごと)、ニンニク、炒ったカシューナッツ、オリーブ油、ナンプラー、粉チーズをフードプロセッサーにかけるだけです。
使い方は、バジルを使ったジェノベーゼソースと同じです。例えば、茹でたじゃがいもに和えたりパスタに混ぜるだけで美味しいパクチー料理が出来上がります。オリーブ油を足せば、サラダのドレッシングに活用することも可能です。
パクチーの臭い消し③加熱する
パクチーは、火を通すと臭いを和らげることができます。肉や他の野菜と一緒に炒めるほか、スープに加えて煮込んでも美味しくいただけるでしょう。
熱々のスープにパクチーの葉をトッピングし、レモンやライムを絞るだけでも臭いを軽減させることができます。和風の味付けだけでなく中華や洋食にも合うので、いろいろな味付けを試してみるのも面白いかもしれません。
パクチーの臭い消し④玉ねぎと一緒に使う
玉ねぎは、パクチーと同じく臭いのある食材です。そのため、パクチーと一緒に調理すると臭い消しになります。生でパクチーを食べる時も、オニオンスライスを混ぜると風味がよくなり食べやすくなります。玉ねぎは炒め物やスープとも相性が良いため、様々な料理にアレンジすることができるでしょう。
パクチーの臭い消し⑤匂いの強い食材と一緒に使う
パクチーの臭いを消すには、ニンニクや生姜、スパイスなどの香りの強い食材を組み合わせることも重要です。特におすすめの組み合わせがカレーです。意外に感じるかもしれませんが、パクチーの種子を乾燥させたコリアンダーはカレーに欠かせないスパイスの1つです。
そのため、カレーにパクチーを加える食べ方は臭いを消すのに最適な食べ方と言えます。普段のカレーに生のパクチーを入れるだけで作れるので、ぜひ試してみるとよいでしょう。
パクチーの臭い消し⑥細かく刻まない
パクチーの臭い成分は、細かく刻むことで強まります。従ってサラダなど生で食べる際は、あまり刻まず形を残した状態で仕上げるのがおすすめです。
それでも臭いが気になるなら、ドレッシングに酸味の強いポン酢やゴマ油を使ったものを使用するとよいでしょう。またゴマドレッシングも、ゴマの風味でパクチーの臭いを和らげることができます。
パクチーの臭い消し⑦包む
餃子や天ぷらなど、パクチーを中に包み込む調理法も臭い消しには有効です。皮や衣で包んでから油で調理すると、パクチーの臭いがかなり軽減します。どの方法も臭い消しの効果がなかったという場合は、こちらの調理法を試してみるとよいでしょう。特にパクチー初心者にはおすすめの食べ方です。
パクチーの臭いを抑えるレシピ
最後に、自宅で手軽に作れるパクチーレシピを紹介します。パクチーの臭いが苦手な方でも食べやすいものばかりなので、気になるものがあればぜひ挑戦してみてください。
パクチーの臭いを抑えるレシピ①炒飯
- パクチー3本
- 豚バラ肉50g
- 干し海老5g
- ニンニクのすりおろし小さじ1
- サラダ油大さじ1
- 長ねぎ10cm
- 卵1個
- ご飯1人分
- ナンプラー小さじ1と1/2(A)
- 鶏がらスープの素小さじ1/2(A)
- レモン汁小さじ1/2(A)
- ハーブソルト少々
- 黒こしょう少々
- 豚バラ肉は1cm幅に、長ねぎはみじん切りにします。パクチーは葉と茎にわけ、茎はみじん切りにしておきます。
- フライパンにサラダ油とニンニクを熱し、香りが立ったら豚バラ肉と干しエビを加えます。火が通ったら一旦取り出し、空いたフライパンで卵を炒めます。
- 卵が半熟になったらご飯を入れ、長ねぎ、パクチーの茎も加えます。豚バラ肉と干しエビを戻し入れ、(A)を加えて水分を飛ばしたらハーブソルトと黒こしょうで味を調えます。皿に盛りつけ、パクチーの葉を添えれば完成です。
パクチーの臭いを抑えるレシピ②きんぴら
- パクチーひとつかみ
- ベーコン(ハーフ)1パック
- ごま油大さじ1
- 醤油大さじ
- みりん大さじ
- パクチーは4cm幅に、ベーコンは5mm幅にカットします。
- フライパンにごま油を熱し、1を入れて中火でさっと炒めます。醤油、みりんを加え、1分程炒めたら完成です。
パクチーの臭いを抑えるレシピ③かき揚げ
- パクチー40g
- むきえび80g
- 玉ねぎ1/2個
- 小麦粉小さじ1
- 天ぷら粉50cc
- 水70cc
- 揚げ油適量
- パクチーは3cm幅にカット、玉ねぎは薄切りにします。むきえびは背ワタを取って小さく切り、酒少々(分量外)をまぶしておきます。
- ボウルに1を入れて小麦粉をまぶします。
- 別のボウルに天ぷら粉、水、塩少々(分量外)を混ぜ合わせ、2を入れてさっくりと混ぜ合わせます。
- 揚げ油を中温に熱し、食べやすいサイズにまとめた3を入れます。両面をカリッと揚げたら完成です。
パクチーの臭いを抑えるレシピ④揚げ餃子
- 豚バラ肉250g
- パクチー100g
- ニンニク2片
- 生姜のすりおろし5cm分(A)
- 醤油小さじ1(A)
- 塩少々(A)
- 花椒(なければ胡椒)小さじ1/2(A)
- 片栗粉大さじ1(A)
- 餃子の皮20枚
- 揚げ油適量
- パクチーは粗みじん切りに、ニンニクはみじん切りにします。豚バラ肉はフードプロセッサーで食感が残る程度までミンチにします。
- ボウルに1と(A)を入れ、粘りが出るまで手で混ぜ合わせ、20等分します。餃子の皮で餡をしっかり包みます。
- 揚げ油を180℃に熱し、2の餃子をキツネ色になるまでこんがり揚げたら完成です。
パクチーの臭いを抑えるレシピ⑤パクチー納豆
- 納豆3パック
- 玉ねぎ1/3玉
- パクチー1/2束
- マヨネーズ大さじ1
- 醤油小さじ1/2
- 米酢小さじ1/2
- 一味唐辛子好みの量
- ごま好みの量
- 玉ねぎスライスして冷水にさらし、水気をしっかり絞ります。パクチーは食べやすい大きさにカットしましょう。
- ボウルに全ての材料を入れ、混ぜ合わせれば完成です。
パクチーの臭いは消すことができる!
本記事では、パクチーの臭いの原因や消し方、独特の風味を抑えるレシピなどを紹介しました。カメムシに似た臭いを持つパクチーですが、工夫次第で食べやすくすることは可能です。体に良い栄養素が豊富に含まれているため、食べたことのない方も食事に取り入れてみることをおすすめします。
どうしても臭いが気になって食べられない場合は、天ぷらやかき揚げなどから挑戦してみるとよいでしょう。ぜひパクチーのいろんなレシピにもトライしてみてください。