2018年08月17日公開
2024年07月30日更新
大豆イソフラボンの効果は?健康にやさしくて正しい摂り方とは?
大豆イソフラボンはさまざまな効果があることで知られています。女性ホルモンと似たような働きをするため、女性のトラブルにも効果があります。また生活習慣病や骨粗しょう症予防などにも効果があります。女性だけではなく、前立腺肥大・前立腺ガンに対するリスクを減少させるなど男性に対しても効果があります。ここではそんな大豆イソフラボンについて効果や摂り方などを紹介しましょう。
大豆イソフラボンの効果を調査!
最近、大注目されている大豆イソフラボン。その効果は多岐にわたることが分かって来ました。美肌やアンチエイジングなど女性に関する効果だけではなく、男性に対しても大きな効果があります。大豆イソフラボンは納豆や豆乳に多く含まれているので、積極的な摂り方を考えてもいいかもしれません。ここでは大豆イソフラボンの効果や、大豆イソフラボンが多く含まれている食品、その摂り方などについて詳しく紹介しましょう。
大豆イソフラボンの嬉しい効果とは?
大豆イソフラボンは大豆に含まれる重要な成分で、女性にも男性にもさまざな嬉しい効果を持ちます。ガンや生活習慣病の予防、美肌効果、アンチエイジングなど多くの効果があることが分かっています。ここでは大豆イソフラボンの効果や摂り方について詳しく紹介しましょう。
イソフラボンは美容や健康に効果的
大豆は「畑のお肉」と呼ばれ、良質のたんぱく質をはじめさまざまな栄養素が含まれています。その大豆に含まれるイソフラボンにはさまざまな効果があることが分かり、注目を浴びています。血圧やコレステロール値が上がるのを抑えたり、骨粗しょう症や生活習慣病の予防にも役に立ちます。また、美肌効果があることも分かり、大豆イソフラボンを含んだコスメも多く販売されています。
エストロゲンに似た作用を持っていてエストロゲンの代わりの役割を果たすと同時に、エストロゲンの働きを弱めるという拮抗作用があることも分かっています。乳がんなど、ホルモンに敏感なガンではイソフラボンが過剰なホルモンの害を抑えることも分かって来ています。
大豆イソフラボンは女性に必要な成分というイメージがありますが、、男性にも効果があります。高齢の男性に起こりやすい前立腺ガンの予防にも役立ちます。
大注目の大豆イソフラボンについて
大豆イソフラボンはフラボノイドとよばれるポリフェノールの一種で、マメ科植物に特に多く含まれています。フラボノイドは大豆の「えぐみ」成分の1つと考えられていて、その他にも色素や辛味成分などがあり、様々な健康効果が期待されています。大豆イソフラボンは、葛(くず)やレッドクローバー、アルファルファにも含まれていますが、日常的に摂取できる食材としては大豆だけといえるでしょう。
大豆イソフラボンは、大豆の中にわずか0.2~0.4%しか含まれていない貴重な成分です。特に胚芽(胚軸)の部分に多く含まれています。大豆イソフラボンの存在は1930年代には知られていましたが、1990年代になって研究が進み、その効果が広く知られるようになりました。最近では、大豆イソフラボンをはじめとする植物成分は「フィト・ケミカル」と呼ばれ注目されています。
大豆イソフラボンの種類
健康や美容に大きな効果があると注目されている大豆イソフラボンですが、一口に大豆イソフラボンと言ってもいくつか種類があります。まず、大豆イソフラボンはグリコシド型イソフラボンとアグリコン型イソフラボンの2つに分類されます。アグリコン型イソフラボンはさらに、ダイゼイン、グリシテイン、ゲニステインの3つに分類されます。
グリコシド型イソフラボンは、イソフラボンに糖が結合しているものです。糖のために胃では消化されず、腸内細菌が糖を分解することで腸から体内に吸収されます。そのため体内に吸収されるまで時間がかかり、約6~8時間かかります。豆腐やみそ汁などの大豆加工品に含まれている大豆イソフラボンが、このグリコシド型イソフラボンです。
アグリコン型イソフラボンは、グリコシド型イソフラボンから糖がはずれた状態のイソフラボンです。そのため、グリコシド型とは逆に胃や腸で速やかに体に吸収されます、アグリコン型イソフラボンは前述のように3つに分類されますが、中でもゲニステインが最も強い働きをすると言われています。
このように大豆イソフラボンはいくつか種類があり、サプリメントでは含まれているイソフラボンの種類によって効果の差が生じます。イソフラボンをサプリメントで摂取する際は、摂取量にも注意することが大切です。
