黄ニラは岡山の高級野菜!緑でない理由や特徴的な風味とは?
黄ニラという黄色いニラを見たことがありますか。岡山名産の高級野菜である黄ニラは、その名の通り黄色い見た目をしたニラです。ではこの黄ニラは、普通の緑のニラとどんな違いがあるのでしょうか。実はこの黄ニラは普通の緑のニラと同じ品種で、ただ栽培方法に違いがあるだけの同じ野菜だというのです。そんな黄ニラの基礎知識から、普通のニラとは違うその食感を活かしたレシピまで紹介していきます。
高級野菜の黄ニラとは?
黄ニラは岡山県でもっとも盛んに栽培されている、名前のままに黄色いニラで高級野菜でもあります。普通のニラと比べて生産量が少ないこともあり、値段も桁違いという高級野菜の黄ニラについて、まずは基本的なことから紹介していきます。
黄ニラは岡山の特産品
黄ニラが中国からいつ伝わったかははっきりしていませんが、一説では日本発祥とも言われる野菜であり、明治時代から岡山県で栽培が始まった野菜です。もちろんのことながら現在でも、岡山県が全国1位の生産量を誇っています。岡山県の三大河川のひとつ・旭川下流の砂壌土での栽培が盛んで、昔は薬として重宝がられていました。そんな黄ニラですが栽培量はいまだ少なく、一般のスーパーで見かけることは滅多にありません。
黄ニラ大使もいる!
黄ニラの生産者である植田輝義(うえだてるよし)さんは、2008年から黄ニラ大使を名乗って黄ニラのPR活動を始めました。植田さんが黄ニラ大使を名乗るようになった当時は、黄ニラの出荷先は地元の岡山ではなく東京が9割を占めていたと言います。植田さんがPR活動を続けた結果、現在の黄ニラの出荷先は東京5割・岡山3割にまで変わったそうです。そんな植田さんは、岡山市の公式観光サイトにも掲載されています。
黄ニラと緑のニラとの違いは?
黄ニラと普通の緑のニラとの違いは一体何なのでしょうか。ニラは中国や東南アジアが原産と言われる野菜で、日本には9世紀ごろには伝わってきたと言います。「古事記」などの書物にも登場するくらい歴史のあるニラですが、黄ニラとの違いはどこにあるのかまとめてみました。
黄ニラは品種ではない!
黄ニラは実は品種の名前ではありません。黄ニラと緑のニラとは全く同じ品種なのです。見た目は全く別物の品種に見えますが、黄ニラは緑のニラを軟白栽培という特別な栽培方法で育てた、緑のニラと同じ品種のニラなのです。そのため黄ニラの株も普通のニラと同じに栽培すれば、緑のニラに育ちます。このことからも黄ニラと緑のニラが同じ品種であることがわかります。
黄ニラの栽培方法
黄ニラは緑のニラを軟白栽培と呼ばれる方法で育てたニラです。軟白栽培とは遮光シートをかぶせて日光を遮断し、葉緑素を作らせないように栽培する方法です。そのため黄ニラは緑のニラと同じ品種でありながら、葉緑素を作れないために色に違いが出るのです。また緑のニラが年に7回~8回収穫できるのに対して、黄ニラはわずか2回しか収穫できません。この収穫量の違いも、黄ニラが高級野菜たるゆえんでもあるのです。
収穫はとてもデリケート
黄ニラは日の光を浴びると緑色になってしまうため、収穫も太陽光を浴びせないように手早く行う必要があります。そうして手早く収穫した黄ニラですが、収穫後に洗ったら天日干しをします。天日干しをすることで黄色がより鮮明になりハリとツヤも増すだけでなく、独特の風味とシャキシャキとした食感が出るためといいます。収穫も収穫後も手間がかかる黄ニラは、その点でも緑のニラよりも高級なのです。
黄ニラの特徴や食べ方
黄ニラは手間隙かけて育てられる高級野菜ですが、野菜としての黄ニラは一体どんな味わいや成分を持っているのでしょうか。野菜としての黄ニラに焦点を当ててまとめてみました。
食感や風味は?
黄ニラと緑のニラに食感の差はあるのでしょうか。黄ニラは緑のニラに比べて柔らかく、それでいてシャキシャキとした噛み応えがある食感が特徴です。香りも緑のニラよりも柔らかく上品で、食感の良さも手伝って中華料理でも人気の食材です。炒め物に入れるとシャキシャキの食感が増して、特においしいと言われています。ほんのりとした甘味とソフトな味わいなので、その食感を活かして生のままサラダにするのもおすすめです。
脳に良い成分が含まれている
黄ニラには「アホエン」という物質が含まれています。このアホエンという物質はニンニクなどにも含まれている成分で、脳の老化予防や記憶力の向上、血液をさらさらにしてコレステロールを抑制する他、活性酸素の除去や美肌効果なども期待できる健康成分なのです。アホエンは熱に弱いため、加熱時間を短くするのが大切です。黄ニラは生でも食べられるので、加熱はほとんどしなくても安心して食べられるのも魅力です。
旬の時期
黄ニラは1年中出回っていますが、黄ニラの旬は寒さが厳しくなる2月と言われています。この時期の黄ニラは通常よりも柔らかいだけでなく、シャキシャキの食感がより強くなるため噛み応えが良くなるのも特徴です。岡山では黄ニラの旬である2月の中でも12日を黄ニラ記念日に定め、イベントなども行っています。黄ニラの魅力も楽しめるので、観光がてら参加してみるのもおすすめです。
黄ニラの食べ方は?
