2018年08月22日公開
2024年07月30日更新
ビタミンDが不足するとどんな症状が?欠乏の原因は日光浴で解消する?
ビタミンDが不足すると、骨が弱くなったり、筋肉が衰えたり、風邪を引きやすくなったり様々な体の不調がおこります。近年、そんなビタミンD不足の人が増えています。でも、大丈夫。ビタミンD不足は適切な日光浴を行うことやビタミンDを多く含む食品を意識的に食べることで、解消することができるのです。毎日を健康で快適に暮らすために、ビタミンDについて理解を深め、ビタミンDを味方にしましょう。
ビタミンDが不足するとどうなる?
ビタミンDは数あるビタミンの中の一種です。ビタミンDはカルシウムやリンの吸収に必要な要素なので、不足すると骨が十分に作れず、もろくなります。また、ビタミンDは、免疫や代謝機能を助ける働きもするため、不足すると体調不良や様々な病気の原因となります。健康な毎日を送るためにビタミンDとは何なのか、不足するとどうなるのか、ビタミンD不足を解消するために気をつけること、について紹介します。
ビタミンDが不足するとおきる症状
ビタミンDとは
一般的なビタミンは体内で合成できませんが、ビタミンDは紫外線を浴びることにより体内で合成できます。そのため、日光(紫外線)に当たる生活が当たり前だった時代には、自然に必要量を摂取することができ、ビタミンD不足が問題になることはあまりありませんでした。しかし、生活習慣の変化による、日光に当たる時間の減少や、過剰な紫外線対策により現在では、ビタミンD不足が原因の体調不良になる人が増えているのです。
ビタミンDが与える効果や効能
ビタミンDは体内で様々な働きをします。その一つがカルシウムとリンの吸収を助け、丈夫な骨や歯をつくることです。また、免疫バランスを整える働きもします。免疫力を高めることで、インフルエンザや、風邪にかかりにくくなります。その他に、癌や結核になるリスクを抑える働きもします。
また、ビタミンD不足はうつ病などの精神疾患を発症する要因ともいわれており、ビタミンDを摂取することで精神の不安定さを解消させる効果もあります。その他ビタミンDには筋肉の増強効果、皮膚や脳の機能を助ける効果、認知症予防効果、メタボ予防効果、心臓血管疾患予防効果などもあります。
子どもも大人もビタミンD欠乏症が増えている
人間の体に必要不可欠なビタミンDですが、近年体内のビタミンDが不足した状態の人が増えています。最近、外遊びの時間が減る傾向にある子どもも例外ではありません。子どものビタミンD不足の典型的な症例は「ビタミンD欠乏性くる病」です。この病気の患者はここ6年で3倍以上に増加しています。
また、中高年女性の、半数以上がビタミンD不足状態(血中ビタミンD濃度20ng/ml未満)であるとい調査結果が報告されています(ビタミンD欠乏症は血中ビタミンD濃度10ng/ml未満をいう)。これは、生活習慣の変化や、行き過ぎた紫外線対策により、日光をあびる時間が減少していることや、食生活の変化でビタミンDの摂取が不足していることが原因です。
ビタミンD不足の原因は魚より肉の食生活
厚生労働省の国民栄養調査によると2006年から2008年を境に、日本人の魚の摂取量と肉の摂取量は逆転し、以降魚の摂取量は減り肉の摂取量は増加する傾向が続いています。鰯、鮭、サンマ、鯖、しらす干し、ウナギなどの日本人がよく食べる魚は、肉よりもビタミンDが豊富に含まれています。これらの魚の摂取量が減ったことが、ビタミンD不足の原因の一つとなっています。
ビタミンD不足で起こる症状とは?
ビタミンD不足による症状には、骨に関するものと、免疫や代謝機能に関するものがあります。骨に関する症状としては、骨軟化症、骨粗しょう症、くる病などがあります。骨軟化症とは、正常な骨がつくれず、骨が弱くなり、痛み、骨折、筋力低下などの不具合が起こる状態です。骨軟化症を成長期の子どもが発症し、骨格異常の場合は、くる病といいます。逆に加齢を伴って骨密度が低下、骨質が劣化した状態を骨粗しょう症といいます。
骨に関する症状以外では、免疫力に低下に起因する症状などがあります。ビタミンDは免疫力バランスの調整作用があるので、不足すると免疫力が低下し、風邪を引きやすくなったり、インフルエンザにかかりやすくなります。また癌にかかりやすい傾向もみられます。その他、ビタミンDが不足すると筋力の低下、精神疾患、花粉症などのアレルギー疾患、肌荒れや口内炎など皮膚関連の疾患の発症リスクが増加することがわかっています。
ビタミンD不足が日光浴で解消するのはなぜ?
