エバミルクとは?栄養素や色々なレシピに活用できる簡単な無糖練乳の作り方
牛乳を半分以上濃縮して作られる無糖練乳、エバミルクを知っていますか?コクがあり風味豊かなエバミルクは、ダイエットや美容に敏感な女性に大人気の食材です。エバミルクの栄養素、自宅で簡単に作る方法からエバミルクを使ったレシピまで、まとめて紹介します。
目次
エバミルクってどんなもの?他の乳製品とどう違う?
エバミルクは英語のevaporated milkを略した言葉で、その名の通りミルクをそのまま煮詰めて蒸発させた「無糖練乳」のことです。牛乳を半分以下に濃縮することで得られるエバミルクは、濃厚な風味とコクがあり、栄養価も高い優れた食品です。では、同じようにミルクを原料にした他の食品、コンデンスミルクや生クリームとはどう違うのでしょうか?
エバミルクとコンデンスミルクの違い
エバミルクと見た目もよく似ているコンデンスミルクは、実は作り方もほとんど同じです。違いは砂糖を加えているかどうかと、煮詰める濃度だけと言っても良いでしょう。エバミルクはほとんどが缶入りですが、より濃厚で固さがあるコンデンスミルクにはチューブ入りの物があるのは知っている通りです。
原料の牛乳を約半分まで煮詰めるエバミルクに対して、コンデンスミルクは1/3になるまで濃縮します。乳固形分はそれぞれ25%以上と28%以上、乳脂肪分については7.5%と8%とほとんど差がありません。ただしコンデンスミルクは、原料の約1/5ほどの砂糖を加えることで、完成時にはおよそ50%ほどの糖分を含みます。
エバミルクとスキムミルクとの違い
牛乳をそのまま濃縮させるエバミルクに対して、牛乳から脂肪分を抜いて乾燥させ、粉にした物がスキムミルクと呼ばれます。脂肪分が極端に少ないためカロリーが低いという長所がありますが、その分コクや旨味も薄くなってしまいます。元々牛乳に含まれる乳糖は除かないため、糖分の量はエバミルクとほとんど変わりません。
液体と粉、形は大きく違いますが、エバミルクとスキムミルクの用途はよく似ています。ミルクの風味を出すためにはどちらでも大きな差がないので、粉状で保存性の良いスキムミルクが好き、という方も多いでしょう。ただし同じように使っても、エバミルクの方が濃厚で深みのある味わいを期待することができます。
エバミルクと生クリームの違い
スキムミルクとは逆に、生乳の脂肪分だけを取り出したものが生クリームです。当然乳脂肪分が多く、エバミルクの7.5%に対して生クリームは18%以上と規定されています。砂糖を加えてホイップすればスイーツに、そのままでも料理に使えばコクが出る点ではエバミルクのライバルの1つですが、ヘルシーさではエバミルクに遠く及びません。
エバミルクに含まれる栄養素
別名「無糖練乳」とも呼ばれるエバミルクは、原料である牛乳の栄養素をほぼそのまま引き継いでいます。実際にどんな栄養素がどれくらい含まれるのか、チェックしてみましょう。
エバミルクのカロリーは牛乳の約2倍?でも心配は無用
半分に煮詰めて作るので当然ではありますが、同じ100g中のカロリーは牛乳の67kcalに対してエバミルクは144kcalと高目です。ただし濃厚なエバミルクは牛乳のようにごくごく飲む物ではありませんから、一般的な使用量の大さじ1杯分に換算すると29kcalとかなり低くなります。エバミルクがダイエットに人気なのは、少量でも充分な栄養素が取れるからです。
エバミルクにはミネラルも豊富
牛乳と言えばカルシウムの含有量が高いので有名ですが、エバミルクもその優れた特徴を引き継いでいます。大さじ一杯に含まれるカルシウムの量は28mgと、1食当たりの摂取目安量の1/4程度になります。脂肪の代謝に必要なビタミンB2も0.07mgと多く、さらにカリウム、リン、マグネシウムなどのミネラルもバランスよく含まれています。
エバミルクは自宅で作れる?難しくはないの?
エバミルクは市販でも様々なメーカーから販売されていますが、缶入りで扱いにくいうえにちょっと量が多すぎるのが欠点です。ほんの1回分無糖練乳が欲しい、という時には、自分で作ってしまいましょう。レンジを使えばだれでも失敗なく簡単に作ることができます。
エバミルクの作り方:レンジを使った簡単レシピ
牛乳パック1本分を耐熱のボウルのような大き目の容器に入れ、そのまま600Wのレンジでで12~13分加熱します。途中7~8分で膜が張ってふくれるようなら一度扉を開け、スプーンなどで軽くかき混ぜてください。ポンと破裂するのを防ぐことができます。加熱が終わったらもう一度混ぜ、そのまま冷やせば完成です。
耐熱容器は縦型の物は避けてください。急激に牛乳が吹きあがって失敗してしまいます。できるだけ口が広い深皿やボウルがベストです。レンジなので金属製の器は使えません。また器が小さすぎると途中で牛乳が膨らんであふれてしまうので、やや大げさなくらい大き目な物を選びましょう。
エバミルクの保存期間はどれくらい?
