ほうれん草の栄養成分と効能は？効果的な調理法・上手な選び方も紹介

ほうれん草は、さまざまな調理法で楽しめる食材であり、おひたしから鍋までさまざまなレシピがあることで知られています。そんなほうれん草は他の食材とよくマッチするだけでなく栄養満点なことでも知られており、病気の予防な健康増進に役立つとも言われています。

今回は、そんな気になるほうれん草の栄養と効能について掘り下げます。ほうれん草は普段からよく食べている人も多いと思いますが、選び方や調理法によっても効果・効能は変化するので、そちらも合わせてチェックしましょう。また、他の食材との組み合わせも重要なので、ほうれん草を使った栄養満点のレシピも紹介します。

ほうれん草は総合栄養野菜という俗称でも呼ばれることがある、大変栄養価の高い緑黄色野菜として知られています。ほうれん草は野菜からぜひ摂取したいビタミン類が豊富な上にミネラル類もしっかりと含まれており、見落としがちな栄養素である葉酸やマンガンなどの成分の存在も魅力的な上に、汎用性が高く様々なレシピがあるのも嬉しいものです。

ほうれん草をうまく食卓に取り入れることができれば、不足しがちな栄養素を効率よく摂取することもできるため、ぜひその選び方や調理法なども把握した上で、さまざまなレシピで楽しみたいものです。栄養豊富なほうれん草ですが、特に女性に嬉しい鉄分や葉酸などの栄養が多く含まれているため、女性こそ食べるべき野菜だとも言われています。

そんなほうれん草は栄養素ごとにさまざまな効果・効能が期待できるため、まずはほうれん草にはどのような栄養素が具体的に含まれどのような効能が期待できるのかをチェックしていきましょう。その上でほうれん草の栄養素を摂取するための効率的な調理法や選び方についても理解を深め、味も栄養も抜群によい状態でほうれん草を食べましょう。

ほうれん草に豊富に含まれる代表的な栄養素といえばまず、鉄分が挙げられます。貧血気味の人はほうれん草を食べるとよいと言われる理由のひとつはほうれん草に鉄分が豊富に含まれているからであり、鉄分といえばレバーに多く含まれていることでも知られていますが、なんとほうれん草には牛レバーと同等量の鉄分が含まれているようです。

鉄分に貧血への効果・効能が期待できるのは、鉄分が赤血球を作るのに欠かせない成分だからであり、鉄分が不足してしまうと血液の循環がうまくいかなくなるので身体中に酸素が行き渡りづらくなり、貧血に伴う動悸やめまいなどの症状に至ることもあります。そのため、貧血を防ぐためにはぜひ鉄分が豊富なほうれん草をうまく摂取したいものです。

しかし、ほうれん草に含まれる鉄分は非ヘム鉄と呼ばれる類であり、動物性のヘム鉄に比べて吸収効率が低いようです。そのため、ビタミンCなどと一緒に摂取するのが望ましいようですが、ほうれん草には鉄分だけでなくビタミンCもたっぷりと含まれているので、まさに貧血予防や他の効能のためにはほうれん草を摂取するのがおすすめなのです。

ほうれん草に豊富に含まれている栄養としては、βカロテンも挙げられます。βカロテンは緑黄色野菜にたくさん配合されている栄養として認知されていますが、人参などだけでなくほうれん草にも多くの量が含まれています。そんなβカロテンは高い抗酸化力をもっており、βカロテンを摂取することは老化防止・病気の予防のためにも重要です。

βカロテンは緑黄色野菜の鮮やかな色素の元となっている成分ですが、体内でビタミンAに変換されてその能力を発揮するため、皮膚・粘膜などの健康維持にも役立ちます。そのため美肌のためにβカロテンを積極的に摂取する人もいるようですが、βカロテンが豊富なほうれん草は目の病気やがんなどの予防のためにも重要な役割を果たします。

ほうれん草100gの摂取で一日に必要なβカロテンのうち約4割ほどを摂取できるとされていますから、ぜひほうれん草を使った和え物などで適度にβカロテンを摂取していきましょう。ビタミンAそのものは摂取量に注意が必要ですが、βカロテンからは必要に応じてのみビタミンAが作られるので、ビタミンAそのものよりおすすめなこともあります。

