九州の醤油が甘い理由は南にあるから?九州の甘口醤油7選も紹介
九州の醤油といえば、トロリとしてまろやかで旨味と甘みがある味わいが有名です。なぜ九州の醤油は甘口になったのか、気になる理由を詳しく調査してみました。他にも、九州の醤油を甘くするための甘味料は、原材料に何が使われているのかなど、九州の甘い醤油の疑問も調べてみました。九州の人も愛用する、美味しいおすすめの甘口醤油も7種類紹介していますので是非、チェックしてみて下さい。
九州の醤油はなぜ甘口?
日本のどの家庭にも置かれている醤油。日本全国、色々な種類の醤油がありますが、中でも「九州の醤油は甘い」というのは有名な話です。醤油は日本農林規格、いわゆるJAS規格によって「濃口醤油」「淡口醤油」「溜醤油」「再仕込醤油」「白醤油」の5種類に分類されます。
甘い九州の醤油は、「濃口醤油」や「再仕込醤油」に属し、そこに甘さを加えて作られています。色味の濃い「濃口醤油」のまろやかな口当たりを生かしながら、旨味と甘みが加わった九州の醤油は、九州地方をはじめ、南の地域で昔から愛されています。それでは九州の醤油がなぜ甘口になったのかを、これから探っていきたいと思います。
九州の醤油が甘い理由
色々な地方で刺身を食べるときに使われている刺身醤油のように、トロリと甘く濃厚な味が特徴の九州の醤油。ここからは、なぜ、九州の醤油が甘いのか理由を一つづつ調べていこうと思います。
気温との関係
出典: http://suumo.jp
まず一つ目の理由として、日本の南に位置する九州は気温が高い地域です。「人間は気温が高く温暖になるほど甘さを求めるようになる」と言われています。九州の砂糖使用量は日本の全国平均よりも10~20%高いことからも、甘いものが好まれる地域であることも分かります。九州の中でも南へ行くほど、甘みが強くなっていくといわれています。
砂糖が手に入りやすかったから
二つ目の理由は、江戸時代に日本が鎖国をしている頃、長崎の出島ではオランダとの貿易が盛んに行われていました。日本では貴重品だった砂糖ですが、長崎では輸入により豊富にありました。そして、現在の沖縄である琉球や奄美大島ではサトウキビがよく採れる地域でもあったため、砂糖が手に入りやすかったと言われています。
当時、長崎では貴重品であった砂糖を使った料理やお菓子をふるまうことがお客様をもてなす基本とされていました。そのため、料理を作る調味料の醤油にも砂糖が使われるようになったと言われています。
海に囲まれている
三つ目の理由は、九州は土地柄すべての県が海に囲まれています。そのため、いつでも新鮮な魚介類を食べることが出来ました。魚は熟成することで柔らかくなり旨味が増すと言われています。とりたての新鮮な魚は、まだ身が固く旨味も少ない状態となっています。
そんな時、甘みや旨味を足した刺身醤油をつけて食べることで、足りない旨味を補ったとされています。また、海の上で魚を食べる漁師がエネルギー摂取の為の糖分を補うために、刺身醤油に砂糖を入れて甘くしたともいわれています。
辛口の焼酎との関係
最後は九州で有名なお酒といえば焼酎ですが、この焼酎も九州の醤油が甘い理由の一つと言われています。九州には焼酎の酒蔵が他の地域と比べてとても多く、地域柄辛口の焼酎を好んで飲む九州の人が多いようです。
糖分が少ない焼酎を飲むとき、一緒に出されるおつまみには甘いものが好まれる傾向があります。つまみとして出される甘めの煮魚や煮物は、辛口の焼酎とよく合うため好まれ、味付けをするための醤油も甘くなったのではないかということです。
九州のおすすめ甘口醤油7選!
九州の醤油が甘い理由は分かりました。ここからは、九州で愛されるおすすめの甘口醤油を7選紹介していきます。甘い九州の醤油はお刺身や、甘めの煮物などにぴったりと合います。家庭に九州の醤油を1本常備しておくのもいかがでしょうか?
