2019年09月15日公開
2024年09月27日更新
カラギーナン(カラギナン)とは?使われている食品や危険性を調査
カラギーナンとは紅藻類を原料とする天然由来の食品添加物です。これまで安心なゲル化剤や増粘剤として世界中で使用されてきましたが、近年発がん性の危険度が問題視されてきました。カラギーナンの調査結果や使用されている食品について紹介します。
カラギーナン(カラギナン)とは?
カラギーナン(カラギナン)とは食品添加物の一種です。私たちが普段食べることの多い加工食品には使われた原料が記載されていますが、ゲル化財など用途名で記載されていることが多いのでこの名前を初めて聞いた方も多いでしょう。
カラギーナンは一般的に耳慣れない食品添加物ですが実はジャムやアイスクリーム、ゼリー、焼肉のタレなどに使用されており私たちの身近に存在する食品添加物です。
カラギーナンはこれまで安心な食品添加物として世界中で使用されてきましたが、近年体への危険性や毒性が議論を呼んでします。成分や安全性、含まれている食品などカラギーナンの特徴を紹介します。
天然由来の食品添加物
カラギーナンの原料は紅藻類(こうそうるい)で、スギノリ科のアイリッシュモスやミリン科のキリンサイ、イバラノリ科のイバラノリなどの海草から抽出されます。ガラギーナンの製造は、抽出したものを濾過した後ゲルプレス法やアルコール沈殿法にて精製し乾燥、粉砕が行われます。
カラギーナンの主成分はガラクトースとアンヒドロガラクトースで、化学構造的にはガラクトースに硫酸基がついた直鎖含硫黄多糖類です。日本では同じ紅藻類を原料としているものに寒天がありますが、硫酸基の含有量はカラギーナンの方が多いとされます。
ゲル化剤・増粘剤・増粘安定剤
カラギーナンは、たんぱく質やミネラルの多い食品に混ぜるとゼリー状に固まる性質があります。また室温でも溶けないので夏場でも崩れにくく、ゼラチンと違い安定性もあるようです。カラギーナンは種類により3タイプに分かれますが、それぞれの特質を利用して主に加工食品のゲル化剤や増粘剤、増粘安定剤として利用されます。
食品以外では、化粧品やボディ&ハンドケア製品、洗浄製品、シート&マスク製品、歯磨き粉、芳香剤、消火器などにつかわれています。
3つのタイプ
カラギーナンはガラクトースについている硫酸基の割合の違いで3タイプにわかれています。カッパ・イータ・ラムダと呼ばれそれぞれに異なる性質があります。カッパは冷却やカリウムイオンが混ざるとゲル化し、寒天のように強固でもろく離水が多くなるのが特徴といえるでしょう。
ローカストビーンガムを併用すると離水を防止でき、弾力性のあるゲル化を形成します。乳製品などに多く使用されているようです。イータはカルシウムイオンによってゲル化します。イータのゲル化は弾力性があり離水が少ないのが特徴です。また柔らかく粘度性が高いのでプリンなどに使用されます。
ソース類には乳化安定剤や増粘剤として使用されています。ラムダは水だけではゲル化しません。たんぱく質と合わさると柔らかくゲル化するので、乳製品などの安定剤としてよく使われます。ラムダは塩が混じると増粘するため、スープなどの増粘剤としても利用されています。
カラギーナンが使用されている食品と口コミ
私たちは毎日加工食品にお世話になっていますが、カラギーナンがどのような食品にどのような目的で使用されているか知らずに食べていることも多いでしょう。この項目では、カラギーナンが使用されている具体的な食品を紹介します。
安定剤に使われている食品
食品に使われる安定剤は、粘性を高めることで食品成分の片寄りや沈殿を起こさせず分離を防ぐ目的に使われます。安定剤として使われている主な食品は乳飲料や乳製品、缶コーヒー、各種のソースやタレなどです。食品以外では歯磨き剤や化粧クリーム、シャンプーなどに安定剤として用いられています。
ゲル化剤に使われている食品
食品に使われるゲル化剤は、液体の食品をゼリー状に固める目的がある場合に使用されます。カラギーナンは二重らせん構造で弾力がある高分子が互いに絡み合っているため室温でのゲル形成を可能にしています。力を入れると流動し静かに置いておくとゲル状になるので、食感の滑らかさを求めて利用されることが多いようです。
カラギーナンがゲル化剤として使われている主な食品は、アイスクリームや水ゼリー、プリン、乳製品のデザート、クリームデザート、パテやコンビーフなど畜肉製品などです。食品以外では芳香剤にゲル化剤として使用されています。
増粘剤に使われている食品
少量の使用で高い粘性を形成する場合に増粘剤として使用されます。カラギーナンが増粘剤として使用されている食品は、デザートソース、デザートクリーム、粉末ミックス、各種のソースやタレなどです。結着や離水防止剤として使用されている食品は、ハムやソーセージなど肉製品です。食品以外では増粘剤として靴クリームにも使われています。
