ジャポニカ米とは?インディカ米との違いは?日本は米の輸入が増加中!
ジャポニカ米とはどのようなお米か知っていますか?名前からお米の種類であることはわかりますが、普段私たちが口にしているお米の割には、正確に説明できる人はそう多くはないことでしょう。同様にインディカ米という種類のお米もありますが、こちらもどんなお米かはあまり知られていません。元々お米は日本人にとって切っても切れない食品でしたが、最近では輸入量も増加しているというのです。日本人なら知っておきたいジャポニカ米というお米について、インディカ米との違いやジャポニカ米に合うレシピも交えて紹介していきます。
ジャポニカ米とは?
ジャポニカ米とは、一言で言ってしまえば普段私たちが口にしているお米のことです。コシヒカリやあきたこまちといったお米の種類は、ジャポニカ米の中の1品種という扱いになります。そんな私たちが普段食べているジャポニカ米とは、どんな特徴を持ったお米なのでしょうか?
さらに驚いたことに減反政策をとっている日本が、米の輸入量を年々増加しているというのです。米が余っているから減反しているはずの日本が、何故米を輸入しているだけでなく年々増やしているのでしょうか?私たちが普段口にしているジャポニカ米について、いろいろ調べてまとめてみました。
特徴
ジャポニカ米の特徴は、形は丸みを帯びた楕円形をしていて長さもあまりないことから、単粒種と呼ばれる種類のお米になります。日本で栽培されているお米のほとんどが、このジャポニカ米になります。栽培されているイネにはアジアイネとアフリカイネがあり、ジャポニカ米はアジアイネに含まれる種類です。
一番の特徴は、炊いた時のふんわりと柔らかな独特の弾力と粘りにあります。さらにつやがあり、噛めば噛むほど甘みが出てくるだけでなく、冷めても劣化しにくいといった特徴があるため、ジャポニカ米のこの特徴が和食の向かった方向性を決定づけたとまで言われています。
起源と日本への伝来ルート
ジャポニカ米がアジアイネの中の1品種であることは紹介しましたが、アジアイネにはもう1種類、インディカ米と呼ばれる栽培イネがあります。ジャポニカ米とインディカ米は品種改良で分化したのではなく、稲作が始まるよりも前の7,000年以上前に分かれ、それぞれに栽培されるようになったとされています。
一説では野生のイネからジャポニカ米の先祖に当たるコメが生まれ、その後異なる野生イネの集団と自然交配を繰り返す中で、インディカ米の先祖に当たるコメが生まれたというのです。そんなジャポニカ米は、一体どんなルートで日本に伝来したのでしょうか?
朝鮮半島経由説
ジャポニカ米が日本に伝来したのは縄文時代の中期ごろと考えられています。元々紀元前5世紀~6世紀には中国の呉や越を支えていた、稲作技術を持った人々がいたと考えられています。そんな稲作技術を持った人々が北上しながら稲作技術を広げ、朝鮮半島から日本へと技術を伝えたとする説です。
地理的にも朝鮮半島が日本に近いことから、長いこと最も信憑性の高い説とされてきました。弥生時代に入ってからは、西日本から稲作が盛んになっていき、ジャポニカ米の生産量の増加に伴って日本の人口も増加していったといいます。
南方経由説
ジャポニカ米の伝来ルートの一つの説で、柳田國男の最後の著書でもある「海上の道」で提唱された、中国の長江下流域から南西諸島を経由して稲作が伝わったとする説です。北里大学の太田博樹准教授は下戸の遺伝子の分析から、稲作の技術を持った人々が中国南部から沖縄を経由してきた可能性を指摘しています。
ただしこの説を裏付ける古代の稲作を示す遺構が沖縄で出土していないため関心の低い説であるものの、生化学の観点からは稲作の伝播ルートとして支持する声が多い説でもあります。
江南説
ジャポニカ米の伝来ルートの一つの説で、農学者の安藤広太郎によって提唱された説であり、中国の長江下流域から直接稲作が日本に伝わったとする説です。考古学の観点からも八幡一郎が「稲作と弥生文化(1982年)」で「呉楚七国の乱の避難民が、江南から対馬海流に沿って北九州に渡来した」ことで伝わった可能性を述べているのです。
このことから江南説は別名「対馬暖流ルート」とも呼ばれています。2002年に農学者の佐藤洋一郎が著書「稲の日本史」で、中国・日本・朝鮮の温帯ジャポニカと呼ばれているジャポニカ米の遺伝子を調査し、朝鮮半島を経由せずに中国から直接伝来した品種が日本のジャポニカ米の主品種であることを確認したのです。
