ビーツの栽培方法徹底解説!育て方のコツ・品種・おすすめの食べ方も

ビーツの栽培方法について徹底解説します。日本ではまだそこまで一般的な野菜ではありませんが、すでに様々な品種が栽培されている人気の野菜です。そんなビーツの育て方を初心者でもわかりやすくまとめてみました。おすすめの食べ方も併せて紹介します。

ビーツの栽培方法徹底解説!育て方のコツ・品種・おすすめの食べ方ものイメージ

目次

  1. 1ビーツを栽培してみたい!
  2. 2ビーツの栽培方法
  3. 3ビーツの育て方のコツ
  4. 4ビーツを栽培する時の注意点
  5. 5ビーツの品種
  6. 6ビーツのおすすめの食べ方
  7. 7ビーツの栽培方法まとめ

ビーツを栽培してみたい!

ビーツはロシア料理として有名なボルシチに欠かせない材料として、その名を知られた野菜の一つです。最近では日本の家庭でもボルシチを手作りする方も増え、実際に売っている場所も見かけるようになっています。ですが、全体的な流通量としてはまだまだ足らない野菜ともいえます。

そんな背景もあってか、家庭菜園でビーツを栽培しようという方も増えています。ブログで栽培の様子を紹介する方や農園などもあり、密かな広がりを見せている野菜でもあるのです。本記事では、そんなビーツの栽培方法について徹底解説します。収穫した後のおすすめの食べ方も併せて紹介していきます。

ビーツの栽培方法

ビーツとは?

ビーツはほうれん草と同じヒユ科(旧アカザ科)の野菜で、甜菜(てんさい)糖の原料としても有名な甜菜もこの仲間です。別名「赤ダイコン」や「テーブルビート」、または単に「ビート」と呼ばれることもあります。その名の由来がケルト語のbette(赤の意味)であることからも分かるように、真っ赤な色が特徴的な野菜です。

地中海原産の野菜であることからヨーロッパや中近東諸国をはじめ、アメリカでも日常的に食されています。もともとは薬用植物として栽培されていたもので、一般的な食卓に上るようになったのは2~3世紀ごろになってからです。

ビーツの栄養素

ビーツの赤い色素は「ベタシアニン」という名のポリフェノールの一種です。高い抗酸化性があることから生活習慣病の予防を期待することができます。また強い甘みを持つ理由はショ糖が豊富に含まれているためです。このショ糖は体内でブドウ糖に分解されて吸収され、脳のエネルギー源として働きます。

ビタミンやミネラルも豊富で中でも鉄分が多く含まれています。ビーツ自体に一酸化窒素(NO)を増やす効果があり、このNOには血管をしなやかにして血液量を増やす働きがあることがわかっています。このことから別名「食べる輸血」とも呼ばれているのです。

ビーツの栽培時期

ビーツは年に2回栽培することができる野菜です。涼しい気候を好むことから春の3~5月か、秋を迎える9~11月に種をまきます。

種まきから60~70日で収穫できるため、春の5~7月と秋の11~12月ごろが収穫期になります。耐寒性が強いことから秋まきの場合はわざと冬の寒さに当てた方が甘くなります。若い葉をベビーリーフとしても利用できることから栽培時期を通して楽しめます。

ビートは涼しい気候を好むので、春と秋に栽培をスタートします。かたい殻の中に2~3粒の小さなタネが入っているので2cm間隔でタネをすじまきし、間引きながら育てます。

ビーツを畑で栽培する方法

ビーツは家庭菜園初心者でもコツさえつかめば簡単に栽培でき、たくさん収穫することができます。ただし連作障害があることから、最低でも1~2年、理想は4年間開けて栽培するようにします。先に苦土石灰をまいて土のpH値を6.0~7.0のアルカリ性に調節します。そこに元肥として堆肥、肥料も一緒に土に混ぜ込んでおきます。

