蕎麦の種類と特徴は?十割・二八・更科など香りやそば粉の違いは?
日本人のソウルフードといえば蕎麦でしょうか。たくさん蕎麦はあるけれどもその特徴や香りはどんな違いがあるのでしょうか。奈良時代から続く蕎麦の文化を少しでもわかりやすい様にまとめました。蕎麦粉は4種類ある、蕎麦の御三家とその老舗の名前、十割蕎麦と田舎蕎麦の違いとは、二八蕎麦とは、蕎麦のカロリーは、など素朴な疑問も解決できます。蕎麦、蕎麦粉の種類と特徴を簡単に紹介しています。
蕎麦の種類について特徴などを詳しく知ろう!
引っ越し蕎麦、年越し蕎麦など昔から蕎麦と日本人は深いつながりがあります。蕎麦は奈良時代からあるといわれていますが、メジャーに登場してくるのはやはり江戸時代からです。
江戸時代から蕎麦の御三家が登場し、現在も老舗として残っている店舗もあります。昔からある食文化なので蕎麦の種類も多くあります。現在、蕎麦は高級なものからファーストフードまで多岐に渡って好まれています。そこには一体どんな違いがあるのでしょう。今回は蕎麦について紹介します。
蕎麦ついて解説
例えば十割蕎麦や更科蕎麦など蕎麦には種類がありますが、具体的に何が違うのでしょうか。蕎麦の色、香り、喉越しなど考えられますが、実は蕎麦粉の配合が違います。使っている蕎麦粉で色や香りなど微妙な違いが出てきます。では、そもそも蕎麦粉ってなんでしょうか。蕎麦粉には種類があるのでしょうか。蕎麦粉について簡単に紹介します。
そば粉には4種類ある
蕎麦粉の原材料である蕎麦の実は種子です。この種子をすり潰して粉にします。その時に出てくる粉には色や栄養、食感などの違いから蕎麦粉には種類があります。
蕎麦の実を潰すと一気に種子が粉々になるわけではなく、潰れる順番があります。昔は石臼で潰していた為、先に柔らかいところから潰れていき、最後に硬いところが残るわけです。つまり、最初に種子の中心部分から割れ出て次に種子の内側、最後に種子の外殻という順番で割れていきます。それぞれ出てきた粉は色や栄養素にちょっとした違いがあり、蕎麦粉に種類が生じてくるのです。
蕎麦の実を潰すと最初に割れ出てくるのは蕎麦の実の中の中心部です。色は白く、デンプンが豊富で喉越しも歯切れも良い蕎麦が出来上がります。蕎麦のほのかな香りと甘味が特徴です。一番最初に出てくるから一番粉と言われています。
その次に出てくるのが胚芽や胚乳など蕎麦の実の内側にある部分です。ここには炭水化物やタンパク質、ルチンなど栄養満点の部分です。蕎麦の味、香りは一番粉よりも強く、薄い緑色になります。二番目に出てくるので二番粉と言われています。
蕎麦の実を挽いて一番粉、二番粉の次に出てくるのは三番粉です。蕎麦の実の外側や種皮が含まれてきます。ルチンやタンパク質も多く含まれ、香りも豊かです。栄養価は二番粉の方がありますが、香りは二番粉よりも強くなるのが特徴です。
最後に出てくるのが四番粉です。外側の殻まで挽いているので質感は荒く、香りは一番強く、全体的に黒っぽい粉になります。四番粉は主に乾麺などに使われています。
蕎麦の種類を紹介
蕎麦には蕎麦御三家である「藪蕎麦」「更科蕎麦」「砂場蕎麦」に加え、「田舎蕎麦」という蕎麦屋の系列があります。そして、蕎麦粉と小麦粉の配合で種類が違う「十割蕎麦」「五割蕎麦」「二八蕎麦」という蕎麦の種類があります。例えば二八蕎麦の更科蕎麦を食べた、十割蕎麦の田舎蕎麦を食べたという様な麺の種類と蕎麦屋の系列と言った区分けがまずあります。最後にそれぞれの特徴を書いていますので参考にしてください。
蕎麦のカロリーはどれくらい?
