そばの消化する時間はどのくらい?うどんとそば消化が良いのは?
そばが消化するまでの時間はだいたいどれくらいなのでしょうか。消化の良い食べ物として、風邪をひいたり、胃腸の調子が悪いときによく食べられているうどんと比べてどれくらいの違いがあるのでしょうか。まずは、消化と吸収のメカニズムについて、それから、そばとうどんの消化について、さまざまな角度か比較して見ていきたいと思います。消化不良にならないうどん、そばの食べ方や食材やうどん、そばの選び方など解説していきます。
目次
そばを消化するにはどれくらい時間がかかっているのか知りたい!
そばは、健康食品としても人気のある食べ物です。美味しいのはもちろんですが、健康のため、美容のために食べている人も多いそばですが、健康に良いとは知っているけど、そばは消化には良いのか、そばを食べてから消化までにどれくらい時間がかかるのか、そのことを知っている人は少ないようです。ここでは、そばは消化が良い食べ物なのか、消化の良い食べ物といわれている「うどん」と比較しながら分かりやすく解説していきます。
うどんもそばも消化は良い
「うどん」と「そば」どちらが消化が良いの?という疑問を解消する前に、まずは、人間が体内でおこなっている食物を消化して吸収、排泄するまでの仕組みを改めてみてみましょう。
消化・吸収のしくみについて
消化とは、食べた物を吸収出来る大きさまで分解して、体内に取り入れやすい形にするまでのことをいいます。消化するとは、食べ物をドロドロに溶かしたり、かみ砕いて体の栄養にすることです。消化には、咀嚼などの物理的な分解と、消化酵素やホルモンなどによる化学的な分解があります。人間は、食べ物を口から摂り入れ、その栄養分をベースに活動エネルギーや体を作る材料としています。
食べ物は、口から入って歯でかみ砕かれると同時に、口腔の中で唾液と混ざり合って粥状になります。炭水化物の一部は唾液から出た消化酵素アミラーゼで分解されて、その後、食物は食道をゆっくり通り、胃へ送られます。胃では、食物が溜まり始めると、胃の蠕動運動によって強酸性の胃液で食物を殺菌して、ペプシンという消化酵素によってタンパク質の一部を分解します。
胃の中でドロドロになった食物は小腸の上部、十二指腸に送られます。十二指腸では、胃から送られてきた酸性の食物をアルカリ性に中和して粘膜を保護しながら、胆汁と膵液を加えて食べ物の本格的な消化を始めます。消化活動によって小さな分子に分解された栄養素は、小腸でより小さな栄養素にされて吸収されます。その後、小腸を通り肝臓へと運ばれます。
脂肪はいったんグリセリンに分解されてリンパ管から静脈に入って、全身に送られていきます。大腸では、残っていた水分の大半が吸収されて、吸収不可能な物質や細菌などが糞便となって直腸から肛門へ排泄されていきます。これが、体内でおこなっている消化・吸収・排泄の流れです。
暴飲暴食の体への負担
消化・吸収のしくみをみていくと、消化が良いとは、胃に食べ物が長くとどまらないことということが分かります。このしくみから、暴飲暴食がいかに体に悪影響を与えるかが分かります。たくさんの食べ物を食べると、胃で大量の食べ物が溜まり分解される順番を待ちます。消化されるまでの時間が長くなれば長くなるほど消化不良になり、その作業には時間がかかり、その分、胃腸、内臓への負担が多くなります。そもそも、食事をすること
自体が、体に負担をかけているということです。その負担は、食べ物を消化する負担、消化した食べ物を吸収する負担です。暴飲暴食が続くと、この2つの負担が休むことなく体にかかり続けて、消化管、消化器官などが悲鳴をあげて正常に機能しなくなってしまいます。内臓の老化が著しい現代人にとって、少しでも消化の良い食べ物を摂ること、消化不良にならないように、暴飲暴食を控えることが消化・吸収力をあげることに繋がります。
うどんとそばは消化が良い?
結論からいうと、そばもうどんも消化の良い食べ物になります。では、なぜうどんは消化の良いもので、そばには消化が悪い、消化不良になりやすいというイメージがあるのでしょうか。その理由は、原材料の違いや食べ方にありました。
また、昔ながらの製法で作られたうどん、そばと現在のさまざま添加物が入っているうどんとそばとの違いでも大きな違いがあります。正しい製法で作られているか確認する必要もありそうです。では、その辺りも含めてうどんとそばの消化について、見ていくことにしましょう。
そばとうどんの原材料と消化の関係性で消化の良し悪しに納得!
そばの消化はそば粉よりもつなぎに注目しよう!
