妊婦に生ハムはNGは本当?注意点や食べてしまったときの対処法は?

妊婦は生ハムを食べていけないのかどうかを解説します。妊娠中に生ハムを食べると体や胎児にどんな影響があるのか、原因であるトキソプラズマやリステリアについて徹底的に解説!妊婦が食べてしまったときの対処法や注意点も合わせて説明します。

妊婦に生ハムはNGは本当?注意点や食べてしまったときの対処法は?のイメージ

目次

  1. 1妊婦は生ハムを食べてはいけない?
  2. 2妊婦が生ハムを避けた方がよい理由
  3. 3妊娠中に生ハムを食べてしまったときの対処法
  4. 4妊婦が生ハムを食べるときの注意点
  5. 5妊婦が生ハムを食べるときは注意を守ろう!

妊婦は生ハムを食べてはいけない?

パスタの上に生ハムがたくさんのせられている

妊娠中はリステリア菌が胎児に影響を与えるため、生肉は食べないようにしましょう。食べる際は必ず十分に火を通しましょう。

妊娠中は食事に気を付ける必要があると言われますが、妊婦は生ハムを食べてはいけないと言われていることを知っているでしょうか?厚生労働省でも妊婦が避けたほうが良い食べ物としていくつかの食品を挙げています。ナチュラルチーズやスモークサーモン、肉や魚のパテの他に生ハムが掲示されています。

なぜ妊婦は生ハムを食べてはいけないのか?その原因は、生ハムに含まれているトキソプラズマとリステリア菌にあります。では、妊婦がトキソプラズマやリステリア菌に感染するとどうなってしまうのか?について詳しく見ていきましょう。

妊婦が生ハムを避けた方がよい理由

妊婦が生ハムを避けたほうがよい理由として挙げられるトキソプラズマとリステリア菌は、いったいどんな菌なのでしょうか?それぞれについて詳しく見ていきましょう。

トキソプラズマ

妊娠中、もしくは妊娠前6ヶ月以内にトキソプラズマに感染してしまうと、胎盤を通して胎児に感染し、先天性トキソプラズマ症を引き起こす可能性があります。

トキソプラズマとは寄生虫であり、感染するとトキソプラズマ症を発症します。家畜の肉や感染したばかりの猫のフン、土の中などに普通にいる寄生虫です。牛や豚、馬などの肉を生で食べたり、野菜やハーブを洗わずに食べたりすることで感染します。また土いじりをした手で食事をしたり、猫のフンを触って洗わないと感染することもあります。

感染ルートは生肉であることが多く、馬刺しなどの生肉を食べる習慣がある地域では感染率が高くなるようです。トキソプラズマに感染すると一生体内に寄生します。健康体なら症状が出ることはまれなようですが、妊婦の場合は発症の可能性が高くなります。

妊婦は免疫力が低下していることが多く、特に妊娠初期は注意が必要です。妊婦が食中毒などにかかると胎児への影響から薬が飲めないことがあります。また妊婦は下痢をすると子宮に刺激を与えるので、流産や早産のリスクが高くなる可能性もあります。

リステリア菌

リステリア菌は自然界に広く分布している菌ですが、妊娠中にリステリア菌に感染すると、流産につながったり、赤ちゃんが感染して敗血症となってしまったりすることもあります。

リステリア菌は家畜や野生動物、魚類などの動物だけでなく、河川や下水など自然界に広く分布している食中毒菌です。塩分にも強く、冷蔵庫でも繁殖可能です。リステリア菌に感染しても一般的に重症化することはまれですが、妊婦は健康な成人の20倍リステリア症にかかりやすくなります。

また妊婦は少量のリステリア菌でも感染する可能性があります。妊婦の感染率は通常の20倍といわれます。妊婦自体は重篤な状態になることはあまりありません。しかし妊婦を通して胎盤や胎児が感染すると流産の可能性が高くなり、赤ちゃんに影響が出て敗血症になる可能性があります。

妊娠中に生ハムを食べてしまったときの対処法

妊婦が食べるとリスクの高い生ハムですが、知らずに生ハムをうっかり食べてしまったときにはどうすればよいでしょうか?慌てずまず医師に相談して症状を確認しながら、いざという時のために正しい治療方法を覚えておくと安心です。

医師に相談する

妊娠中に生ハムを食べてしまったら、まずかかりつけの医師に相談することをおすすめします。特に症状がなくても、感染から発症まである程度期間があります。妊婦から赤ちゃんに感染する危険性もあるので、早急に医師に相談して原因や症状などを明確にしておくと安心です。

感染症状

トキソプラズマとリステリア菌はそれぞれ潜伏期間や症状が異なります。潜伏期間ののちに発症するので、症状が出なくても注意する必要があります。

また妊婦がトキソプラズマに初めてかかる場合は、先天性トキソプラズマ症の可能性を考えて検査する必要があるでしょう。妊娠初期ほどリスクが高く、水頭症や視力障害、精神運動発達遅延など重度の症状が出る可能性があります。

トキソプラズマ

加熱が不十分な肉類から感染することが多く、10日から数週間ほど潜伏期間があります。後天的に感染した場合はたいてい無症状ですが、発症すると発熱やだるさ、リンパ節腫脹などの症状が出るでしょう。妊婦の胎盤から赤ちゃんに感染した場合、流産や死産のリスクが高まります。

