2019年03月08日公開
2024年09月07日更新
ガムシロップの健康への影響は?原材料の病気のリスクや砂糖との違い!
ガムシロップは、冷たいコーヒーや紅茶を飲む時に欠かせないという人もいて、よく目にするものです。このガムシロップの原材料がどんなものかを調べました。健康への影響や甘いものとして悪いイメージもありますが、原材料の成分にはどんなものがあり、一般的な砂糖との違いはあるのか、賞味期限はどうなっているのかなどを知ることができます。ガムシロップ好きな人も、健康を考える上で読んでおくとどういったものかを知ることができます。
目次
ガムシロップの健康への影響が知りたい
アイスコーヒーやアイスティーについていくるガムシロップは、何気なく使ってしまいますが、健康面への影響を考えると、成分などを知っておく必要があります。砂糖を溶かしただけのものであれば、糖分を加えるだけで、健康に良いことはあまりなくても、悪いことはなさそうです。ガムシロップはどうなっているのか、原材料などを調べてみました。
ガムシロップの原材料は健康に悪影響?
甘くて透明、ある程度の粘度もあるガムシロップの原材料は何か、どうやって作られているのかを先ずみていきます。原材料が分かれば健康に悪いものなのかを知ることにもなります。
以前は樹液と砂糖と水
ガムシロップの原材料は、砂糖と水にアラビアガムという樹脂を煮て作った甘味料の一つです。アラビアガムというのはマメ科の樹木で、この樹木に傷を付けてそこから染み出す樹液を集めたものになります。このアラビアガムのガムから「ガムシロップ」と名付けられました。
アラビアガムは水に溶けやすく、溶かした液体は粘性を持って安定しやすいため、アイスクリームや菓子などの食品添加物としても使われています。この代表がガムシロップで、溶かした砂糖が沈殿しないようにするため、粘度をつけています。
1970年代にキューバ革命が起きたことにより、アメリカにキューバからの砂糖が仕入れられなくなった状況がありました。その時に日本で開発されていたトウモロコシを原料とするシロップが、アメリカに渡り、低コストでの甘味料が大量に作られるようになった背景があり、アラビアガムのガムシロップは減ってしまいました。
現在はトウモロコシ/ジャガイモ/サツマイモ
現在は、ガムシロップの原材料としてアラビアガムを使うよりも、トウモロコシやジャガイモ、サツマイモのデンプン質を利用して、甘いシロップを作っているものがほとんどです。そのために、ガムシロップではなくコーンシロップと呼ばれることもあります。
トウモロコシのデンプン、コーンスターチ、ジャガイモからの片栗粉といったものは、砂糖のようにパウダー状であっても、甘みを感じることがありません。このデンプン質をさらに加工し、甘みを持たせたものが一般的に市販されているガムシロップの原材料となっています。
異性化糖
トウモロコシやジャガイモ、サツマイモなどのデンプンを酵素で糖化させて、ブドウ糖や果糖といった異なる性質のものにしてしまったものを、「異性化糖」といいます。デンプンそのものは、甘味もなくスープや出汁のとろみを付けるために使いますが、酵素を合わせることで分解して甘みを持たせます。
この過程は、人がデンプン質を含むものを食べると、唾液に含まれている消化酵素によって、糖に分解されて小腸へ流されます。そこでさらに酵素によってブドウ糖に分解されて、体に吸収されるブドウ糖になります。この工程を、人工的に作り出して糖類を作っているのが異性化糖です。
異性化糖は先ずブドウ糖に変化し、その後にさらに甘い果糖になります。この異性化糖の果糖の割合によって、食品添加物として使われる時に表示される名称が変わります。ブドウ糖果糖液糖とあれば、果糖の割合が50%未満のもの、果糖ブドウ糖液糖であれば果糖が50~90%、それ以上は高果糖液糖となります。
ガムシロップの「異性化糖」の健康への影響
ガムシロップの原材料でもある異性化糖は、健康への影響はどんなものが考えらえるのかを調べました。異性化糖と言われる成分は、体にとって悪いものならなぜ多く作られ販売されているのかをみていきます。
危険性
