醸造酢と他の酢の違いとは?醸造酢の選び方とおすすめ商品も紹介

醸造酢は食酢の一つで馴染みのある日本を代表する調味料です。食酢は醸造酢と合成酢と分けられそれぞれ原材料や製法に違いがあります。醸造酢には穀物酢と果実酢があり原材料により味わいや風味が異なるので、こちらの選び方とおすすめ商品を紹介します。

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目次

  1. 1醸造酢とは?
  2. 2醸造酢と他の酢との違いを比較
  3. 3醸造酢の選び方
  4. 4醸造酢のおすすめ商品
  5. 5醸造酢の特徴を活かした使い分けをしよう!

醸造酢とは?

お酢は日本人に馴染み深い調味料で歴史も古く、日本にお酢の醸造技術が伝わったのは4世紀から5世紀頃と伝えられています。米を醸造してお酒を造る技術とともに中国から渡ってきたとされ、米から造る米酢が醸造酢の始まりとされています。

醸造酢とは農林水産省が定めた食酢品質表示基準により分けられた食酢の一つで、家庭用として一般的に流通しているほとんどが醸造酢と呼ばれているものです。食酢は酢酸を主成分とする酸味調味料ですが、原材料・製法・成分によって色々な種類のものがあります。

今回は醸造酢とはどんな調味料なのか?原材料・製造方法・栄養成分について紹介します。また醸造酢を摂取することで得ることができる健康効果を解説します。

原材料は?

醸造酢は原材料により穀物酢と果実酢の二つに大別されます。穀物酢とは原材料として1種類又は2種類以上の穀類を使っているもので、穀類の使用総量が醸造酢1Lにつき40g以上のものをいいます。穀物酢の原材料は米・麦・とうもろこし・サトウキビなどの穀類や穀物でんぷんを使用しています。

果実酢とは原材料として1種類又は2種類以上の果実を使っているもので、果実の使用総量が醸造酢1Lにつき果実の搾汁として300g以上使われているものをいいます。果実酢の原材料は日本ではリンゴやブドウが使用されているのが一般的です。

製法

醸造酢は酢酸菌という微生物の働きでできあがる調味料で長い時間をかけて造られています。穀物酢の場合は原材料の米・麦・とうもろこし・サトウキビなどの穀類を糖化し麹を作りアルコールを作ります。このアルコール成分に酢酸菌を加え酢酸発酵させ、1ヶ月程度熟成した後、ろ過・殺菌を行い瓶に詰められます。

果実酢の場合は果実を摺り下ろすなどして糖化しアルコールを作ります。果実酢の場合も穀物酢に、このアルコール成分に酢酸菌を加え酢酸発酵させ、1ヶ月程度熟成した後にろ過・殺菌を行い瓶に詰められます。

成分

醸造酢の主成分は酢酸でその他糖分やアミノ酸が含まれていて、栄養成分としてはタンパク質・炭水化物・ナトリウムなどが多く含まれています。

多くの健康効果

醸造酢は体に良い有効な栄養成分を含んでいて、直接飲むことはおすすめできませんが、料理に使用され摂取することで色々な健康効果を得ることができます。

醸造酢に含まれる酢酸には腸内で悪玉菌が増えることを抑制できるので腸内環境を整えてくれます。また細菌の繁殖を抑える効果があるので、大腸菌やサルモネラ菌など身体に害を及ぼす菌に対しても効果があるといわれています。

さらに血糖値を抑える効果・疲労回復のスピードを速めてくれる効果・脂肪の蓄積を抑える効果がありダイエット効果も期待できます。

醸造酢に含まれる酢の種類

醸造酢は原料により穀物酢・果実酢・穀物酢と果実酢のどちらにも分類されない醸造酢に分けられています。

穀物酢は穀物を酢酸発酵させて作られる酢で、米酢・米黒酢・大麦黒酢・玄米酢・粕酢・麦芽酢などがあります。米酢は穀物酢のうち原材料として米の使用量が穀物酢1Lにつき40g以上のものをいいます。

米黒酢は穀物酢のうち原材料として米の使用量が穀物酢1リットルにつき180g以上で、これに小麦もしくは大麦のみを加えたものをいい、さらに発酵および熟成によって褐色又は黒褐色に着色されたものをいいます。

大麦黒酢は穀物酢のうち原材料として大麦のみを使用したもので、大麦の使用量が穀物酢1リットルにつき180g以上で、さらに発酵および熟成によって褐色又は黒褐色に着色されたものをいいます。

果実酢は原材料として主に果実を使用したものでリンゴ酢やブドウ酢などがあります。リンゴ酢は果実酢のうちリンゴの搾汁が果実酢1Lにつき300g以上のものをいい、ブドウ酢は果実酢のうちブドウの搾汁が果実酢1リットルにつき300g以上のものをいいます。