大豆イソフラボンはPMS(月経前症候群)を緩和
PMS(月経前症候群)は月経開始の3~10日前から始まる精神的症状と身体的症状のことをいいます。気分の変化やイライラ感、頭痛、疲労感、肌荒れなどがこれらにあたり、月経が始まると症状は緩和されます。月経がある女性の8~9割に症状がみられると言われています。
そこで、このPMS(月経前症候群)を和らげてくれる働きがあるのが、大豆イソフラボンです。大豆イソフラボンには女性ホルモンであるエストロゲンに似た作用があることが分かっています。女性ホルモンの代わりに働いて、不快な症状を軽くしたり和らげたりしてくれます。
大豆イソフラボンの生理不順の改善効果
正常な生理周期は25~38日で、期間は1週間程度と言われています。生理不順はホルモンのバランスが崩れることが一因ですが、大豆イソフラボンによって改善効果があることが報告されています。
大豆イソフラボンの骨粗しょう症予防効果
骨粗しょう症は、骨からカルシウムが溶け出して骨がカスカスになる症状のことです。骨折しやすくなり、危険な状態となります。この骨粗しょう症の最も大きな原因は女性ホルモンの減少にあります。女性ホルモンのエストロゲンは、骨からカルシウムが溶け出すことを防ぐ働きをしているのですが、ちょうど閉経を迎える前後からエストロゲンが急減し、骨がもろくなってしまいます。
閉経後女性を対象にした調査の結果では、大豆イソフラボン量を多く摂取している人は骨密度が高いことが報告されています。このことから、エストロゲンに似た働きをする大豆イソフラボンを積極的に摂取することは骨粗しょう症の予防に有効といえるでしょう。
大豆イソフラボンは更年期障害の症状を緩和
女性ホルモンの分泌量は、40~50歳代の閉経前後にかけて急激に減少します。ホルモンのバランスが崩れることで更年期障害と呼ばれるさまざまな症状が起こります。主な身体的症状としては、顔のほてりやのぼせ、発汗、肩こり、頭痛、耳鳴りなどがあげられます。また精神的な不調としてイライラ、不安、憂鬱などがあげられます。
イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをすることから、摂取することで更年期障害の症状を和らげる働きがあることが分かっています。上手に利用し、つらい症状を緩和させましょう。
大豆イソフラボンは美肌効果もあり!
化粧品や美容業界では、大豆イソフラボンは今や「スーパースキンケア成分」と呼ばれ、注目をされています。大豆イソフラボンには肌に塗布することでもさまざまな効果があることが分かっています。一例をあげると、シミ・ソバカスを防ぐ効果やコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促進して、弾力ある肌を作る効果、紫外線ダメージをブロックする抗酸化作用、肌荒れ、育毛効果などがあります。
今では、洗顔料からローション、クリームなどイソフラボンはスキンケア製品として多く見られるようになりました。体の中からだけではなく、外側からもきれいにしてくれる効果が期待されています。
大豆イソフラボンは男性にも嬉しい効果
大豆イソフラボンの女性への効果を紹介して来ましたが、男性に対してもさまざまな効果があります。骨粗しょう症予防の他、男性に対しては前立腺肥大・前立腺ガンに対するリスクが減少するという効果があります。前立腺肥大は男性ホルモン・ジヒロドステロンの働きによって生じ、60歳以上の男性の6割に症状がみられると言われています。
大豆イソフラボンは男性ホルモンのジヒロドステロンができるのを抑えたり、ジヒロドステロン作用を抑制する働きがあることが分かっています。また、大豆製品をよく摂取する男性は、限局性前立腺ガンのリスクが少ないという調査結果もあります。
また、イソフラボンとカプサイシンを一定の割合で摂取すると育毛効果があり、サプリメントが作られています。その他、女性だけではなく男性に対しても生活習慣病の予防効果があることが分かっています。
健康にやさしい大豆イソフラボンの正しい摂り方
大豆イソフラボンには健康や美容に対して、さまざまな効果があります。ここからは大豆イソフラボンの適切な摂り方を紹介しましょう。摂取量や過剰摂取、大豆イソフラボンが多く含まれている食品などについて紹介します。
大豆イソフラボンの摂取量は?