葉酸は女性の健康のために欠かせない栄養素として広く認知されていますが、ほうれん草＝葉酸というイメージを持っている人も多いほど、ほうれん草と葉酸は切っても切り離せない関係にあります。葉酸はビタミンB12と協力して血を作るため、鉄分とともに貧血予防に不可欠な成分とされ、貧血気味の女性は特に摂取したい栄養なのです。

また、胎児の成長にも欠かせない成分であり胎児の神経系の病気のリスクを回避するために、通常よりも多くの葉酸摂取が妊娠中は求められるようです。貧血防止だけでなく子供のためにも重要ということで、女性にとっては一生涯大切に摂取していきたい栄養素こそが葉酸であり、ほうれん草以外にブロッコリーやレバーにも多く含まれています。

ほうれん草の葉酸は水溶性ビタミンであるビタミンB群の一種であるため、熱によって流出しやすい特性があります。ほうれん草はビタミンCなども豊富であり、葉酸以外も含めてほうれん草のビタミン類を守るためには後述する適切な調理法を実践してほうれん草を食べるのがおすすめですから、葉酸の効能を受けるためにもぜひ参考にしましょう。

続いて紹介するほうれん草の栄養素は、ルテインです。ルテインは目の健康維持のために欠かせない成分とされていますが、パセリやケールなどの野菜に豊富に含まれていることでも知られています。しかしパセリやケールは日常的に口にする機会がそう多くはないため、より頻度高く食べやすいほうれん草からルテインを摂取するのがおすすめです。

ルテインはほうれん草100g中に5mg含まれていますが、一日に10mgほど摂取するのが望ましいとも言われています。そのため、ほうれん草以外の食材から摂るのも理想的ですが、ルテインは強い抗酸化力をもっており、ブルーライトや紫外線などから目を守る働きをもっているため視力維持や眼病予防などに役立つとされています。

そんなルテインはサプリメントから摂取する人も増えてきているようですが、食品から体内に取り入れるのであればブロッコリーなどよりもルテインの含有量が多く汎用性が高いほうれん草が圧倒的におすすめだと言えます。後述する調理法や選び方、レシピなども参考に、ぜひルテインの効能も意識して上手にほうれん草を摂取しましょう。

ほうれん草に含まれている重要な栄養素として忘れてはいけないものとしては、マンガンも挙げられます。マンガンは骨の形成に欠かせない成分として知られていますが、特にほうれん草のピンク色の根元に多く含まれています。そのため、マンガンを摂取したい場合にはほうれん草の根元も捨てずに調理して食べるのがおすすめとなります。

骨の形成に関わるマンガンは、不足すると骨粗しょう症などに陥りやすくなるだけでなく、生殖機能や肌の調子にも影響を及ぼします。そのため全身の健康維持のためにはマンガンは欠かせない栄養だと言えますが、根元を捨てずにぜひ調理してほうれん草を楽しみ、マンガン不足になるのをほうれん草によって防いでみてはいかがでしょうか？

ほうれん草に含まれている栄養素としてはビタミン類だけでなくミネラル類も欠かせないものですが、中でもマンガンは軽視しがちなものの不足すると身体のさまざまな機能に影響するため、男性も女性も不足にならないように注意する必要があります。骨の機能維持や生殖機能に関わるマンガンも、ほうれん草の重要な栄養として覚えておきましょう。

ここまでほうれん草に含まれるさまざまな栄養素についてみてきました。ほうれん草は鉄分や葉酸などが豊富に含まれているために女性にとっては特に重要な栄養素だと言えますが、ほうれん草の摂取が特に奨励されるのはやはりまず貧血気味の人が挙げられるでしょう。ほうれん草には血液や血液の成分を作る栄養素が豊富に含まれています。

ほうれん草に含まれている鉄分や葉酸などは血液の成分を作るのに欠かせませんから、普段から貧血の症状としてめまいや動悸などに見舞われている人はぜひ、ほうれん草のおひたしや和え物などを食卓に加えてみたいものです。また、妊娠中は胎児の健やかな成長のために葉酸は欠かせない栄養となりますから、ぜひほうれん草で補給しましょう。

また、ほうれん草は抗酸化作用の高いβカロテンやビタミンCなども含まれているため、長期的に病気の予防を行い若々しく身体を保ちたいという人は、ぜひほうれん草を使ったレシピを楽しみましょう。また、ほうれん草の栄養を効率よく摂取するためには他の食べ物も重要ですし、ほうれん草の摂取に関しては注意点もあるのでチェックしましょう。