2008年にはインディカ米でも遺伝子情報の解析を行って、温帯ジャポニカが東南アジアから中国を経由して日本に伝来したことを確認したと論文にまとめ、ネイチャー ジェネティクスでも発表したことから、現在最有力の説に浮上しています。
主な生産地
ジャポニカ米はその名前の通りに日本型イネとも呼ばれ、日本や朝鮮半島、中国の淮河以北、台湾の他にも、オーストラリアの南東部やアメリカ西海岸といった、北緯30度以北や南緯30度以南の地域で主に栽培されています。
ジャポニカ米はイネの中で最も耐寒性に優れ、湿潤な温帯や、夏季に比較的気温の上がる亜寒帯での栽培に適しているためです。日の長さの変化で季節を感じ取ると考えられている植物でもあるため、開花期に極端な高温(36度前後)にさらされると受粉障害を起こしてしまうため、熱帯での栽培には向かない種類でもあるのです。
米の輸入が増えている理由
日本が米を輸入するきっかけになったのは、1986年にウルグアイで始まった「GATT(関税と貿易に関する一般協定)」のウルグアイ・ラウンドです。この話し合いで輸出や輸入の規制の取り止めや、輸入時の関税の引き下げなどが話し合われ、1993年12月になってようやくまとまりました。
日本の米についても話し合いが行われた結果、日本はアメリカを中心に貿易摩擦を減らすため、最低でも輸入しなければいけない米の量を増やすことを選択したのです。
その内容は「1995年から米を輸入するときに関税をかける場合、国が米の管理を続ける限り、最低でも輸入しなければいけない米の量は、1995年度で国内で消費される量の3%、5年後の2000年度には5%にしなければならない」というものでした。
最初は関税をかける方式では、将来外国からの米の輸入に歯止めがかからなくなるのではとの考えから、特別に日本が米を輸入するときに関税をかけないことにしたのです。その結果、1995年度は国内で消費される米の量の4%、以後、年に0.8%ずつ比率が上がり、2000年度には8%となるよう輸入することになりました。
その後の1998年12月に全国農業協同組合中央会と自民党と政府の取り決めで、「輸入時に関税をかける方式」に変更しました。理由はそのほうが輸入しなければいけない米の量が半分で済むからなのです。関税をかけないときは0.8%ずつ増える輸入量が、関税をかけると半分の0.4%に抑えることができるのです。
さらに2001年以降の米の輸入量は、2000年の米の消費量が基準で話し合われることになっています。日本が米を輸入している理由は国際協議の結果であって、備蓄のためではありません。輸入米の使い道が求められているのです。
ジャポニカ米とインディカ米の違い
ジャポニカ米同様にアジアイネの種類の一つがインディカ米です。日本ではタイ米としておなじみのインディカ米は、見た目からジャポニカ米とははっきり違います。ですがジャポニカ米との違いは見た目だけなのでしょうか?インディカ米がどんな種類のお米なのかまとめてみました。
インディカ米の特徴
インディカ米の特徴というと、ジャポニカ米の丸みを帯びた粒に対して、その粒の形が細長い長粒種のお米であることが真っ先に浮かびます。またお米の粘りを決めるアミロースというでんぷんの量がジャポニカ米よりも多いため、粘り気の少ないものが一般的です。
ただしインディカ米の中にもアミロペクチンというでんぷんの含有量が多く、ジャポニカ米のもち米のように粘り気の強いインディカ米も存在します。
近年になってジャポニカ米だけでなくインディカ米の遺伝子解析も進んだ結果、従来とは異なり長江流域で栽培され始めた単系統の品種群をジャポニカ米と定義して、稲作文化の影響を受けて西方で別の野生種から栽培化された複数の品種群をインディカ米と定義する見方も起こっています。
この新しい定義で見てみると、これまでと違って長粒種と単流種の両方があることになり、これまでの種類分けとは一致しないものも出てきているのです。
インディカ米の種類
ジャポニカ米に銘柄米と呼ばれる種類があるように、インディカ米にも銘柄米といえる種類がいくつもあります。その中でも代表的なインディカ米の種類を紹介します。
バスマティライス
バスマティライスは、繊細で優れた芳香で有名な香り米と呼ばれる種類のお米です。バスマティとはヒンディー語の「香りの女王」に由来するだけあって、米粒だけでなく稲全体から芳香が立ち、お米の中でも高級品として扱われる香り米の中でも、世界的に最も高価なお米の一つです。