大豆イソフラボンの摂り方は、食品安全委員会によると、アグリコンとしての大豆イソフラボンの摂取目安量の上限値は1日に75mg、そのうち、サプリメント等の健康食品からの上限は30mgとされています。
大豆食品は、味噌や納豆など日本では日常的に摂取されていて、大豆食品の1日当たりの摂取量は63.2~70.2gの範囲となっています。そのうち、大豆イソフラボンアグリコンの摂取量の平均は1日16〜22mgです。しかし、若い女性のイソフラボン摂取量は1日12~13mgという調査結果もあり、大豆を週に1~2回も食べていないことがうかがえます。
同様に働き盛りの40歳代男女に対して行われた調査でも、約6割の人がイソフラボンを1日12~13 mgしか摂取していないという結果があり、摂り方が少ないことが分かります。大豆イソフラボンは、一般に1日当たり50mg以上の摂取で効果が認められます。健康維持のために摂り方を考えてみるのもいいでしょう。
大豆イソフラボンの過剰摂取は危険?
豆腐1丁に約60mg、納豆1パックに約70mgのイソフラボンアグリコンが含まれています。しかし、大豆食品からは、過剰摂取しても健康被害の報告はほとんどありません。サプリメント等の健康食品の場合は、決められた摂取量を上限として摂取するのが望ましいでしょう。
大豆イソフラボンに副作用はある?
大豆イソフラボンは通常の食物に由来する成分で、副作用や健康被害に関する報告は今まで報告されていないようです。大豆イソフラボンの摂り方についてはさまざまな研究が行われていますが、安全性が確認されています。
大豆アレルギーがある人は、大豆イソフラボンをサプリメントとして取る場合、サプリメントにもアレルギーを起こす成分が含まれている可能性があるので注意が必要です。また、乳ガン、子宮ガン、卵巣ガン、子宮内膜症、子宮筋腫などのホルモンに敏感な人は使用を避けた方がよいとされています。
大豆イソフラボンの含有量が多い食べ物
大豆イソフラボンの含有量が多いた食べ物として、まず最初にあげられるのは納豆です。納豆1パック45gには、大豆イソフラボンが約36mg含まれています。納豆は昔からよく食べられている発酵食品で、イソフラボンだけでなく他の要素も多く含まれている食品です。
納豆には細胞の成長や再生を促すビタミンB群や食物繊維、カルシウム、新陳代謝や老化防止の効果が期待できるポリアミンなど多くの栄養素が含まれています。最近は納豆に含まれるナットウキナーゼが注目されています。納豆にしか含まれない特別な栄養素で、脳梗塞や心筋梗塞の原因となる血栓を予防する効果などさまざまな効果が期待されています。納豆の積極的な摂り方を考えてもいいかもしれません。
次に大豆イソフラボンの含有量が多いの食品は豆乳です。豆乳100g中7.6~59.4mg、平均24.8mgの大豆イソフラボンが含まれています。豆乳には大豆イソフラボンだけではなく、ガン予防や脳の健康、生活習慣病予防、美容効果などが期待できる栄養素が多く含まれています。また、豆乳に含まれる大豆たんぱく質は体にとって必要な含硫アミノ酸も多く含まれています。豆乳も積極的な摂り方を考えてみるといいでしょう。
豆腐には1丁(300g)中、約約80mgの大豆イソフラボンが含まれています。豆腐には良質なタンパク質と脂質、ミネラルも多く含まれていて、健康食品として人気があります。その他、きな粉大さじ8杯に対し大豆イソフラボンは約77mg含まれています。
大豆イソフラボンの1日摂取目安量の上限値である75mgを達するには、納豆2パック、豆腐1丁を食べる必要があります。しかしそれでは大変なので、摂り方を工夫するといいでしょう。納豆1パックと冷奴半丁を食べれば、約76mgの大豆イソフラボンが取れます。また、納豆1パックと豆乳を飲んでもいいでしょう。
大豆イソフラボンは女性にも男性にも嬉しい効果!
今回は大豆イソフラボンについて紹介していきました。大豆に含まれる重要な要素、大豆イソフラボンは女性にも男性にも大きな効果があります。ガンや生活習慣病の予防、美肌効果、アンチエイジングなどのために大豆イソフラボンの積極的な摂り方を考えてみましょう。
最近、エクオールという言葉をよく聞くようになりました。エクオールとはアグリコン型イソフラボンの中のひとつダイゼインが腸内細菌の働きで変化したもので、イソフラボンよりも強い効果があるとされています。今後の研究が期待されています。