ニラの栽培のコツは?失敗しないプランターの育て方や種まき・収穫まで解説
ニラは炒め物に、また餃子やチジミの食材をはじめ、いろいろな料理に使える万能野菜です。しかも栄養満点!それでいてニラの栽培はとっても簡単です。一度の種まきで、ずーと収穫を楽しめます。元気がなくなったら株分けすれば、そこから元気に長く育って収穫を楽しめます。今回は収穫が春と秋と違うニラの種を使った栽培をおすすめします。こうすることで長く旬なニラを楽しめます。プランターでのニラの栽培を土づくりから種まき、さらには株分け、そして収穫まで、各段階の栽培のコツを詳しく解説します。
目次
ニラってどんな野菜?
ニラの原産地と日本での栽培
ニラの原産地は中国を含む東アジアと言われています。ニラは欧米での栽培はなく中国、韓国、日本などで生産される代表的な東洋の野菜です。日本では古事記や万葉集にも出てくる古くから使われていた野菜です。日本では6万2千ト近くが生産されるほど人気があります。
ニラの種類:葉ニラ
一般的に家庭料理に使われる葉ニラには、大葉系と小葉(細葉)系があります。大葉系は葉長・葉幅が大きく、葉肉が厚く、柔らかく、色も緑濃、栽培はしやすく、休眠期間が身近いので消費者や農家にも人気があります。寒さには弱いのが難です。
ニラの種類:黄ニラ
岡山特産のニラで、生産量が少ないので一般のスーパーではあまり見かけません。葉ニラの苗の生育段階から光を遮断して栽培し手間や時間ががかかる分、値段も数倍します。食感は柔らかく、ニラ独特の臭いも少なめで甘いので生食できます。栄養は葉ニラと変わりません。
ニラの種類:花ニラ
花ニラは葉ニラの花茎と先端の蕾(つぼみ)の部分のことをいいます。葉ニラを食べ、花ニラもいただけるので二倍楽しめます。最近は花ニラ専用に育種した「テンダーポール花ニラ」のような種がありますが、こちらの葉は食用には適しません。同じ名で「ハナニラ」は後述しますが食べられません。
栄養豊富なニラ
独特の臭いの元のアリシン(硫化アリル)
ニラ特有の臭いのもとはアリシンという成分です。でもアリシンは疲労回復に役立つビタミンB1と結合して働きを長く持続させてくれます。例えばニラとビタミンB1が多い豚肉の炒め物を食べれば、ビタミンB1の吸収を促進して、だるさやイライラを軽くしてくれます。
抗酸化作用をするが成分が豊富
緑黄色野菜のニラにはべーターカロチンが非常に多く含まれています。べーターカロチンは抗酸化作用の力がありますからガンや各種の病気の発症を抑えてくれます。最初に紹介したアリシンやビタミンEにも強力な抗酸化作用がありますから、それぞれが豊富に含まれているニラは心強い健康食です。
健康維持の食材エース
ニラの中には植物繊維(特に不溶性植物繊維)がたくさん含まれていますから大腸を活性化して便通をよくしてくれます。また多く含まれているビタミンCによる善玉菌の増殖、アリシンやビタミンB1による血液凝固や血糖値の抑制、胃腸を活発化させるなど健康維持のための食材のエースです。
栽培に知っておきたいニラの豆知識
ニラは多年草で宿根草
ニラはユリ科ネギ属の多年草ですから一度種をまけば、何年も葉が出てきます。宿根草で寒くなると地上の葉は枯れてしまいますが、地下の宿根は休眠状態で越冬します。この休眠状態が種類によって長いもの、短いものがあります。短いかいニラは春になって早めに芽を出し、収穫も早くできるので育てる側には喜ばれます。
ニラと葉形似た食べられないもの
上が水仙の葉です。あの可愛らしい花を咲かせる水仙の葉ですがニラの葉と似ていますね。時々、家の近くに生えているのをで間違えて取ってきて中毒を起こした事故が起きています。株分けするときに、知り合いからニラの株分けにと間違えていただいて植えないように気を付けてください。水仙の根には球根がありますが、ニラは株と根だけです。ニラの葉には、あの独特の臭いがあります。