栄養豊富なほうれん草にはさまざまな効果・効能が期待できそうですが、過剰摂取によってはむしろ逆効果となってしまうことがあるので要注意です。ほうれん草にはえぐみの元にもなっているシュウ酸と呼ばれる物質も含まれていますが、このシュウ酸はカルシウムと結合して体内で結石を作ったり、鉄分の吸収を妨げたりしてしまいます。

ほうれん草のシュウ酸の摂取量を最小限にとどめるためには、ほうれん草を茹でるのがおすすめとなります。そうすることでシュウ酸が流出してくれますが、ほうれん草を水にさらしておくだけでもかなりシュウ酸の量が減るのでそちらもおすすめです。ただし、基本的に1日に1kg以上など大量にほうれん草を食べなければさほど心配はありません。

一方でほうれん草に含まれているビタミンCなどは加熱調理によって崩壊してしまうと言われていますが、それでも半分以上は残るようです。しかし、ビタミンCが含まれている野菜や果物はかなり多いですから、そちらも合わせてほうれん草と一緒に食べ、ぜひ栄養バランスに富んだ食事を楽しんでみてはいかがでしょうか？

お伝えしたようにほうれん草には効果・効能だけでなく注意点もあるため、その点も理解した上で栄養満点のレシピを美味しく楽しみたいものです。ほうれん草の栄養はほうれん草の選び方や調理法でも変わるため、ぜひできるだけほうれん草の栄養価を引き出した調理法が望ましいですし、他の食べ物との組み合わせも重要となります。

シュウ酸をできるだけ多く逃してビタミンCをとどめるためには、下ゆでするよりも先に切って断面を増やした状態で洗うのが望ましいと言えます。また、ほうれん草の根元を捨ててしまう人は多いですが、ほうれん草の根元こそ栄養が豊富なので、土が落ちにくい先端部分以外は一緒に調理して食べると栄養バランスのとれた食事に繋がります。

また、ほうれん草は調理法だけでなく選び方も重要となりますが、スーパーでほうれん草を選ぶときは葉が大きくハリのあるものが望ましいでしょう。他の選び方としては、根の切り口が太く赤いものが望ましいようです。このような選び方にも着目してできるだけ栄養価の高いほうれん草を選び、その効果を引き出して健康増進につなげましょう。

ここまでほうれん草の栄養や効果・効能をチェックするとともに、選び方や調理法によってもほうれん草の栄養価の高さは変わるため、適した選び方や調理法をみてきました。お伝えした内容も参考にぜいほうれん草の栄養を引き出して楽しみたいですが、そんなほうれん草を使った人気レシピとしてはまずほうれん草ナムルが挙げられます。

ほうれん草は茹でておひたしにしたり、しゃぶしゃぶや鍋の具材に使われたりすることも多いですが、やはり和え物としても楽しみたいものです。ほうれん草のナムルはごま油と和風だしでシンプルに味付けして、あとは白ごまをふりかけるだけですが、ごまにも鉄分やカルシウムなどの重要なミネラル類が豊富に含まれているのでおすすめです。

ほうれん草は茹でるか電子レンジでチンするかして加熱し、水にさらしてアクをとります。それからごま油と和風だし、塩、水を適量混ぜ合わせてそこにほうれん草を投入して和えます。ほうれん草は油と一緒に摂取することでシュウ酸がコーティングされてえぐみを感じづらくなるので、ぜひごま油とほうれん草を組み合わせて楽しみましょう。

続いて紹介するほうれん草の栄養・効能を引き出すおすすめのレシピは、ほうれん草の白和えです。ほうれん草は豆腐と組み合わせてもかなり美味しいのでおすすめとなりますが、ほうれん草は3cm大ほどにカットし木綿豆腐は水をよく切って絞り、あとはそれらを混ぜ合わせるだけで簡単に美味しい和え物ができるのでおすすめです。

味付けは砂糖と醤油のみでシンプルにしてもよいですし、ごまなどを加えるのもアリでしょう。また、豆腐とほうれん草だけで物足りないというときには人参やきのこを追加するのがおすすめです。また、食感のアクセントが欲しいというときには、ピーナッツなどを加えるとタイ料理のサラダのような食感も楽しむことができるでしょう。