発芽を良くする方法は種を前日から水に浸しておくだけです。畝を作って2cm間隔で種をまきます。芽が出るまで毎日たっぷりと水をあげましょう。最終的に株間が10~12cmになるように間引きをし、野菜用の肥料を2週間に1回の目安で追肥します。防虫ネットもかけておけば害虫の被害を減らすことができるのでおすすめです。

ビーツをプランターで栽培する方法

連作障害があるビーツは、土をその都度入れかえることができるプランター栽培に向いた野菜でもあります。日当たりと風通しの良い場所に置くことと、湿った土が好きなことから乾燥に注意するだけで簡単に栽培できます。野菜用の培養土で十分に育つため、土づくりの手間もかかりません。

10~20cm以上の間隔をあけて種まきをし、発芽するまで土が乾かないように水やりをしっかりします。害虫が付かないよう防虫ネットをかけておくとより安心です。間引きと土寄せを繰り返し、最終的に1か所1株にします。その後株の間とプランターの縁に肥料を追肥して栽培していきます。

ビーツの収穫時期

露地栽培のビーツの場合は、土から出ている根の部分が直径5cm以上になったものから収穫していきます。きちんと適度に間引く育て方をしていれば、直径12cmほどになるものもあります。ただし、放置している時間が長すぎると割れてきてしまうこともあるため、早めに収穫するようにしましょう。

プランター栽培の場合収穫の目安は一緒です。採り遅れた株は硬く筋っぽい根になってしまうため、あまり大きくなるまで待つよりも早めに収穫することが望ましいです。

ビーツの育て方のコツ

ビーツの生育適温

ビーツは暑さに弱いですが耐寒性は高い野菜です。また発芽適温は15~30℃と幅が広いものの、生育適温は15~20℃と低めなことも特徴です。夏の暑さに当てなければ、育て方も簡単で日本全国で栽培可能な野菜と言えます。

ビーツの生育適温と栽培地域の気温の変動を比較して、春に育てるか秋に育てるかを決めることもおすすめです。またどのような料理に使いたいかで、栽培時期を決めても良いでしょう。

ビーツの栽培に適した用土

ビーツは酸性の土を嫌います。そのため露地栽培の場合は苦土石灰をすき込んで、土壌のpH値を調節してあげる必要があります。酸性のままの土では発芽不良や生育不良を引き起こします。土壌のpH値は6.0~7.0に調整しましょう。

この他にも元肥として堆肥や肥料をまいてよく耕しておきます。堆肥や肥料は土となじむまでに時間がかかるので、土づくりは種をまく1~2週間前には終わらせておきます。プランターで栽培する場合には市販の野菜用培養土で大丈夫です。

春まきは3月下旬から5月、秋まきは8月下旬から10月上旬ごろ、60cm幅の畝に1平方メートル当たり堆肥約2kg、化成肥料約100gを入れてよく耕し、列間30cmの2列のまき溝をつくり、2cm間隔にタネをまきます。

ビーツの間引きのタイミング

ビーツは1粒の殻の中に種が2~3粒入っています。そのため種をまくと1粒から2~3本の芽が出てきます。それぞれの本葉が1~2枚になったころに最初の間引きをします。太く力強い芽を残して3~4cm間隔に間引いていきます。間引きの方法は芽の根元をはさみで切り落とします。間引いたら残した芽を支えるように軽く土寄せをしましょう。

さらに本葉が3~4枚の時に5~6cm間隔に、本葉が6~7枚の時に10~12cm間隔になるよう間引きしていきます。病害虫を防ぐためにも間引きは大切な作業です。くれぐれも密集させたまま栽培しないようにしましょう。間引いた芽はそのままベビーリーフとして楽しめます。

2週間に1回、1平方メートル当たり約30gの化成肥料を追肥して土寄せし、本葉6~7枚までに3回の間引きをしながら最終株間を10~12cmにして、根を太らせるのがコツです。

ビーツの防寒対策

ビーツは耐寒性も高く栽培しやすい野菜ですが、育成適温である15℃を下回ってくる季節には防寒対策が必要です。寒冷紗をかけて温度が下がり過ぎることを防いだり、プランターの場合は冷たい風の当たらないところに移動します。寒さに触れると甘さも増しますが生育もまた悪くなるため、栽培場所に合わせた防寒対策を取るようにしましょう。