日光に当たらない生活がビタミンD不足の原因に
最近は、紫外線のマイナス面ばかりが大きくクローズアップされています。そのため意識的に紫外線(日光)に当たらない生活をする人や、日光に当たる場合にも、紫外線対策クリームを塗ったり、日傘、帽子、長袖などで紫外線対策を過剰に行う人が増えています。確かに紫外線には、シミ、シワ、皮膚癌などのリスクもあります。
しかし、紫外線にはビタミンDを体内で生成する、というプラスの側面もあるのです。紫外線は浴びる量によって、プラスにもマイナスにも働きます。最近では、過剰な紫外線対策により、体内のビタミンD生成に必要な量の紫外線を浴びられず、ビタミンD不足になる人が増えています。
ビタミンDは日光から摂取できる
一般的にはビタミンは体内で生成できませんが、ビタミンDは例外的に日光(紫外線)を浴びることで、体内で生成できます。日光浴をすることで、ビタミンD不足は解消することができるのです。ビタミンD必要量の目安は成人1日あたり15μgといわれています。そのうち5.5μgを食物から、残りの9.5μgを体内で生成する、のが摂取の目安です。つまり、ビタミンDの必要量の約3分の2は日光浴により体内で生成することができるのです。
正しい日光浴の方法
では、どの程度日光を浴びたらよいでしょうか。日本は南北に長い地形の為、紫外線量に地域差があります。また、季節や天候により紫外線量は大きく異なります。国立環境研究所と東京家政大学の研究チームの報告によると、1日10μgのビタミンD生成に必要な日光浴時間は、冬、晴天、正午頃の場合、札幌で約140分、つくばで約40分、那覇で約15分です。夏、晴天、正午頃の場合は、札幌で約5分、つくばで約5分、那覇で約3分です。
また、この報告によると皮膚トラブルを引き起こす日光浴時間は、冬、晴天、正午頃の場合、札幌で約250~350分、つくばで約100~150分、那覇で約60分です。夏、晴天、正午頃の場合は、札幌で約25~35分、つくばで約25~40分、那覇で約15~20分です。ただし、これらは手の甲と顔だけが紫外線を浴び、他の部分は洋服などで覆われている場合の時間です。覆われていない面積が大きくなれば、時間はより短くなります。
つまり、日光浴はお住まいの場所や季節にあわせ、適度の時間行うことが大切です。ビタミンDの生成に必要な日光浴の時間は、夏は5分程度で十分ですが、冬、特に北の地域にお住まいの場合は、意識的に日光を浴びる時間を1時間以上つくるようにして、ビタミンD不足を解消しましょう。
なかなか日光浴ができない人は食事で摂取しよう
冬は意識的に日光浴をしないとビタミンDに不足になることがわかりました。しかし、日光浴時間をつくることが出来ない場合もあります。ビタミンDは日光浴以外に、食事から摂取することもできます。成人の一般的な食事では、1日5.5μg程度ビタミンDを摂取しているので、日光浴を出来ない場合は加えて約10μgのビタミンDを意識的に食事から摂取する必要があります。そこで、ビタミンDを多く含む食品を紹介します。
ビタミンDを含む食材
ビタミンDが多い食材の代表選手は魚です。例えば鰯の丸干し(1尾/30g)は15μg、サンマ(1尾/正味100g)は14.9μg、鮭(1切れ/80g)は25.6μgのビタミンDを摂取できます。
また、キノコ類にもビタミンDは含まれています。干し椎茸(2コ/6g)は0.8μg、くきらげ(乾燥2枚/2g)は1.7μgのビタミンDを摂取できます。椎茸は食べる前に紫外線を当てるとよりビタミンDが増えます。ビタミンDは熱に強いので、焼く、茹でる、揚げるなどの調理を行ってもほとんど減少せず、様々な調理方法で楽しめます。
ビタミンDが不足しないように気をつけよう!
出典: http://dakko.jp
生活習慣、食習慣の変化がビタミンD不足につながっていることがわかりました。骨密度が低い、疲労感が抜けない、風邪やインフルエンザにかかりやすい、花粉症などアレルギー疾患がある、うつなどの精神疾患があるなどの自覚症状があれば、ビタミンD不足が原因のひとつかもしれません。意識的に魚やきのこを食べる、日光浴をするなどを心がけ、ビタミンD不足を解消し、健康で快適な毎日を送りましょう。