異性化糖は、安い原材料費で甘さの強いものを大量に作ることができ、長期間の保存も可能ということで、常温での賞味期限も延ばすことができると、良い点があります。人工的に作られた工業製品といえます。
アメリカでは、この異性化糖を原材料にしたガムシロップの使用禁止運動が起こるほど、健康へは悪いもの、危険なものとして知られています。ガムシロップは、砂糖以上に甘いということで、肥満や糖尿病としった生活習慣病と大きく関係しているのではないかと考えられています。
また異性化糖を作るための原材料であるデンプンは、安価なトウモロコシを使っている場合があり、そのトウモロコシが遺伝子組み換え食品である可能性もあります。遺伝子組み換えた食品については、人間がつくりだしたもので、健康への影響が不明な点も多いですが、アレルギーやがん、奇形などのリスクも報告されています。
副作用
異性化糖は、天然の砂糖と違い食物繊維などの成分を含んでいません。そのために、体内に入るとゆっくりと分解される砂糖と異なり、人工的に作られた異性化糖はすぐに、体内で吸収されて血糖値を上げてしまいます。そのために、糖尿病になりやすく、肥満の原因にもなります。
また天然の砂糖では微量ながら含まれるミネラル分なども含んでいずに、気付かない間に、糖分の摂り過ぎになりやすいです。毎日アイスコーヒーを飲む人が、ガムシロップを2個も3個も使っていると、糖分の摂り過ぎで健康な体の機能を保ちにくくなり、何かしらの健康への悪い影響が副作用として現れる可能性があります。
人工的なものは全て悪い?
アラビアガムではなくガムシロップの原材料に、異性化糖が使われるのは、安い経費で大量に、安定して作ることができるという利点があります。
人工的に作られたものを使ったガムシロップが全て悪いかというと、そうでないガムシロップも販売されています。原材料に、有機栽培のさとうきびを使っているガムシロップであれば、遺伝子組み換えであるデンプンを使っていません。こうしたガムシロップを選べば、体に悪い影響を抑え、急激な血糖値の上昇を抑えることもできます。
ガムシロップの成分によるリスク
ガムシロップの中でも、健康への悪い影響がある危険性があるものもあることが分かりました。その場合の人工的な糖分を摂った時の健康リスクを詳しく調べました。
グルコースで血糖値の上昇
糖尿病のメカニズムでは、食事後の血糖値の状態が問題となります。通常、食事をして糖分であるグルコースが体内に入ると、血糖値が上昇します。このグルコースは体を健康に動かすための重要なエネルギー源の一つで、心臓や脳もグルコースがあってこそ働きを続けています。
体内にグルコースが入り、血糖値が上昇すると、インスリンというホルモンが分泌されて、上昇した血糖値を元の状態に戻すというのが、健康的な体の機能です。糖尿病になると、このインスリンなどの働きが異常となり、血糖値を一定の範囲に保つことができにくくなり、血糖値の高い状態になってしまいます。
果糖は血糖値を上げない
異性化糖の種類の中には、インスリンが反応しにくく、摂取後の血糖値の上昇が緩やかな果糖を含んでいるものもあります。果糖の割合が高くなるほど、血糖値の上昇までに時間がかかり、満腹感を得にくいといった面をもっています。
血糖値を上げにくいというと、健康に良いようにも感じますが、実際には甘味料として体内に摂り入れているので、脂肪を蓄えたり、強い甘みへの依存度を高めるといった悪い面ももち、ガムシロップ成分のリスクといえます。
肥満や糖尿病
ガムシロップの成分でもある異性化糖は、血糖値が上がりにくく満腹中枢が働きにくいということが分かっています。これは、甘くしたものを食べたり飲んだりしていても、満足感が得にくく、つい食べ過ぎ飲み過ぎになって、肥満や糖尿病の原因になります。
同じ糖分でも果物や野菜に含まれているものは、ビタミン、ミネラルといった健康に必要な成分と合わせて食物繊維も一緒に摂ることでゆっくりと吸収されます。ですが、異性化糖の場合は、糖分だけを一気に吸収してしまうというリスクがあります。
血糖値が急激に上がる
異性化糖を使ったガムシップを使うと、血糖値が急激に上がる場合もあります。異性化糖の成分で糖の割合が高いほどゆっくりと血糖値を上げますが、糖の割合を抑えたものを使ったガムシロップや甘みのある清涼飲料水などは、低血糖時に飲むと血糖値を急激に上げる働きをします。