名前の似たハナニラは食べられない
「ハナニラ」はユリ科の球根植物で観賞用の花として栽培されています。葉を切るとニラと似た臭いがしますので、この名前が使われています。こちらは食べられません。花が咲いていれば見わけが付きますが、咲いていない時期だと間違えて食べて食中毒を越した例もありますから気をつけてください。
ニラの栽培方法:ニラ栽培に合うプランターを選ぼう
根が15センチ以上張りますから深さ20センチを越えるくらいのプランターを用意しましょう。楽天通販で再生プラでエコ深型プランター45型(幅45×奥行24×高さ26センチ、税込み429円)がありました。この程度の容量(16L)のものをお近くのホームセンターで探してください。2つあれば収穫時期の違う2種類のニラの栽培ができ長く収穫を楽しめます。
ニラの栽培方法:苗床づくり
上手な育て方:ニラ栽培に適した土
ニラはタフな植物ですから、あまり神経質にならなくとも楽に育てることができます。ただ酸性の強すぎる土を好みませんので気を付けましょう。ホームセンターで販売している園芸用の培養土を用意すればだいじょうぶです。培養土は植物が育ちやすいPH、必要な肥料やたい肥を混合した栽培用の土です。プランターの底に軽石を敷き、その上から培養土を入れて苗床はできあがりです。
上手な育て方:来年に向けた自家製たい肥作り
ニラは多年草ですから二年目、三年目の栽培も考えて土づくりについても簡単に触れておきます。毎日出てくる家庭の生ごみをたい肥としてリサイクルして、二年目、三年目以降のニラを育てるのに再利用したらいかがでしょう。名古屋市では各家庭で段ボールを使った簡易コンポストづくり運動を提唱し、多くの家庭で普及しています。ホームっページをご覧になって、ぜひ参考にしてください。
上手な育て方:ニラ栽培に必要な肥料
培養土に含まれている肥料は発芽までは十分に間に合います。間引きをした後に追肥をします。そのときの肥料は窒素・N(葉の成長に必要)、リン酸・P(花や実の成長に必要)、カリ・K(根や茎の成長に必要)の入った化学肥料のうち葉の生育に役立つ窒素の多めの割合(N5-P2-K1)の肥料を用意します。株分けするときの元肥として油粕も用意してください。
ニラの栽培方法:種を選ぶ~収穫時期の違う種~
春まき用の種
大葉ニラは、春にも、秋にも種がまけます。春(3付き中旬~4月中旬)にまくと6~7月に苗を植え付け、翌年の4月~10月頃(8月を除く)に収穫できます。秋にまくと翌年の春先(3月中旬~4月初旬)に苗の植え付け、7月~10月(8月を除く)に収穫できます。ただ小さい苗で冬を越すのは難しく春まきが安全です。葉幅が広く濃緑葉で家庭菜園に人気です。楽天通販で5.5ML、税込み216円です。
夏まきで秋収穫の種
ワンダーグリーンベルトは寒さに強く冬場の休眠が浅いのが特徴です。葉も長く、太く、厚みもあり人気があります。春先に種をまき、10月下旬から翌年の3月ごろまで収穫できます。ただ育て方としては冬場にプランターにビニールカバーをかけて保温する必要があります。夏場に蒔くと翌年の春に植え替え10月から収穫です。春まきの大葉ニラと併せて栽培すれば長く旬なニラを味わえます。楽天通販で5MLで税込みで281円です。
つぼみ専用のニラの種
テンターーポールは花ニラ専用に開発された品種です。花ニラは、もともと中国で炒め物の食材として使われてきたものです。臭いは葉ニラほどなく、新鮮なものはシャキッとした歯ごたえで、ほんのりとした甘味があって美味しいと人気があります。育て方は大葉ニラと同じですが、収穫時期は初夏から秋口まで次々と花茎をのばすので長いです。
