2019年05月05日公開
2024年09月13日更新
鉄観音茶とは?中国の高級銘柄?香りの特徴や淹れ方・おすすめも紹介
鉄観音茶を知っていますか?鉄観音茶は中国茶の中でも高級茶の一つに数えられるお茶です。芳醇な香りと、すっきりとした甘さが世界的にも評価が高く、過去には国際品評会で優勝したこともあります。健康的な効果効能も持っており、一度は飲んでみてほしい中国茶です。今回は鉄観音茶について、淹れ方や有名な銘柄、おすすめのメーカー、効果効能についてなど調査しました。この記事を参考に、中国茶の銘茶鉄観音茶をぜひ楽しんでください。
鉄観音茶とは?
鉄観音茶(てっかんのんちゃ)を知っていますか?中国茶の一種で、フルーティな香りが印象的なお茶です。鉄観音茶は、中国茶の中では比較的知名度が低いお茶です。しかし、日本では伊藤園が過去に販売していたこともあり、耳にしたことがある可能性があります。
ペットボトルのお茶でも、伊藤園の黄金烏龍茶(トクホ)は鉄観音茶を使用した烏龍茶です。鉄観音茶について、有名な銘柄や淹れ方・飲み方、おすすめの鉄観音茶、効能について紹介します。
半発酵の中国茶
中国茶には数千年にも及ぶ長い歴史があり、非常に多くの銘柄の中国茶があります。お茶は発酵度によって色が変わります。紅茶のように発酵度が高いお茶ほど、茶葉が茶色で香りが芳醇になります。また、熱湯で淹れたほうが香りとコクが引き出されます。
中国茶は発酵度が下がるにつれ、青茶・黄茶・白茶・緑茶と分類されます。発酵度が低いほど茶葉の色は緑に近づき、爽やかな香りになります。また、低温のお湯で旨みを引き出します。
鉄観音茶は鉄観音というチャノキの園芸種から収穫されたもののことを言い、青茶に分類されます。烏龍茶よりやや発酵度が高く、広い意味では烏龍茶の一種です。代表する産地は、中国の福建省泉州市安渓県と台北市文山区付近です。
香りと特徴
鉄観音茶は、茶葉の状態では丸まった茶葉と表面の鉄のような光沢が特徴です。香りは蜜の香りや蘭の花の香り、水蜜桃のような香りなどフルーティで爽やかな表現で風味や香りを例えられることが多いです。
鉄観音茶の色は黄金色や杏子の色に似ていると言われており、見ているだけでもうっとりする上品な色合いです。味は甘い香りで雑味や苦みを感じにくくすっきりしており、後味も甘く感じます。飲みやすい中国茶です。
鉄観音茶の生産量は烏龍茶全体の5%と低く知名度が低いですが、20世紀初頭に国際品評会で優勝し世界的な人気を獲得したことがあるお茶でもあります。食後や飲みすぎのときなど、芳醇な香りと優しい味はいつでも飲みたいと思わせてくれる美味しい中国茶です。
名前の由来
鉄観音茶の名前の由来はどこからきているのでしょう?鉄観音茶の名前の由来は諸説あり、茶葉の光沢が鉄製の観音菩薩像に似ているためという説や観音菩薩から賜ったチャノキだからという説、鉄観石の間に生えているのを持ち帰ったのが起源だから名付けられたという説などがあります。
最も有力な説は、乾隆帝(けんりゅうてい)の時代、茶農家が夢で見つけた観音岩という場所に生えた茶の木を持ち帰り、挿し木で増やし、近隣の農家に広めたのが由来と言う説だと言われています。いずれにせよ観音様にちなんだ名前はありがたみのある名前です。
鉄観音茶の有名銘柄
鉄観音茶は鉄観音というチャノキから収穫されたのもが鉄観音茶と言われます。そのため、発酵度も産地や製造方法によって様々です。ですので、鉄観音茶にはいくつかの産地と銘柄が存在します。その中でも有名でおすすめな鉄観音茶の銘柄を紹介します。
木柵鉄観音
台湾を代表する鉄観音茶が木柵鉄観音(もくさくてっかんのん)です。台湾の台北市の文山区付近で生産されています。約300年前、清朝末期に福建省の安渓県から台湾へ、茶樹と製法が持ち帰られたと言われています。
独自の加工がされており、木柵鉄観音は強い揉捻(じゅうねん)と反復焙煎による製法が特徴です。揉捻とは、茶の製造工程で茶葉を揉むことを指し、風味を作り出し成分を抽出しやすくすると同時に、茶葉の形を整える工程です。
独自の加工と言われていますが、他の鉄観音茶の銘柄よりも昔の製法で製造しており、300年前の鉄観音茶の香りを現代に伝えている貴重な中国茶です。春と冬摘みした木柵鉄観音茶が特においしいと言われており、おすすめです。
高発酵で香ばしい焙煎の香りと、柑橘類のような芳醇な香りが楽しめます。木柵鉄観音茶はオレンジ系の鮮やかな色をしており、冷やしてもその風味を損なわない美味しい鉄観音茶を淹れることができます。2~3年ほど寝かせるとビンテージワインのような深みがある味が楽しめるとも言われており、こちらもおすすめです。