黄ニラは生から炒めものまで、どんなレシピで使っても美味しい野菜です。緑のニラと違い癖がほのかで甘味もあるため、どんな調理方法にも合うのです。ただし先にも紹介した健康成分・アホネンは100度以上の熱に弱いため、黄ニラを加熱調理するときには先に10秒ほど加熱処理したら取り出して、最後にまた添えるほうが栄養を損なわずに済みます。レシピに合わせて調理方法を工夫するのがおすすめです。
美味しい黄ニラの選び方/保存方法
黄ニラのような高級野菜を買う以上、より良い品質の黄ニラを購入したいものです。美味しい黄ニラの見分け方とは一体どこをチェックしたら良いのでしょうか。黄ニラを買うときの見極め方のコツを紹介します。
気になる値段は?どこで買える?
黄ニラは産地である岡山県ならともかく、通常の地域ではどこでも買えるものではありません。通常の購入方法としては、現地に行ったときに買う・岡山に知人がいたら送ってもらう・通販で買う、のどれかになります。黄ニラを直接買うときには、全体にピンとした張りがあり、切り口がまだ瑞々しいきれいなものを選びます。キズや折れ、変色があるものや萎びたものは避けるようにしましょう。
黄ニラを使った商品もある
黄ニラを使った商品にはさまざまな種類があります。一番有名なのが黄ニラ醤油です。醤油に黄ニラを中心に鯛や昆布などのエキスも加えた万能醤油です。通常の醤油と比べてちゃんと黄ニラの風味が感じられ、通販でも人気の商品です。この他にも「黄ニラmiso」や「黄ニラ浅漬け」などさまざまな黄ニラ製品があり、通販で購入することができます。
黄ニラの保存方法
黄ニラは冷蔵庫で保存する際には、新聞紙にくるんでからポリ袋に入れて、野菜室に立てた状態で保存します。それでも2日~3日しかもたないため、使いきれない分は洗って水をふき取った後に適当な長さに切って、ラップで包んでからフリーザーバッグに入れて冷凍保存します。調理に使うときには袋から出すだけで使えるので、まとめ買いしたら冷凍保存しておくのが良いでしょう。
黄ニラのおすすめレシピ
黄ニラを買ってきたら、やっぱり美味しい料理にして食べたいものです。黄ニラは生でも食べられるため、どんなレシピでも楽しむことができます。黄ニラを使ったおすすめのレシピを紹介します。
ビールのおつまみにも「黄ニラのナムル」
- A・黄ニラ1束
- B・塩少々
- B・ごま油小さじ1/2
- B・味の素少々
- B・煎りごま適当
- Aの黄ニラをサッと短時間で茹でたら、しぼって水気を切ります。しぼった黄ニラを食べやすい大きさに切ります。
- Bをしっかり混ぜ合わせたら切ったAを混ぜ合わせ、冷蔵庫で冷やしてから盛り付け完成です。
黄ニラが始めてという人には特にぴったりの、黄ニラのシャキシャキ感と風味を堪能できるレシピです。ご飯のお供にもビールのおつまみにも癖になる一品です。コツは黄ニラをサッと茹でるだけの簡単おすすめレシピです。
パクチー好きにも!「黄ニラとパクチーのペペロンチーノ」
- A・スパゲッティ160g
- A・塩適量
- B・黄ニラ1束
- C・オリーブオイル大さじ2
- C・ニンニク1片
- C・唐辛子(種無し)2本
- D・アンチョビソース約小さじ1
- E・パクチー適量
- 1%の塩を入れたお湯でAを茹でます。
- Bを3cmの長さに切り、白い部分と黄色い部分に分けておきます。
- フライパンにCを入れ、香りがたったらDを入れて炒めます。
- Bの白い部分を入れて軽く炒めたら、茹で上がったAを入れて混ぜ合わせ、Bの残りの部分を入れて味を整えます。
- 器に盛ってEを乗せれば完成です。
ここでもポイントは黄ニラに火を通しすぎないことです。アンチョビはヒレでもペーストでもお好みで選んでください。岡山の黄ニラ農家さんのレシピが元という本格黄ニラ料理です。パクチー好きにもたまらない、おすすめのレシピです。
風味の良い黄ニラを食べてみよう!
黄ニラはちょっとお高い高級野菜ですが、とても美味しい野菜でもあります。通販でも買うことができるので、興味のある人はぜひ試してみて欲しい野菜です。黄ニラを使った加工品もさまざまあるので、ぜひいろんな黄ニラを楽しんでみてください。