ニラの栽培方法:種まき
上手な育て方:春の種まき
種まきは品種や地域によって違いますから、種袋の裏側の栽培方法を読んで確認してください。事前にプランターに用意した苗床に10センチ間隔でペットボトルのキャップで1cmほどの穴を作っておきます。そこに種を10粒くらいずつまいて5ミリほど土をかけ、上から板で押さ種と土を密着させます。乾燥させないようにじょうごで水をたっぷりかけます。
14日~20日ほどで発芽しますが、それまで乾燥しないように水を与えます。培養土は腐葉土のたい肥に鹿沼土や赤玉土などを加えて適度な保水性と排水でがあります。それでも芽が出たあとは、根腐れしないように今度は乾燥したら水を上げるように切り替えます。
上手な育て方:夏に秋収穫ニラの種まき
ワンダーグリーンベルトは8月~9月に種まきをします。苗床や種まきなどの育て方は大葉ニラと変わりません。ただ8月、9月は高温なので、発芽するまでの水やりには十分に注意します。また台風のシーズンなので台風や大雨には風雨防止の対策としてプランターに寒冷紗やビニールかけも必要です。
種をまいてから10日ほどで発芽します。発芽後も乾燥に注意して水やりを心がけましょう。苗が徐々に育ってきて間引きを終え、さらに大きく生育するころに冬が到来します。ワンダーグリーンベルトは休眠が浅いのですが、保温対策はしっかりして冬越しができるように、ビニールでプランターに保温カバーをするなど寒さ対策を十分にしてください。
ニラの栽培方法:追肥
種をまいて30日位すると最初の間引きとなりますが、その頃に追肥を行います。追肥をしたら軽気味に土寄せをし水をあげます。土寄せといってもプランターなので培養土を根元に追土してください。2回目の追肥は種まき後60日にします。同じように軽く土寄せをして水を与えます。化成肥料はプランター(45号なので約1平方メートル)に、おおよそ10~15グラムほど施します。
ニラの栽培方法:間引きと育苗
草丈が10センチくらいになり、本葉が1~2枚出たら株間1~2センチほどになるように間引きをします。間引きした後には十分な水を与えてください。間引きと追肥で苗は大きく育っていきます。種まき後80日~90日経った頃になると草丈は25センチほどに伸び、葉数も4~5枚、根元付近が2~3本に株別れ(分げつ)しています。
ニラの栽培方法:定植
この状態のニラの大きさになり、分げつしたら定植適期苗です。いよいよ定植です。プランターの大きさ(奥行24センチ、幅45センチ)から株間10~15センチの1条植えにします。5センチの深さの植穴を作って、それぞれの穴に苗を4~5本まとめて植えます。苗の葉は上を半分に切ってお互いに触れない程度に植え、浅めに土をかけます。後で土寄せ代わりに根元に培養土を追土します。水をタップリ上げます。
ニラの栽培方法:収穫までの栽培管理
上手な育て方:土寄せと追肥
定植後にニラは元気に生育します。浅めに土かけした根元を見ると生長点が分かりますから、そこに培養土をかけて土寄せしてあげます。3週間ごとに土をかけ土寄せして水をあげてください。定植した9月ごろには追肥をして株をしっかり育てます。冬に向けて地上部が枯れて休眠に入りますが、春にはしっかり芽を出しますから安心してください。
上手な育て方:病害虫対策
ニラは強い野菜ですからめったに病気にかかりませんが、葉がいっぱい茂って風通しが悪いと「白斑点枯病」「さび病」「乾腐病」にかかることがあります。風通しを良くして予防したり、早めに見つけ切り取って除去してください。アブラムシも風で飛来します。見つけたらつぶし、防虫ネットをかけてあげれ場安心です。100均ショップにあります。
ニラの栽培方法:収穫
上手な育て方:1年目の種の分は収穫しない