一方で防寒対策をあえてしない育て方もあります。ビーツをより甘くしたい時には収穫前にわざと2~3日寒気を当てて、糖度を上げさせる育て方を試してみても良いでしょう。十分育っているけれど収穫が間に合わないビーツがある時に、寒気を当てることで生育を抑える育て方もおすすめです。

ビーツを栽培する時の注意点

ビーツに発生しやすい病気

ビーツは同じヒユ科の仲間であるほうれん草と同じ病気にかかりやすい特徴があります。暑さに弱いことから高温多湿にさらされると褐斑病(かっぱんびょう)になることがあります。この他にも軟腐病やそう根病、根腐れ病、苗立枯病など、様々な病気にかかることがあります。

一番の原因は育て方で、ビーツと栽培土壌があっていなかったり生育温度が適正でないことなどが考えられます。ビーツの栽培中に特にかかりやすい病気とその対処法について紹介します。

軟腐病

ビーツの葉や茎、根と全体に発生する病気です。地面間近の地際部分が水で浸みたような状態になります。放置しておくとやがて黄褐色に変わって軟らかくなり、そのまま腐ってしまう困った病気です。腐った部分は強い悪臭を放ち収穫量も減ってしまいます。

湿度が高くなる梅雨の時期や土の水はけが悪いまま栽培した場合にも発生します。この他にも連作障害が原因でかかることもあります。対処方法は発病した株を根から全てを抜き取って処分するしかありません。栽培土壌をきちんと準備し葉が茂り過ぎた場合には間引くなど、育て方を気を付けることで予防しましょう。

褐斑病

ビーツに限らず様々な植物の葉に発生する病気です。カビの仲間である糸状菌が原因で、葉に円形の褐色の斑点ができることから褐斑病といいます。放置しておくと糸状菌が葉の全体に広がって枯れてしまいます。カビが原因であることから他の葉にも伝染しやすい病気です。発病した葉を見つけた場合はすぐに取り除いて処分します。

褐斑病は通気性が悪いと発生しやすくなります。そのため有効な予防方法は株間を適切にとった育て方をすることです。間引きをきちんと行って風通しの良い環境を整えましょう。プランターで栽培している時には、水やりの時に葉に直接かけないようにすることも予防につながります。

ビーツに発生しやすい害虫

ビーツの種を春にまいた時には特に害虫の被害に注意が必要です。防虫ネットをかけても決して全ての害虫を防ぐことはできません。株全体を見渡して虫がついていないかチェックすることも大切です。特にビーツの栽培中に気を付けたい害虫は以下の通りです。

ハモグリバエ

ハモグリバエは葉につく寄生虫です。幼虫は葉の中に潜り込み葉の組織を蛇行しながら食害していきます。そのため葉には白い線を描いたような模様ができます。基本的な対処方法は殺虫剤をまくことです。ただし無農薬栽培にこだわる時は、防虫ネットや害虫が減る秋に種をまく方法がおすすめです。

ヨトウムシ

ヨトウムシは褐色の蛾です。ビーツの葉の裏に卵の塊である卵塊を産み付け、かえった幼虫は葉や茎を食害します。昼間は地中に潜んでいますが夜になると地上に出てきて葉を食い荒らします。葉のかじられた跡やふんなどの痕跡を見逃さないようにし、発見したら葉ごと取り除いで駆除しましょう。

アブラムシ

アブラムシは様々な植物につく害虫の筆頭的存在です。自分の羽で飛んできたりアリが運んでくることもあります。天敵はテントウムシですが、アリが邪魔することもあるためアリの駆除も大切です。

アブラムシは体から出す甘露で様々な病気の原因になるだけでなく、ウイルス病も媒介します。ウイルス病にかかったビーツは、治療方法がないため処分するしかなくなります。効果的な防除手段は殺虫剤になりますが、無農薬栽培にこだわる時には見つけ次第ブラシなどでこそぎ落とすと良いでしょう。

