カルダモンの効果効能9選!カレー以外の使い方も【優秀スパイス】
カルダモンという別名「スパイスの女王」と呼ばれる、世界最古のハーブのひとつを知っていますか。カルダモンはカレー粉にも使われている香辛料のひとつですが、私たちの健康にとっても素晴らしい効果効能があるスパイスでもあるのです。そんなカルダモンはカレー以外の料理にも使えるスパイスです。カルダモンの健康への効果効能はもちろん、カレー以外の料理でのおすすめの使い方まで、たっぷりと紹介します。
目次
世界最古のスパイスであるカルダモンとは?
カルダモンは和名を「小荳蒄(もしくは小豆蒄)」と書いて「ショウズク」と言います。原産はインド・スリランカ・マレー半島で、変種や近縁種が多いのも特徴の香辛料です。そんなカルダモンは世界最古のスパイスと呼ばれるほど、人類と付き合いの長い香辛料でもあります。カルダモンの基礎知識をまとめてみました。
スパイスの女王と呼ばれるカルダモン
カルダモンは別名「スパイスの女王」と呼ばれています。カルダモンは半日陰で水はけが良く、栄養豊富な土壌を好む植物です。さらに暑さに強い反面寒さに弱く、乾燥に弱い反面水はけにも注意が必要なため栽培が難しく、インドでは古くから高値で取引されてきたためとも言われています。そんなカルダモンは名前の由来もヒンドゥー語で「心臓の生薬」と呼ぶことからきていると言われるほど、重要で高価なスパイスだったのです。
カルダモンは長い歴史を持つハーブ
【カルダモン】
— スパイス好きBot (@spice_fun) December 24, 2019
効果:香り付け、味付け
役割:頭痛、消化促進、整腸、口臭防止、脂肪燃焼、疲労回復
南インドが原産で「香りの王様」と呼ばれ、ちょうどよい刺激と上品なカレーが作れます。
割と高価で、 原型の場合は中の種を取り出して使います。 #スパイスpic.twitter.com/b2qUBGQ2Kl
カルダモンは紀元前1000年よりも以前から、インドでは伝統医学であるアーユルヴェーダで利用されてきたと言います。一説では紀元前から古代ギリシャや古代ローマ帝国でも使われていたとされますが、8世紀~10世紀のバイキング時代に入るとロシア経由でコンスタンティノープル(現トルコのイスタンブール)を襲撃し、この地で手に入れたカルダモンを持ち帰って以降、北欧ではカルダモンを多用するようになったとも言われています。
カルダモンは古くはその香りを活かした口臭予防や消化器系の薬の他、解毒剤としても広く使われていました。特に毒殺の危機にさらされていた古代の人たちは、危険に備えて解毒剤の研究に力を入れていましたが、カルダモンを始めさまざまなハーブやスパイスが使われていたと言います。ローマ帝国皇帝ネロの時代に万能薬「テリアカ」が作られましたが、効果は不明なもののこの万能薬にもカルダモンが使われていたと言います。
カルダモンの香りと味
カルダモンの香りは、ユーカリ系とレモン系の合わさったような清涼感のある爽やかな香りで、「高貴な香り」「香りの王様」とも形容されるほど香りに特徴のあるハーブです。古代エジプトでは「聖なる香煙」と呼ばれ、祈祷で焚かれるお香の中にも含まれていたほどです。カルダモンはショウガ科の植物であるものの、ハーブとして使うのは種の部分のため、軽めのピリッとした辛味とほろ苦さを感じる香辛料なのです。
カルダモンには種類が3つある
カルダモンと一言で言っても、その種類は見た目で大きく分けて3種類あります。中には本来のカルダモンとは別物のハーブも含まれています。各カルダモンの特徴と違いを紹介します。
グリーンカルダモン
カルダモンにはいくつか種類がありますが、正式なのがこのグリーンカルダモンです。グリーンカルダモンは正式にはエレッタリア・カルダモマム(Elettaria Cardamomum)といい、インドの自生地の名前を取ってマラバールカルダモンと呼ぶこともあります。インドからマレーシアにかけて分布し、スパイス業界的に最も良いカルダモンとされています。1cm程度のさやの中には、カルダモンの黒い種が10粒~20粒ほど入っています。