口コミ
カラギーナンをゲル化剤としてデザートなどに使用する時の別名はアガーです。アガーはゼリーやプリンを手作りするときに使用される凝固剤ですが、テングサが原料の寒天と違いぷるんとした食感や美しい光沢、常温でも型崩れがない、透明度が高く素材の色を生かすなどの特徴があることから近年注目を浴びています。
【ピックアップ商品】『イナアガーK(葛食感ゼリーの素)1kg』こちらは「イナアガー」の姉妹品で、葛粉を使用した様なもちもちとした食感が特徴。通常のカラギーナン系凝固剤では不可能だった、ねっとりとした食感が可能です。冷凍耐性有り。#カラギーナン #葛餅 #凝固剤https://t.co/a4gVyVzOnd pic.twitter.com/Qy3q5XtooU
— TFOODS.COM (@TFOODS_COM) May 13, 2019
ピックアップ商品】『伊那食品/イナアガー1kg』海草が主原料のカラギーナン系凝固剤で、つるんとした食感が特徴。ゼラチンよりも温度に強く、夏場の気温が高い時期でも溶けにくいので便利です。ゼリー・プリンだけでなく、上掛け用のナパージュも。#カラギーナン #凝固剤https://t.co/wNyTNPjiV4 pic.twitter.com/GnZRkEswo5
— TFOODS.COM (@TFOODS_COM) May 13, 2019
カラギーナンの危険性
カラギーナンはこれまで天然由来の成分のため毒性や危険性はないと考えられていましたが、EUでの乳幼児用粉ミルクへの使用禁止や兵庫県尼崎市学校給食でカラギーナンが入っているゼリーの採用不可など近年問題視する動きが出てきました。カラギーナン摂取で考えられる病気や危険性について紹介します。
発がん性がある?
カラギーナンに発がん性があるとの議論が沸き起こっていますが、国立健康・栄養研究所では調べた文献の中に見当たらないとしています。安全性については、食品添加物として食品に使用される量であれば問題ないとの見解を示しています。
ただし分解された低分子カラギーナンの摂取においては大腸障害を引き起こす可能性があるとしており、危険性が取り立たされているため注意が必要です。カラギーナンの過剰摂取や濃縮物摂取においての安全性は十分な情報がないので、特に妊婦や授乳婦、小児はカラギーナンが含まれるサプリメントなどの使用は避けたほうが無難でしょう。
JECFA(国連の食糧農業機関と世界保健機関の合同食品添加物専門会議)でも、現時点での見解はヒトへの問題点はないとしています。
ラットやサルによる試験結果
近年海藻類を原料としているカラギーナンの安全性を調べるため、ラットやモルモットなどげっ歯類や人間に近いサルを使って試験が行われました。ラットやモルモットを使った実験では、カラギーナンが消化管内にがんや潰瘍を引き起こすと報告されています。
また、げっ歯類は早くからカラギーナンの皮下注射で炎症が起こることがわかっていましたが、このこともがんや潰瘍の危険性があるとする見解に大きく関わっているようです。
しかし、動物実験に使われたカラギーナンの量が通常では考えられないほどの大量投与であったことや発ガン作用はげっ歯類特有の性質によるものと考えられること、またサルを使った試験では炎症が起きないことなどの理由から現在ではヒトが利用するのは問題ないとの見解が有力です。
現在カラギーナンは、ヒト消化管では分解されず安全な食品添加物として多くの国で使用されています。
オーガニック食品の原材料リストから除外
カラギーナンは海草を原料とする抽出物なので、これまで安全な食べ物としてココナッツミルクや豆乳、コーヒークリーマーなど多くの食品に使用されてきました。カラギーナンについて3000以上の動物研究や試験管内研究がなされ、その結果カラギーナンが胃腸器官の潰瘍症やがん細胞の誘発を起こしやすい物質との研究報告がありました。
この報告を受けてアメリカの国家有機標準委員会は、オーガニック食品に使用可能な原材料国指定リストからカラギーナンを除外することを決めたようです。
カラギーナンの危険性を正しく見極めよう!
健康志向が強まる中私たちは以前に比べ食品添加物の危険性に敏感になってきましたが、食品添加物が天然由来だと聞くと一般的に安全だと考えがちです。カラギーナンは海藻類を原料とした成分なので、長い間安全なものとして捉えられてきました。
現在でもJECFAや国立健康・栄養研究所では食品として食べる量では問題ないとしていますが、研究者の中から発がん性や潰瘍性大腸炎などの危険性を訴える声が大きくなっています。
食事の内容は健康生活に直結した重要課題です。何を食べ何を食べないかは個人の選択に委ねられるところでしょう。個人個人がカラギーナンなど食品添加物の危険性を正しく見極めることはとても重要といえます。