ほうれん草のシュウ酸の除去方法は?炒める場合や食べ過ぎの影響も調査
緑が欲しいな、そんな食卓のお悩みを解決してくれる野菜といえば、ほうれん草です。おひたしや和え物など、作り置きしておけばお弁当の彩にも便利な他、お鍋やパスタといったメイン料理にも使えます。カロテンやビタミンなど栄養価も高いので、いろいろなお料理で積極的に摂取したい食材です。でも、気になることが1つあります。それは、ほうれん草に多く含まれているシュウ酸です。今回は、えぐ味や渋味の原因であるシュウ酸を除去する方法や、食べ過ぎてしまった場合の影響について調べました。
目次
ほうれん草とは?基礎知識
ほうれん草は、アカザ科ほうれん草属の野菜で、原産地はペルシャ地方だと考えられています。ほうれん草のおひたしは和食の副菜として定番ですが、その原産地は意外にも海外。日本に伝わったのは江戸時代初期のことです。その後、品種改良を経て昭和時代初期に全国へ広まりました。国内の主な生産地としては、千葉県と埼玉県が有名です。
一年を通していつでも食べれるほうれん草は、日本の食卓に欠かせない野菜ですが、旬を迎えるのは寒い時期で、冬のほうれん草は味が濃く栄養価もぐっと高くなります。現在は、アボカドなどの食材も多く流通していますが、一昔前は栄養のある野菜といえばほうれん草でした。
食べることで超人的な力を発揮するポパイでも有名な野菜です。では、具体的にどのような成分が含まれているのか、必要な下処理や食べ過ぎの注意点など、順を追ってみていきましょう。
ほうれん草の花言葉は「健康」と「活力」
みなさん知っていますか?ほうれん草の花言葉は「健康」と「活力」です。この花言葉からも栄養価の高さが期待できます。実際にほうれん草には、β-カロテンや鉄分、葉酸などが多く含まれています。βカロテンは体内でビタミンAに変わることが分かっており、お肌や髪・目の粘膜の健康維持に非常に重要な栄養素とされています。
そして、葉酸には赤血球を作る働きがありますので、食べることで鉄分を一緒に摂取することができるほうれん草は、貧血にも効果があります。貧血に効く食べ物といえばレバーが有名ですが、独特のクセがあって苦手な方も多いのではないでしょうか?そうした方には、ほうれん草がおススメです。また、むくみの予防にも効果的なカリウムを比較的多く含むことから、女性にはもってこいの食材なのです。
ほうれん草の選び方
とても魅力的なほうれん草ですが、どういったものが新鮮なのでしょうか。せっかくですから、良いものを食べたいですよね。そこで、明日から役立つ簡単なほうれん草の選び方を紹介します。
見るべきポイントとは?
ポイントその1、葉っぱに張りがあり、緑の濃いものを選びましょう。これは言わずもがな、重要な基準です。しおれていたり、色の悪いものは避けましょう。ポイントその2、葉っぱが左右対称であるか確認しましょう。これは、あまり知られていないことかもしれませんが、左右をきれいに折りたためるようなものが良いとされています。ポイントその3、根元の赤みが濃いものを選びましょう。
出典: https://horti.jp
ほうれん草の根元は少し赤みがかっていますが、これはミネラル成分であるマンガン由来のものです。色が濃いほど甘みも強いと言われています。いかがでしょうか?手に取らずとも確認できることばかりなので、ぜひご購入の際に試してみてください。
ほうれん草に含まれているシュウ酸とは?
栄養豊富でヘルシーな万能食材・ほうれん草ですが、1つ注意しなければならないことがあります。それは、シュウ酸を多く含んでいることです。シュウ酸は、いわゆるアクと呼ばれるものの1つで、えぐ味や渋味の原因となります。そのため、料理の味を損なわないようアク抜きと言われる下処理をしてから調理することが一般的となっています。
その他にアク抜きが必要な野菜としては、ゴボウやナスなどが有名です。シュウ酸を除去することは、私たちの健康面においても非常に重要であることがわかっています。では、食べ過ぎでシュウ酸を過剰に摂取した場合、体内では起こることとは一体どのようなことがあるのでしょうか?詳しくみていきましょう。
ほうれん草の食べ過ぎは体に毒?シュウ酸の影響
シュウ酸の行方
通常、体内に取り込まれたシュウ酸は、カルシウムと結合してシュウ酸カルシウムとなります。これは便と一緒に排泄されていくため、この段階では問題ありません。しかし、どんなものも食べ過ぎは禁物です。シュウ酸が及ぼす影響は次のようなものがあります。
シュウ酸の及ぼす健康被害とは?