ここではまず、そばの原料について見ていきます。そばを作るのに必要な材料は、そば粉、つなぎ、水です。つなぎを使わずにそば粉だけで作られるのが十割そばです。そば粉にお湯を加えてそば粉のでんぷんを糊化したものをつなぎにして十割そばは作られます。
その十割蕎麦に小麦粉を2割加えたものが二八そばです。2割の小麦粉に8割のそば粉で作られることから二八そばといわれています。小麦粉の他につなぎとして使われる食材は、長芋、山芋、ふのり、卵などがあります。つなぎを使うことでそばに粘りや独特の食感、コシが生まれます。新潟県のそば、へぎそばは、ふのりをつなぎにして作られたそばです。
そば粉の種類によっても呼び名が変わります。蕎麦の実を挽くと最初に出てくる一番粉を使用したそばを「更科そば」といいます。最初に挽いた白く上品な香りが特徴です。東京などでよく食べられています。次に、そばの実の緑色の甘皮部分を挽きこんだ鶯色のそばを使っているのが「藪そば」です。そして、そば殻を挽きこんだ黒っぽいそば粉で作られたものを「田舎蕎麦」といいます。つなぎに山芋などを使用しています。
近年では、そばを作る原料に、ダッタンソバを使って作られているそばも流通しています。以前は、苦みが強いとして食用には不向きとされていたダッタンソバですが、2000年代に入り、普通そばと比べてルチンの含有量が多いが注目されて、健康ブームによって人気に火がつきました。
ルチンとは、植物に含まれているファイトケミカル、ポリフェノールの一種です。毛細血管を強化して内出血を防ぐ働きがなどがあり、動脈硬化や脳梗塞の予防に効果があるといわれてます。
消化不良を起こさずにそばを美味しく食べるポイント①添加物
そばには、そば粉だけで作られたもの、つなぎに小麦粉や長芋などを使って作られているものがあります。そばの種類にも違いがありました。では次に、一般的にスーパーマーケットなどで売られているそばについてみていきます。
そばといっても、スーパーマーケットなどで売られている種類はさまざまです。ゆで麺、半生麺、乾麺、冷凍麺、インスタント麺などが並んでいます。使い勝手がよく、便利なものほど保存料や酸味料、増粘剤などの添加物が入っていると思って良いでしょう。忙しいとついつい便利な物に手を伸ばしがちですが、体への影響を考えて、購入前には必ず原材料を確認することを忘れないようにしましょう。
そばが作られる材料の基本は、そば粉、水、つなぎ(長芋、ふのり、こんにゃく、卵、小麦粉など)です。原材料を確認してよく分からないものが入っている場合には、手に取らないのが一番です。一例として、チルドのゆでそばの原材料を見てみると、そば粉、小麦たん白、小麦粉、食塩、加工でんぷん、グリシン、酸味料、クチナシ色素が入っていました。
原材料でよく分からないものを調べてみました。小麦たん白とは、小麦粉の中からタンパク質だけを抽出してつくる食品のことです。別名グルテンと呼ばれるもので、麩がそれにあたります。加工デンプンとは、デンプンに化学薬品を加えてデンプンの分子構造を変えたものです。安全性については、まだ不確かな部分が多い添加物です。ヨーロッパでは乳幼児向け食品への使用が禁止されている加工デンプンもあります。
グリシンとは、アミノ酸のひとつです。体内でも生成されているもので、比較的安全性の高い添加物といわれています。酸味料とは、食品に酸味をつけるために添加されるものです。もちろん、クエン酸や乳酸なな酸味料もありますが、中には化学合成された酸味料も数多くあります。酸味料は一括表示ができるので、酸味料として何が使われているかは、消費者には分からないものもあります。
避けたい酸味料を一例として、リン酸、アジビン酸、グルコン酸、コハク酸、リンゴ酸、酢酸などです。
消化不良を起こさずにそばを美味しく食べるポイント②つなぎの割合
そばを消化不良を起こさずに食べるために気をつけておきたいポイント②は、つなぎの割合です。そば粉に含まれているデンプンは、ジアスターゼ(消化酵素)によって消化・吸収が早い食品です。また、糊化する温度が低いので、水だけで溶けます。そば粉は消化の良い食べ物であることがこのことからも分かります。
つなぎを使わずに、そば粉と水だけで作られた十割そばは消化に良い食べ物です。食べ方も、糊化温度が低いので温めて食べても、冷やして食べても、消化には違いはありません。結論、十割そばが一番消化に良いとされます。そばは、つなぎの量、割合が少なければ少ないほど消化がよいと考えましょう。
消化不良を起こさずにそばを美味しく食べるポイント③つなぎの種類
そばを作るのに使われているつなぎは、山芋、長芋、ふのり、こんにゃく、そして小麦粉が一般的です。つなぎを入れることで麺に独特の食感とコシを出すことができること、また、つなぎは入ることでそばが打ちやすいというのもおおきな特徴のひとつです。消化の面から考えると、小麦粉を使っているそばが消化に時間がかかるといえます。小麦粉の割合によってもかわります。多くなれば多くなるほど、消化には時間がかかるでしょう。
また、そば粉に小麦粉を加えることによって喉越しが良くなり、十割そばと比べて、噛む回数が少なくなるということで消化不良になることも理由のひとつです。
消化不良を起こさずにそばを美味しく食べるポイント④トッピング
そばと一緒に食べることで、消化不良を起こさず、消化を助ける効果がある食材を紹介します。まずは、長芋、山芋です。とろろそばはおすすめです。次に、大根おろし、梅干しです。大根おろしや梅干しは、弱った胃腸を整える効果が期待できます。また、風邪をひいている時などは、温泉卵、半熟卵も栄養価が高くなるのでおすすめです。
消化も良く栄養満点のそば湯も忘れずに!