醸造酢と他の酢との違いを比較

一般的に流通している食酢には醸造酢がほとんどで極僅かに合成酢という酢もあり、調味酢や合わせ酢と呼ばれる加工酢があります。ここでは醸造酢と合成酢・加工酢の原材料・製法・用途の違いについて比較をします。

合成酢

合成酢が作られ始めたのは大正時代といわれています。合成酢が造られるようになった理由は、醸造酢の製造過程はとても長く製品になるまで平均で5ヵ月から10ヵ月程かかったといわれていいて、全てが天然の素材を使用しているため生産コストが高く販売価格も高価でした。そのような理由から簡単に安価で造れる合成酢が開発されました。

原材料

製品にもよりますが合成酢の原材料は氷酢酸や酢酸・水・砂糖類・カラメル色素・酸味料・香料・食塩・工業用アルコールなどが使われています。さらにできあがった合成酢に醸造酢を混ぜる場合もあるようです。

製法

合成酢の製造方法は氷酢酸や酢酸を水で薄めて、これに砂糖類や調味料を加えて造られます。醸造酢とは異なり発酵や熟成過程をふまないため、細菌の繁殖を抑える効果や血糖値を抑えるなどの健康効果はなく、醸造酢に比べ酸味が強く味わいについても違いがあります。

用途

合成酢は沖縄県を除き一般的なスーパーなどでほとんど見ることがありません。商品にもよりますが醸造酢より合成酢のほうが酸度が高い場合が多く、普通の料理にも使用できますが薄めてから使ってください。

合成酢が日本で一般的に使われているのは沖縄県で、沖縄県にも醸造酢はありますが合成酢が一般家庭でも普通に使われています。正確な理由は分かりませんが沖縄県には酢を料理に使うメニューが少ないため、安く手に入る合成酢を選ぶ方が増え広まったといわれています。

加工酢

加工酢は醸造酢や合成酢に調味料などを加え味付けされたものをいいます。調味酢や合わせ酢と呼ばれ三杯酢・すし酢・らっきょう酢・もろみ酢など様々な商品が販売されています。加工酢には細かな規定がなく化学調味料や添加物が含まれている場合が多く食酢とは区別され、あくまで加工酢という商品として扱われています。

原材料

加工酢の原材料は醸造酢や合成酢で加えられる調味料などで味わいが変わってきます。加えられるものは商品により違いがあり、醤油・砂糖・果糖ぶどう糖液糖・本みりん・食塩・還元水あめ・香辛料などが使われ、商品によっては鯖だし・ほたてだし・にぼしだし・梅エキスなども使用されています。

製法

一般的な加工酢の製造方法は原材料である醸造酢や合成酢に色々な調味料を混ぜ込んで造られます。

用途

加工酢は三杯酢やらっきょう酢など漬物用のものや、すし酢のように酢飯を作るときに使われるものなど用途別に作られる商品が多いようです。食材の味付けはもちろん、米飯用・惣菜用・青果物洗浄用・除菌用など色々な加工酢があります。ちなみにポン酢のほとんどは醸造酢や加工酢ではなく、醤油加工品に分類されています。

醸造酢の選び方

醸造酢は一般的なスーパーから大型ショッピングモールまで色々なところで販売されていて、穀物酢・果実酢どちらもたくさんの種類があり迷ってしまうときもあります。ここでは醸造酢の選び方のポイントを解説します。

原材料で選ぶ

醸造酢は穀物酢と果実酢に大別されどちらも色々な原材料で作られています。一番利用されている穀物酢でも米・麦・とうもろこし・サトウキビ・酒粕など色々な穀物が使用されていて少しずつ味わいや風味に違いがあり、主原料に何が使われているのかとても重要です。

果実酢もリンゴ・ブドウ・柿などの果実を使ったものから、ワインの産地で良く使われているワインビネガー、ワイン用の葡萄の果汁を木の樽で長期熟成させたバルサミコ酢など味わいや風味が全く違うものがあるので、果実酢を購入する場合は原材料のチェックが必須です。

用途に合わせて選ぶ

醸造酢は調味料として使用するものの他に飲用として作られた商品があります。飲用の醸造酢も料理には使えますが料理用と飲用は分けて使用したほうが良いです。

料理全般に無難に使える醸造酢を選ぶなら穀物酢がおすすめです。穀物酢も原材料により味わいや風味が異なるので、料理により合う穀物酢を色々と試してみるのも良いかと思います。果実酢は果実のフルーティーな味わいが特徴でドレッシングなどに最適です。

