2018年08月20日公開
2024年07月30日更新
エストロゲンとは?大人の女性に作用する食べ物・飲み物をご紹介!
女性なら何歳になってもキレイでありたいと思うものですが、実は女性がキレイであるための要素に「エストロゲン」という女性ホルモンが関係していることを知っているでしょうか?エストロゲンは女性の美容と健康に影響を与えるホルモンで、年齢を重ねると減少して更年期障害になることもあるのですが、実はエストロゲンは増やすことができるのです。今回はエストロゲンを増やすためにはどうしたらいいのか、どんな食べ物や飲み物にエストロゲンが含まれているのか、詳しく紹介していきます。
エストロゲンの働きや増やす食べ物や飲み物について知りたい!
私たちの体の中にはいろんなホルモンがありますが、その中でも女性の体のリズムを作り美容や健康に影響を与える「エストロゲン」という女性ホルモンがあります。エストロゲンは肌や髪のつや、健康を保ってくれるのですが、加齢ともに減っていき、更年期障害や乳がんなどを引き起こす原因にもあります。しかし食べ物や飲み物、サプリメント、漢方などで分泌を促しエストロゲンを増やすことができる、と言われています。
できることなら、いつまでもキレイで健康な体でいたいものです。それが身近にある食べ物や飲み物を摂ることで効果がでるのなら、手軽ですぐ実践できそうです。今回は、エストロゲンとはどんなもので、減少すると体にどんな影響が及ぼすのか、それを防ぐためにはどうやったら増やすことができるのか、そして食べ物や飲み物によってエストロゲンの分泌を促して増やす方法を詳しく紹介していきます。
エストロゲンについて
ホルモンとは、私たちの体内で分泌される物質で、内分泌腺で作られてから血液などを通して各器官や組織を運ばれ、それぞれ特定の器官に影響を与えコントロールします。例えば甲状腺で作られた甲状腺ホルモンは全身の代謝を促進し、膵臓で作られるインスリンは肝臓からの糖の量をコントロールする作用があります。そんな多数あるホルモンのうち、女性の体をコントロールする女性特有のホルモンを「女性ホルモン」と呼びます。
女性ホルモンの種類は2種類
女性の体は年齢とともに段階を経て変化します。初潮から妊娠、出産、閉経まで女性特有の体の仕組みをコントロールしています。女性ホルモンは卵巣から排出されるホルモンで、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステン(黄体ホルモン)の2種類があります。それでは、それぞれどんな働きをするのか見ていきましょう。
エストロゲンとは?
エストロゲンは卵巣で分泌され、女性の体を作る手助けをするホルモンです。分泌量の増える12歳くらいになると初潮が始まり、思春期には乳房や子宮の発達を促し、身長や体重の増加にも影響します。20~30歳台には安定して分泌され、女性らしい丸みのあるボディラインを作ったり肌や髪のつやを維持したりする美容や、骨密度を保ったり悪玉コレステロールを抑えたりする体全体の健康、脳や自律神経に深く関わっています。
プロゲステロンとは?
プロゲステンは思春期・成人女性の卵巣の黄体から分泌され、妊娠中期以降になると胎盤からも分泌されるホルモンです。体に水分を保つ作用もありますが、子宮を妊娠できるように内膜を整えて、乳腺の発達や体温の上昇にも関わり、出産までの間妊娠を維持していきます。排卵後に体温が上昇してだるくなったり、頭痛や精神的に不安的なりイライラするのも、このプロゲステンが関わっています。
エストロゲンとプロゲステロンとの違い
エストロゲンとプロゲステンは、どちらも卵巣から分泌され月経周期を安定させる働きを持つホルモンです。エストロゲンは生理後から排卵時期に分泌が多くなり、女性らしい体を作り美しくする作用があります。一方プロゲステンは、排卵後に主に分泌が多くなるホルモンです。排卵後、着床がなければ生理が始まる準備を始めます。受精卵が着床すると、妊娠の準備をするために働き続けます。
女性らしさを作るエストロゲンの働きとは?
エストロゲンは、女性らしい丸みのある体を作り、コラーゲンの生成を助けて肌や髪の潤いを維持します。乳腺や子宮を発達させて体の内外から女性らしい器官を発育させて体を支える手助けをします。イギリスの研究結果よりエストロゲンが多い女性は顔が可愛い、という報告があります。エストロゲンやプロゲステンが多いと子供を産みやすい体と言われていて、男性が可愛い顔の女性を選ぶのは自然の摂理にかなっているそうです。
骨は、新しい骨を作る骨成細胞と古い骨を溶かす破骨細胞からできています。エストロゲンは、破骨細胞を減らして骨成細胞を増やしたり、ビタミンDを体に取り込みやすい形に変えたりと、骨の形成に重要な役割を担っています。また、肝臓で悪玉コレステロールの代謝を促進する作用があり、血中の脂質代謝を促進しています。また自律神経を安定させて、脳の働きを活発する作用があります。
エストロゲンが不足すると?