砂糖無添加で作る無糖練乳なので、エバミルクは日持ちしない食材です。できれば使う前に作るのが良いのですが、余ってしまっても捨てるのはもったいないです。手作りのエバミルクは密封容器に入れても保存期間は2日程度と短いので、早めにコーヒーや紅茶に入れて使ってしまいましょう。それでも使い切れない場合は、冷凍保存がおすすめです。
余ってしまったエバミルクを製氷皿に流して、そのまま凍らせてしまいましょう。カチカチになったらジップロックなどに入れて冷凍保存してください。小さなブロックにしておけば、そのまま料理に使えてとても便利なミルク調味料になります。シチューやグラタンを作るときにポンと入れるだけで、風味がワンランクアップします。
エバミルクを使ったレシピ:ちょい足しで便利なミルク調味料に
ミルクの風味が濃いエバミルクは、そのまま使ってもコクと風味をプラスできる優秀なミルク風味の調味料になります。いつもの飲み物にちょい足しのヒントを紹介します。
コーヒーや紅茶に入れるだけで濃厚ミルク風味
一番簡単な無糖練乳の使い道として考えられるのが、飲み物に1スプーン垂らす使い方です。牛乳をそのまま入れると薄くなってしまいますが、エバミルクなら心配ありません。コーヒー、紅茶はもちろん、抹茶にプラスしても美味しい抹茶ラテに大変身です。無糖でもほのかな甘味を感じることができますが、甘味が欲しい場合は後から砂糖を足しましょう。
ひと手間かけて香港風ミルクティー
エバミルクを使った香港の濃厚なミルクティー、香港奶茶風のレシピです。通常の倍程度の紅茶葉を人数分の水に入れ、弱火で真っ黒になるまで煮出します。エバミルクを一人前大さじ1~2杯加えてさらに沸騰させたら、コーヒーフィルターなどで濾して完成です。砂糖はお好みで入れて、驚くほど濃厚で美味しいミルクティーを味わってみて下さい。
さらに一味加えたユンヨンチャーもおすすめ
上の香港式ミルクティーにひと手間加えると、鴛鴦茶(ユンヨンチャー)という飲み物になります。加えるのはインスタントコーヒー。え?紅茶とコーヒー?と思われるかもしれませんが、本場香港では定番のメニューです。コーヒーの分量はお好みで、紅茶の半量~1:1くらいまでがおすすめです。アイスでも美味しいので、ぜひ試してみて下さい。
エバミルクを使ったレシピ:ミルクの風味を活かした料理にピッタリ
洋風はもちろん、中華や和食にもエバミルクは大活躍です。作り方はいたってシンプルで、牛乳を使うところにそのまま置き換えるだけで応用も簡単なので、ぜひいろいろと試してみて下さい。
定番のクリームパスタもこってり大満足な味に変身!
牛乳でクリームパスタソースを作ると、煮詰めるまでに時間がかかってイライラ、なんてことがありますよね。そんな時に役に立つのがエバミルクです。作り方は牛乳をエバミルクに置き換えるだけですが、手軽なのに濃厚な、大満足な一品になります。エバミルクに味噌を少し加えれば、さらにコクがアップしてご馳走気分満点です。
本格中華風クリーム煮も失敗知らず
海老やイカと野菜をクリームで煮込んだトロトロのクリーム煮は、中華料理でも定番のメニューです。材料を炒めてから少量の水で蒸し煮にし、粉末の中華風調味料で味を付けてから最後にエバミルクを加えてひと煮たちさせれば、本格的なクリーム煮の出来上がりです。胡椒やごま油を効かせて、ガッツリ系のおかずになります。
簡単なのに美味しいコーンクリームスープ
調味料の種類が少なくても簡単に作れるレシピです。クリームコーンを鍋に開け、仕上がり量の半分の水で煮立てます。沸騰したらコンソメやチキンのスープの素を入れて溶かし、水と同量のエバミルクを入れて再沸騰直前で火を止めます。これだけで本格的なコーンスープが出来てしまうのは、無糖練乳ならではの底力です。
エバミルクを使ったレシピ:ヘルシーで美味しいスイーツ作り
ミルクや生クリームが活躍するスイーツは、もちろんエバミルクにとっても得意ジャンルです。ローカロリーで使い勝手の良い無糖練乳ならではのレシピはたくさんありますが、代表的なものをいくつか紹介します。
濃厚杏仁豆腐風ゼリーは子供も大喜び
牛乳羹とも呼ばれる、ミルク風味のゼリーの作り方です。少量の牛乳に砂糖を加えて弱火にかけ、よく溶かしておきます。エバミルクを加えて味を見てOKなら、水でふやかしたゼラチンを加えます。そのまま容器に流して冷やすだけで完成です。ゼラチンの量は全体の2~4%くらいまでが柔らかくできる適量と覚えておいてください。
人気のミルクジャムがひと手間で作れる!
買うと高いミルクジャムですが、エバミルクを使って簡単に手作りすることができます。作り方も小鍋で煮詰めるだけというシンプルさで、水分が飛んで黄色みがかってきたら砂糖を加えて混ぜれば完成です。砂糖の量はエバミルクの半量を基準にお好みで調整してください。エバミルクが余ってしまったら、ミルクジャムにして美味しく消費しましょう。
色々なスイーツに活躍する低カロリー素材
カスタードプリンやパンナコッタ、アイスクリームなどで生クリームの代わりにエバミルクを使うと、風味はそのままにカロリーを1/3以下に抑えることができます。逆に牛乳代わりにクッキーやパンケーキに使うと、ミルク風味が濃くしっかりした歯ごたえになります。多くの乳製品の代用に使えるので、オリジナルレシピを編み出してみて下さい。
まとめ:濃厚で低カロリーなエバミルクで健康生活を!
牛乳を煮詰めるだけの簡単な作り方ながら、色々なレシピやダイエットフードに応用範囲が広いエバミルクの魅力、おわかりいただけたでしょうか?カロリー控えめながら美容や健康に必要な栄養素はたっぷりの、まさにスーパーミルクと呼べる食材です。ぜひあなたもエバミルクを作って、そのおいしさを確かめてみて下さい。