2022年11月07日公開
2024年05月26日更新
コチニール色素の原料とは?使われている食品や危険性なども紹介
食品に使われる着色料である、コチニール色素についてご存じでしょうか。この記事ではコチニール色素の原料の説明、コチニール色素が使われている食品や商品、危険性について解説しています。着色料について疑問や不安のある方は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。
「食品添加物って色々あるみたいだけど、結局どういうものなのかな?」
「着色料って、どうして使われるのかな?原料は何なのかな?」
「買い物の時に食品や化粧品の成分表を見ると、コチニール色素って記載されてる事があるけど、どういうものなの?」
日々の生活で、このように感じることはないでしょうか。
この記事ではコチニール色素の原料、原料であるコチニールカイガラムシについて、コチニール色素が使われている食品や商品、コチニール色素が使えない食品、コチニール色素の危険性等について解説していきます。
この記事を読むことで、コチニール色素や着色料について理解を深めることができます。
着色料を含めて食品添加物というものへの見識が広がり、生活をより豊かで安心なものにする一助となるでしょう。
着色料や食品添加物について関心のある方は、ぜひこの記事を読んでみてください。
コチニール色素の原料とは?
食品添加物には、様々なものがあります。食品の保存期間を延ばす保存料、甘さを加える甘味料、色付けをする着色料、香りを追加する香料などです。
コチニール色素は「色」と付く通り、食品に色付けをする「着色料」です。
着色料は、大きく2つに分類されます。「合成着色料」と「天然着色料」です。この違いは、着色に使われる原料によるものです。
「合成着色料」は、人工着色料とも言われます。原料は石油で、食用赤色~号、食用黄色~号などがあります。色鮮やかで、光や熱に強く、退色しにくい特性があるでしょう。
一方「天然着色料」は、植物や動物を原料とします。合成着色料と比べると、デリケートな存在で鮮やかで派手というより、自然な色合いと言えるでしょう。「コチニール色素」の原料は虫なので、こちらの天然着色料に属します。
例えば黄色のウコン色素は、ショウガ科のウコンという植物を原料として作られます。カレー粉の色はこの色素によるものです。
褐色のカラメル色素は、砂糖などを加熱処理して得られます。砂糖、つまりサトウキビやテンサイといった植物が原料です。しょう油やソース、ウイスキーなどに使われるのが一般的でしょう。
このように植物原料がほとんどの天然着色料の中で、コチニール色素は珍しく「エンジムシ」という虫を原料としています。
食品添加物は原則として、使用された食品添加物を「物質名」で表示します。一般に広く使用されている、簡略名などで表示することも許可されているため、表示名が異なる場合もあるでしょう。
コチニール色素については、消費者庁の資料では以下のように記載されているので、参考にしてみてください。
・名称:コチニール色素(エンジムシから得られた、カルミン酸を主成分とするものをいう。)
・別名:カルミン酸色素
・簡略名又は類別名:カルミン酸 コチニール
・用途:着色料
出典・参照:食品表示基準について(新旧対照表)|消費者庁
コチニールカイガラムシってどんな虫?
前述した通り、コチニール色素の原料は「エンジムシ」です。
色を表現する言葉に、「臙脂色(えんじ色)」というものがあります。えんじ色とは、濃い紅色のことです。エンジムシの「エンジ」とは、この濃い紅色のことを指します。
「エンジムシ」は、「コチニールカイガラムシ」の別称です。
コチニールカイガラムシは、サボテンに寄生します。メスの体長は3mm、オスはその約半分ほどしかない、とても小さな虫です。
歴史的にアステカやインカ帝国などで古くから養殖され、染色の原料として使われてきました。現在でもペルーやメキシコなどで養殖されています。
英語で「クリムゾン」(crimson)という色があります。日本語では紅色とも呼ばれる、濃い赤色を表します。クリムゾンは元々、カイガラムシを原料とする染料の色を指していました。
コチニール色素が使われている食品や商品
コチニール色素は、様々な食品に使われています。
清涼飲料水、饅頭などの菓子類、水産加工品であるかまぼこや、畜産加工品であるハムやソーセージなどです。過去には、著名なリキュールである「カンパリ」にも使われていました。
またコチニール色素は食品だけでなく、口紅やアイシャドーなど化粧品や、衣服の染料としても使われています。
自然な色合いの天然着色料の中でも、鮮やかな色合いで安定性の高いコチニール色素は、私たちの生活の様々な場面で使われています。
コチニール色素が使えない食品
コチニール色素は着色料です。着色料はコチニール色素に限らず、使用を禁止されている食品があります。
それは食肉や鮮魚介類、野菜などです。
着色料はそもそも、食欲を増進させたり、料理に彩りを与えたりして、食生活を豊かにする目的で添加されます。
しかし食肉など生鮮食品に着色することは、食品鮮度などの判断を誤らせてしまうリスクを生じさせる可能性があり、本来の目的に合わないため使用が禁止されています。
そのため、コチニール色素も食肉や鯨肉を除いた鮮魚介類、昆布、わかめ、海苔といった海藻、豆、野菜、お茶などに使うことはできません。ただし、これらを使った加工食品は除きます。
コチニール色素の危険性
日本政府は、食品添加物の「リスク管理」を行っています。
食品添加物についてのリスク評価を受けて、食品添加物の使用基準などを定め、人の健康を損なうおそれのない場合に限って使用を認めています。
「リスク評価」は、食品安全委員会が行っています。食品安全委員会は、科学的・客観的・中立的にリスク評価を行う機関です。規制や指導等のリスク管理を行う、行政機関からは独立しています。
日本において、コチニール色素を含む食品添加物は、健康に対するリスク評価をされたものが使用されていると言えるでしょう。
ただし、消費者庁から平成24年に「コチニール色素に関する注意喚起」が出ています。コチニール色素を含む飲料とアレルギー反応に関する研究情報が提供されたことが記載されています。
コチニール色素を含む化粧品や食品により、体調の変化があった場合には、専門医を受診すること等が指示されています。
また、何かあった場合には、消費生活センター等に相談をすることも大切です。
出典・参照:コチニール色素に関する注意喚起|消費者庁
コチニール色素について知ろう
この記事では、コチニール色素の原料、使われている食品や商品・使えない食品、コチニール色素の危険性について解説してきました。
またコチニール色素に限らず、食品添加物である着色料についてや着色料が、原料によって分類されることも紹介しました。
豊かで安心な生活を送るためには、正しい知識を持つことが大切です。
この記事で知りえたことを、ぜひ日々の生活に活かしてください。