リステリア菌

リステリア菌は広く感染源があり、加熱されてない肉などからも発症します。潜伏期間は24時間未満から3日以上ですが、1か月以上の場合もあるようです。症状には個人差があり他の感染症と区別がつきにくいです。妊婦の場合は発熱、下痢、悪寒、背部痛などが主な症状で、流産や早産、赤ちゃんが出生後数日で死亡する危険性があります。

検査・治療方法

トキソプラズマとリステリア菌は目で見えない大きさなので、感染しているかどうかは検査する必要があります。症例が少ないため必須の検査とはされていないので、生ハムを食べてしまったらかかりつけの医師に相談して検査をしてもらいましょう。

トキソプラズマの検査では、採血をしてIgG・IgMという抗体の数値を調べます。感染しているとどちらかの数値が高くなり精密検査となります。リステリア菌の検査はPCR法検査などの方法がとられ、妊婦は血液や胎盤の培養による検査が確実とされます。

トキソプラズマ

妊婦が感染した場合、赤ちゃんへ感染することを防ぐためにスピラマイシンという薬を処方され分娩まで服用します。また胎児に感染している場合は、ピリメタミンとスルファジアジンという薬を処方されます。

リステリア菌

リステリア症の治療には主にペニシリン系であるアンピシリンが処方されます。妊婦は特に少量のリステリア菌でも重篤なリステリア症になることがあり、海外で死亡例もあります。妊婦には早急の検査と治療が必要です。

妊婦が生ハムを食べるときの注意点

それでは妊婦は生ハムを絶対に食べていけないのか?というと、実はそうでもないようです。ではどんな点に注意すれば妊婦でも生ハムを食べられるのでしょうか?

新鮮なものか

どうしても生ハムを食べたい場合にはまず新鮮なものを選びます。買った食材は保冷材や保冷バッグを活用して、できるだけ冷やして新鮮な状態で持ち帰るようにしてすぐ冷蔵庫に入れましょう。

加熱するにしろ新鮮で安全な食品を選び、新鮮なうちに調理して食べ切るようにしましょう。輸入品の生ハムを使用するのはなるべく避けたほうが良さそうです。妊娠中に海外に行く場合にも注意が必要です。

加熱されているか

国産の生ハムは徹底的に品質管理と細菌検査が行われていることが多いようです。リステリア菌とトキソプラズマの感染を防ぐためであり、国内メーカーでは妊婦が生ハムを食べることを特に禁止していないようです。

しかし感染の危険がまったくないわけではなく、食べる前には十分に加熱したほうが安心です。リステリア菌とトキソプラズマは十分に加熱すれば死滅します。加熱することで生ハム独特の食感は消えてしまうかもしれませんが、旨みと塩気はそのまま美味しく頂けます。ピザにのせるなどうまく他の食材と合わせるのがおすすめです。

清潔を保って調理する

手をよく洗うこと、まな板や包丁はこまめに消毒をすること、生野菜はよく洗うことなどを習慣にします。

生ハムをよく加熱しても、手や調理器具に菌が付いていると生ハムに付着して体内に入ってしまう可能性があります。なので、目に見えない大きさなので細かいところにも目を配りましょう。調理の際には手をしっかり洗うことはもちろん、まな板や包丁もこまめに洗って定期的に消毒しておくと安心です。

まな板は肉や魚を切るものと野菜を切るもので別にしておくと管理しやすくなります。鍋や調理台、ふきんにまで気を配るようにするとよいです。またそのまま食べる生野菜や果物なども食べる前にはしっかりと水で洗って、表面に付いている菌を落とす習慣をつけるのをおすすめします。

調理後はなるべく早く食べる

調理した生ハム料理はできるだけ早く食べることを心がけましょう。特にリステリア菌はどこにでも存在している菌なので、時間が経てば経つほど菌が付着する可能性が高まり、繁殖して細菌が増えてしまいます。洗った生野菜はもちろん、加熱した生ハムもできるだけ早く食べることで食中毒や感染症のリスクを減らすことができます。

時間が経った生ハムは食べない

作ってから時間が経ってしまった生ハムは、もったいないと思っても食べずに処分することをおすすめします。特に梅雨の時期や夏場は温度と湿度が上がって食べ物が傷みやすく、菌が繁殖するリスクが高まります。またリステリア菌は冷蔵庫でも繁殖するため、冷蔵庫に入れたからと過信することなく早めに食べるのがいいでしょう。

妊婦が生ハムを食べるときは注意を守ろう!

生ハムとなすが乗っているこんがり焼けたピザ

妊婦は生ハムを食べるとトキソプラズマとリステリア菌に感染する可能性が高くなります。感染すると妊婦本人だけでなく胎児にまで影響を及ぼし、時には重篤な症状が出るリスクが高くなります。そのため妊婦はできるだけ生ハムを避けたほうがよく、食べる場合にも加熱して食べるのがおすすめです。

生ハムを食べる場合には新鮮でしっかり加熱することが基本です。ピザにのせるなど他の食材と組み合わせれば美味しく楽しめます。常に清潔な状態を保ちつつ調理後はなるべく早く食べるようにすることで、感染するリスクを確実に減らすことができます。

妊婦は生ハムに限らず生ものを食べる際には注意をしっかり守って、美味しく妊婦生活を楽しむようにしましょう!

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