そば湯とは、そばを茹でた後のお湯のことです。元々はそば処で有名な信州の風習です。その昔、信州では胃腸の調子が悪いときにそば湯を飲むと調子がよくなるといわれていました。そこから、そばを食べた後にそば湯を飲むという風習が広まり、現在に至ります。そのほかにも、そば湯にはさまざまな効果・効能があります。
出典: http://bijoh.com
そばは、栄養価が高く健康食品としても人気の食べ物ですが、そのそばに含まれている栄養素がそばを茹でたお湯、そば湯に溶けだしています。その成分は、食物繊維、ビタミンB1、B2、タンパク質にルチンなどです。食物繊維はご存知の通り、便秘解消効果があります。ビタミンB1、B2には、皮膚や粘膜の健康維持に関わる働きをしているので、胃もたれや消化不良、食欲不振に効果があります。
そして、そばに含まれる栄養素として代表的なのが、ルチンです。ルチンには、毛細血管の強化や動脈硬化の予防、血圧降下の作用があります。そばを食べて、そば湯まで飲んで、そばの栄養をすべて摂ることができます。そば湯は忘れずに飲むようにしましょう。また、胃もたれや消化不良を起こしていて食欲がない時には、そば粉をお湯に溶かして、そば湯にして飲むのもおすすめです。
うどんの原材料小麦粉に消化が良い秘密があった!
うどんを作る材料は、小麦粉と塩と水です。うどんに使う小麦粉は中力粉です。うどんを作る材料ということから中力粉はうどん粉ともいわれています。そばと比べて、うどんのほうが消化に良いとされている理由の一つが、この小麦粉の成分にあります。小麦粉は炭水化物です。炭水化物(糖質)の特徴は、胃に留まる時間が少なく、体に吸収されやすいのが特徴です。
そばも炭水化物ですが、そば粉には炭水化物の他に食物繊維が含まれています。食物繊維は、胃から腸へゆっくりと移動するので、うどんに比べて時間がかかってしまいます。その分、うどんよりも満腹感が続きます。
そばとうどんどちらが早く消化する?
そばの消化時間はどれくらい?
そばの消化時間は、そば100グラムあたり、2時間30分くらいといわれています。この時間は、そばが胃の中で消化されて、胃を出るまでの時間です。ただ、つなぎの量や種類によっても消化時間に差があります。そばの中でも小麦粉のつなぎを使っていない十割そばが消化時間は短くなります。つなぎの量が増えるほど、消化に時間がかかります。
ただし、十割そばでも、そばの挽き方によって、食物繊維の量やタンパク質の量で多少の違いが出てきますので、だいたい2時間30分くらいを目安にしておくのがくらいが良いでしょう。
うどんの消化時間はどれくらい?