蕎麦は茹でて提供されるので、茹で蕎麦についてご紹介します。茹で蕎麦(麺のみ)100gのカロリーは132kcalです。ただ、麺だけで考えると他の日本食である茹でたうどん(100gで105kcal)、茹でたそうめん(100gで127kcal)とカロリーは蕎麦の方が多めではあります。因みにパスタは165kcalと高かったです。
ただ、蕎麦がヘルシーと言われている理由には、GI値が関係しています。GI値とは食べた後、血中に糖質が流れるまでのスピードのことです。値が低ければ腹持ちが良く、高ければすぐお腹が減ってしまうという値です。蕎麦は59、うどんは80でした。うどんは一食250g食べるのに対し、蕎麦は150gと量が少ないにも関わらず、GI値も低いのでヘルシーと言われています。
蕎麦の種類をそば粉の違いや特徴などで紹介
ちょっとした会話で「どの蕎麦が好き?」と聞かれたときに蕎麦屋の系列とその特徴を言えると「お!蕎麦を知ってるな!」と思われるかもしれません。これから蕎麦の特徴を紹介します。
更科蕎麦
蕎麦の実の内側だけでしか取れない真っ白な一番粉から作られます。ちぎれやすい繊細な蕎麦です。蕎麦が白い為、料理の彩りが楽しめその美しさを楽しめる上品な蕎麦です。
藪蕎麦
藪蕎麦は二番粉、三番粉を使っているため少し緑がかっており、蕎麦の味や風味が濃いのが特徴です。緑を出すためにクロレラを入れているところもあります。
田舎蕎麦
更科蕎麦とは真逆の位置付けにいるのが田舎蕎麦です。麺は太くて黒く、香りが濃い蕎麦です。
砂場蕎麦
砂場蕎麦は更科蕎麦と藪蕎麦の中間になります。香りや特徴は更科や薮ほどしっかりした特徴はなく、この2つの中間になります。
十割蕎麦
100%蕎麦粉で作っている蕎麦です。十割蕎麦と聞くと、黒くて太くて香りがしっかりしているというイメージがありますが、一番粉を100%使っても十割蕎麦になります。
見た目が更科系のように白くても、薮系のように緑かかっていても、田舎蕎麦のように黒くても小麦粉が入っていなければ十割蕎麦になるわけです。また、少し前まで十割蕎麦のことを「生粉打ちの蕎麦」「生粉打ち」と言っていました。もしかしたらお店の宣伝文句としてまだ使われているかもしれません。
二八蕎麦
小麦粉が2割、蕎麦粉が8割で打った蕎麦です。蕎麦の風味や喉越しのバランスが良いのが特徴です。つなぎの小麦粉が入っているから本物ではないということではなく、小麦粉を入れることで喉越しや食感が良くなります。多くのお店では二八蕎麦で提供しているところがほとんどかと思います。蕎麦粉に少量の小麦粉を入れるだけでツルッとした喉越しと蕎麦の香りが楽しめます。
五割蕎麦
小麦粉が5割、蕎麦粉が5割で打った蕎麦です。香りはこの中では低いですが、喉越しは二八蕎麦と同等かそれ以上です。スーパーやファーストフードが五割蕎麦になります。蕎麦の香りは落ちてしまいますが、つゆやトッピングなど多岐に渡り合わせやすいのが特徴です。
蕎麦屋の系列で特徴などを紹介
江戸時代、蕎麦が庶民に広まり蕎麦の御三家が登場しました。ラーメンやうどんにもある◯◯系。蕎麦にも薮系、更科系、砂場系と存在します。有名な老舗も紹介してます。
藪系
藪系は幕末、現在の東京千駄木にある団子坂に薮に囲われてた蔦屋という蕎麦屋が発祥と言われています。薮に囲まれていたので、庶民から薮蕎麦と呼ばれていました。
現代では「かんだやぶそば」「並木藪蕎麦」「池の端藪蕎麦」が薮系の老舗として知られていましたが、2016年より「池の端藪蕎麦」は休業しています。薮系蕎麦は蕎麦の風味が濃い為、一緒に頂くつゆは塩辛めで作られています。麺をちょっとつゆにつけて一気に吸うと蕎麦の香りが楽しめます。
更科系
将軍家や大名に献上していたことから「御膳蕎麦」とも言われています。更科系の蕎麦は麺の太さが約1.25ミリととても細いため喉越し滑らかで上品な香りを楽しめます。
キメが細かく水分をしっかり切って作られた更科蕎麦はつゆにつけると一気に吸うので、薮系では相性が良いつゆで食べてしまうとしょっぱくなります。その為、まろやかな甘いつゆ(本がえし)と一緒にいただきます。その老舗は麻布に三店舗あり、「総本家 更科堀井」「永坂更科布屋太兵衞」「麻布永坂更科本店」とどれも近い場所にあります。
砂場系
蕎麦の歴史としては御三家の中では一番古いのが砂場系です。大阪のとある砂置き場だったところに働いている人が手頃で食べられる蕎麦屋が一軒あり、砂場にあるから砂場と慕われたのが発祥と言われています。砂場系は江戸時代に東京へ進出したと言われています。
「砂場総本家」「巴町砂場」「室町砂場」「虎ノ門大坂屋砂場」と老舗がありましたが、現在巴町砂場は閉店しました。砂場系蕎麦は更科と薮の中間の甘辛つゆで、蕎麦もその中間になります。
蕎麦の種類を知ってその違いを楽しんでみよう!
いかがでしょうか。蕎麦は奥深く楽しい食文化です。ちょっとした会話でも蕎麦について語れると格好いいです。蕎麦を楽しもうと考えている方はまず蕎麦の系列店から試してみてはいかがでしょうか。大切な人と蕎麦の違いを知るのも楽しいです。ざるそばを頼むと蕎麦湯が楽しめますし、蕎麦そのものを楽しめます。ぜひ、試してみて下さい。