木柵鉄観音茶は一度は飲んでほしいおすすめの鉄観音茶です。300年前の鉄観音茶の香りを現代に伝えている貴重なお茶、木柵鉄観音をぜひ試してみてください。
安渓鉄観音
鉄観音茶を代表する銘柄が安渓鉄観音(あんけいてっかんのん)です。鉄観音茶の元祖とも言われるお茶で、中国十大銘茶の1つに数えられており、名実ともに最高級の中国茶です。
中国福建省南部泉州市安渓県で作られており、南岩鉄観音(なんがんてっかんのん)とも言われています。親戚や友人への礼品に最適で、特に福建や広州の人に愛されています。安渓鉄観音の茶葉は年に4回収穫され、春と夏摘みの茶葉が品質が良いとされています。特に春茶は最高の味と評されておりおすすめです。
安渓鉄観音茶は木柵鉄観音と同じく、濃香型と呼ばれる伝統的な製法で、高発酵(重焙煎)で濃厚な風味のものでした。しかし、近年では独自の進化をとげ、低発酵(軽焙煎)で作られる清香型と呼ばれる爽やかな風味の物が主流になっています。
濃香型も安渓で生産されていますが、市場ではほとんど出回っていません。安渓鉄観音茶の味や風味は、フルーティーな風味と明るい杏子色がかわいらしい鉄観音茶中の鉄観音茶の風味や見た目が楽しめます。
特に清香型は清清しい日本茶と似たところのある風味で、日本人にとってはより飲みやすい鉄観音茶です。爽やかな花の香りと濃厚な味わいは鉄観音茶の醍醐味です。安渓鉄観音茶もぜひ、試してみてください。
西岩鉄観音
西岩鉄観音(せいがんてっかんのん)は広東省で生産されている鉄観音茶です。安渓の鉄観音茶が南岩鉄観音と呼ばれるのに対し、西岩鉄観音と呼ばれています。
地元広東省はもとより、香港などの茶荘でも扱われている鉄観音茶です。日本国内ではめったに見られず、有名ですが非常に珍しい鉄観音茶になります。
鉄観音茶の淹れ方と飲み方
日本茶には80℃前後のお湯で入れたほうが良いというような淹れ方があります。もちろん、中国茶にも美味しく飲むための淹れ方があります。鉄観音茶の美味しい淹れ方について紹介します。
準備するもの
中国茶の淹れ方には、本格的な茶器のセットがあります。茶壺(ちゃふー)、茶杯(ちゃはい)、茶盤(ちゃはん)などです。しかし、それぞれ代わりのものを使えば中国茶の淹れ方を実践できるので、中国茶用の茶器を持っていなくても安心してください。
茶壺(ちゃふー)がなければ急須かグラスを、茶杯(ちゃはい)がなければ湯呑みを、茶盤(ちゃはん)がなければボールを用意しましょう。では次に中国茶の淹れ方を詳しく説明していきます。
淹れ方
中国茶の淹れ方は工程が多いですが、美味しく淹れられるのでぜひ、実践してみてください。まずは沸騰させたお湯を準備します。中国茶の淹れ方ではお湯を捨てる工程が多いため、400cc淹れるとしたらその倍の量を用意しておくことをおすすめします。
次に、茶壷に沸騰したお湯を入れ温めます。茶壷に入れたお湯を次は茶杯に入れ、茶杯を温めます。残ったお湯は茶盤に捨てます。
空になった茶壷に茶葉を淹れます。400cc(2カップ)に対し、10gの茶葉が目安です。茶葉を茶壷に淹れたら、沸騰したてのお湯を茶壷に淹れ、お湯をすぐに捨てます。この工程を洗茶といいます。
再度、茶壷にお湯をたっぷり注ぎ、40~50秒ほど蒸らします。蒸らしている間に茶杯に入れておいたお湯を捨てます。時間が来たら、お茶の濃さが均等となるように茶杯に少しずつ注いでいきます。以上が中国茶の淹れ方です。
ポイント
中国茶の淹れ方のポイント、まずは茶器を温めることです。紅茶でも茶器は温める淹れ方があります。これは、茶葉が開きやすくお茶の香りや味が引き立ちやすくなるためです。
そして大事なポイントは洗茶です。洗茶は中国茶の淹れ方で通例です。なぜ中国茶は茶葉を洗うのでしょう?昔は、保存状態の悪い茶葉が多かったため、カビや埃を落とすために洗茶をすると言われていました。
しかし、洗茶をするのはそれだけが理由ではありません。洗茶をすることによって茶葉が徐々にふやけほぐれやすくなり、茶葉が開くのが早くなります。特に鉄観音茶は茶葉がしっかり整形されているため、洗茶は大事な工程です。
また、洗茶をすることで茶葉の温度が上がることから、茶器やお湯の温度が下がりづらくなり、テルペンやポリフェノールという発酵茶ならではの酸化物を効率的に抽出できるようになるメリットがあります。洗茶は美味しく中国茶を淹れるのに重要なポイントです。
