ふきの種類を紹介！収穫や食べるときの注意点からおすすめレシピまで

春先になるとスーパーや八百屋、農協の直売所などで見かけるようになるふき。好きな人も多いですが、ふきの種類が一つではなく、いくつかあることはあまり知られていません。ふきは種類によって、味や食べ応えなどの特徴が違います。

この記事では、ふきの種類や見分け方、食べ方などを紹介します。ふきを選ぶ際やふき料理に役立ててみてください。

山で採れる天然物のふきは、4月～6月にかけてが旬です。ふきは北海道から九州にかけて、全国の山に自生しています。春になると山菜採りで採られたふきが、わらびなどと共に直売所や八百屋で見かけるようになります。

山で採れるふきは、短くて細い種類のものが多いです。一方、スーパーで見られる太くて長いふきは、野菜として栽培されたものです。栽培されているふきはどの季節でも収穫できるため、ほぼ一年中スーパーなどで見かけます。

ふきには、主に食物繊維やカリウムが多く含まれています。ゆでてアク抜きした状態のふき100gに含まれる食物繊維は1.1gです。カリウムはミネラル類の中でも多く、100g中230mg含まれています。

そのほか、苦味の成分にはポリフェノールの一種であるクロロゲン酸、葉の部分には葉酸も含まれています。ふきに含まれる栄養素は、いずれも血圧の上昇を抑え、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病予防に役立つ栄養素です。

ふきの種類によって産地が異なります。天然もののふきは北海道から九州まで全国各地の山に自生しており、どこでも採ることができます。野菜として栽培されているふきで、最も収穫量の多い県は愛知県です。

愛知県では、江戸時代からふきの栽培が盛んに行われています。スーパーで流通されるふきの約6割が愛知県産であり、最も目にする機会の多いふきです。ほかには、京都や奈良が産地として有名です。

愛知早生ふきは、最も食卓で目にすることの多いふきです。葉の伸びが早く茎が太いのが特徴です。根本が少し赤身がかっているものもあります。長さは約1m前後です。

数あるふきの種類の中でも、独特の香りとアクが弱いため、料理がしやすいふきです。食感はみずみずしくて柔らかく、さまざまな料理に合います。煮物をはじめ、味噌汁や天ぷらといった食べ方が人気です。

秋田ふきは、北海道に自生するふきから分化したふきといわれています。ふきの種類の中でも、葉の直径が1m、茎の長さが2m以上にもなる大型のふきです。

ほのかにふき特有の風味があり、シャキシャキした歯ごたえが特徴です。しかし、繊維が多く固いため、生野菜として食べられることはありません。砂糖漬けや佃煮、きんぴらにするのが主な食べ方です。流通する際も、生ではなく加工済みのものが主流です。

水ふきは、京ふき・河内ふきとも呼ばれるふきの種類です。京都や奈良を産地とし、栽培されているものや自生しているものがあります。愛知の早生ふきよりも小ぶりで、50cm～60cmの長さのものが主流です。

ふきの種類の中でも水分が多い水ふきは、シャキシャキとみずみずしい食感があります。香りよく苦味やクセが少ないため、煮物や味噌汁で食べられることが多いです。関西地方では、マヨネーズと和えたサラダ風にする食べ方も好まれます。

山で自生するふきを山ふきと呼びます。天然の山ふきが楽しめるのは旬の5～6月頃ですが、近年需要があることから、栽培もされています。

山ふきは水ふきよりも更に小さく、30cm～40cmのものが多いです。また、葉は鮮やかな淡色、根本が赤色になっているのが特徴です。ふきの種類の中でも香りやアクが強く、佃煮のきゃらぶきとしてよく食べられます。

ラワンブキは、北海道に自生するふきです。秋田ふきの一種ですが、天然のラワンブキは種苗が持ち出し禁止となっており、北海道足寄町でのみ収穫できます。

日本一大きなふきでもあり、長さは4mにもなります。柔らかめでみずみずしい食感があり、アクが少ないため食べやすいです。煮物をはじめ、天ぷらや塩漬けなどで食べられます。

ふきには毒があるため、食べる際には注意が必要です。まず、自生しているふきを収穫する際は、地上の葉の柄部分を採りましょう。地中にある本来の茎は、毒があるため食べられません。茎ごと収穫した場合は、茎部分を廃棄してください。

また、食べられる部位にも、ピロリジジンアルカロイドという毒を含んでいます。この毒は水に溶けるため、料理をする前にしっかりアク抜きをしてください。生で大量に食べると危険ですが、アク抜きをすれば安全に食べられます。

ふきに似た植物に、ツワブキやオタカラコウ、ハシリドコロといった植物があります。ツワブキとふきとの見分け方は葉の特徴です。葉にやや厚みと光沢があります。また、ふきは春に、ツワブキは秋から冬に花が咲きます。ツワブキも美味しく食べられる山菜です。

オタカラコウとふきの見分け方は、葉の形と匂いです。オタカラコウの葉の方がギザギザしており、特有の匂いがあります。食べられますが、青臭くて苦味が強いため、あまり食用で用いられることはありません。

ハシリドコロは、有毒植物であるため、食べられません。ふきとの見分け方は、若い芽が太く棒状であること、ふきより葉が楕円形であること、匂いがないことです。誤って食べないように注意してください。

しゃきしゃきと美味しい愛知の早生ふきを使った炊き込みご飯のレシピです。重曹でアク抜きをすることで、苦味をしっかり取り除き、美味しく出来上がります。ふきの風味とだしの味、薄上げの香ばしさが食欲をそそる一品です。

太めの秋田ふきにこねたひき肉を詰め、甘辛く煮詰めた生姜煮のレシピです。ふきの風味と生姜の効いた甘辛い味が程よくマッチし、ご飯の進む味わいです。歯ごたえの良い秋田ふきのシャキシャキ感と、口の中で広がる肉汁の美味しさが楽しめます。

水ふきとたけのこで作る春の煮物のレシピです。水ふきは水分が多く柔らかいため、短時間で煮込み、冷ましながら味を染み込ませるのがポイントです。出汁の優しい味わいが、素材の味を引き立たせます。コリコリ、シャキシャキした食感が楽しめる煮物です。

スーパーで見かけるふきの多くは愛知の早生ふきですが、ほかにもさまざまなふきの種類があります。

種類によって食べ応えや味の特徴が違うため、特徴に合わせた食べ方で美味しく食べましょう。普段食べるふきとは違う種類のふきも、見かけた際にはぜひ食べてみてください。