ブラウンカルダモン
カルダモンは先にも紹介したように、変種・近縁種の多い香辛料です。このブラウンカルダモンもそんな近縁種の一つで、純粋なカルダモンではありません。そのため正式なカルダモンと違い、風味も粗野に感じられます。さやの長さは2.5cmほどで表面はざらざらし、40個~50個の種が入っています。日本で売られているカルダモンのほとんどはグリーンカルダモンですが、購入の際には間違えないよう注意が必要です。
ホワイトカルダモン
カルダモンの中でもある種の変り種がこのホワイトカルダモンです。このホワイトカルダモンは、実はグリーンカルダモンを漂白したものなのです。つまり見た目の色が違うだけで、ホワイトカルダモンはグリーンカルダモンと同じものということになります。その漂白方法は二酸化硫黄を使って漂白するというもので、ちょっと驚きではありますが買う分には安心して買うことができます。
ただしこのホワイトカルダモンも注意が必要な点があります。タイのカルダモンであるルク・グラワンも、ホワイトカルダモンとして売られていることがあるのです。こちらはグリーンカルダモンとは別の品種のカルダモンになります。見た目もグリーンカルダモンよりも丸い形をしていますが、パウダーになってしまっていてはわかりません。ホワイトカルダモンの購入時には、原産地の確認をするようにしましょう。
カルダモンの健康への効果効能9選
カルダモンは昔から薬として使われてきたハーブだけに、さまざまな薬効を持った健康に良い香辛料でもあります。そんなカルダモンのハーブとしての健康効果に焦点を当てて、特筆するべき9つの効果効能を紹介していきます。
カルダモンの効果効能①疲労回復
カルダモンには、疲労回復時に必要不可欠なビタミンB1が豊富に含まれています。このビタミンB1は糖質をエネルギーに変換するときに、補酵素として働く大切なビタミンです。このビタミンB1が不足すると糖質のエネルギー代謝ができなくなるため、体内に乳酸が溜まって疲れやすくなります。カルダモンは全身に溜まった疲労物質をきれいに掃除して、健康を守ってくれるハーブでもあるのです。
カルダモンの効果効能②美容効果
カルダモンにはさまざまな美容効果も期待できます。ビタミンB2は脂肪燃焼を促すだけでなく、「発育のビタミン」とも言われ、ビタミンCと協力して肌や髪の再生や老化防止にも大きく関与します。またナイアシンも豊富に含まれているので消化器官や肌の健康を守るだけでなく、ビタミンB2同様に脂肪燃焼効果を発揮して、体の中からきれいにしてくれる効果も期待できるハーブなのです。
カルダモンの効果効能③動脈硬化・ガン予防
カルダモンにはビタミンCも豊富に含まれていることは、すでに触れたとおりです。ビタミンCは肌の原料であるコラーゲンの生成だけでなく、その優れた抗酸化作用で私たちの健康を守ってくれるビタミンです。ビタミンCには毛細血管を正常に保つほか、その抗酸化作用で動脈硬化やガンの予防にも効果的なビタミンとして、近年より注目を集めている大切なビタミンなのです。
カルダモンの効果効能④高血圧予防
カルダモンはビタミンCの効果によって、毛細血管を始めとした血管の健康を守るだけではありません。カリウムの効果によって余分な塩分を体外に排出し、高血圧を予防する効果もあるのです。カリウムはその利尿作用によって、摂り過ぎた塩分と水分を一緒に排泄してくれる大切な栄養素です。そのためむくみの解消にも効果的です。カルダモンはそんなカリウムも豊富に含まれる健康スパイスなのです。
カルダモンの効果効能⑤消化器系の不調改善