ビーツの品種

デトロイトダークレッド

ビーツの中でも栽培が容易で丈夫なことから、家庭菜園初心者がビーツの育て方を学ぶのにもおすすめの品種です。ビーツらしいビーツで、葉柄から根まで株全体が紫紅色に着色する草丈30cmほどの晩生種です。

根は整った球形をしていて中まで深紅のため、料理の色どりにおすすめの品種です。肉質は軟らかく甘みも強いことから、酢漬けや茹でた後にサラダにするといった食べ方に向いています。

ゴルゴ

根は丸形でゴルフボールから野球ボールくらいで収穫する品種です。放置しすぎると根が割れてしまうため注意が必要です。年輪のような模様が特徴的なビーツですが、同じように栽培しても肝心の模様が薄い場合もあります。

見た目の良さを活かしたサラダとしての食べ方がおすすめの品種です。煮込んでもビーツらしい鮮やかな色は出ないため、スープなどの煮込み料理には向いていません。

エジプト

すぐに育つ早生種で濃赤色と扁平型の根が特徴的なビーツです。栽培期間が短くて済むためすぐに収穫して楽しむことができます。根は直径10~12cm、高さは6~8cmほどになります。

甘さの強い引き締まった果肉をしているため水煮にしても煮崩れしない品種です。そのためその色を活かしたボルシチなどの煮込み料理は、ピッタリな食べ方といえます。

ルナ

形はゴルゴと同じ丸形で、ゴルフボールから野球ボールほどの大きさで収穫します。このビーツの特徴は表皮はオレンジ色、中は鮮やかな黄色というその色です。ゴルゴと同様に黄色い渦巻き模様も入りますが個体差があります。

他のビーツと比べて癖が少なく鮮やかな色をしていることから、薄くスライスしてからサラダに添える食べ方がおすすめです。

ビーツのおすすめの食べ方

生で食べる

鮮度の良い収穫したてのビーツは生でも食べることができます。模様のあるものは皮を剥いて薄い輪切りにし、サラダの彩りとしての食べ方がおすすめです。ビーツの土っぽい癖が気になる方は、お酢やオリーブオイル、塩などで軽くマリネしてから食べると良いでしょう。ビーツ本来の色と甘さを楽しめる食べ方です。

茹でる

もっとも一般的に使える調理法がこの「茹でる」です。ポイントは栄養が流れ出すことを防ぐために、皮付きのまま茹でることです。お湯が沸騰したら少量の塩と酢を加え、ビーツを丸ごと入れて茹で上げます。茹で時間はどのくらい歯ごたえを残すかで決めましょう。歯応えを残すなら15~20分、柔らかくなるまで火を通すなら30~40分が目安です。

茹でてからサラダやピクルス、ロシア料理で有名なボルシチなど、他の料理の彩りや煮込み料理に使っていきます。茹でた後に何にするかで茹で加減を調節しましょう。

ほのかな甘みがあり、ゆでてサラダにしたり、ピクルスなどにも使われます。

ローストする

手間をかけずにビーツ本来の甘みを楽しめる食べ方がこのローストです。茹でる食べ方と同様にローストする際は皮付きのまま焼きます。表面にオリーブオイルを塗ってから少量の塩を振ってアルミホイルで包みます。200℃に予熱したオーブンに入れ40~60分間加熱します。竹串がすっと通れば焼けた合図です。

食べやすく切ってサラダにしたりメイン料理の付け合わせにするなど、食べ方も豊富な調理方法です。

ビーツの栽培方法まとめ

ビーツは家庭菜園初心者でも簡単に栽培できて、様々な食べ方もできる優れた野菜です。連作障害など注意すべき点もいくつかありますが、プランター菜園でもよく育ちます。年に2回栽培できる点もビーツ栽培の魅力の一つと言えます。

あなたも本記事を参考にして自分の手で育てたビーツを使い、様々な料理を試してみませんか?きっとまた栽培してみたくなること間違いなしです!

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