うどんの消化時間は、うどん100グラムあたり2時間45分といわれています。この時間は、うどんが胃の中で消化されて、胃を出るまでの時間です。そばとうどんの消化時間を見ると、そばの方がわずかですが、15分消化時間が短いのが分かります。ただ、現在の一般的な認識として、さまざまな実験結果からしてもこの消化時間には、疑問が残ります。この結果からみると15分そばの方が消化が良い食べ物となります。
ただ、どんなそばを使った実験結果なのかその詳細はありませんでした。うどんとそばを比べると、そばには食物繊維が含まれています。食物繊維は胃で消化することができない分、消化に時間がかかる栄養素です。消化時間とは、胃の中で消化されて、胃から出るまでの時間のことです。
そばとうどんの消化時間には疑問が残りますが、つなぎの量や挽き方、生めん、乾麺など、どんなそばで実験したかでも変わってきます。自分のコンディションによっても変わります。おおよそ2時間30分くらいと把握しておきましょう。大切なのは、消化した後の吸収、排泄の働きです。胃で吸収しやすいように分解された食べ物を、今度は小腸で吸収、そして最後に残ったものが、大腸の腸内細菌などによって便として排泄されます。
口から肛門までの消化管の長さは約9メートルあります。胃の中で、そばで2時間30分、うどんで2時間45分滞在した後、次に小腸の中で約5時間ほど、最後に大腸の中で10時間ほどかかるといわれています。食べ物を食べてから排泄されるまでにだいたい24時間~48時間かかると考えられています。消化の良い食べ物として認識されているのは、消化・吸収・排泄すべて含めたものが一般的です。
そばよりもうどんの方が、消化の良い食べ物だといわれています。その理由のひとつは、そばに含まれている食物繊維にあります。食物繊維は、胃の中で消化することができません。人には、食物繊維を消化する酵素がないからです。そのため、胃をゆっくりと時間をかけて通過します。その点が、胃に負担がかかるといわれていますが、その分、腹持ちがよく、血糖値も緩やかに上昇するというメリットもあります。
そばうどんの消化を早くしたいときは調理法を一工夫する
胃の調子が悪い、風邪ぎみ、食欲がないなど、体調が優れない時のために、消化に、胃に極力負担がかからない食べ方を紹介します。その方法が、そばやうどんを煮込むことです。添加物などは入っていない、うどんなら小麦粉と塩、そばならそば粉とつなぎが基本のものを選んで、じっくり麺が柔らかくなるまで煮込みます。そしてよく噛んでゆっくり食べるようにしましょう。
よく噛んで食べることの重要性
暴飲暴食の消化への負担を上げましたが、もうひとつ、体に負担をかけている食べ方があります。それが、早食いです。胃もたれ、消化不良を起こす原因のひとつです。早食いのは大食いと同じくらいのダメージを胃に与えているといわれるほど、百害あって一利なしです。では、早食いをすることでどんな影響があるのか見てみましょう。
①胃腸に負担がかかる。しっかりと咀嚼していない食べ物が胃の中に入ってくると、まず胃がびっくりします。胃は必要以上に働かなければいけません。咀嚼されていない分、消化に時間がかかってしまい、消化不良の原因になります。②太りやすくなります。おなかいっぱいと満腹中枢が感じるまでの時間が食事を始めてからだいたい15分~20分といわれています。特に、麺類は早食いになりがちですので注意しましょう。
③血糖値が急激に上昇に繋がります。④咀嚼の回数が少ないと、唾液の分泌量が減る為、口臭の原因になります。早食いを予防する方法として、①ながら食べをしない。スマホやテレビなどを観ながら食事をしない、食事に集中する。②噛むことを意識する。15分は時間をかける。②だけでも、意識すると随分改善されると思います。意識と心掛けが大切です。ゆっくり噛むことで、小顔効果やダイエット効果、老化防止になります。
胃もたれのときにはそばではなくうどんを食べること
胃もたれ、消化不良、胸やけや胃痛などの症状があるときには、食事に気を配ります。おすすめの食べ物は、やわらかめに茹でた、もしくは煮込んだ素うどんです。つゆは薄味にして、具材も天かすなど油ものは避けて、出来るだけシンプルにねぎなどの薬味程度にしましょう。特に胃に刺激を与える食事は避けます。例えば、辛い食べ物(香辛料を使わない)、食物繊維が多い食べ物、揚げ物、アルコールなどです。
よく噛んで食事をします。水分補給も忘れずにします。水分が水が基本ですが、冷たい水も胃に刺激を与えてしまいますので、常温の水または、白湯をこまめに飲むようにしましょう。うどんのほかにも、食物酵素が含まれている果物、バナナやりんごもおすすめの食べ物です。
そばうどんの消化の差を知って場面に合わせて食べよう!
そばとうどんの消化についていかがでしたか?そばとうどん、栄養素の面からそばと比べてうどんの方が消化時間が早いということですが、その時々の状況によってかなり差があることが分かりました。そばに関しては、つなぎの量の問題、そばとうどんに共通して、トッピングやつゆ、添加物などの加工具合によっても、消化時間は変わってきます。
ただ、消化の良い食べ方として、柔らかく茹で上げた麺、煮込んだ麺が良いことや、うどんの主な栄養素は糖質(炭水化物)という点から、すばやくエネルギーになること、胃もたれや消化不良、風邪などの体調が悪いときや運動前などのエネルギー補給に食べるとよいと分かりました。また、そばには、食物繊維やルチンといった栄養成分が多いこと、健康食品であることが分かりました。
より消化に良いおすすめのトッピングも分かりました。原材料を見て、添加物などが入っていない、品質の良い、製法にこだわったそば、うどんを選ぶこと。そして、ゆっくりとよく噛んで食べることで消化不良が防げること、それがなにより大切なことだということも分かりました。これからも、日本の伝統食である、そば、うどんを大事に、じょうずに、消化よく、食べていきましょう。