豆腐は植物性の良質なタンパク質を摂取できる元ですし、イソフラボンなどの美容に役立つ成分も豊富に含まれています。そして既述の通りほうれん草にはβカロテンや鉄分・葉酸などを含む栄養素がかなり豊富となっていますから、ぜひお伝えしたほうれん草の選び方もチェックした上で栄養価の高いほうれん草を使って白和えを作りましょう。

ほうれん草は胡麻和えや白和えなどの和え物を作ると、おかずがあと一品物足りないというときに重宝しますし、お弁当に入れることもできるのでかなりおすすめだと言えます。しかし、そんなほうれん草はおかずとしてだけでなくメインとしても楽しむことができますが、ほうれん草の味が苦手な人にもおすすめなのがキッシュです。

キッシュには卵を使用しますが、卵には抗酸化作用の高いビタミンEや必須アミノ酸、さらには神経伝達物質のコリンなども含まれており、ほうれん草と組み合わせることで身体を活発に動かすための栄養をバランスよく摂取できると言えます。キッシュを作るときにはまずベーコンとほうれん草をカットして炒め、それから卵と混ぜ合わせます。

それからトレイにクロワッサン生地を敷き詰め、ベーコンとほうれん草を卵と組み合わせたものを生地の中に流し込みます。それからオーブンを180度に設定して30分〜40分ほど焼けば完成となります。トマトベースのサルサなどをトッピングして食べると、トマトのリコピンなども栄養も摂取できる上に風味も豊かなのでおすすめとなります。

ほうれん草では和え物などの一品料理からキッシュなどのメインまで作ることができますが、ほうれん草をスープにしてもホッと一息つける美味しいものを作ることができます。ほうれん草のスープは卵と組み合わせて、片栗粉を加えとろとろのものを食べるのがおすすめだと言えます。味付けは、みりん・和風だしでシンプルに仕上げます。

ほうれん草は水にひたしておき、沸騰したお湯にだしの顆粒を加えた上でほうれん草を投入します。それからみりんや醤油などを加えていき、味を調節します。味が整ったら片栗粉を入れてとろみをつけ、最後に卵を入れて白身を切るようにしてかき混ぜほうれん草と卵を絡めていき、完成となります。

ほうれん草の卵スープは和風のあっさりした味わいが特徴的ですが、卵とのシンプルな組み合わせによって誰でも美味しく食べることができますし、きのこ類を加えてもさらに美味しいものを作ることができます。また、食べる直前にごま油をスープに垂らしてもよいですし、余ったスープでうどんを作るというのもアリでしょう。

ほうれん草の栄養を引き出すためにはシンプルな和え物などは特におすすめですが、お腹が空いていてふとパスタが食べたくなったというときにはぜひほうれん草を使ったパスタを作ってみてはいかがでしょうか？ほうれん草は麺とよく絡んで美味しいものを作ることができますし、風味のアクセントにもなるのでかなりおすすめだと言えます。

ほうれん草と合わせる具材として特におすすめなのはベーコンや鶏肉であり、まずお肉をオリーブオイルとにんにくでさっと炒めてから5cmほどに切ったほうれん草を加えて炒めます。同時進行でパスタも茹でておき、茹で汁と生クリーム、コンソメをフライパンに加えて混ぜた上で麺も混ぜ合わせれば、簡単に美味しいパスタが完成します。

また、ジェノベーゼソースを使って作るパスタソースにすりつぶしたほうれん草を加えると風味が増しますし、栄養価も高くなるのでおすすめだと言えます。ほうれん草はおかずとして作ってお弁当などに加えるのもアリですが、わざわざおひたしや和え物を作らないにしてもメインとなるパスタに加えると、気軽に摂取できそうです。

今回はほうれん草の栄養について詳しくみてきましたが、鉄分や葉酸などだけでなく、ほうれん草はβカロテンやマンガンなども含まれており、貧血防止や美肌効果はもちろん、失明や高血圧などの病気を防ぐ可能性もあるのは非常に魅力的です。そんなほうれん草は、シュウ酸に注意して適切な調理法で美味しく楽しみその恩恵を受けましょう。

ほうれん草は栄養が豊富な上にクセが少ないため、和え物や汁物に簡単に入れて食べられるのが魅力的です。総合栄養野菜と呼ばれるほうれん草をぜひ、お伝えした選び方や調理法にもこだわって食べ、ぜひその栄養を引き出して楽しみましょう。ほうれん草を適度に食卓に取り入れれば、健康的な日々を過ごし続けられることでしょう。