カルダモンはショウガ科のハーブです。そのため漢方では健胃作用があるとされ、ヨーロッパでも古くから消化器系の薬としても用いられてきた香辛料なのです。その効果効能は唾液や胃液の分泌を促して消化吸収を助けるだけでなく、粘膜の炎症を抑え胃酸過多や胃のむかつきを改善します。さらに腸内にたまったガスを排出する効果もあるのです。消化器官の壁をショウガらしい清涼感で刺激し続け、胃腸の不快感も改善してくれます。
カルダモンの効果効能⑥骨粗しょう症予防
カルダモンにはカルシウムも多く含まれています。そのためビタミンCとの相乗効果によって、より骨粗しょう症予防に効果的なのです。骨粗しょう症予防にはカルシウムだけ摂取しても効果がありません。骨はコラーゲンがないと成り立たないのです。そのためビタミンCも豊富に含むカルダモンは、まさに骨粗しょう症予防にはうってつけのスパイスなのです。
カルダモンの効果効能⑦ストレス解消
カルダモンの香りにはα-テルピネオールと1.8-シネオールと呼ばれる成分が含まれています。そんなカルダモンの香りは、脳の前頭葉に作用して脳の酸素消費量を増やすことで集中力を上げるだけでなく、脳をリラックスさせる効果も持ちます。カルダモンを香辛料として料理に使ってもこの効果は得られますが、一番のおすすめは種を直接噛むことです。香りを強く感じられるだけでなく、噛むという行為でリラックス効果が増します。
カルダモンの効果効能⑧口臭予防
カルダモンの香りは、他のハーブや香辛料と比べても、特に強い香りをしています。その香りの強さで口臭をごまかせるとも言えますが、それだけがカルダモンの効果ではありません。カルダモンの本当の口臭予防効果の理由は、その香りに含まれるシオネールという成分によるものです。このシオネールには消臭効果があるのです。その消臭力はニンニクの臭いを軽減するほど強く、胃から上がってくる臭いにも効果があるほどなのです。
カルダモンの効果効能⑨発汗・解熱作用
カルダモンは中東などの暑い地域では熱冷まし用のハーブとして、逆に北欧などの寒冷地では身体を温める血行促進用の香辛料として使われています。一見真逆の使い方のようですが、その実は発汗作用を促す効果を求めてのことなのです。暑い地域では発汗により体温を下げ、寒い地域では血流を良くし身体を温めることにつながるため、体温調節の一環として健康を考えてのことなのです。
カルダモンのこの発汗作用は、風邪のひき始めなどには汗をかくことによる解熱作用も期待できます。風邪っぽいと感じたときに、ショウガ湯を飲んで早めに身体を温めて汗をかくのと同じ理由です。カルダモンは先に紹介したビタミンB1による糖質の代謝と、ショウガの仲間らしいこの発汗作用により、暑い地域・寒い地域に関係なく健康維持のために活躍できる香辛料なのです。
カルダモンの摂取方法は3種類
カルダモンを摂取する方法は全部で3種類あります。それぞれのタイプごとに特徴があり、カレーなどの料理に合うものや、口臭予防などの目的に合わせた使い方など、それぞれ適したタイプを選びたいものです。カルダモンの摂取方法とおすすめの使い方をそれぞれ紹介します。
カルダモンホール
念願のカルダモンホール買い。ミルも買った(バーミヤンで使いやすさ証明済みw)新大久保のイスラム横丁さすが。幸せ~❤️ pic.twitter.com/C0dB8zPwbL
— 水悠 (@mizuyu12) April 30, 2019
カルダモンホールとは、さやの中に種が入ったままのものを指して言います。カルダモンホールの欠点は香りが出にくいことです。そのため料理に使うときは香りを出すために、さやに傷を付けたり切れ込みを入れるのが使い方のコツです。さまざまな使い方がありますが、カレーのスパイスとしてあえてホールで入れたり、少し砕いてから飲み物に入れたり、ケーキやパンの生地に練りこむなどの使い方があります。
カルダモンパウダー