インディカ米は長期保存して含有水分量を少なくしたほうが調理しやすいとされるため、バスマティライスも精米してから数年間熟成したものが最も良いとされています。その米粒はきわめて細いもののしっかりとしていて砕けにくく、調理しても粘り気はでてきません。
バスマティライスにもさまざまな品種がありますが、ヒマラヤ山間部のデヘラードゥーン地方にかけて栽培されている、スーパー・バスマティと呼ばれる優良品種が、バスマティの中でも最も優れた品種とされています。
ジャスミンライス
ジャスミンライスとは、タイ米の最高級品であるカオ・ホン・マリ(Khao Hom Mali)のことをいいます。カオ・ホン・マリとはタイ語で香り米という意味で、甘く洗練された香りが特徴のインディカ米です。味も上品な甘さが感じられる、バスマティライスと並ぶ最高級米なのです。
ジャスミンライスはタイのチアメン社が最も多く取り扱っていて、世界にも「ゴールデンフェニックス」という銘柄で輸出しています。ゴールデンフェニックスは世界で最も多く流通しているジャスミンライスであり、日本でも通販で購入することができます。
インディカ米の生産地と適した料理
インディカ米の生産地はインドからバングラディシュなどの南アジアや、タイやベトナムを始めとしたインドシナ半島、中国の中南部、インドネシアなどを中心に、カスピ海沿岸やアメリカ合衆国、ラテンアメリカなどの気温の高い地域で栽培されています。
世界での主流はインディカ米であり、世界的に見ても米の生産量の約80%はインディカ米です。それに対してジャポニカ米は約20%ほどと、実はマイナーな米なのです。
インディカ米に適した料理は、ピラフやチャーハンのように他の食材と混ぜ合わせて作る料理レシピのほか、スパイスの効いた料理レシピとの相性が良い米です。特にカレーとは抜群に相性が良い米でもあります。
ジャポニカ米とジャバニカ米の違い
ジャバニカ米はジャワ型とも呼ばれることもある米の種類です。最近ではジャポニカ米の1グループとして、熱帯ジャポニカとして扱われることが増えている種類でもあります。そんなジャバニカ米とジャポニカ米の違いとはどんなものがあるのでしょうか?ジャバニカ米について調べてまとめてみました。
ジャバニカ米の特徴
ジャバニカ米は幅が広くて大粒の米で、見た目はジャポニカ米に似ていますが、食材としてはインディカ米に似ているため、使われるレシピや食感もインディカ米に近い種類の米です。かつては日本でも主に陸稲として栽培されていた米でもあります。古くは泡盛の原料に使われていたのがこのジャバニカ米なのです。
近年の遺伝子解析の結果、ジャバニカ米はジャポニカ米と同じグループに所属することがわかりました。先に紹介したように、ジャバニカ米が熱帯ジャポニカとして扱われるようになった背景には、このような理由があるのです。
ジャバニカ米の生産地と適した料理
ジャバニカ米の生産量は非常に少なく、インドネシアなどの東南アジアの熱帯地域や、中南米、イタリア、スペインなどで栽培されています。そんなジャバニカ米ですが、炊くと少し粘り気が出るため、本場のパエリアやリゾットで使われているのが、このジャバニカ米なのです。
ジャポニカ米に向いているレシピ
ジャポニカ米に向いているレシピの筆頭はもちろん和食になりますが、他の国の料理レシピとも良く合います。では具体的にはどんな料理レシピがジャポニカ米とよく合うのでしょうか?和食を除いたレシピの中から、ジャポニカ米に良く合うレシピをいくつか紹介していきます。
簡単ビビンバ
- ほうれん草約150g
- もやし1/2袋(約100g)
- ニンジン1/2本(約80g)
- A・ごま油大さじ1.5
- A・白ごま大さじ1
- A・醤油大さじ1/2
- A・鶏ガラスープの素(顆粒)小さじ1/3
- A・塩小さじ1/4
- 白菜キムチ適量
- 温泉卵人数分
- ご飯適量
- 合挽き肉200g
- B・砂糖大さじ1
- B・酒大さじ1
- B・コチュジャン大さじ1/2
- B・みりん大さじ1/2
- B・醤油大さじ1/2
- B・にんにく(すりおろし)少々
- B・しょうが(すりおろし)少々
- サラダ油(炒め用)小さじ2
- コチュジャン(トッピング用)適量
- ニンジンは長さ4cm~5cmほどの細切りに、ほうれん草は4cm~5cmに切ります。
- ボウルにAを合わせておきます。