糖尿病の人が低血糖となってしまった時には、ガムシロップと同じ成分の異性化糖を含む涼飲料水を飲むことも良いですが、炭酸飲料や清涼飲料水で甘みのついた缶ジュースは、1缶に含まれる糖分を角砂糖にすると4個~6個分の糖分が入っているので、飲み過ぎには注意が必要です。
ガムシロップと砂糖の違い
ガムシロップは砂糖と違い、冷たい飲み物ともよく混じり、甘さを感じることができます。砂糖は冷たい飲み物では溶けにくいですが、賞味期限が表示されていないなどガムシロップと違う点もあります。健康面での違いを含めてみていきます。
腸の善玉菌のエサになるかならないか
ガムシロップと砂糖の違いとして、腸の善玉菌のエサになるかならないかということがあります。砂糖も摂りすぎると、悪玉菌が活性化して善玉菌が減少してしまいます。
同じ糖分であっても、野菜や果物、乳製品に含まれるオリゴ糖は、善玉菌のエサになります。てんさい糖というものは、甜菜という砂糖大根から作られる糖分なので、砂糖と同じように使えながら、腸まで届いて善玉菌の働きを助ける成分をもっています。
異性化糖で作られたガムシロップの場合は、甘味を感じますが、すでに分解された糖になっているので、腸に届くまでに吸収されてしまうので、善玉菌のエサになることはありません。
消化するかしないか
ガムシロップと砂糖の違いをみるためには、糖の性質をみる必要があります。糖は脳や体を健康的に動かすための大切なエネルギー源で、砂糖や食物に含まれるブドウ糖といった糖類が生きていくためには必要です。この糖類はすでに単糖類、二糖類といって最少の分子の状態なので、消化されやすく吸収もされやすくなっています。
そのために、とり過ぎるとエネルギー過多になって肥満や糖尿病といったリスクを持ちます。その点、消化吸収されるものでも比較的緩やかに吸収される多糖類などの糖質は、単糖類に比べて太りにくくなります。さらに食物繊維を含むイモ類などから摂る糖分は、消化されない成分があります。
オリゴ糖は、難消化性の性質をもっているので、腸のなかで吸収されません。ダイエットをしたい時には、ガムシロップのようにすでに単糖類になっているものではなく、野菜やイモ類から作られる糖分をとる方がおすすめです。
カロリーの違い
アイスコーヒーなどに入れるガムシロップと砂糖の1つあたりりのカロリーの違いをみると、ガムシロップの方がカロリーが高くなります。ガムシロップの種類にもよりますが、一般的なアイスコーヒーに添えられるものは1個当たり13g入りのもので36kcalあります。
ホットコーヒーに添えられるスティックの砂糖の場合は、1本あたり19kaclくらいです。また角砂糖は1個12kaclくらいで、ガムシロップには角砂糖3個分のカロリーが含まれていることになります。カロリーを抑えたい場合であれば、スティックタイプの砂糖や別容器に入っている角砂糖などを必要な分だけ使うのがおすすめです。
賞味期限があるかないか
食品表示法という法律では、食品には賞味期限か消費期限を表示することが決められていますが、砂糖は賞味期限が表記されていません。これは、砂糖は塩と同様に、長時間経っても品質がほとんど変わらないために、賞味期限の省略が可能な品目に定められています。アイスクリームやデンプンなども賞味期限がないのはこうした理由です。
一方ガムシロップは、加工された食品ということで、賞味期限が表記されています。これは人工的に作られてものなので、1年~1年半といった賞味期限が設定されています。異性化糖などの成分が気になるからと、手作りした場合のガムシロップは砂糖の割合にもよりますが、賞味期限が短くなるので注意してください。
ガムシロップと砂糖の違いは、健康面での成分の違いだけでなく、カロリーや賞味期限ということにも現れています。
ガムシップのリスクに注意して健康に配慮しよう!
ガムシロップは冷たい飲み物に手軽に甘みをつけられる便利なものですが、健康面ではリスクがあります。砂糖よりも分子が小さな糖になっているので、吸収が早くその分血糖値を上げやすくなります。また甘味は強く感じても、満腹感を得にくいので肥満につながる恐れもあります。健康に気をつけて、ガムシロップの摂り過ぎには注意してください。