エストロゲンが不足してしまうと、自覚症状としてほてりや発汗、不眠が現れます。乳房や子宮の発達が止まってしまったり、肌や髪のつやがなくなって抜け毛が多くなったりと体に様々な不調が現れます。自律神経が乱れて、認知症にかかるリスクが上がるようです。骨を作る細胞が破骨細胞の働きに追いつかなくなり、骨量が減少していってスカスカになり、骨粗鬆症にかかりやすくなります。
またエストロゲンには、血中の悪玉コレステロールを肝臓に取り込むための受容体を増やすという作用があります。そのためエストロゲンを持つ女性は男性より悪玉コレステロールの量が少ないとされています。しかし、エストロゲンが減少すると受容体も減少するので、悪玉コレステロールが回収されなくなり血中に増えていき、中性脂肪も増えるというわけです。
またエストロゲンの減少は女性の気分の浮き沈みにも関係していて、エストロゲンが減少すると気力がなくなったり、精神的に不安定になったりする生理現象もみられるようになります。
エストロゲンは30代頃から減少する!
エストロゲンの分泌量は25歳前後をピークに、40代後半で更年期を迎えるまでゆっくりと減少していきます。20代~30歳前半は安定して分泌され、妊娠や出産に適した体作りが保たれます。しかし30代後半からは、卵巣の働きが低下し女性ホルモンが減り始めていて「プレ更年期」とも呼ばれます。45歳くらいを過ぎるとホルモンは急激に減少していき、平均で50歳頃に閉経を迎えるようです。
閉経をはさんだ前後10年間を更年期といいます。この時期にはエストロゲンが急激に減少するので、ほてりやのぼせ、イライラ、動機、頭痛、しびれ、関節痛、食欲不振などのさまざまな体の不調が女性の9割に出始めます。不調により仕事や家事に影響がでる症状を更年期障害と呼びます。更年期以降も、エストロゲンの減少によって骨粗鬆症や動脈硬化などのリスクが高くなっていきます。
更年期を過ぎた55歳くらいからになると老年期とよばれ、エストロゲンの分泌がかなり乏しくなります。体調は安定しますが、これまでエストロゲンの分泌により維持されていた肌や髪、血液、骨などが衰えるので注意を払わないといけなくなります。脂質異常症や動脈硬化、萎縮性腟炎などにかかりやすくなります。
エストロゲンを減らしてしまう生活習慣とは?
エストロゲンとプロゲステンのバランスが保たれていると、規則正しい周期で生理が始まります。しかし、食生活の乱れやストレス、食生活などの負担がかかるとホルモンバランスは乱れてしまいます。食生活が乱れて偏った食事をとっていると、エストロゲンを生成するのに十分な栄養が足りなくなります。冷たい食べ物や飲み物ばかりとっていると体が冷え、卵巣の機能が低下してエストロゲンの分泌が少なくなってしまいます。
ストレスがたまると、ホルモンの分泌に大事な役割を果たす視床下部に影響を与えて、エストロゲンの分泌が減少します。またストレスによって血管が収縮し、肌に潤いがなくなったり保護機能が低下したりします。
また夜更かしもエストロゲンの分泌に影響します。夜10時から2時に熟睡すると成長ホルモンが生成されます。成長ホルモンは肌を作るために大事な役割を持ち、また女性ホルモンのバランスを安定させます。夜更かしによって寝不足になると、女性ホルモンが安定して分泌されずエストロゲンが減少してしまいます。
さらに血行や代謝が良くないとエストロゲンにも影響を与えます。エストロゲンを増やすためには、日頃から体を動かして血行と体の代謝を良くしておきましょう。ヨガやストレッチは体をゆっくり動かして、深い呼吸でリラックスできるので効果的です。体をあまり冷やさないようにし、体を締め付けるものはできるだけ避けて夜にはマッサージやストレッチで滞った血行をほぐしてあげます。
エストロゲンと乳がんとの関係は?