食べ過ぎで過剰摂取となった場合、余剰分のシュウ酸は腸内で吸収されていくことになります。その結果、尿として排泄されるわけですが、これが非常に重要なポイント。それは、尿の中でシュウ酸とカルシウムが結合することで、尿路結石を患う可能性があるからです。比較的男性に多いとされる疾患で、あまりの激痛に動けなくなった、救急車を呼んだ、そんなエピソードがつきものの尿路結石。できればなりたくないです。
その痛みは膵炎・胆石に匹敵し、これらはまとめて三大激痛と言われています。その尿路結石の原因の多くを占めるのが、シュウ酸カルシウム。尿路結石は再発することも多いと言いますから、なるべく摂らずにすむよう予め除去していくことが重要です。これで食べ過ぎても大丈夫なのか除去方法を紹介します。
シュウ酸を除去しよう!ほうれん草のアク抜き方法
ほうれん草とはどのような野菜か、含まれてる成分シュウ酸とは、そしてその影響について紹介してきました。えぐ味や渋味の原因であるとともに尿路結石のリスクも高まるというのだから、できるだけ除去してから食べたくないですか?それでは、ほうれん草の大切な下処理、アク抜きのやり方を紹介します。
シュウ酸は水に溶けやすい
ほうれん草は、茹でることでアク抜きを行います。シュウ酸は水溶性のため、茹でることで取り除くことができるのです。
根元を少し切ったあと水で汚れを落とし、塩を入れて沸騰させたお湯で茹でていきますが、いくつか注意点があります。まず1つめは、茎の部分から茹で始めること。葉の部分はすぐに火が通りますので、始めに茎の部分を30秒ほど茹でることがポイントです。そして2つめは、茹であがったら氷水に通すこと。そうすることで粗熱による過度な加熱を防ぎ、緑の鮮やかさを保つことができます。
アク抜きしたほうれん草は、そのまま和え物にしたり、おひたしにして食べることができます。茹でることで嵩が減りますのでついつい食べ過ぎてしまいそうですが、下処理をしておけば大丈夫です。
火を通したくない方必見!水でシュウ酸を除去する方法とは?
ほうれん草のアク抜きというと、湯に通すことが一般的ですが、お湯を沸かしたり、茹ですぎてはいけないので目が離せなかったりと、面倒に感じる人も多いと思います。火を通さずにシャキッと食べたいこともあります。そこで、水でもできる簡単な除去方法も紹介します。
先ほどと同じようにほうれん草を洗ったあと、3当分にしたほうれん草を水に浸します。その後の調理内容によって適当な大きさに切ってもかまいませんが、なんとやることはこれだけ!必要に応じて1、2回水を替えるとより効果的です。数分水にさらせば完了です。
気になる方は10~15分ほど浸けても良いでしょう。ざるなどにあげて水を切ります。あまり長時間浸けておくと必要な栄養素も抜けてしまいますので、その点だけ注意しましょう。サラダやスムージーなど生で食べる際にはこちらの方法がおススメです。
気になる!炒める場合の栄養価とシュウ酸
ほうれん草は、炒め物に入れてもおいしく食べれる食材です。火の通りも早いので、忙しい朝ささっと作れるソテーなどはお弁当にも重宝します。でも、気になるのは栄養価。炒めることでビタミンなどは損なわれないのでしょうか?調べてみました。
β-カロテンの吸収率UP!炒めることで得られるメリット
ほうれん草にはβ-カロテンが多く含まれていますが、これは脂溶性ビタミンと呼ばれるものの一種です。脂溶性とは、水に溶けにくく油に溶けやすいということ。つまり、アク抜きの際、湯通ししても損なわれにくいということなのです。また、炒める際に油をまとわせることによって吸収率が上がりることがわかっています。
さらには、油が唾液中のカルシウムとほうれん草に含まれるシュウ酸が結合することを阻害するために、えぐ味を感じにくくなるというメリットもあるのだとか。野菜は生食が一番、炒めると栄養価がさがるのでは?そんなイメージがありますが、炒めることで良い効果も生まれるのです。
シュウ酸を吸収しないための秘策
炒める場合、アク抜きせずにそのまま使うという方もいらっしゃるのではないでしょうか?そんな時は、同じ食事の中でカルシウムを摂るようにしましょう。そうすることで尿路結石のリスクを下げることができます。
ほうれん草のおいしい食べ方【炒め物】
シュウ酸のえぐ味も気にならない
ほうれん草を大好きに!たくさん食べて健康促進!簡単にできておいしく食べれるほうれん草のレシピを集めました。今回は、3種類の炒め物を紹介します。炒める際に油を使うことで、幾分かシュウ酸のえぐ味を抑えることができます。
まずは定番!簡単・おいしい「ベーコンとほうれん草のソテー」
お弁当に入っていた方も多いのではないでしょうか?ベーコン、ほうれん草を炒めるだけの簡単なものですが、ほうれん草を手軽に食べれる定番レシピです。仕上げにバターをプラスして、風味をUPさせましょう。いつもの塩コショウをクレイジーソルトにかえて、今日はコーンをプラスしよう、そうしたちょっとした変化をつけるのも飽きないコツです。
緑と黄色の彩を!「卵とほうれん草の炒め物」
献立を考える時に気になるのが食事の色です。できれば赤・緑・黄色を取り入れて、色鮮やかな食卓にしたいです。そんなお悩みを解決してくれるのが、卵です。コンソメで味付けすれば洋風に、オイスターソースで中華風に味をかえて食べれるレシピです。カニカマやトマトを入れれば、赤もプラスできます!