カルダモンパウダーは、カルダモンをさやごと粉末にしたものです。カルダモンの種子は黒や茶色がかった色ながら、さやごと全てを粉末にするために、パウダーの色は灰白色と呼ばれる色になります。コーヒーやヨーグルトの風味付けを始め、魚料理や肉料理、砂糖と混ぜ合わせたカルダモンシュガーにしてお菓子にと、使い方はさまざまです。ただし香りがかなり強いため、他のスパイスと比べても使う量は少なめにしましょう。
カルダモンオイル
カルダモンの種子には、約5%ほどの精油が含まれています。完熟する前の種子だけを取り除いて乾燥させてから、水蒸気蒸留法で抽出したものがカルダモンオイルです。このカルダモンオイルはエッセンシャルオイルとしての使い方をします。そのためアロマバスやキャリアオイルとブレンドしてマッサージオイルとしての使い方をします。香りがもっとも強いため、カルダモンの香りの効果を早く得たいときにおすすめです。
カルダモンのおすすめの使い方や注意点
カルダモンは、オイル以外は通常料理に入れて使います。一般的にはカレーのスパイスのひとつとしての認知が高いですが、カルダモンはさまざまな料理に使えるスパイスです。カルダモンのおすすめの使い方や、使う際の注意点をまとめてみました。
カレーや煮込み料理の香辛料として
駆け巡る脳内物質っ・・・!
— いなり®️🦊 (@oinaringo_535) December 24, 2019
βエンドルフィン…
バリン、リジン、ロイシン、イソロイシン…!
クミン!コリアンダー!
カルダモン!
カレー!!!!
#いなりカレーツーリング
2019年の〆ーはここだ! pic.twitter.com/Z5lMJnC7FX
カルダモンはスパイスのひとつだけに、やっぱり真っ先に思い浮かぶ料理はカレーでしょう。ですがカルダモンはカレー以外の煮込み料理にも良く合うスパイスです。いつもの煮込み料理にカルダモンを少々入れるだけで、スパイシー感だけでなくコクと旨味も増します。いつもカレーばかりに使わず、他の煮込み料理にもほんのわずか足すだけで、ぐっと美味しい料理に変わるおすすめの使い方です。
お肉の臭み消しとして
カルダモンには消臭効果があることを利用して、ちょっと癖のあるジビエ料理を始めとした肉料理の臭み消しとしての使い方もあります。マトンやレバーのようにちょっと癖のあるお肉はもちろんのこと、冷しゃぶのように普段は気にならない程度の匂いを消したいときにもおすすめです。ただしカルダモン自体が香りが強いので、料理に合わせて調節してください。
コーヒーやチャイに
カルダモンコーヒーは、アラブ諸国ではお客をもてなすときの定番の飲み方です。高価なカルダモンを使うことによって、歓迎の気持ちを表すのだそうです。また本場インドでも、チャイにカルダモンは欠かせないスパイスなのです。コーヒーそのものは身体を冷やす飲み物ですが、カルダモンを入れることによってその発汗作用から身体を温める飲み物になります。コーヒー好きの人は、冬はぜひカルダモンコーヒーを楽しんでください。
カルダモンを摂取するときの注意点
カルダモンは香りが強いため、なかなか過剰摂取までは行きません。ですが粘膜の鎮静効果や胃酸過多、胃のむかつきを抑える効果のあるカルダモンは、過剰に摂取した場合かえって消化を阻害する危険性があります。この他にも胆石や胆嚢疾患、短観疾患がある場合、痛みを軽減する効果があるため、気付くのが遅れたり悪化させる危険もあります。また胎児への影響が考えられる妊婦さんの摂取も、避けたほうが無難な香辛料です。
カルダモンをカレー以外にもいろいろ使ってみよう!
カルダモンは健康的でさまざまな使い方ができるスパイスです。カレー以外でも煮込み料理や肉料理、お菓子や飲み物にも使える香辛料です。カルダモンをいつもと違う使い方で、その香りを楽しんでみてはいかがでしょうか。普段とは違った美味しさに出会えるかもしれませんよ。