春に種まきしたニラの収穫は翌年の4月から9月です。1年目は葉が伸びてきても収穫しないで写真のように放置してください。ニラは株をしっかり大きくすることに専念しています。これは3年後に株分けしたときも同じです。食べたいのは、やまやまですが、それ以降のたくさんの立派なニラの収穫のため、ここはジッと我慢してください。
上手な育て方:収穫の仕方
2年目の春になったら、いよいよ収穫です。収穫は4月から10月ごろまでに4回~5回できます。葉の長さが20センチを超えたら根元から3センチくらい残して上を切りとります。この頃は雑草も旺盛に生えてくるので、収穫しながら雑草も抜いて根元に敷いておくと、マルチ代わりになり夏の乾燥防止に役立ちます。
ニラのつぼみの収穫
8月、9月の夏になるとトウ立ちしてきます。種の袋裏に「抽苔(ちゅうだい)は7月下旬です」と書いてあるのは、このトウ立ちのことです。花ニラの季節の到来です。花ニラ(蕾など)をそのままにして開花させ種を作らせると、株が弱ってしまいますから必ず収穫してください。採りたて新鮮な花ニラですから美味しく調理すると絶品です。
上手な育て方:お礼肥
収穫したら肥料をあげてください。栽培している野菜や果物、花などを収穫した後に肥料を施すことを「お礼肥」(おれいごえ)といいます。葉や実をつけることで消耗した草勢や樹勢を回復させるために与える肥料のことです。葉ニラにしろ花ニラにしろ収穫した後には必ずお礼肥をして水をあげてください。
3年目のニラの株分け
上手な育て方:株分けの意味
上手な育て方:株分けの方法
ニラは多年草なので毎年、芽を出し、成長し、冬眠するをくりかえします。3年くらい経って葉が小さく細くなってきたら株分けの時期です。苗を取り出し植え替えることで増えて密集した根が成長しやすくなり、肥料を吸収しやすくなってニラは生き返ります。春にまいたニラは春先に、秋に蒔いたニラは秋の早い時期に株分けするとダメージが少ないです。
3年経ったニラを掘り出すと根株が大きくなっています。それを分割して元気な株を2~3株に小分けします。プランターに培養土を足し増しして8分目ほどにしておきます。株間20センチなるように10センチほどの穴をあけ、元肥として追肥に使った化学肥料をいれ、植え替えるニラの根が直接元肥に触れないように3センチほど土をかけておきます。その上に4株を並べて入れて土を軽くかけタップリ水をあげます。
まとめ:身体にいいニラを育ててみよう!
身体への効用:薬膳の食材
先に紹介しましたが、ニラは健康に欠かせないさまざまな栄養を豊富に含んだ野菜です。中国では昔から漢方として薬膳食材にニラが使われてきました。体を温める効果があることからニラのことを「陽起草」(ようきそう)と呼ぶほどです。そのほかにも肌や髪を潤わす効果や便秘解消に効くので、さまざまな薬膳レシピが女性たちに人気です。
他の野菜への効用:コンパニオンプランツとして残った株の利用
さまざまな野菜の持っている特性を活かした育て方をすることで、お互いが助け合って病害虫を減らしたり、成長しあうなどの良い影響をしあうことがコンパニオンプランツです。株分けして残ったニラをキュウリの苗の横に植えると、ニラの根に共生する拮抗菌が分泌する抗生物質がキュウリの土壌障害の「つる割病」を防いでくれます。
そのほか株分けして残ったニラ株を、トマトと一緒に植えると土壌障害の「萎凋病」を抑え、キュウリ、トマト、ナスと一緒だと「青枯れ病」「立ち枯れ病」を防いでくれます。ゴーヤと一緒だとお互いの根圏に住む微生物がそれぞれが老廃物を分解しあい、共に根が活性化し生育を促進、さらに土壌も改良されます。コンパニオンプランツは株分けで残った株を捨てずに、他の野菜にも役立つと、まさに一挙両得です。