飲み方
中国茶は繰り返し飲むことが前提に作られているのが特徴の一つです。7~8煎目までは楽しめると言われているお茶が多くあります。
一説には高級な鉄観音茶は、1煎目(洗茶)はお湯の味、2煎目はお茶の味、3~4煎目は精髄の味、7~8煎目は最も香り高い味だと言われています。一般的な鉄観音茶は7煎目までは楽しめますが、蒸らし時間をしっかり調整しないとやはり風味が薄くなります。
もし、茶海(茶の濃度を均一にしたり、一気に茶海に注ぐことでお茶の抽出時間をコントロールする茶器、大き目の耐熱式計量カップなどで代用可能)があれば利用して、鉄観音茶の抽出時間を調節し、自分が好きな好みの濃度を探すのも中国茶の飲み方の一つです。
鉄観音茶のおすすめ
ここではおすすめの鉄観音茶を紹介します。中国茶もとい台湾茶が流行っている昨今、日本には美味しい鉄観音茶を販売しているメーカーが増えてきています。口コミとともに、おすすめの市販鉄観音茶を紹介します。
久順銘茶 鉄観音茶
まず紹介するのは高級台湾茶ブランド久順銘茶の鉄観音茶です。一つで約1Lの鉄観音茶を作ることができるティーバッグが100個入ったセットで、価格は1836円(税込)になります。
葉が肉厚で大きいため、焙煎を強めにして作っており、深みのある芳醇な香りと濃厚な味が特徴で、日本でも人気がある鉄観音茶です。1ティーバックで1リットル抽出でき、水出しでも美味しく抽出できるので、1年を通して美味しく飲むことができます。
口コミ
公式のオンラインショップの口コミによると、やはりティーバックで100個でかつリーズナブルというコスパの良さ、ゴールデンリングがしっかりできる抽出具合などの評価が高いです。
陳年鉄観音1997年
老茶とか陳年と言われるお茶は、特殊な保存方法で5年以上寝かせ、その後に再度焙煎したお茶のことを言います。陳年鉄観音1997年は10年以上寝かせたビンテージ風味の安渓鉄観音茶です。通常の鉄観音の風味より深い旨味が加えられています。価格は1400円(税込)です。
口コミ
楽天の口コミでは、濃い杏子色の鉄観音で、最近の清香型が苦手な人にはとても美味しく感じるとあります。鉄観音の深みを感じたい人におすすめです。
横浜中華街・中華菜館 同發
横浜中華街の中華菜館同發では中華菓子や中華まんじゅうだけでなく、中国茶の販売もしています。ティーバックになっているため、家だけでなくオフィスや学校でも気軽に飲むことができます。価格は500円(税込)です。
口コミ
残念ながら具体的な口コミは見当たりませんでしたが、同發のレストランやイートインでは美味しいと評判が良いようです。
本場福建安溪鉄観音茶 特級 凤山
1952年4月に創立された安渓鉄観音グループの前身が国営福建省安渓茶厂です。そこの凤山(ほうざん)ブランドの鉄観音は、贈答用に最適です。清香型の鉄観音茶で、さっぱりした味が好みの人にむいています。
口コミ
Amazonの口コミによると、香りや味はとても良いが、茶が水準より小さく3煎目までしか美味しくいただけないと書かれています。しかし、もともと日本人には同じ茶葉で飲み続けるという習慣はあまりないため問題ではないかもしれません。
鉄観音茶の効果効能
芳醇な香りとすっきりとした甘い飲み口、鉄観音茶の魅力はそれだけではありません。鉄観音茶には他のお茶と同じく優れた効果効能を持っており、健康茶としても人気高いです。
脂肪を排泄
鉄観音茶は一般的な烏龍茶よりも栄養成分の含有量が多く、アルカリ度も高くなっています。特に烏龍茶ポリフェノールの含有量が多く、脂肪排泄作用があるのが特徴です。烏龍茶は水より30%も脂肪排泄量が高いという大妻大学の大森教授の研究結果もあります。鉄観音茶はそれよりも脂肪排泄作用が高いというわけです。
アンチエイジング効果
また、鉄観音茶には抗酸化作用があります。老化の一番の原因は活性酸素による錆です。烏龍茶ポリフェノールには活性酸素を抑える働き(抗酸化作用)があります。体の酸化を防ぐことでアンチエイジング効果があるのです。
鉄観音茶を正しく淹れて香りを愉しもう
鉄観音茶は芳醇でフルーティーな香りと、すっきりとして飲みやすい甘さから世界的に評価が高いお茶です。中国茶の中でも高級茶で、知名度は低いですが様々な銘柄のものが販売されています。健康への効果効能もあり、ぜひとも飲んでみてほしいお茶です。鉄観音茶を美味しく淹れて、ぜひ楽しんでください。