2022年03月08日公開
2024年11月19日更新
ニラとスイセンの見分け方を詳しく解説!間違えないための注意点も
ニラとスイセンの見分け方を解説します。見た目や断面、匂いなど、ニラとスイセンの違いや見分け方を詳しく説明!食中毒が起きたときの症状や、具体的な事故例も紹介します。間違えないためのポイントも載せているため、ぜひ参考にしてください。
ニラとスイセンの見分け方を知っておこう!
ニラとスイセンは見た目が非常に似ており、パッと見ただけでは見分けがつかないことがあります。どちらも食べられる植物であれば問題ありませんが、スイセンには猛毒成分が含まれています。
間違えて食べることがないように、見分け方を把握しておくことが大事です。本記事では、ニラとスイセンの特徴や見分け方を紹介します。食中毒の症状や、間違えないためのポイントも説明しているため、しっかりチェックしておきましょう。
ニラとスイセンの特徴と食中毒症状
ニラとスイセンの特徴
ニラは普段からよく見る野菜で、日本では古くから栽培されています。原産は東アジアだといわれており、中国など日本以外の国でも、なじみのある野菜です。真っ直ぐに伸びる長い葉が特徴で、独特な匂いを発します。
暑さに強いため、春から夏にかけて著しく成長します。カロテンやビタミン類など、栄養成分も豊富です。ヒガンバナ科に属しますが、ユリ科に分類されることもあります。一方、スイセンの原産地は、スペインやポルトガルなどの地中海沿岸地域です。
冬から春にかけて花を咲かせる多年草で、花の中心がラッパのような形をしています。葉はニラに似ていますが、ニラのような強い匂いはありません。花が咲くとほのかな甘い香りが漂い、香水の原料として利用されることもあります。
スイセンに含まれる成分と食中毒症状
スイセンには、リコリンやタゼチンといったアルカロイドが含まれています。アルカロイドとは、窒素を含んだアルカリ性を示す有機化合物の総称です。動物に対して毒になるものが多く、ジギタリスやトリカブトなどにも含まれています。
スイセンに含まれているアルカロイドは猛毒で、特に茎や球根部分に多く存在しています。潜伏期間は30分と短く、口にすると比較的早く症状が出るのが特徴です。下痢や嘔吐、頭痛などの症状が起こり、摂取量によっては死に至ることもあります。
スイセンの毒の致死量は、一般的な成人で約10gです。スイセンによる食中毒事故は全国各地で起こっており、死亡者が出た例もあります。厚生労働省の統計によると、スイセンを食べて食中毒になった人は、平成21年〜30年の間で約180人です。
2016年の5月には、庭で採取したスイセンを食べた60代の男性が、亡くなっています。食中毒を防ぐためにも、ニラとの見分け方をしっかりと把握しておくことが大事です。
また、スイセンにはシュウ酸カルシウムも含まれており、触ることで皮膚炎が起こることもあります。肌が弱い人は、直接触れないようにしましょう。
一般にヒガンバナ科の植物には有毒成分であるヒガンバナアルカロイドが含まれています。スイセン(Narcissu属)には、リコリン、ガランタミン、タゼチン、シュウ酸カルシウムが含まれており、30分以内の短い潜伏期間ののち、悪心、嘔吐、下痢、流涎、発汗、頭痛、昏睡,低体温などの中毒症状を起こします。有毒成分は植物全体にありますが、特に鱗茎に多く含まれています。
ニラとスイセンの見分け方
見分け方①見た目・断面
ニラとスイセンの葉は非常に似ていますが、よく見ると違いもあります。スイセンの葉はニラよりも厚く、横幅が広いところが特徴です。ニラのほうが全体的に細く、触った感じも柔らかいという違いがあります。
また、スイセンの根元はニラに比べて太く、切ると断面が丸くなっています。根元だけでなく、葉先の見た目でも違いを見分けることができます。ニラの葉先は丸みを帯びていますが、スイセンの葉先は鋭く尖っています。
断面で確認するためには葉を切る必要がありますが、葉先を見れば収穫前に違いを判断することができます。見た目で見分ける場合は、まず葉先を確認してみるのがおすすめです。
見分け方②球根の有無
ニラとスイセンは、根の部分にも違いがあります。ニラの根はひげ根ですが、スイセンの根は鱗茎です。鱗茎とは、玉ねぎのような形をした球根のことです。ニラの根は球状になっていないため、球根があったらスイセンだと思うようにしましょう。
また、ニラは球根がない分、手で引っ張ると簡単に抜けます。ニラがなかなか抜けなかったときは、根元に球根がついていないか確認してみましょう。
見分け方③匂い
ニラには、「硫化アリル」という成分が含まれています。この成分は玉ねぎやにんにくなどにも含まれており、ツンとするような独特な匂いを感じます。見た目だけで判断がつかないときは、匂いを嗅いでみるのがおすすめです。
スイセンには硫化アリルが含まれていないため、ニラのような匂いはしません。葉に近づいただけで匂いがよくわからない場合は、一度葉をちぎってみましょう。
葉をちぎることで、ニラの匂いが一層強くなります。ちぎってもほとんど匂いがしなければ、スイセンである可能性が高いです。
見分け方④花の咲く時期
ニラも花を咲かせますが、スイセンとは咲く時期が違います。スイセンの花が咲く時期は、だいたい11月中旬〜4月頃です。一方のニラは、8~10月頃に花を咲かせます。この開花時期の違いから、スイセンとニラを見分けることができます。
ただ、気温などによっても開花の時期がずれるため、確実な見分け方ではありません。匂いや見た目など、他の見分け方と併せて、確認すると良いでしょう。
ニラとスイセンを間違えないためのポイント
ポイント①迷ったら食べない
ニラとスイセンは見た目や匂いで見分けられますが、判断に迷う可能性もあります。どちらか判断がつかないときは、無理に食べないようにしましょう。
もしも、口にしてから違和感を覚えたら、それ以上食べないことも大事です。間違えて食べてしまったら、すぐに病院へ行って診察を受けるようにしてください。
ポイント②栽培場所を分ける
家庭菜園でニラを育てるときは、近くにスイセンを植えないようにします。近くに植えてしまうと、うっかり間違って収穫する可能性があるからです。ニラとスイセンは栽培場所をしっかりと分け、できるだけ離れた場所で育てるようにしましょう。
可能であれば柵などを設け、栽培場所が明確に分かるようにします。どちらの植物を植えたか忘れないように、名前を書いたプレートなどを立てておくのも良いでしょう。
ポイント③加熱しても毒は消えない
菌が原因の食中毒は、加熱することで予防できることもあります。しかし、スイセンに含まれているアルカロイドは、加熱しても毒性は消えません。
そのため、しっかりと加熱調理をしたとしても、食べれば食中毒になってしまいます。加熱の有無に関わらず、スイセンは口にしないようにしましょう。
ニラとスイセンの見分け方を知って誤食を防ごう
ニラとスイセンは、葉の形や断面、匂いや根の形状など、さまざまな違いがあります。見分け方を覚えておけば、間違えて口にすることもなくなります。また、家庭栽培をするときは、離れた場所に植えるなど、間違えない工夫をすることも大事です。
スイセンの毒は、わずか10gで致死量に達するといわれており、食べてしまうと非常に危険です。紹介した見分け方を参考に、誤食を防ぎましょう。