乳がんは遺伝的要素が強いですが、一般的に、初潮が早かった人や出産経験がない、もしくは初産年齢が遅い人、閉経年齢が遅かった人がなりやすいといわれています。これは乳がんの発生にエストロゲンが関係しているためのようです。がん細胞の6~7割がエストロゲンの影響を受けて、受容体と結びつきがん細胞の増殖を促進します。よって、エストロゲンが分泌されている期間が長いほど、乳がんのリスクが高いと言えます。
乳がんの治療はエストロゲンの影響を受けて増殖することを利用し、エストロゲンの生成を抑制したり受容体と結びつくのを防いだりするホルモン療法が用いられています。がん細胞を直接やっつける療法と比べるとゆるやかに作用します。副作用は、エストロゲンの減少による更年期のような症状、体重の増加、骨量の低下などが見られます。
エストロゲンの分泌を促す食べ物や飲み物を紹介!
女性が心も体も綺麗で健康に保つためには欠かせないエストロゲンですが、年齢とともにエストロゲンの分泌が減少していき、体にさまざまな不調をもたらします。できることならエストロゲンの減少を抑えたいものです。エストロゲンの分泌を促進し増やすためにまず大事なのは、規則正しい生活とバランスのとれた食事、十分な睡眠、ストレスをためない生活です。
さらにエストロゲンは、エストロゲンの分泌を促して増やしてくれる食べ物や飲み物を摂取すれば、増やすことができます。では、エストロゲンを増やしてくれる食べ物や飲み物を紹介していきましょう。
エストロゲンを増やす栄養素
エストロゲンと似たような働きをする栄養素に「大豆イソフラボン」があります。大豆イソフラボンはフラボノイドとよばれるポリフェノールの一種で、エストロゲンと似た科学構造をしていて、エストロゲンと似た働きをするためエストロゲンを増やす栄養素と言われます。そして最近の研究で、大豆イソフラボンが腸内細菌によって変換され作られた成分、「エクオール」がよりエストロゲンと似た働きをするということがわかりました。
エクオールは、大豆イソフラボンに含まれるダイゼインという成分が腸内細菌によって変換されて生成されます。なので大豆イソフラボンを摂ることによって、エストロゲンと似た働きを持つエクオールが作られるというわけです。しかし、エクオールに変換できる腸内細菌を持つ人は日本人の2人に1人しかいないため、エクオールを作れる人と作れない人に分かれるようです。
エクオールを作れる人には、大豆製品をよく食べている、睡眠時間を8時間以上とっている、食物繊維を積極的に摂っている、ほぼ毎日運動している、タバコを吸わない、という生活習慣が多くみられています。大豆製品を毎日食べている人は、あまり食べない人の倍近くエクオールを生産できるという調査結果があります。エストロゲンを増やすためには、大豆製品を毎日食べると良さそうです。
しかし大豆イソフラボンを過多に摂取すると、子宮内膜症や乳がんの発症や再発率が高まります。食品安全委員会では、1日のちょうどよい摂取量は70~75mgと言われています。摂取量を超えたからといってすぐ悪影響があるわけではありませんが、過剰に摂取することなくほかの食材と組み合わせてバランスよく食べることが大切です。
また、ゴマに含まれるセサミンは、抗酸化作用として優れている成分ですが、これもエストロゲンと似たような働きをする成分です。セサミンの主成分であるゴマリグナンは、イソフラボンととてもよく似ていています。更年期障害の女性にゴマを摂取してもらった実験で、女性ホルモンの増加と自律神経の改善が見られたという報告があります。
エストロゲンに似た働きをする「大豆製品」
大豆製品は手軽に摂れる食べ物ですが、外食や洋食中心の食生活では不足しがちです。豆乳などの大豆飲料には125ml当たり69mg、納豆には1パック当たり65mgの大豆イソフラボンが含まれています。豆腐は半丁で55mg、油揚げ半分で52.5mg、味噌にも含まれるので味噌汁には1杯6mg程度の大豆イソフラボンが含まれています。
朝食に納豆と豆腐入り味噌汁を食べれば、それだけで一日に十分な大豆イソフラボンを摂取できます。和食中心の生活をすると取りやすく、結果としてエストロゲンを増やすことにつながります。
また豆乳は飲み物なので手軽にとりやすく、毎日続けやすいのでストレスなく生活習慣に取り入れられそうです。朝食でもいいですし、寝る前の飲み物にホット豆乳を取り入れてもおいしそうです。コーヒーやココア、バナナ味などいろんな味があるので、日によって変えれば毎日楽しむことができます。
ビタミンEを多く含む「ナッツ類やかぼちゃ」