- 鍋に湯を沸かして硬いものから順に入れ、2分茹でたらザルにあげて水気を切って冷まします。
- 2のボウルによく絞った3を入れて和えてナムルを作ります。
- 別の器にBの調味料を合わせておきます。
- フライパンにサラダ油をひいて、挽き肉を入れて色が変わるまで炒めます。
- 6に5を加えて、全体に馴染むまで1分~2分炒めます。
- 丼にご飯を盛り、キムチ、4のナムル、7の肉そぼろをバランスよく乗せ、中央に温泉卵を乗せたら完成です。お好みでコチュジャンを添えます。
ロコモコ丼
- 牛挽き肉150g
- 玉ねぎ(みじん切り)1/4個
- 塩1g
- コショウ少々
- 卵1個
- ご飯1杯分
- A・ケチャップ大さじ2
- A・ウスターソース大さじ1
- A・醤油小さじ1/2
- A・酒大さじ1/2
- B・ベビーリーフ少々
- B・アボカド1/2個
- B・ミニトマト2個
- B・パイナップル2切れ
- Aを混ぜ合わせておきます。
- フライパンにフライパン用ホイルシートを敷いて、中央を折り曲げて仕切りを作っておきます。
- ボウルに牛挽き肉、玉ねぎ、塩、コショウを入れて混ぜ合わせ、形を整えてハンバーグを作ります。
- フライパンの仕切りの片方に3のハンバーグを入れ、もう片方に卵を割り入れて蓋をして、中火で焼きます。
- 目玉焼きができたら取り出しておきます。ハンバーグは片面が焼けたらひっくり返して、もう片面も焼きます。
- ハンバーグが焼けたら1を入れてハンバーグに絡めます。
- ご飯を盛った器にハンバーグ、目玉焼きとBを盛り付けて完成です。
中華ちまき
- A・もち米3合
- A・焼き豚150g
- A・干しエビ20g
- A・干ししいたけ4枚~5枚
- A・たけのこ100g
- A・ニンジン1/2本
- B・水(干ししいたけと干しエビの戻し汁)3カップ
- B・醤油大さじ1
- B・砂糖小さじ1
- B・オイスターソース大さじ1
- B・酒大さじ2
- B・塩小さじ1/2
- B・コショウ少々
- ごま油大さじ2
- 竹の皮(ちまき用)10枚
- もち米は30分以上前に洗ってザルで水を切っておきます。干しエビ、干ししいたけを水に浸けて戻し、干しえびはぶつ切りに、干ししいたけは1cm角に切ります。そのほかの食材も全て1cm角に切り、竹の皮は濡れ布巾で拭いておきます。
- 大きめの鍋にごま油を熱して、Aを全て入れて炒めます。3分ほど炒めてもち米につやが出てきたら、Bの調味料を全て合わせていっぺんに加えます。
- 水分を飛ばしながら、もったりとして水気がなくなるまで、5分ほど混ぜながら炒めます。このとき焦がさないように鍋底から良く混ぜつつ炒めます。
- 鍋で炒めたもち米を、竹の皮で三角になるように包みます。竹の皮の端3mmくらいを裂いて紐を作っておいて結びます。裂きにくいときはタコ糸で代用します。
- 蒸気の上がった蒸し器に移して、10分中火で蒸しあげます。火を止めてから余熱で10分蒸らして完成です。
魯肉飯(ルーローハン)
- 豚バラ肉(ブロック)200g
- ご飯適量
- しょうが1片
- にんにく1片
- 八角1個
- ごま油適量
- A・醤油大さじ1.5
- A・砂糖大さじ1.5
- A・酒大さじ1
- A・酢大さじ1
- A・水250cc
- A・オイスターソース(入れるときには醤油を少なめにする)小さじ1
- フライドオニオン(お好みで)大さじ2~3
- ゆで卵(お好みで)適量
- 豚バラを1cm角に切ります。にんにく、ショウガはみじん切りにしておきます。
- 鍋に油をひいたら、弱火で焦げないようににんにくとしょうがを炒めます。
- 香りが出てきたら豚肉を入れてさらに炒めます。
- 豚肉の表面に火が通ってきたら、八角を入れて少し炒めます。
- 豚肉の表面に焼き目が付いたら、Aを全て入れます。フライドオニオン、卵もここで入れます。
- 卵を時々かえして全体に味が染みるようにしながら、弱火で40分ほどコトコトと煮詰めます。
- ご飯を丼に盛り付けたら、ご飯の上に6を乗せて完成です。
ジャポニカ米の特徴を知って美味しく料理しよう
ジャポニカ米は適度な粘りと甘味のある、とても美味しいお米です。そんなジャポニカ米は和食だけでなく、さまざまな国の料理レシピでも美味しく楽しめるお米です。ジャポニカ米の特徴を知って、さまざまな国の料理レシピにも挑戦して、ジャポニカ米の美味しさをもっと楽しんでください!