フンドーキン「ゴールデン紫 あまくち」
九州で人気のブランド「フンドーキン」の「ゴールデン紫 あまくち」は数ある甘口醤油の中でもかなり甘い味で、煮物を作る時に砂糖がいらないほどです。まろやかな甘みとかつお節の出汁が加えられているため濃厚な旨味は、煮物料理におすすめの九州醤油です。九州の家庭に置かれている醤油としても定番のひとつです。
ジョーキュウ「あまくちしょうゆ」
福岡市の中心、天神で創業から160年続くの老舗醤油屋「ジョーキュウ」の「あまくちしょうゆ」は伝統技術を守り作られた伝統の醤油です。ジョーキュウでは醤油も種類がたくさん作られていますが、「あまくちしょうゆ」はその中でも一番甘い濃口醤油となります。
九州では家庭以外でもレストランなどで業務用としても使われており、うまくち醤油よりさらに甘みと旨味が強く、九州の味にとてもマッチしています。本格的な九州の味を求める人におすすめの九州醤油です。
カネナみそしょうゆ「こいくちしょうゆ 福 甘口」
カネナみそしょうゆ(長友味噌醤油製造元)が製造販売する甘口の濃口醤油「こいくちしょうゆ 福 甘口」です。約1年かけて発酵熟成させ丁寧に作られた醤油に、甘みが加えられています。
万能タイプの濃口醤油で、甘口醤油にしては珍しいサラッとしたタイプとなります。煮物にはもちろん、おかかのおにぎりにもピッタリです。卵かけご飯や、冷ややっこなどにかけてそのまま食べても美味しい、おすすめの九州醤油です。
ニビシ「特級うまくちさしみ」
福岡で1919年に創業した老舗醤油メーカー「ニビシ醤油株式会社」の「特級うまくちさしみしょうゆ」は本醸造醤油をベースにした刺身醤油となります。まろやかな口当たりと十分な旨味と甘みが刺身のおいしさを引き立ててくれます。
刺身はもちろん、お寿司にもぴったりと合い、魚介に欠かせない九州の美味しい刺身醤油としておすすめです。九州の人の中には、刺身醤油はこれと決めている人がいる程の定番の刺身醤油です。
佐野みそ「九州 甘口しょうゆ 茜」
東京の発酵食品専門店「佐野みそ」から販売されている「九州 甘口しょうゆ 茜」は、九州産の材料を使い作られた食品添加物不使用の醤油となります。材料には福岡県産の大豆、小麦、氷糖蜜と長崎県産の塩を使っており、トロリとしたまろやかさの安全安心な九州醤油です。
会社は九州ではなく東京のメーカーですが、九州の材料にこだわって作られています。無添加なので、添加物が気になる方や、小さな子供のいる家庭には離乳食にも使えるおすすめの九州醤油です。
ヒシク「極あまくち 専醤」
ヒシク(藤安醸造株式会社)は鹿児島で創業された調味料製造メーカーとなります。鹿児島の温暖な気候で作られる「極あまくち 専醤」は甘さと旨さを兼ね揃えた甘口醤油となります。刺身醤油としてはもちろん、煮物や料理の下味にもおすすめの万能に使える九州醤油です。
キンコー醤油「本醸造薩摩甘口醤油」
鹿児島県の醤油メーカー「キンコー醤油」は全国的にも珍しく「もろみ」から醤油づくりを行っています。「本醸造薩摩甘口醤油」は1年かけて造られたもろみを絞った液で作られた、甘口の本醸造醤油となります。トロリとしたまろやかで甘い口当たりは、刺身醤油や九州名物の鳥刺しともよく合います。
九州醤油の甘味の元は甘味料
トロリとした甘さが特徴の九州醤油、甘みの元は甘味料が使われています。ここからは、どのような原材料を使った甘味料が使われているのかを詳しく調べていきたいと思います。
甘味料の原材料
トロリとした甘さが美味しい甘口の九州醤油は砂糖類や甘味料を添加することによって甘く仕上げられています。砂糖類では、砂糖、ぶどう糖、麦芽糖などの糖類が使われています。
甘味料では甘草やステビアなどの植物から採れる天然甘味料や、サッカリン、ソルビトールなどの人工的に作られた人工甘味料が使われています。九州醤油を作る場合は甘さを出すためにまずは醤油を作り、その後に甘みを加えるために砂糖や甘味料を入れています。
無添加甘口醤油
近年では健康ブームや食の安全性を求める声も多くなり、無添加志向もぐっと高まってきています。それに伴い、甘味料を使わないで作る無添加の甘口醤油も製造販売されるようになってきています。
無添加甘口醤油は、甘露醤油とも呼ばれる仕込むときの材料に食塩水ではなく生醤油を仕込み、発酵熟成させた二段熟成醤油を使い作られている甘口醤油。甘酒の材料となる米こうじ、アミラーゼという酵素が作り出すブドウ糖を使い作られる甘口醤油など、特別な製法を使い作られています。
九州の甘い醤油を買ってみよう!
九州の甘い醤油について調べてみましたがいかがでしたか?暖かく温暖な気候で甘いものを求める傾向があったこと、砂糖が比較的手に入りやすかったこと、海に囲まれ新鮮な魚介類が食べられていること、辛口の焼酎に合う甘い料理が食べられていたことなど、九州の生活と食文化が、九州の甘い醤油が生み出された理由でした。
材料に砂糖や甘味料を使い、醤油に甘さが加えられていることも分かりました。九州でおすすめの甘口醤油も7種類紹介しましたので、九州の醤油に興味のある方は是非、購入の参考にしてみて下さい。刺身醤油や煮物に使っても美味しい九州の甘口醤油を家庭に1本常備してみるのもおすすめです。