ビタミンEは、強力な抗酸化作用を持つ脂溶性ビタミンの一つです。活性酸素から細胞を守り、血管の酸化や老化防止を防いで血行の促進や改善に働く作用があります。またホルモンの代謝にも関わっていて、副腎や卵巣にも蓄えられ、女性ホルモンの材料になりホルモンの分泌を調整する作用によりエストロゲンを増やすため、不妊治療や更年期障害の治療に使われることもあります。
ビタミンEを過剰に摂取すると、血液が止まりにくくなったり骨粗鬆症になるリスクが高いといわれていますが、実際は3分の2のビタミンEが便として排出されます。蓄積されにくいので、通常の食事の範囲では過剰摂取になることは少ないです。一方、ビタミンEが少ないと、冷え性や頭痛、肩こりを起こしやすくなります。抗酸化力も弱くなるのので、しみやしわができやすくなります。適度な摂取量を心がけることが大切です。
ビタミンEが多く含まれていて比較的摂取しやすい食べ物として、アーモンドやピーナッツ、落花生などのナッツ類や魚卵類があげられます。また飲み物では、煎茶や抹茶、玉露などの緑茶がビタミンEを多く含んでいます。ただしナッツ類は脂質やエネルギー量が高い食品なので、摂りすぎないよう注意が必要です。また植物油や緑黄色野菜にも多く含まれていて、かぼちゃやモロヘイヤ、赤ピーマンなどが比較的ビタミンEが多い食品です。
エストロゲンのバランスを整える「牛レバーやサンマ」
牛肉は、ポリフェノールが多く含まれている食べ物です。ポリフェノールはエストロゲンの分泌を促し増やす上活性化させてくれる成分です。抗菌作用も強いので美容にも効果的な成分と言われています。そんな牛肉の中でも、特に牛レバーは他のレバーよりビタミンや亜鉛、鉄分などのミネラルが豊富に含まれています。その中でもビタミンB6の含有量が多く、エストロゲンを増やす働きがあります。
またサンマには普段からよく食卓に並ぶ魚で良質のたんぱく質や鉄分、ビタミンEやDHAなどいろんな栄養が含まれています。特にビタミンEとビタミンB6ともに多く含まれているので、エストロゲンの分泌を調整し増やす効果が期待できます。
飲み物では圧倒的に抹茶にビタミンB6が多く含まれています。ついでトマトジュース、日本酒の順になります。豆乳にもビタミンB6が含まれているので、豆乳を飲むと大豆イソフラボンだけでなく、ビタミンB6も摂ることができます。
ビタミンB6は、通常の食事では摂りすぎるということはありません。不足すると、皮膚炎や口内炎、貧血などになりやすいです。ビタミンB6は腸内細菌からも作られるので不足することは少ないですが、抗生剤を長期的に飲んでいる人や生理前の月経前症候群の人には不足することがあるようです。
良質な油がとれる「イワシやアジ・オリーブオイル」
エストロゲンの栄養は、タンパク質とコレステロールです。油をとることでコレステロールを生成し、これがエストロゲンの材料になります。脂質を過剰に避けているとコレステロールが少なくなり、エストロゲンの分泌が減少してしまいます。また、イワシやアジ、オリーブオイル、亜麻仁油はオレイン酸やγ-リノレン酸を含んだ良質な油です。良質でいろんな種類の油を適度にとるように心がけましょう。
タンパク質を多く含む肉・卵・乳製品
タンパク質は、エストロゲンなどホルモンの栄養としてコレステロールと並ぶ、欠かせない栄養分です。タンパク質を含む食品はたくさんありますが、その中でも良質で低カロリーな脂分の少ない鶏むね肉や卵、牛乳などの食べ物がおすすめです。タンパク質の1日の平均摂取量は男性で50g、女性で40gとされています。過剰に摂取すると、カロリーオーバーになり尿管結石や内臓疲労の原因になります。
エストロゲンを活性化させるキャベツ
エストロゲンを活性化させるミネラルに「ボロン」があります。ホウ素ともいわれますが、イソフラボンと同じようにエストロゲンに類似した作用や活性化させる作用があるとして、近年注目されています。ボロンを多く含んでいる食べ物は、わかめなどの海藻類や豆類、きゃべつなどの葉物野菜、りんごなどです。りんごなら1日1~2個、アーモンドなら20粒が目安です。
飲み物では、コーヒーや赤ワインにもボロンが含まれています。ボロンは熱に弱いので、加熱しないで摂取したほうが効果的です。
エストロゲンの分泌を促す食事をしっかりと摂ろう!
エストロゲンとは女性の体を綺麗で健康に保つために重要な役割を果たすホルモンで、年齢とともに減少し体に不調をもたらします。しかしそれは食生活や睡眠時間などの生活習慣を見直したり、エストロゲンの分泌を促して増やす食べ物や飲み物を適度に摂取することによってエストロゲンを増やすことができ、それが肌や体を綺麗に保って、さらに体の機能がうまくいくよう作用し、病気になるリスクが少なくなります。
女性の体に必須のエストロゲンを毎日の生活で意識して増やすように心がけ、いつまでも美しく健康な心と体を保っていきましょう。