味にガツンとインパクト!「ほうれん草とにんにくの炒め物」
油で熱されたニンニクの香りが食欲をそそります。調味料は油と塩コショウだけ!シンプルだけど味はしっかり、余っている食材を一緒に炒めることで主菜としても食べれるので、ぜひ一度お試しください。食べ過ぎに注意です。
ここに注意!ほうれん草の加熱調理の欠点
シュウ酸と一緒に失われるもの
ここまで、シュウ酸の除去方法やほうれん草のレシピをご紹介してきましたが、ここにちょっとした落とし穴があるので要注意。それは、加熱によってカリウムやビタミンCが失われてしまうことです。ビタミンCは、美容や健康に効果がある栄養素の代表格。知っている方も多いと思います。抗酸化作用がありますので、活性酸素による細胞の酸化を防ぎ、その結果として心疾患や動脈硬化などの予防効果が期待できます。
また、ビタミンCはコラーゲンを作る上で欠かすことのできない物質ですから、できれば損なわずに摂取していきたいところ。しかし、これらの栄養素は加熱に弱いため、先述の調理方法では、サラダやスムージーなど生で食べる場合に比べて摂取できる量が半減してしまいます。ここが料理の難しいところではないでしょうか?おいしく食べれる方法が、必ずしも最良とは限りません。
ですが、調理方法・組み合わせる食材によって可能性は無限大です。ご自身の体調や献立に合わせて、工夫していきましょう。
ほうれん草を生で食べよう!
シュウ酸が少ない品種がある?サラダ編
ほうれん草をできるだけ生で食べたい、そんなみなさんに朗報です。ほうれん草には、サラダ用のものがあるのです。これは、生で食べるためアクの原因であるシュウ酸をあまり含まないよう品種改良されたものです。通常のほうれん草を生のまま食べる場合は、水でアク抜きしシュウ酸を除去するかもしくはオリーブオイルをかけたりして油分と摂ることが推奨されますが、サラダ用はそうした必要がないのだそうです。
下処理の必要がないのは嬉しいです。サラダといえばレタスやキャベツが王道ですが、毎日こればかりでは食卓も代わり映えしません。生のままなら食べ過ぎの心配もありませんし、時にはいつもと違う葉物野菜を使って日々の食事を楽しんでいきましょう。ぜひ、お買い物の際に探してみてください。
大流行!試してみる価値あり!スムージー編
近年、流行中のスムージー。ミキサー1つでできるお手軽さに加え、忙しい朝にも簡単に栄養がとれることが受けています。加熱処理しないので、ビタミン類を損なうことなく摂取することができます。また、フルーツと組み合わせることによって葉物野菜の青臭さも緩和され、非常に飲みやすいのもポイントです。各飲料メーカーからも様々な組み合わせが発売されていますが、今回はグリーンスムージーにスポットを当てていきます。
「生野菜を食べましょう」「果物は朝食で食べるのが一番」よく聞きますよね。でも、忙しい朝の時間、少しでも手間を省きたい方が多いのではないでしょうか。生野菜はサラダで食べることがほとんどだと思いますが、野菜は切ると傷みも早くなりますから何日分もサラダを作り置きしておくわけにはいきませんし、果物も同様です。
そこで、これらを一度に叶えてくれるもの、それがグリーンスムージーです。果物は朝食に摂ることで水分と食物繊維を摂取できることから満腹感が得られます。そしてビタミン類によって脂肪燃焼効果、さらにはカリウムの利尿作用でむくみ解消と、ダイエットに非常に効果的です。
効果、さらにはカリウムの利尿作用でむくみ解消と、ダイエットに非常に効果的です。良いことずくめのグリーンスムージーですが、作る際に重宝されるのが何といってもほうれん草!小松菜もプラスして、リンゴやバナナと組み合わせるのが定番のようです。生のままですから栄養も減りませんし、ミキサーにかけているから吸収率も上がります。ぜひ一度、お試しください。
ほうれん草とシュウ酸についてのまとめ
シュウ酸の除去方法や食べ過ぎた場合の影響、炒めることによるメリット・デメリットなど、ほうれん草に関する今回の調査いかがでしたか?アク抜きの手間やシュウ酸の注意点、そうしたものを差し引いても魅力十分の野菜ではないでしょうか?
調理方法によって多少栄養価は変わりますが、いろいろな食材との相性も良く、炒める・煮る・和える・和・洋・中どんな料理に入れて楽しむことができますよ。鮮やかな緑は食卓の彩にも最適です。積極的に摂っていきましょう。