生産地で選ぶ

醸造酢には地酒と同じように日本各地の醸造元で造られている地酢があり、その土地の原材料を使っていて個性的な味わいと風味が特徴です。現在ではインターネットで購入できる地酢も増えてきているので、たまには志向を換え全国各地の地酢を味わってみるのも良いかと思います。

醸造酢のおすすめ商品

スーパーなどではミツカンの穀物酢・純米酢・まろやらリンゴ酢など定番商品が多く販売され利用している方がたくさんいると思います。ここではあまり見ることの少ないおすすめの醸造酢を紹介します。

あまみ農業協同組合「かけろまきび酢」

あまみ農業協同組合のかけろまきび酢は鹿児島と沖縄の中間にある奄美大島の南に位置する加計呂麻島で伝統的に造られている穀物酢で、四百年にわたる伝統の醸造技術で造られる珍しい逸品です。

かけろまきび酢は奄美地方の自然で育ったサトウキビが主原料で、発酵させるときに使う酵母菌や酢酸菌が加計呂麻島にしかないものを使用して作られるため、かけろまきび酢は加計呂麻島でしか造ることのできない天然酢なのです。

しかも3年間という長い期間熟成させているため、一般的な食酢に比べてまろやかで酸味の中にも甘みがあり癖のない味わいが特徴です。サイズは容量300mlと700mlの2種類がありネットショップでも購入できます。

かけろまきび酢の美味しい飲み方はハチミツ割りで、付属のキャップ一杯のきび酢に対し、5倍から7倍の水で割っていただきます。その他、ジュース割り・日本酒や焼酎割り・ヨーグルトドリンク・きび酢ドレッシングなど色々な楽しみ方があります。

JA奄美製造の伝統健康かけろまきび酢屋ドットコム

坂元醸造「坂元のくろず」

坂元醸造の坂元のくろずは鹿児島県霧島市福山町で、江戸時代から二百年間続く伝統的製法で造られる黒酢です。坂元醸造は三方を丘に囲まれ一方向は海に面していて、年間の平均気温は18.7度の温暖な気候で、黒酢を造るときに必要な発酵に最適な場所にあります。

坂元のくろずは蔵や工場で造られるわけではなく、苗代川で焼かれた薩摩焼の壺を使って造られます。福山町の自然の中にたくさんの壺が並べられた壺畑があり、風土や気候を利用し自然に糖化や発酵が進む世界でも珍しい製法で造られています。 

坂元のくろずには熟成期間により色々な商品があります。1年ものはまろやかでコクのある風味が特徴で、2年もの薩摩は1年ものよりもさらにまろやかで味わい深く仕上がっています。3年もの天寿は長期間の熟成によりコクとまろやかさが際立つ味わいで、5年もの白寿はコクとまろやかさともに一番で、磨かれた深い味わいの黒酢です。 

米を主原料にした穀物酢で、お好みのジュース・ハチミツ・炭酸水・生姜を黒酢と砂糖で漬けてお湯で割る・ドレッシング・煮込み料理・サラダ・肉料理、魚料理など色々な飲み物や料理に利用できます。

黒酢、くろずは鹿児島県福山町の坂元醸造 |

村山造酢「千鳥酢」

村山造酢の千鳥酢は創業250余年の歴史を誇る京都の老舗が技を駆使して醸造された米酢です。厳選された米を原料に熟成した酒粕から仕込み、まろやかで控えめな風味と香りが特徴です。京都の有名料亭・寿司店・フレンチレストランや・中華料理店や一般の家庭で長年愛用されている穀物酢です。

料理のお好みの味付けや寿司や酢の物、サラダのドレッシングなど色々なお料理におすすめです。

千鳥酢|村山造酢株式会社

カネショウ「ハチミツ入りりんご酢」

カネショウのハチミツ入りりんご酢はりんごの産地青森にある大正元年創業の老舗醸造所が造る果実酢です。全国でも珍しい国産完熟りんご100%のりんご酢に純粋ハチミツを加えた健康アルカリ飲料です。

津軽の新鮮な完熟りんごを丸ごとすり下ろし、オーク木樽に入れて長期発酵熟成させる独自のすり下ろし醸造で造られます。水・炭酸・焼酎・ウィスキー・牛乳などで割ったり、酢の物やドレッシングなどの料理におすすめです。

醸造酢の特徴を活かした使い分けをしよう!

今回は醸造酢の特徴や他の酢との違い、選び方やおすすめの商品を紹介しました。醸造酢は使われている原材料により味わいや風味が異なり、料理に合った穀物酢を使えばさらに美味しさがアップします。

果実酢はフルーティーな味わいが特徴でサラダのドレッシングに加えると一味違った味わいが楽します。加工酢は漬物などに最適で野菜に合った酢を選べば美味しく漬け込むことができます。穀物酢・果実酢・加工酢を上手に使い分けて料理の腕をワンランクアップしましょう。

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